ページが見つかりませんでした | 遊戯王史 初期から遡る環境の歴史 https://yugioh-history.com 遊戯王OCGの歴史を第1期から遡っていきます Fri, 03 Nov 2023 23:45:24 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.3 https://yugioh-history.com/wp-content/uploads/2017/11/cropped-2-コピー-2-32x32.png ページが見つかりませんでした | 遊戯王史 初期から遡る環境の歴史 https://yugioh-history.com 32 32 万年1000位プレイヤーから見るデュエリストカップの景色 https://yugioh-history.com/environment/fragments/master-duel-duelist-cup https://yugioh-history.com/environment/fragments/master-duel-duelist-cup#comments Wed, 01 Nov 2023 10:41:32 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16706 【目次】 ・前書き ・使用デッキ【ゴストリピュアリィ】 ・デュエリストカップについての所感  ・高ポイント帯のちょっとした良いこと ・まとめ 【前書き】  デュエリストカップというイベントがあります。  概要としては一定 […]

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【目次】
前書き
使用デッキ【ゴストリピュアリィ】
デュエリストカップについての所感
 ・高ポイント帯のちょっとした良いこと
まとめ

【前書き】

 デュエリストカップというイベントがあります。

 概要としては一定の参加基準を満たしたプレイヤー同士がポイントを取り合う変則的なレート戦のような対戦形式であり、その成績が世界大会の参加権にも関係しているなど、現状のマスターデュエルにおける最大規模のイベントと言っても過言ではありません。本選の期間自体は3日間と決して長くはないものの、それだけに多くのプレイヤーが上位を目指して鎬を削っているとも言えます。

 肝心の私自身はと言えばそうした方々ほど熱心に取り組めているかというとあまり自信はないですが、今回ひそかに目標としていた500位に入ることができましたので、生存報告も兼ねて筆を執った次第です。

 とはいえ500位というのは成績としては何とも言えない順位であり、平均よりは高いものの上手いとも言えない微妙なラインの結果です。少なくとも20年以上遊戯王を続けている割には大して上達していないことは否めず、仮にもサイト運営している立場としてはもう一声欲しいところではあります。

 以前までの結果に関しては以下の通りです。(スクショは取っていないため称号のみ)

 いずれも毎回1000以内には入っているもののそれ以上とはならず、銀アイコンはかなり遠い道のりであると言わざるを得ません。これまでのDCのおおよその平均ポイントが25000~30000程度なのですが、その段階から万単位のポイントを追加で盛るというのは残念ながら私の実力では相当に厳しい話です。

 具体的な課題や反省点といったものは記事の趣旨から外れる、というより読んでもあまり面白くないと思われるためここでは触れませんが、かといって何も無しというのも流石に味気ないですので、今回は1000位前後の視点、つまり上位には及ばない立ち位置から見たデュエリストカップというイベントについての所感のようなものを述べていこうかと思います。

 

使用デッキ【ゴストリピュアリィ】

 本題に入る前に、今回のデュエリストカップで使用したデッキについても一応載せておきます。

 

 いわゆる【ゴストリピュアリィ】と呼ばれる型であり、構築としては特に面白い部分はありません。唯一気になるのが「増殖するG」がなぜか2枚になっている部分ですが、これは恐らく【ラビュリンス】に連続で当たったか何かで勢いで減らしたものがそのままとなっていると思われるためで、終わった後に2枚なことに気付きました。実際には普通に3枚の方が良い、というより3枚にしない理由は無いかと思われます。

 使用した感想としましては、ゴストリギミックによって素引きのリスク(※)ほぼなく手札コストが工面できる点はもちろんですが、それ以上に「無限泡影」以外の誘発を確実に1枚踏めるというのが最大の強みだったと言えます。その「無限泡影」も「ストレイ・ピュアリィ・ストリート」の耐性付与、あるいは「ピュアリィ・デリシャスメモリー」「ピュアリィ・プリティメモリー」を手札に残すなどの手段によりある程度ケアできるため、単発系の誘発に対してはかなり強く出ることができました。

(※むしろ「ゴーストリック・ショット」を素引きすると「灰流うらら」などの打ちどころが無くなります)

 その一方で、ギミック上苦手とする「増殖するG」に関しても【ピュアリィ】自体のG受けの良さ、また「PSYフレームギア・γ」という追加の対策カード(※)を採用していることもあって比較的対処しやすくなっており、総じて先攻時の強さという面では非常に優れていた型だったのではないでしょうか。

(※高ポイント帯になると基本的にケアされるようになったため、最終的には良くない採用札だったかもしれません)

 反面、後手に関してはゴストリギミックを通すことで初めて手札コストが供給される関係上、従来の【暗黒界】型などに比べて初動時における手数が乏しくなっていることは否めず、実際「あと1枚コストがあれば返せていた」という状況に陥るケースもしばしばありました。エクストラの圧迫についても無視できない問題で、とりわけ「エピュアリィ・ビューティ」が1枚しかないことは後手捲りの観点からもそれなりに重いリスクだったという印象です。

 とはいえ、メインの不純物が少なく済む分自由枠をより多く取れるメリットもあり、このことから展開の細さという欠点についてもある程度はカバーできていたものと思われます。

 そのため、どちらが優れているとは一概に言えない面もありましたが、総合的にはこちらの方が良かったのではないか(※)というのが個人的な結論です。

(※なお、最適解はここに「ゴーストリック・サキュバス」「ゴーストリック・リフォーム」、及び2枚目の「ゴーストリック・デュラハン」と3枚目の「ゴーストリックの駄天使」を追加してダブルノアールを狙う型だった模様です)

 

デュエリストカップについての所感

 次はデュエリストカップというイベントそのものについての所感ですが、結論としては面白いの一言です。

 現在のマスターデュエルにおける主流なデュエルの場としてはランクマッチが存在しますが、実際のところダイヤ5~マスター1のランク上げの過程で対戦環境が特別変わっているという感じはあまりせず、登頂にそれほどやりごたえがあるとは言えません。また、マスター1になってしまった後は基本的にやることがなくなるため、デュエル自体はともかくコンテンツとしてはさほど魅力を感じないというのが正直な感想ではあります。

 もちろんカジュアルに対戦するというのもそれはそれで楽しいものではあるのですが、それ自体にやりごたえがあるかどうか、という話になると若干勝手が違ってしまうわけです。

 そのためランクマが片付いた後はデイリーだけ消化して終了、ということになりがちで、それ以外は何かイベントが来た時だけ遊ぶといった具合のプレイスタイルに落ち着いてしまっています。

 何にせよ普段はあまり本腰を入れてプレイする機会がない都合上、そういった機会を定期的に用意してもらえるというのは個人的には非常にありがたい話です。可能であればもう少し頻度を上げてほしいと思っていますが、全体的なプレイヤーの需要を鑑みると現在の開催頻度がちょうど良いバランスなのかもしれません。

 

高ポイント帯のちょっとした良いこと

 その他、DCの高ポイント帯を走ることによるちょっとした良いこととして、たまに名前を知っているプレイヤーと対戦できることがある、というものが挙げられます。

 当たったからといって何かあるわけでもない、と言われてしまえばその通りなのですが、個人的にはマスターデュエルをやっていて少し楽しくなる瞬間の一つです。やはり遊戯王といえば強い人とデュエルするのが一番の醍醐味であり、そうした機会がインターネット上で手軽に得られるというのは本当に良い時代になったと感じます。

 もちろん、更なる高ポイント帯に辿り着ければもっと強い相手に当たれるようになるのかもしれませんが、如何せん当の私自身が強くないのであまり欲張らない方が良さそうです。

 いずれにしても、デュエリストカップが普段のデュエルとはまた違った楽しさが味わえる貴重なイベントであることは間違いなく、それは万年1000位という立ち位置であっても変わらないのではないかと思います。というより、これは私と似たような立場のプレイヤーであれば多かれ少なかれ感じていることなのではないでしょうか。

 上位層から見れば何ということもない結果であることは確かですが、次回以降のデュエリストカップも引き続き楽しんでいけたらと思います。

 

【まとめ】

 万年1000位プレイヤーから見るデュエリストカップの景色については以上となります。

 執筆しておいて今更ですが主観的かつ取り留めのない内容であり、一体どの辺りに需要があるのか全くわからない記事になってしまいました。しかし書いてしまった以上はお蔵入りにするのも忍びなく、また1000位前後からの視点というのもそれはそれで中々見かけない話ではあるかもしれませんので、上位プレイヤーの視点からは見えない何かをこの場で伝えられましたら幸いです。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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勇者環境の回答【ラヴァ玉エルドリッチ】デッキ解説【ダイヤ1】 https://yugioh-history.com/environment/fragments/lava-sphere-eldlich https://yugioh-history.com/environment/fragments/lava-sphere-eldlich#comments Mon, 08 Aug 2022 12:20:06 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16438 【目次】 ・前書き ・【ラヴァ玉エルド】デッキレシピ  ・ラーの翼神竜-球体形溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム  ・原始生命態ニビル ・不採用のカードについて  ・【勇者】ギミック  ・永久に輝けし黄金郷  ・センサー万別 ・ […]

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【目次】
前書き
【ラヴァ玉エルド】デッキレシピ
 ・ラーの翼神竜-球体形&溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
 ・原始生命態ニビル
不採用のカードについて
 ・【勇者】ギミック
 ・永久に輝けし黄金郷
 ・センサー万別
苦手対面【電脳堺】対策について
まとめ

【前書き】

 勇者環境の到来により、マスターデュエルに波乱の日々が訪れています。

[water-enchantress-of-the-temple]

 OCGとは異なりシングル戦ルールである関係上、先攻後攻の有利不利の差は決して無視できないほどに大きく、コイントスの結果がそのまま勝負の結果となってしまうことも多々あります。そしてその傾向の深刻化を招いたのが【勇者】ギミックの存在、ひいてはそれを絡めた【勇者GS】などの各種アーキタイプの参入であり、やや極端とも言えるゲームバランスが成立しつつあることは否めません。

 ただ、逆に偏った環境だからこそ取れる戦法というものもあり、実際普段は勝ったり負けたりでダイヤ1到達までは1週間ほどかかることも多いのですが、今回はデッキが環境的に上手く噛み合っていたためか思った以上に勝率が安定しており、開始2日目(※)でランクマを終わらせることができました。

(※新イベントのデュエリストカップ発表でモチベーションが再燃したという事情もありますが……)

 この記事では、個人的にランクマで使用していた【ラヴァ玉エルドリッチ】について解説いたします。

 

【ラヴァ玉エルド】デッキレシピ

 まずはデッキレシピについてです。

 

 

サンプルデッキレシピ
モンスターカード(15枚)
×3枚 黄金卿エルドリッチ
原始生命態ニビル
天獄の王
溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
ラーの翼神竜-球体形
×2枚  
×1枚  
魔法カード(7枚)
×3枚 強欲で金満な壺
×2枚 呪われしエルドランド
×1枚 黒き覚醒のエルドリクシル
白き宿命のエルドリクシル
罠カード(18枚)
×3枚 紅き血染めのエルドリクシル
黄金郷のワッケーロ
御前試合
スキルドレイン
×2枚 サモンリミッター
×1枚 虚無空間
王宮の勅命
黄金郷のガーディアン
黄金郷のコンキスタドール
エクストラデッキ(15枚)
×3枚    
×2枚 ヴァンパイア・サッカー
×1枚 始祖の守護者ティラス
迅雷の騎士ガイアドラグーン
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
トロイメア・ケルベロス
トロイメア・フェニックス
トロイメア・ユニコーン
No.XX インフィニティ・ダークホープ
No.77 ザ・セブン・シンズ
No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ
天霆號アーゼウス
ハイパースター
LANフォリンクス
リンク・スパイダー

 

 【エルドリッチ】自体の解説はここでは省きますが、メインギミックに関しては特に変わったところはありません。デッキの回し方などの基礎知識については他のサイトや動画などの解説も多く存在しますので、そちらをご覧いただければと思います。

 なお、エクストラに関してはありあわせのカードで組んだため非常に適当です。少しでも勝率を上げるのであればもう少し真面目にカードを用意(※)するべきですが、先述の通りデュエリストカップが近いということで資産を温存したかったため今回は妥協という形になりました。

(※「セイクリッド・プレアデス」すら入っていないのは流石にどうかしているため、今からエルドを組む場合は絶対に作った方がいいです)

 もちろん、そうは言ってもSRの「照耀の光霊使いライナ」くらいはケチらず入れておいてもいいのではないかと終わった後に気付きましたが、後から変えるのもどうなのか、ということで一応当時のリストを載せています。

 

ラーの翼神竜-球体形&溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム

 次はメインコンセプトとも言える「ラーの翼神竜-球体形」「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム」の2枚についてです。

[the-winged-dragon-of-ra-sphere-mode]
[lava-golem]

 先に結論を述べてしまうと、冒頭でも触れたように【勇者】関連アーキタイプを強く意識しての採用となっています。

 というのも、【勇者GS】を筆頭とする各種展開系デッキは展開が通ってしまうと非常に強固な制圧盤面を敷いてくる反面、展開の過程でデッキリソースの大半を枯らしつくしてしまう欠点があります。

 もっとも、その圧倒的な盤面の強さゆえに通常はそれが問題となるようなシチュエーションは少ないのですが、「ラーの翼神竜-球体形」の前には話は別であり、一度盤面を処理してしまえば相手は攻め手の大半を喪失してしまいます。よって返しの「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」を「黄金郷のコンキスタドール」で弾いて勝ちという具合に永続罠に頼るまでもなくゲームが片付いてしまうことすらあるなど、むしろ後手の方が勝てる(※)という奇妙な逆転現象がしばしば発生するのです。

(※もちろん先手の方が流石に勝ちやすいです。念のためですが……)

 そして合計6枚投入できるということは約65%の見込みで初手に引き込めるということで、3回に2回は後手勝利が狙えるということを意味します。これは勇者環境においては絶大な優位性であり、本来は強敵となる【勇者】に対してむしろ当たれば当たるほどボーナスゲームになるという精神的なゆとりを持つことさえできるわけです。

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[herald-of-the-arc-light]

 ただし例外として、「竜星の九支」「虹光の宣告者」らを含めた多段展開をされてしまうと1枚では処理しきれないケースもありますが、当然ながら残りの手札は5枚あるため、よほどハンドの噛み合いが悪くなければ大抵返しきれるのではないでしょうか。

 

原始生命態ニビル

 賛否両論あるカードですが、個人的には賛成寄りのカードということで最大枚数投入しています。

[nibiru-the-primal-being]

 既に多くの場所で言われているように、現在は【勇者】ギミックによって容易に止められてしまう弱点から評価を落としているカードであり、実際に「聖殿の水遣い」が初手から飛び出してきて出番が終了することも多々あります。しかし、「増殖するG」などと比べれば多少は通りやすく、また通った際のリターンも大きいため総合的にはメリットが多いと判断しました。

 また、仮に「流離のグリフォンライダー」に止められてしまった場合であっても、裏を返せば相手の妨害を1枚剥がしていることに変わりはないため、永続罠とセットで盤面を返せるケースがあるというのも見逃せません。流石に最大展開をされてしまった際にはどうにもならないことが多いですが、それは他の大半の誘発に対しても言えることであり、むしろ1枚でクリティカルヒットの可能性があるというだけでも「原始生命態ニビル」は十分に恵まれたカードなのではないでしょうか。

 加えて「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム」「ラーの翼神竜-球体形」らと違い先攻で握っても腐ることがなく、そのまま妨害として使える点も優秀です。上述の通り単体では対処されやすいとはいえ罠の補助があれば話は別であり、しかるべきタイミングで投げればゲームの流れを決定付けるだけの威力を発揮してくれます。

[dracoback-the-rideable-dragon]

 代表的なのが「騎竜ドラコバック」を相手にしたケースであり、永続罠をバウンスされた後に「原始生命態ニビル」で展開を止め、返しのターンで再び蓋をするという動きを取ることができます。これは永続2枚もしくは永続とそれを守る札を構えているのと同等の働きであり、言ってしまえば「スキルドレイン」にも「黄金郷のコンキスタドール」にも、そして上手くいけば「ラーの翼神竜-球体形」にもなれるワイルドカードとして見ることができるのです。

 このように、「原始生命態ニビル」は欠点がありつつもそれ以上に利点の多いカードであり、少なくとも【エルドリッチ】というデッキにとっては現環境でも案外悪くないカードであることが分かります。

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 その他、細かいところでは「原始生命態ニビル」にチェーンして「紅き血染めのエルドリクシル」などを発動(※)することでリリース効果のみを使用して「原始生命態ニビル」本体は手札にキープする小技などもあるため、覚えておくとたまに役に立つかもしれません。

(※ただし、先に「紅き血染めのエルドリクシル」の方を発動してしまうと「原始生命態ニビル」を使えなくなるため注意が必要です)

 

不採用のカードについて

 次は不採用としたカードについて言及していきます。

 

【勇者】ギミック

 まずは【勇者】ギミックです。

[water-enchantress-of-the-temple]

 誤解のないように述べておくと、【勇者】ギミックが【エルドリッチ】と相性に優れていること自体は間違いありません。先手はもちろん後手においても高いパワーを発揮できる稀有なギミックであり、混ぜ物をするのであれば依然有力候補の一角ではあります。

 しかし、これを搭載するために7枠ものスペースを空けるとなると永続罠のスロットを減らすしかなく、それは流石に本末転倒ではないかということで今回は不採用としています。実際、勇者の代わりに永続の2枚目を引いたとしても盤面の強度にそこまで差は出ない(※)一方、逆に勇者だけを引いてしまうと全く嬉しくないため、そうした裏目の存在も考慮すると中々採用には踏み切れません。

(※むしろ永続を2枚構える方が強いシチュエーションも多いです)

 ただ、そうは言っても天下の【勇者】のパワーはやはり魅力的であり、何とか使えないものかとメインギミックを削ったりなど試行錯誤はしましたが、どうしても上手い配分を見つけることができませんでした。

 というより【勇者】を強く使いたいというだけならば他にもっと良いデッキがあるような気はするため、いっそ素直に【エルドリッチ】以外のデッキを土台にしてしまった方が良いかもしれません。

 

永久に輝けし黄金郷

 優秀なカードであることは確かですが、初手に1人で来てしまった時があまりにも弱すぎます。

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 従来であれば単体で引いても序盤をやり過ごせばそこまで負担になることもなかったのですが、現環境のゲームスピードにはついていけません。これがデッキに残っていて助かった、というゲームよりも手札のこれが別のカードなら勝てていたというゲームの方が多く、最終的にはデッキから抜けていきました。

 

センサー万別

 なぜ入っていないのか、という疑問の声もあるかと思います。

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 理由は至って単純で、そもそも持っていないからです。

 強いカードなのは理解していますし、余裕があればそのうち生成しようとは思っているのですが、どうにも作る気が起きず未所持の状態が続いています。よほど特殊な環境でもなければ広い相手に刺さる優秀な永続罠であり、もし持っているなら優先的に採用を検討できるカードでしょう。

 ただ、逆に言えば無くても何とかなる枠ではあるため、無理して作るほどのカードではないのかもしれません。

 

苦手対面【電脳堺】対策について

 デッキの解説に関しては以上ですが、最後に補足として【エルドリッチ】を握る上では避けては通れない【電脳堺】に対する心構えについても触れておきます。

[virtual-world-mai-hime-lulu]

 結論としては【電脳堺】が増えてきたら【エルドリッチ】を使うのは素直に諦めた方がいいという話なのですが、これだけで終わってしまうのも流石にどうかと思うため、もう少しだけ掘り下げて説明していきます。

 【電脳堺】と聞くと代名詞である「真竜皇V.F.D.」の脅威が頭に浮かびますが、【エルドリッチ】に限っては問題はそこではなく、メインギミックである「電脳堺門-朱雀」「電脳堺狐-仙々」らの存在です。

[virtual-world-gate-chuche]
[virtual-world-kyubi-shenshen]

 置物を無限に割ってくる「電脳堺門-朱雀」は当然として、リソースを無限に断ち切ってくる「電脳堺狐-仙々」も定着を許せばそのゲームに勝ち目はありません。片方だけであっても【エルドリッチ】には厳しいカードですが、ギミックの関係上どちらか片方だけということはほぼなく、この両面の対処を同時に強いてくるというのが強烈です。

 つまり普通にデッキが回った場合は言うまでもなく、相手が事故を起こして「電脳堺門-朱雀」「電脳堺狐-仙々」などの本来弱い盤面で止まった場合ですら極めて苦しい状況に陥るため、実質的には先攻を取られた時点でほぼ詰みに追い込まれます。

 一方、こちらが先攻を取れた場合は流石に有利を取れると思いきや、実際にはかなり綱渡りなプレイを要求されます。もちろん永続罠が噛み合いさえすればイージーウィンが狙えるケースもありますが、大抵はそう上手く事は運びません。

[skill-drain]
[gozen-match]

 具体的には、最強カードのはずの「スキルドレイン」は【電脳堺】の共通効果に無力であり、天敵である「電脳堺門-朱雀」のサーチを許してしまいます。「御前試合」などに関しても風属性を先出しするといった形でケアされることが多く、やはり単体では少々心もとない制圧力しか発揮できません。

 とはいえ、【エルドリッチ】にも「黄金郷のコンキスタドール」という心強い味方はおり、これが無制限であった頃は案外上手い具合に何とかなることも多かったのですが、制限カードになってしまった今では相当に立ち回りを制限されてしまいます。安易に初動を止めるために使ってしまえば後が続かず、かと言って「電脳堺門-朱雀」に当てるために温存すれば「電脳堺狐-仙々」の方が出てきてしまうなど、正直【エルドリッチ】のメインギミックだけでは割とどうしようもありません。

 要するに結局は永続とセットで抑え込むしかないわけですが、しかしそもそもその永続が「電脳堺門-朱雀」に対処できないから苦労しているのだという具合に話が堂々巡りしてしまい、はっきり言ってデッキ単位で相性が悪すぎます。これを無理やり解決しようと思うと対【電脳堺】を意識したカードを積み増すくらいしかありませんが、流石にそこまでするくらいなら最初から別のデッキを使えばよく、やはり結論としては【エルドリッチ】自体を諦めてしまった方がいいという形になるわけです。

 まとめると、【エルドリッチ】にとって【電脳堺】は先後にかかわらず重い不利がついてしまう対面であり、「電脳堺門-朱雀」というカードはタイムマシンで無かったことにしてほしいと思ってしまう程度には苦手とする相手です。実際のところ【勇者】が増えたから、というよりはその影響で【電脳堺】の数が減ったからこそ【エルドリッチ】を選択できたと言っても過言ではないほどで、今後の環境の推移によっては一気に立場が悪くなってしまうリスクを抱えていることは否めないデッキ(※)なのかもしれません。

(※【メタビート】に属する以上は当然とも言えますが……)

 

【まとめ】

 【ラヴァ玉エルドリッチ】についての解説は以上です。

 「騎竜ドラコバック」という最強お手軽バック剥がしカードがある今【エルドリッチ】を握るのは一見非効率にも思えますが、今期において後手でも安定して勝ち目があるという意味はそれほどまでに重く、トータルではプラスの勝率を出すことができました。

 とはいえ、上述の通り弱点もはっきりしている関係上デュエリストカップで使用するかどうかはまだ未定ですが、環境次第ではかなり良いポジションにつけるデッキではありますので、もしよければ参考にしていただければ幸いです。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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エクストラゼロフェス【ふわんだりぃず】無課金デッキ解説【マスターデュエル】 https://yugioh-history.com/environment/fragments/floowandereeze https://yugioh-history.com/environment/fragments/floowandereeze#comments Tue, 19 Jul 2022 10:58:30 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16342 【目次】 ・前書き ・ふわんを握ることに決めた理由 ・【ふわんだりぃず】構築について  ・サンプルデッキレシピ   ・スモール・ワールド(SR)   ・BF-天狗風のヒレン(N)   ・惑星探査車(R) ・まとめ 【前書 […]

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【目次】
前書き
ふわんを握ることに決めた理由
【ふわんだりぃず】構築について
 ・サンプルデッキレシピ
  ・スモール・ワールド(SR)
  ・BF-天狗風のヒレン(N)
  ・惑星探査車(R)
まとめ

【前書き】

 7月19日、マスターデュエルにて「エクストラゼロ フェスティバル」イベントが開催されます。

 具体的なイベント内容などはゲーム側からも確認できるためこの場では記載しませんが、レギュレーションの都合上これまでになく偏った環境になるのではないかという危惧もあり、個人的には少々恐ろしい気持ちもあります。とはいえ、普段とはまた違った環境でプレイできる貴重な機会(※)であることは間違いなく、まずまずのペースでイベントを楽しみたいところです。

(※というより、どちらかというとイベントくらいしかやることがないというのが率直な感想ではありますが……)

[floowandereeze-empen]

 この記事では、個人的にイベントで使用している【ふわんだりぃず】について簡単に解説いたします。

 

ふわんを握ることに決めた理由

 誤情報を広めてしまうと良くないため、デッキの解説に入る前にそもそもなぜ【ふわんだりぃず】を使おうとしているのかについて言及しておきます。

[floowandereeze-and-the-advent-of-adventure]

 よく言われている通り、「ふわんだりぃずと旅じたく」の無い【ふわんだりぃず】は安定性にかなり難があり、テーマとしてはそれほどパワーが高いとは言えません。加えて今回のレギュレーションでは貴重なドローソースである「金満で謙虚な壺」も実質使用不可となっているなど、一見すると【ふわんだりぃず】を優先する理由は無いようにも思えます。

 にもかかわらず【ふわんだりぃず】をあえて選択したのは、個人的な事情により「ワンダリング・トラベラーズ」を約20000ジェム分ほど剥いたところ、【ふわんだりぃず】のパーツがなぜか勝手に全部揃っていたからです。

(※結局「聖殿の水遣い」は最後まで素引きできませんでした)

 つまり実質無課金で組めるということであり、折角なら使ってみようという流れで構築に至った次第です。

 要するに何かしら環境的な強みがあって【ふわんだりぃず】を選択したわけではないため、(記事の趣旨としてどうかとは思いますが)特別なこだわりがないのであれば【エルドリッチ】辺りのデッキを使う方が無難かもしれません。

 

【ふわんだりぃず】構築について

 次はデッキレシピについてです。

 

 

サンプルデッキレシピ
モンスターカード(20枚)
×3枚 灰流うらら
ふわんだりぃず×いぐるん
ふわんだりぃず×ろびーな
×2枚 ふわんだりぃず×すとりー
惑星探査車
烈風帝ライザー
×1枚 BF-天狗風のヒレン
ふわんだりぃず×えんぺん
ふわんだりぃず×とっかん
霞の谷の巨神鳥
烈風の結界像
魔法カード(18枚)
×3枚 強欲で謙虚な壺
スモール・ワールド
ふわんだりぃずと謎の地図
抹殺の指名者
ライトニング・ストーム
×2枚  
×1枚 テラ・フォーミング
ハーピィの羽根帚
封印の黄金櫃
罠カード(2枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚 ふわんだりぃずと夢の町 
無限泡影 
エクストラデッキ(0枚)
×3枚    
×2枚    
×1枚    

 

 「ディメンション・アトラクター」が入っていないなど色々と突っ込みどころのあるリストですが、とりあえず理由を解説していきます。

 構築の意図としては、「とにかく事故らない」ことを念頭に置いた形です。

[floowandereeze-robina]

 というのも、前述したように現時点での【ふわんだりぃず】は初動カウントできるカードが乏しく、大袈裟に言うと「ふわんだりぃず×ろびーな」を引けなければ何も始まりません。よって相手に妨害されて負ける、というよりはそもそも初動を引けず勝手に自滅するパターンが多く、思うようにデッキの地力を引き出せない結果に終わってしまうこともしばしばあります。

 その解決として初動関連のギミックを可能な限り厚めに取り、事故のリスクをなるべく減らすことを狙ったという具合です。もちろん、代償として誘発などの枠を削っているため対応力はさほど高くなく、デッキとして見るとあまり実戦向けとは言えない内容ではあります。

 ただ、イベントという特性上ランクマッチと違いそこまで構築を突き詰める必要性はないこと、またそもそも環境的に「増殖するG」を始めとするメジャーな誘発が機能しにくい(※)といった事情もあり、中途半端に考えるよりは「とりあえずデッキが回れば何でもいい」と割り切った構築にしてしまったわけです。

(※あまり数はこなせていませんが、【勇者メタビ】【エルドリッチ】【バーン】辺りのデッキが多い印象でした)

 同様の理由により、上記デッキレシピに関してもそれほど厳密に採用カードを吟味する必要はないため、未所持のカードがある場合は適当なカードで代用(※)しても特に支障はないかと思います。

(※などと言い訳していますが、実際のところはイベントのためだけに「ディメンション・アトラクター」を生成したくないだけです)

 

スモール・ワールド(SR)

 次は個別のカード解説です。基本的なパーツについては説明不要と思われるため、あまり一般的でないカードのみ取り上げていきます。

 まずは「スモール・ワールド」です。

[small-world]

 実質何でもサーチできるカードとして有名ですが、アドバンテージを失うこと、またデッキ構築時点から一定の制約がかかるなどの理由から外見以上にデッキを選ぶカードとなっています。しかし、「ふわんだりぃず×ろびーな」にさえアクセスできれば損失を取り返せる【ふわんだりぃず】にとっては十分に信頼できる初動札です。

 反面、種にしたカードが裏側除外されるという性質上「ふわんだりぃず×とっかん」などのピン挿しのカードをコストにしてしまうと少々困ったことになるため、気になるのであれば重要なパーツは2枚に増量してしまうのもいいかもしれません。

 

BF-天狗風のヒレン(N)

 「スモール・ワールド」の種であり、実質「エフェクト・ヴェーラー」の代わりですが、持っていないため仕方なく入れています。

[blackwing-hillen-the-tengu-wind]

 ポイントは「闇属性・鳥獣族・レベル5・攻撃力0」のモンスターであるという点です。

 具体的には、属性やレベルが各種【ふわんだりぃず】と被らないのはもちろん、攻撃力も0であるため「灰流うらら」にも対応するというのが便利です。欠点として素引きすると意味不明に弱いという問題はありますが、デッキが回りさえすれば多少のアド損は何とかなるため、これに関してはデスフェニギミックにおける「D-HERO ダッシュガイ」的な何かだと思い込むことで精神の安定を保ちます。

 

惑星探査車(R)

 あまり噛み合いが良いとは言えないカードですが、とりあえず事故を回避するという面では及第点の働きが期待できます。

[planet-pathfinder]

 召喚権を使用してしまう欠点についても「ふわんだりぃずと謎の地図」の追加召喚効果で実質帳消しにできるため、見た目の印象ほど悪いカードではありません。もちろん、そうは言ってもベストなカードであるとも言い難く、場合によっては抜いてしまってもいい枠ではあります。

 ただ、守備力1000というステータスから「スモール・ワールド」の種になる(※)という利点もあるため、これとセットで使う分には案外悪くない働きができるカードなのではないでしょうか。

(※「惑星探査車」→「烈風帝ライザー」→「ふわんだりぃず×ろびーな」など)

 

【まとめ】

 エクストラゼロフェス用の【ふわんだりぃず】については以上です。

 構築に関してはイベントを走りながら微調整する予定のため、上記レシピで完成というわけでもないのですが、大まかな構築の指針という意味では十分な解説ができたのではないかと思います。少なくともイベントを走る分には不自由しない程度のデッキパワーはありますので、イベント用のデッキの参考にしていただければ幸いです。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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餅カエルが禁止カードになった理由 https://yugioh-history.com/environment/fragments/toadally-awesome https://yugioh-history.com/environment/fragments/toadally-awesome#comments Fri, 01 Jul 2022 10:00:34 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16284 【目次】 ・前書き ・【スプライト】での活躍 先攻制圧パーツ筆頭  ・スプライトエルフによる再利用体制 無限餅システム ・まとめ 【前書き】  「餅カエル」というカードが存在します。 [toadally-awesome] […]

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【目次】
前書き
【スプライト】での活躍 先攻制圧パーツ筆頭
 ・スプライトエルフによる再利用体制 無限餅システム
まとめ

【前書き】

 「餅カエル」というカードが存在します。

[toadally-awesome]

餅カエル(もちかえる)

エクシーズ・効果モンスター
ランク2/水属性/水族
攻撃力2200/守備力0
水族レベル2モンスター×2
①:お互いのスタンバイフェイズにこのカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「ガエル」モンスター1体を特殊召喚する。
②:1ターンに1度、相手がモンスターの効果・魔法・罠カードを発動した時、自分の手札・フィールドの水族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。その発動を無効にし破壊する。その後、破壊したカードを自分フィールドにセットできる。
③:このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の水属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 第9期出身カード特有の「強いことしか書いていないカード」の一党であり、その次世代的カードパワーを武器に当時の【ガエル】を環境に押し上げたモンスターです。無効にしたカードを奪い取る独特な万能カウンター効果、毎ターンのリクルート効果、墓地送り時のサルベージ効果と制圧、展開、リソース確保の3種の神器を取り揃えており、純粋なカタログスペックに関しては2022年現在の水準においても頭一つ抜けたものがあります。

[bahamut-shark]

 また、「バハムート・シャーク」と組み合わせたギミック、いわゆる「バハシャ餅」ギミックも当時としては非常に強力で、結果として誕生から間もない2017年1月改訂において制限カード指定を下されていました。

 その後はルール変更の影響もあって段階を踏みつつ無制限カードにまで釈放されていましたが、現行ルールに移行した2020年4月には先回り規制(※)の一環で再び制限カード行きとなるなど、開発側からも一定の警戒を向けられているカードであることが窺えます。

(※類似のケースとしては「発条空母ゼンマイティ」「六武の門」などがあります)

[wind-up-carrier-zenmaity]
[gateway-of-the-six]

 とはいえ、「餅カエル」にせよ「バハシャ餅」ギミックにせよ第11期現在においては第9期当時ほどの活躍は望めなくなっており、「発条空母ゼンマイティ」などと同じく環境で見かける機会そのものは限定的になっていました。

 しかし、それから2年以上が経過した2022年7月改定において「餅カエル」は突如禁止カード行きとなり、その現役時代を終えることになりました。

 この記事では、そんな「餅カエル」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

【スプライト】での活躍 先攻制圧パーツ筆頭

 一言で結論を言ってしまうと、「見かける機会そのものは限定的になっていた」という重大な前提が崩れてしまったことが規制の理由であると言えます。

 発端となったのは、2022年4月23日販売のレギュラーパック「POWER OF THE ELEMENTS」から現れた新テーマ【スプライト】の存在です。

[gigantic-splight]

 【スプライト】とは大まかにはレベル2、ランク2、リンク2を中心としたギミックを内包するテーマであり、それらがフィールドに存在することを起点として各種展開、制圧などを行っていくという特徴があります。詳しいデッキの動きなどは本題と逸れるためここでは割愛しますが、初動の安定感、手札誘発耐性、デッキスロットの自由度など全てにおいて高水準なパワーを持つ、いわゆる次世代テーマとでも呼ぶべき存在です。

 そんな【スプライト】の大きな欠点こそが展開過程でかかる「レベル2・ランク2・リンク2のモンスターしか特殊召喚できない」という制約(※)であり、これにより一定のバランス調整が保たれているかに見えました。

(※「ギガンティック・スプライト」の制約はなぜかお互いに及ぶため、「原始生命態ニビル」などを無力化できるというメリットにもなっていました)

 つまるところ、そうした制約を台無しにしていたのが「餅カエル」の存在だったというわけです。

[swap-frog]
[ronintoadin]

 前書きで触れた通り「餅カエル」は素材縛りがやや厳しいことがネックとなるカードですが、【スプライト】においては「ギガンティック・スプライト」から「鬼ガエル」をリクルートすることで容易にエクシーズ素材を調達(※)できたため、実質的には任意のレベル2モンスター2体という緩い条件から「餅カエル」に繋げることができました。

(※「鬼ガエル」で「粋カエル」を墓地に落とし、「鬼ガエル」「ギガンティック・スプライト」で「スプライト・エルフ」をリンク召喚→「鬼ガエル」蘇生+「粋カエル」自己蘇生という流れ)

 そして先述したように【スプライト】はレベル2を中心としたデッキであり、この条件を満たすことも難しいことではありません。なおかつ、悪いことに【スプライト】自体のテーマとしてのパワーも次世代水準の調整が施されていたことは既に述べた通りであり、これらの要素が絡み合うことで「餅カエル」は全盛期以上に理不尽なパワーを獲得するに至ってしまったのです。

 

スプライトエルフによる再利用体制 無限餅システム

 さらに、この「餅カエル」の制圧力に拍車をかけていたのが「スプライト・エルフ」による強固な再利用体制でした。

[splight-elf]

スプライト・エルフ

リンク・効果モンスター
リンク2/炎属性/雷族/攻撃力1400
【リンクマーカー:左下/右下】
レベル2・ランク2・リンク2のモンスターを含むモンスター2体
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードはリンク召喚されたターンにはリンク素材にできない。
①:このカードのリンク先のモンスターは相手の効果の対象にならない。
②:自分・相手のメインフェイズに、自分の墓地のレベル2モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。相手フィールドにモンスターが存在する場合、代わりにランク2またはリンク2のモンスター1体を対象とする事もできる。

 自身のリンク先に対象耐性を与える1つ目の効果、お互いのメインフェイズにレベル2モンスター+αを蘇生する2つ目の効果を持っています。一見すると【スプライト】の専用サポートであるかのような顔をしておきながら、実際のところ普通に汎用リンク2としても多少おかしな性能をしているカードですが、重要なのは「ランク2のモンスターを蘇生することもできる」という部分です。

 これにより「餅カエル」を耐性付与で守りながら万能カウンターで相手のカードを無効にして奪い取り、自身のサルベージ効果でリソースを回復したのち、蘇生効果で再び「餅カエル」を構えるという強烈な制圧布陣を手軽に敷くことができました。

[dupe-frog]

 加えて戦闘破壊に対しても「餅カエル」自身から「魔知ガエル」をリクルートすることでケア可能という盤石ぶりであり、ただでさえ限られる「餅カエル」への回答がさらに狭まってしまいます。これについては「魔知ガエル」がサイドに下げられるケースも増えていたため一概に言える話ではなくなっていましたが、何にせよこの布陣を作るために必要な札の少なさ(※)を鑑みればあまりにもお手軽すぎたと言うほかありません。

(※「増殖するG」が初動になってしまう程度にはお手軽でした)

[splight-red]
[splight-carrot]
[splight-starter]
[splight-smashers]

 もちろん、実戦においては「餅カエル」だけでなく「スプライト・レッド」「スプライト・キャロット」「スプライト・スターター」「スプライト・スマッシャーズ」などの【スプライト】固有の制圧手段も追加で設置されることになるため、盤面の処理はより一層困難になってしまいます。性質上、完全に身動きが取れなくなるタイプの制圧でこそないものの、初動面も含めた総合的な対処の難しさという点においては近年でも屈指のものがあり、それを裏付けるように一時期は【スプライト】が環境を独占(※)していたこともありました。

(※最近は【ティアラメンツ】が勢力を伸ばしてきていたため、実際には1強ではなくなっていました)

 よってその中核となっていた「餅カエル」に問題があることは明らかであり、これに対する規制は極めて妥当な話だったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「餅カエル」についての話は以上です。

 誕生当時から【ガエル】や【HERO】を中心に実績を残し、それから間を置かず制限行きとなった曰くつきのカードでしたが、時代が進んだ2022年においてもその潜在能力は健在であり、あえなく禁止カード指定を宣告されることになりました。【スプライト】にとってはメインギミックが無傷ということもあり代わりの制圧手段を用意して命脈を繋ぐことはできますが、やはり「餅カエル」の担っていた役割は大きく、一定の弱体化は避けられない(※)と言えるでしょう。

(※しかし、例によって「餅カエル」を失った程度で止まるほど繊細なデッキではなかったらしく、現在は【ティアラメンツ】との2強環境を形成しつつあります)

 個人的な感想としては、【スプライト】への規制はいいとして【ティアラメンツ】がノータッチだったことに少々不安を覚えてしまうところですが……。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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捕食植物ヴェルテ・アナコンダが禁止カードになった理由 https://yugioh-history.com/environment/fragments/predaplant-verte-anaconda https://yugioh-history.com/environment/fragments/predaplant-verte-anaconda#comments Thu, 17 Mar 2022 11:27:59 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16223 【目次】 ・前書き ・お手軽デッキ融合 融合界隈のライフライン  ・禁止にするほどではない? カードデザイン面の負担 ・まとめ 【前書き】  「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」というカードが存在します。 [predapla […]

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【目次】
前書き
お手軽デッキ融合 融合界隈のライフライン
 ・禁止にするほどではない? カードデザイン面の負担
まとめ

【前書き】

 「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」というカードが存在します。

[predaplant-verte-anaconda]

捕食植物ヴェルテ・アナコンダ(プレデター・プランツ ヴェルテ・アナコンダ)

リンク・効果モンスター
リンク2/闇属性/植物族/攻撃力500
【リンクマーカー:左下/右下】
効果モンスター2体
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで闇属性になる。
②:2000LPを払い、「融合」通常・速攻魔法カードまたは「フュージョン」通常・速攻魔法カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。この効果は、その魔法カード発動時の効果と同じになる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。

 恐らく「水晶機巧-ハリファイバー」と並んで現代遊戯王を象徴するカードの1枚であり、誕生以降から年単位に渡って環境で活躍し続けてきたモンスターです。その知名度、及び影響力は全カード中でも屈指で、強さどうこうの段階を通り越し、もはやこのカードが存在しないカードプールは考えられないというレベルにまで到達していたと言っても過言ではありません。

 しかし、そんな「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」も2022年4月改定で遂に禁止カード指定を下され、その太く長い生涯を終えることになりました。

 この記事では、そんな「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

お手軽デッキ融合 融合界隈のライフライン

 ざっくり結論を言ってしまうと、融合サポートとしての働きがあまりにも逸脱して優秀すぎたことが規制の理由であると言えます。

[glossary-13254]
[destiny-hero-destroyer-phoenix-enforcer]

 これに関しては以前の関連記事でも再三取り上げているためこの場で改めて解説することはしませんが、要するに融合界隈におけるハリファイバー的存在(※)と化していたということであり、融合ギミックが多少なり絡むデッキにおいてはほぼ例外なくこのカードが使われていたと言っても過言ではありません。特に「真紅眼融合」や「フュージョン・デステニー」などのデッキ融合系カードとのシナジーは絶大であり、環境においてもしばしば問題を引き起こしていました。

(※ハリファイバーがどういう存在なのかについては下記の記事で解説しています)

[crystron-halifiber]

 そのため、「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」の危険性は以前から指摘され続けており、いつ禁止行きになってもおかしくないカードではある(※)と言われていました。

(※詳しくは後述しますが、そう言われつつも禁止になる可能性は低いという意見が主流ではありました)

 よって今回の改訂で「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」が禁止カード指定を受けたこと自体はそれほど違和感のある話ではなく、いわゆる「来るべき時が来た」という具合の結論に落ち着くのではないでしょうか。

 

禁止にするほどではない? カードデザイン面の負担

 もっとも、現環境に限って言えば「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」は禁止にするほどの理不尽なパワーは持っていなかったことも確かです。

 一般的によく言われている通り、「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」はこれを立てる段階でモンスターを2体消費しているため、アドバンテージ面ではさほど得をしているわけではありません。むしろ融合先によっては損をしているとすら言えるほどで、見かけほど雑に強いカードではなかったのです。

[fusion-destiny]
[glossary-16229]

 実際、前々期環境の「フュージョン・デステニー」などもアナコンダ経由ではなく素で発動した方が強いという意見が多く、一概にこのカードが悪いとは言い切れない部分もありました。また今期における【デスピア】などにとっても「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」はそれほど扱いやすいカードとは言えず、どちらかというと保険の意味合いが強いカード(※)だったことは事実です。

(※というより、なるべく使いたくないカードでした)

 もちろん、素引きできない時でも融合にアクセスできることこそがアナコンダ最大の強みではあるのですが、言ってしまえばそれは「損失を80点に抑えるカード」であるということの裏返しでもあります。

 つまり他の禁止カードのように物理的にカードパワーが狂っているタイプのカードではなかったため、巷で言われるほど「禁止になって当然の壊れカード」のような類の存在ではありませんでした。むしろこうした環境デッキ以上に中堅デッキにとっての大黒柱となっていた側面もあり、見方によってはカジュアル界隈に対するダメージの方が大きい規制となってしまった印象はあります。

 とはいえ、だからと言って「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」というカードの構造に問題が無かったかというとそんなこともなく、いわゆる「存在罪」を犯しているカード群に片足を突っ込んでいたことも否定はできません。

 上記項目でも軽く言及したように、「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」は融合サポートとしてはあまりにも優秀すぎるため、融合関連のアーキタイプを考える上ではこれの存在を考慮しないわけにはいきません。そしてそれはプレイヤーだけでなく恐らくは開発側にとっても同様で、とりわけ新規のカードデザイン面に負担をもたらすボトルネック(※)となっていたことは容易に推察できます。

(※これに関しては「水晶機巧-ハリファイバー」も同様ですが、あちらは一周回って完全に手遅れになってしまったパターンです)

 要するに「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」というカードがカードプールに存在していること自体の影響力が大きくなりすぎていたということであり、そうした商業上の都合も踏まえて考えるのであれば、やはり今回の規制は比較的妥当な話だったと言えるのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」についての話は以上です。

 良くも悪くも融合界隈のライフラインとでも言うべき存在であり、「水晶機巧-ハリファイバー」同様に生存ルートに入ったかと思いきや、実は全然そんなことはなかったという結末を迎えてしまっています。個人的には「フュージョン・デステニー」の入れ替え改定があるとすれば「D-HERO デストロイフェニックスガイ」だと考えていたため若干意表を突かれた感はありますが、何にせよ融合関連アーキタイプの多くにとって無視できない大事件となってしまったことは確かです。

 もっとも、逆に考えれば「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」の禁止カード化によってデッキ融合系のカードを新規にデザインしやすくなったと捉えることもできるため、案外このカードが居なくなったことが融合界隈にとって良い方向に作用するかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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マスターデュエルで特定のデイリーミッションを出てこなくする裏技 https://yugioh-history.com/environment/fragments/masterduel-daily-mission https://yugioh-history.com/environment/fragments/masterduel-daily-mission#comments Fri, 11 Feb 2022 10:46:25 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16184 【目次】 ・前書き ・デイリー厳選 ミッション報酬を受け取らず放置  ・貯められるミッションは9個まで 放置しすぎに注意 ・まとめ 【前書き】  遊戯王マスターデュエルのデイリーミッション問題について。  マスターデュエ […]

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【目次】
前書き
デイリー厳選 ミッション報酬を受け取らず放置
 ・貯められるミッションは9個まで 放置しすぎに注意
まとめ

【前書き】

 遊戯王マスターデュエルのデイリーミッション問題について。

 マスターデュエルはソーシャルゲームの一種であり、その例に漏れず1日3つ追加される「デイリーミッション」と呼ばれるミッションが存在しています。これに関しては文字通りデイリーで消化することを想定した難易度となっているため基本的にはそれほど達成が難しいわけではないのですが、中には面倒な条件が設定されているミッションも無いわけではありません。

 特に「ランク戦で罠カードを発動する(0/5)」などは大半のデッキでは自然と達成することが難しく、可能であれば出てこないようにしておきたいと考えるプレイヤーは少なくないのではないでしょうか。

 この記事では、そうした不要なミッションがデイリーに出てこないようにする方法について解説していきます。

 

デイリー厳選 ミッション報酬を受け取らず放置

 やり方は非常に簡単で、デイリーミッションをクリアした後ミッション報酬を受け取らずに放置しておくというだけです。

 今のところ、マスターデュエルでは同じデイリーミッションは出現しないという仕様があります。そのため、特定のミッションをクリアした状態のまま意図的に残しておくことにより、俗に言う「湧き潰し」のような状況を成立させることができるわけです。

 また、これを応用すれば上記の例とは逆に「狙ったデイリーミッションだけを出現させる」というようなことも可能です。

 上の画像のように、ジェム報酬が良いミッションだけ出現する状況を作り出すことで1日当たりのデイリー報酬を130ジェムで固定できます。

 現在実装されているデイリーミッション報酬はそれぞれ50ジェムのものが2種類、30ジェムが1種類、20ジェムが5種類、10ジェムが1種類の計9種類となっています。よって何もしなかった場合の報酬期待値は1日80ジェムとなるため、これをやるとやらないとでは1か月で約1500ジェムの差が出ることになります。

 1500ジェムというと案外馬鹿にならない量であり、これを小技の一言で片づけるのは惜しい話なのではないでしょうか。

 

貯められるミッションは9個まで 放置しすぎに注意

 ただし注意点として、貯められるミッションの限界数は9個までということには気を付ける必要があります。

 具体的には、デイリーミッションを7個以上残した状態で次の日になってしまうと2つしかミッションが追加されなくなるため、ジェム報酬を満額受け取りたい場合は必ず6個以下の状態にしておかなければなりません。つまり上記の例で言うと「ランク戦でデュエルに勝利する(0/1)」「ランク戦でデュエルに勝利する(0/2)」「ランク戦でデュエルする(0/3)」の3つのデイリーミッションを毎日欠かさずクリアしなければならないため、それを負担に感じる場合はミッションの枠に多少余裕を持たせておくことも考えられます。

 もっとも、仮に達成できなかったとしても放置中のミッションから適当に1つ報酬を回収すれば簡単に枠が空く以上、これも実質的にはノーリスクと捉えてしまっていいのは確かです。

 要するに遊戯王的な表現を用いれば「どう転んでもアドになる」ため、とりあえずやっておいて損はないのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 デイリーミッションの厳選方法については以上です。

 どちらかというと裏技的なテクニックにあたる都合上、そのうち修正されて使えなくなる(※)のではないかという気もしますが、今のところはメリットしかない(というよりやらないと損をする)ためやっておいた方が無難かと思われます。

(※例えばミッションの種類が増えるだけでデイリー厳選が実質不可能になります)

 唯一の欠点があるとすれば、それは「まとめて受け取る」を間違って押してしまった時に非常に残念な気分になるということくらいですが……。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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【マスターデュエル】初期配布カードでそこそこ強いおすすめデッキ【無課金】 https://yugioh-history.com/environment/fragments/masterduel-starter-deck https://yugioh-history.com/environment/fragments/masterduel-starter-deck#comments Fri, 21 Jan 2022 10:00:17 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16070 【目次】 ・前書き ・デッキレシピ【デミスビート】※「破滅と終焉」攻略済 ・デッキレシピ【不知火】※「妖を討つ炎」攻略済 ・まとめ 【前書き】  「遊戯王マスターデュエル」というゲームがあります。  言わずと知れた遊戯王 […]

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【目次】
前書き
デッキレシピ【デミスビート】※「破滅と終焉」攻略済
デッキレシピ【不知火】※「妖を討つ炎」攻略済
まとめ

【前書き】

 「遊戯王マスターデュエル」というゲームがあります。

 言わずと知れた遊戯王OCGのオンラインゲームであり、多くのデュエリストが誕生を待ち望んでいたであろうゲームです。実際に界隈での反響も非常に大きく、リリースされるや否や各地で話題沸騰となっています。

 とはいえ、そんなマスターデュエルもまだリリースされて日が浅く、ジェムやCPの効率的な使い方、カード分解、生成すべきカード、ソロモードで行えるLockチャプター解放順の優先度など、ゲーム攻略のセオリーがあまり明らかになっていません。そのため、特に無課金でプレイする場合などは安易にジュエルやCP、オーブを消費してしまって後々になって勿体ないことをしたと後悔するといった失敗も考えられるため、とりあえず効率的なやり方が判明するまでは初期配布カード(※)だけでやりくりしたいと考えるプレイヤーも少なくないのではないかと思います。

(※なお、最初に選んだ初期デッキによって若干カードプールに差が出ますが、他のデッキを入手できるミッションが現状判明していないため、その際は適宜汎用枠を入れ替えていただければと思います。ちなみに私は「シンクロ・オブ・ユニティ」を選びました)

 この記事では、そういった方向けに初期配布のカードプールだけで組めるそこそこ戦えそうなデッキレシピを紹介していきます。

 

デッキレシピ【デミスビート】※「破滅と終焉」攻略済

 とは言うものの、ソロモードを全て攻略するのにもそれなりの時間がかかってしまうため、ストーリーの進行度ごとにいくつかデッキの候補を挙げておきます。

 まずは【デミスビート】です。

サンプルデッキレシピ(「破滅と終焉」攻略済)
モンスターカード(18枚)
×3枚 センジュ・ゴッド
ソニックバード
破滅の天使ルイン
終焉の悪魔デミス
破滅の女神ルイン
終焉の王デミス
×2枚  
×1枚  
魔法カード(17枚)
×3枚 エンド・オブ・ザ・ワールド
エンドレス・オブ・ザ・ワールド
サイクロン
リバース・オブ・ザ・ワールド
×2枚 地砕き
×1枚 サンダー・ボルト
地割れ
死者蘇生
罠カード(5枚)
×3枚 リターン・オブ・ザ・ワールド
×2枚 リビングデッドの呼び声
×1枚  
エクストラデッキ(2枚)
×3枚    
×2枚    
×1枚 カチコチドラゴン
電影の騎士ガイアセイバー

 

 何ともスタンダードな空気感漂うデッキであり、現代遊戯王基準ではお世辞にも合格点を出せるようなデッキではありませんが、最初に配布される初期デッキのままで戦うよりは随分マシな内容に仕上がっているのではないかと思います。

[demise-king-of-armageddon]

 最大の魅力は「終焉の王デミス」の高いワンキル能力(※)によってデュエルが早期に決着しやすいことで、勝つ場合も負ける場合も比較的時間がかからずに済むのがメリットです。マスターデュエルは一般的なソーシャルゲームとは違いデュエルのたびにスタミナゲージ的なリソースを消費するといったこともないため、多少負けても回転が速くなるのであれば損にはならないのではないでしょうか。

(※ちなみに、かつてOCG環境で活躍した実績のあるカードでもあります。興味があれば下記の記事をどうぞ)

 とはいえ、結局のところ配布デッキから弱すぎるカードを抜いて多少実用的なカードに交換しただけのデッキでしかないため、流石にこれを無理して使い続けるよりはソロモードを先に進めてしまった方が効率的かもしれません。

 

デッキレシピ【不知火】※「妖を討つ炎」攻略済

 次は【不知火】デッキです。

サンプルデッキレシピ(「妖を討つ炎」攻略済)
モンスターカード(18枚)
×3枚 妖刀-不知火
シノビネクロ
不知火の鍛師
不知火の宮司
不知火の武士
不知火の隠者
×2枚  
×1枚  
魔法カード(11枚)
×3枚 サイクロン
×2枚 地割れ
地砕き
強欲なカケラ
×1枚 サンダー・ボルト
死者蘇生
罠カード(11枚)
×3枚 もののけの巣くう祠
不知火流 燕の太刀
×2枚 好敵手の記憶
リビングデッドの呼び声
×1枚 砂塵の大竜巻
エクストラデッキ(11枚)
×3枚 刀神-不知火
戦神-不知火
×2枚    
×1枚 フレムベル・ウルキサス
マイティ・ウォリアー
ギガンテック・ファイター
カチコチドラゴン
電影の騎士ガイアセイバー

 

 テーマ本来のキーカードが満足に揃っておらず、OCGの【不知火】と比較すると別デッキレベルにまで弱体化していますが、それでも初期デッキの貧弱さに比べれば相当にマシ(※)な部類でしょう。とりあえずシンクロ召喚を安定して狙えるというだけでも及第点のパワーがあるため、この段階まではソロモードを攻略しておいた方が後々楽かもしれません。

(※初期デッキではまともに出せるシンクロが実質「フレムベル・ウルキサス」1枚しかないため、ウルキサスを出した後はチューナービートで頑張るしかなくなります)

[shiranui-solitaire]
[shiranui-spectralsword]

 このデッキのメインとなる動きについては下記の通りです。

・「不知火の隠者」が手札にある場合

 

①:「不知火の隠者」の効果で「妖刀-不知火」をリクルートする。

 

②:他に展開手段が無い場合、「妖刀-不知火」を相手に破壊してもらうのを待つ。(※「不知火流 燕の太刀」など能動的な墓地送り手段があればそちらを使う)

 

③:墓地の「妖刀-不知火」の効果により、「妖刀-不知火」「不知火の隠者」を除外して「刀神-不知火」を特殊召喚する。

 

④:「不知火の隠者」の効果で「妖刀-不知火」を除外ゾーンから帰還させる。

 

⑤:「妖刀-不知火」「刀神-不知火」の2体を素材に「戦神-不知火」をシンクロ召喚し、シンクロ召喚時の効果で「刀神-不知火」を除外する。

 

⑥:「戦神-不知火」が破壊された場合、除外ゾーンの「不知火の隠者」を墓地に戻す。

 

⑦:墓地に「不知火の隠者」「妖刀-不知火」がもう一度揃うため、墓地の「妖刀-不知火」の効果により「妖刀-不知火」「不知火の隠者」を除外して2体目の「刀神-不知火」を特殊召喚する。

 

⑧:「不知火の隠者」の効果で「妖刀-不知火」を除外ゾーンから帰還させる。

 

⑨:「刀神-不知火」の効果で1体目の「刀神-不知火」をエクストラデッキに戻す。(※相手フィールドに攻撃表示モンスターがいない場合は発動不可のため注意)

 

⑩:「妖刀-不知火」「刀神-不知火」の2体を素材に「戦神-不知火」をシンクロ召喚する。(※以下「戦神-不知火」が尽きるまで繰り返し)

 

 以上のように、「不知火の隠者」「妖刀-不知火」の2体が揃えばシンクロモンスターを延々と使い回せる体制が整うため、初期プール帯ではこれを繰り返しているだけで勝ててしまうほどの圧倒的な継戦能力を発揮できます。初動に必要なカードは「不知火の隠者」1枚だけ(というより「不知火の隠者」以外ろくに初動になるカードが無い)ため、「不知火の鍛師」のサーチを駆使して何とか手札に引き込むことを狙います。

[shiranui-samuraisaga]
[shiranui-shogunsaga]

 一度「不知火の隠者」を通すことさえできれば疑似ループによってリソース面の心配はなくなるため、後は「戦神-不知火」による高火力をぶつけていけば自然と勝利が転がり込んでくるでしょう。

 もちろん動きのどこかを妨害されてしまうとコンボが途切れてしまうため過信は禁物ですが、最低限ソロモードやミッション等を攻略するのに不自由はしない程度のデッキパワーは持っているのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 現段階の初期配布カードで組める比較的おすすめのデッキについては以上です。

 正直なところ、どれもあまりデッキパワーが高いとは言えないような代物ではあるのですが、何とか戦えなくはないラインには届いているのではないかと思います。今後のミッション報酬によってはもう少しまともなデッキを組めるようになる可能性も十分あるため、とりあえず一通りの情報が出揃うまではこれを使っていくというのも悪くはないのではないでしょうか。

 もっとも、やはり配布やミッション報酬だけで必要なカードを揃えるのにも限界がある以上、(記事の趣旨を放り投げるようで恐縮ですが)あまり細かいことは気にせず欲しいカードを集めてしまった方がゲームを楽しめるかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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https://yugioh-history.com/environment/fragments/masterduel-starter-deck/feed 18
フュージョン・デステニーが禁止カードになった理由 https://yugioh-history.com/environment/fragments/fusion-destiny https://yugioh-history.com/environment/fragments/fusion-destiny#comments Mon, 17 Jan 2022 11:31:17 +0000 https://yugioh-history.com/?p=16037 【目次】 ・前書き ・アナコンダ+デスフェニ出張セット 現代のドラグーン  ・「禁止すべきはアナコンダorデスフェニでは?」という疑問  ・商業的な都合も加味 再販バリア&新規バリア ・まとめ 【前書き】  「フュージョ […]

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【目次】
前書き
アナコンダ+デスフェニ出張セット 現代のドラグーン
 ・「禁止すべきはアナコンダorデスフェニでは?」という疑問
 ・商業的な都合も加味 再販バリア&新規バリア
まとめ

【前書き】

 「フュージョン・デステニー」というカードが存在します。

[fusion-destiny]

フュージョン・デステニー

通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:自分の手札・デッキから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「D-HERO」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは次のターンのエンドフェイズに破壊される。このカードの発動後、ターン終了時まで自分は闇属性の「HERO」モンスターしか特殊召喚できない。

 恐らく今期環境において最も存在感を示していたカードの1枚であり、デッキを問わず強力かつ手軽な出張ギミックとして猛威を振るっていた存在です。その影響はパワーカード云々の領域を通り越し、もはやこれが存在しない環境を想定できないほどにメタゲームを歪めていました。

 その結果、出張パーツの1枚である「フュージョン・デステニー」が2022年1月改訂にて禁止カード指定を受け、出張ギミックとしての現役時代を終えることとなっています。

 実際のところ、いわゆる「デスフェニアナコンダ」関連のパーツに何らかの形で規制が入ることはほぼほぼ確実視されていた現状があり、(禁止先が「フュージョン・デステニー」だったことはさておき)今回の規制そのものに関して言えばそれほど意外な話ではなかったのではないでしょうか。

 もっとも、そんな「フュージョン・デステニー」も額面上は単なるデッキ融合カードの一種に過ぎないため、一見すると禁止にするほどのカードなのか疑問に感じることもあるかと思います。

 この記事では、そんな「フュージョン・デステニー」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

アナコンダ+デスフェニ出張セット 現代のドラグーン

 ひとまず先に結論から述べてしまうと、周知の通り「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」「D-HERO デストロイフェニックスガイ」とともに出張ギミックとして濫用されていたことが禁止行きの直接的な理由にあたります。

[predaplant-verte-anaconda]
[destiny-hero-destroyer-phoenix-enforcer]

D-HERO デストロイフェニックスガイ(デステニーヒーロー デストロイフェニックスガイ)

融合・効果モンスター
星8/闇属性/戦士族/攻撃力2500守備力2100
レベル6以上の「HERO」モンスター+「D-HERO」モンスター
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:相手フィールドのモンスターの攻撃力は、自分の墓地の「HERO」カードの数×200ダウンする。
②:自分・相手ターンに発動できる。自分フィールドのカード1枚とフィールドのカード1枚を選んで破壊する。
③:このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。次のターンのスタンバイフェイズに、自分の墓地から「D-HERO」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 上記は「D-HERO デストロイフェニックスガイ」のテキストとなります。このカードの強さについてはもはや語られ尽くしているためこの場でわざわざ解説することはしませんが、一言で言えば現代版ドラグーンとでも言うべきカードであり、先代と同様に融合本体である「フュージョン・デステニー」の尊厳を破壊した元凶です。

[glossary-13254]

 そしてこの2枚のシナジーをより強固に支えていたのが「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」の存在であり、結果として往年のドラグーン全盛期を彷彿とさせる惨状を生み出してしまっていました。実際、前書きでも触れた通り「デスフェニアナコンダ」ギミックの採用率の高さは度を越しており、むしろ出張適性の高さに限定すれば本家を超えていたとすら言えるのではないでしょうか。

 とは言うものの、打点、耐性、制圧力いずれにおいても「D-HERO デストロイフェニックスガイ」それ自体のカードパワーは「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」ほど気が狂った性能ではないため、その点に関しては本家ほどの「災害感」は無かったことは事実ではあります。

[destiny-hero-dasher]
[destiny-hero-celestial]

 しかし、それはあくまでもカード単体のスペックに限定した話で、こちらは「D-HERO ダッシュガイ」「D-HERO ディバインガイ」といった優秀な融合素材によって別軸からアドバンテージを取ることができ、実質的に「D-HERO デストロイフェニックスガイ」+αという布陣を1枚で成立させることができました。

 また、「フュージョン・デステニー」の制約がかかるのもカードの発動後であり、発動前に特殊召喚を行っていても制約に引っかからずに済むため、展開が終わった後に発動することで実質デメリット無しで運用できてしまっていたことも問題でした。

 そして唯一欠点となるはずの自壊デメリットについても「D-HERO デストロイフェニックスガイ」にとっては事実上ノーリスクと言えるものでしかなく、結果的にほぼ利点のみを享受可能な「雑強カード」と化してしまっていた現実があります。その強さはもはや「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」に頼らずとも「フュージョン・デステニー」そのものが強いという域に達していたほどで、よく言われていた「アナコンダが悪い(※)」という論調すら通じなくなっていた部分もあったわけです。

(※もちろんアナコンダ側に全く責任が無いというわけでもありませんが……)

[artifact-dagda]
[artifact-scythe]

 他方では、派生ギミック単位の話にはなりますが「アーティファクト-ダグザ」「アーティファクト-デスサイズ」と組み合わせたお手軽エクストラ封印ギミック(※)も猛威を振るっており、これを容易に成立させてしまっていたという点でも問題がありました。というより、個人的にはこのコンボの存在こそが一番の問題だったのではないかと考えているほどであり、総じて単体性能のみに限らない危険性を示していたギミックだったと言えるでしょう。

(※念のため解説すると、ダグザでセットしたデスサイズを自分で破壊する動きのことを言います)

 

「禁止すべきはアナコンダorデスフェニでは?」という疑問

 このように、「デスフェニアナコンダ」の存在が環境全体に対して多数の問題を噴出させていたことは間違いありません。

[predaplant-verte-anaconda]
[destiny-hero-destroyer-phoenix-enforcer]

 しかしながら、今回の規制に関しては少なからず疑問の声、具体的には「禁止すべきはアナコンダやデスフェニの方ではないか」といった意見が散見されることもまた事実ではあります。実際、「フュージョン・デステニー」が関連カードの中で一番悪さをしていたかと言われるとそうとも言い切れず、一見すると「とばっちり規制」のように捉えてしまっても不思議ではありません。

 しかし、既に述べた通り「フュージョン・デステニー」は素引きでも十分なパワーを発揮できたため、仮に「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」の方を禁止行きにしたとしてもデスフェニ出張ギミックを潰し切れない中途半端な規制になってしまう可能性がありました。というより、どちらかというと融合素引きの方が強い(※)面すらあったほどであり、程度の差はあれ「フュージョン・デステニー」自身にも多少なり問題があることは否めなかったのです。

[fusion-destiny]

(※実際、素引きしたこのカードは「雑に強い」としか言えないようなパワーを発揮していました)

 少なくとも「巻き込まれ規制」と称していいほど人畜無害なカードではなかったことは明白である以上、今回の禁止指定に関しても不当な規制とまでは言えなかったのではないでしょうか。

 

商業的な都合も加味 再販バリア&新規バリア

 その他、もう一点触れておくべきこととして、いわゆる商業的な都合に絡んだ理由も無関係ではありません。

 というのも、今改訂で禁止候補としてよく名前が挙がっていた「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」ですが、その収録パックである「LINK VRAINS PACK 3」が今月に再販されたばかりであり、ここで禁止にすると流石に商業上の不都合が大きすぎるという弊害が存在していました。

 一方、「D-HERO デストロイフェニックスガイ」についても7月に誕生したばかりのカードであり、このタイミングで禁止行きにするのは「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」同様に無茶な話です。

 つまり「デスフェニアナコンダ」ギミックのうち3枚中2枚が実質規制できない状況にあったということであり、そうなるともはや最後の1枚である「フュージョン・デステニー」を止める以外の選択肢(※)は残っていないでしょう。

(※一応、融合素材側を規制するパターンも無くはないですが、流石に今回のケースでは考えにくい話です)

 要するに結論としては「フュージョン・デステニー」それ自体がそもそもパワーカードと化してしまっていた現実があり、なおかつその上で商業的な都合までもが加わってしまった以上、二重の意味で消去法的にこちら側を止めるしかないという判断に至るのも無理はなかったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「フュージョン・デステニー」についての話は以上です。

 一見すると巻き添え規制のようでありながら、よくよく冷静に考えてみれば案外理に適った規制だったという経緯であり、結果的には無難な改訂に落ち着いたのではないかと思います。何にせよ「デスフェニアナコンダ」に対処の手が入ったこと自体に変わりはなく、これでようやく現代のドラグーン(※)の顔を見ることもなくなったと一安心できるのではないでしょうか。

(※個人的には大昔の「ヴァンパイア・ロード」をひっそり思い出して少々懐かしい気持ちにもなりましたが……)

[vampire-lord]

 もっとも、ほとぼりが冷めた頃を見計らって「D-HERO デストロイフェニックスガイ」と禁止のポジションが入れ替わりそうな気配を漂わせているカードでもあり、今後の動向(※)がやや気になるところです。

(※追記:2022年4月改定で「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」が禁止カードになりました)

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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魔鍾洞が禁止カードになった理由 https://yugioh-history.com/environment/fragments/mystic-mine https://yugioh-history.com/environment/fragments/mystic-mine#comments Mon, 20 Sep 2021 10:00:13 +0000 https://yugioh-history.com/?p=15985 【目次】 ・前書き ・遅延ロックカード魔鍾洞 禁止改訂すら遅延  ・TOD絡みの問題も 存在そのものが害悪 ・まとめ 【前書き】  「魔鍾洞」というカードが存在します。 [mystic-mine] 魔鍾洞(ましょうどう) […]

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【目次】
前書き
遅延ロックカード魔鍾洞 禁止改訂すら遅延
 ・TOD絡みの問題も 存在そのものが害悪
まとめ

【前書き】

 「魔鍾洞」というカードが存在します。

[mystic-mine]

魔鍾洞(ましょうどう)

フィールド魔法
①:相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、相手はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。
②:自分フィールドのモンスターの数が相手フィールドのモンスターより多い場合、自分はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。
③:自分・相手のエンドフェイズに、お互いのフィールドのモンスターの数が同じ場合に発動する。このカードを破壊する。

 言わずと知れた「何かがおかしい系カード」の筆頭であり、文字通り「何かがおかしい」としか言いようがないようなカードです。今更この場でわざわざ効果を解説するようなことはしませんが、その強烈すぎるロック性能によって【魔鍾洞チェーンバーン】を成立させたほか、制限カード指定以降も【閃刀姫】などの相性のいいコントロールデッキで採用実績を残し、挙句の果てにはもはやデッキ関係なくサイドに雑に突っ込まれる(※)といった運用法すら試されるようになっていました。

(※念のため、サイドの採用率自体が高かったという意味ではありません)

 その結果、2021年10月改訂をもって「魔鍾洞」は遂に禁止カード指定を受け、その曰くつきの経歴に終止符を打つことになりました。

 この記事では、そんな「魔鍾洞」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

遅延ロックカード魔鍾洞 禁止改訂すら遅延

 実際のところ、「魔鍾洞」に関してはこれが禁止カードになった理由どうこう以前に、むしろ「今まで禁止カードではなかった理由」を探すべきカードです。

 というのも、「魔鍾洞」の危険性についてはもはや見たままの話に近く、このカードがどうして禁止になったのかと言われても回答に困ってしまいます。むしろ前書きだけで話がほぼ終わっているような気もするため、一周回って解説することが何もありません。

 もっとも、それでは記事の意味がなくなってしまうため、あえて言語化するのであれば「魔鍾洞」が通った瞬間に「別のゲームが始まって」しまうことが主な問題点であると表現できます。

 別のゲームが始まるというと抽象的な表現にも聞こえますが、実際そう当てはめるのが恐らく最も適切なカードです。「魔鍾洞」が定着した時点で盤面が膠着してしまい、そして「魔鍾洞」をどうにかするまでゲームが進まなくなってしまうため、一種のリセットカードと解釈しても差し支えないのではないでしょうか。

 というより、デッキによってはそもそも対処すらできずに「魔鍾洞」1枚で詰んでしまうことも少なくなく、いわゆる「ゲームを台無しにする系カード」の中でも最高峰の台無し能力を誇っています。基本的に除去手段の大半をモンスターが担う現代遊戯王における「魔鍾洞」の制圧力は絶大であり、唯一の回答はサイドに積んだ「ハーピィの羽根帚」だけというケースも決して珍しいことではなかったのです。

 とはいえ、当然ながら「魔鍾洞」の効力が及ぶのはモンスターに対してのみであり、魔法・罠には何ら耐性を発揮しないことは確かです。よって「サイクロン」などで処理することは普通にできるため、なにも禁止にするほど凶悪ではないのではないか、という意見も時折見かけはします。

[royal-oppression]
[mystical-space-typhoon]

 しかし、正直な話それは「王宮の弾圧」は「サイクロン」で割れるから禁止でなくても問題ないと言っているのと大差なく、控えめに表現しても相当に無茶な理屈であると言わざるを得ません。

 何より、そもそもの問題として「魔鍾洞」というカードにポジティブな認識(※)を持っているプレイヤーは恐らくほぼ居ないと思われるため、これに対する禁止カード指定は極めて妥当な決定だったのではないでしょうか。

(※多分ダークロウの次くらいに嫌われています)

[masked-hero-dark-law]

[generation-nine-7]

 

TOD絡みの問題も 存在そのものが害悪

 ゲーム的な観点における「魔鍾洞」の禁止理由についてはおおむね上記の通りですが、実のところ「魔鍾洞」を取り巻く問題はもう1つ存在しています。

 それは俗に言うTOD絡みの問題をしばしば引き起こしてしまう傾向にあったという事実です。

[time-seal]

 もちろん昔の時代ほど露骨なタイムオーバーデスを狙うようなことは(少なくとも一般的では)なくなっていますが、「魔鍾洞」の性質上これを使うことでゲームが長引くことは避けられず、状況次第ではエキストラターンによるキルなどに持ち込むこともできてしまいます。できてしまう、とは言っても実際そうした遅延戦法を意図的に狙うプレイヤーがそこまで多くいたというわけでもないのですが、この手の問題はできる、できないが重要であり、こうした状況を成立させてしまう可能性があること自体が問題です。

 またTODとまではいかずともゲームの膠着によって試合時間が長引いてしまい、場合によっては「魔鍾洞」を普通に使っているだけで大会運営に支障をきたしてしまうケースも往々にしてあり、もはや根本的に「魔鍾洞」というカードのデザイン設計そのものに致命的な欠陥(※)があったことは否定できません。

(※性質的には「ヴィクトリー・ドラゴン」と同系統のカードと言えなくはないですが、流石にVドラと比べるのは「魔鍾洞」といえども可哀想な気もするため同類扱いはしないでおきます)

[victory-dragon]

 要するに「魔鍾洞」は実質的に「存在してはいけない類のカード」に該当していると言って差し支えないため、そういった意味でも「魔鍾洞」のこれ以上の生存は許すべきではなかったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「魔鍾洞」についての話は以上です。

 普通に使うだけでも割とギリギリ許せないカードでありながら、それとは別方面においても問題を噴出させていたカードであり、いわゆる「存在罪」を犯してしまっていたことは否定できません。使用率どうこう以前に(※)カードプールに存在していること自体が害悪であり、究極的にはそもそも印刷したこと自体が間違いだったとも言えるでしょう。

(※性質上汎用的に使われるカードではなかったため、同改訂禁止のVFDと比べると遭遇率自体は控えめでした)

[true-king-of-all-calamities]

 個人的な希望を述べるのであれば、これで「メタバース」を返して(※)もらえないものかと少し期待したいところです。

[metaverse]

(※逆に考えると「魔鍾洞」禁止のこのタイミングこそが最大の復帰チャンスだったような気もするため、ひょっとするとこのまま放置されるのではないかという懸念もありますが……)

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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真竜皇V.F.D.が禁止カードになった理由 https://yugioh-history.com/environment/fragments/true-king-of-all-calamities https://yugioh-history.com/environment/fragments/true-king-of-all-calamities#comments Tue, 14 Sep 2021 10:00:21 +0000 https://yugioh-history.com/?p=15452 【目次】 ・前書き ・【電脳堺】での活躍 VFD朱雀+αの展開  ・ハリファイバー1枚からVFD+2ドロー ハリラドン展開 ・まとめ 【前書き】  「真竜皇V.F.D.」というカードが存在します。 [true-king- […]

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【目次】
前書き
【電脳堺】での活躍 VFD朱雀+αの展開
 ・ハリファイバー1枚からVFD+2ドロー ハリラドン展開
まとめ

【前書き】

 「真竜皇V.F.D.」というカードが存在します。

[true-king-of-all-calamities]

真竜皇V.F.D.(しんりゅうおう ザ・ビースト)

エクシーズ・効果モンスター
ランク9/闇属性/幻竜族/攻撃力3000/守備力3000
レベル9モンスター×2体以上
①:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、属性を1つ宣言して発動できる。このターン、以下の効果を適用する。この効果は相手ターンでも発動できる。
●フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。
②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の手札の「真竜」モンスターの効果で破壊するモンスターを相手フィールドからも選ぶ事ができる。

 このページでは具体的に効果の仕組みを解説することはしませんが、ひとたび効果が通ればフィールドのモンスターをほぼ無力化することができ、さらに同属性であれば手札や墓地のモンスターすら封殺できるというとんでもないカードです。書いてあることだけを見れば間違いなく最強スペックのモンスターであり、実際に2017年環境においては【恐竜竜星真竜皇】のリーサルウェポンとして暴れ回っていたこともありました。

 とはいえ、これ自体がランク9という重いモンスターであること、また周辺カードに対する規制などが入っていたこともあって長年規制を免れていましたが、このたび2021年10月の制限改訂をもって遂に禁止カード指定を下されることとなりました。

 この記事では、そんな「真竜皇V.F.D.」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

【電脳堺】での活躍 VFD朱雀+αの展開

 理由についてはいくつかありますが、最大の理由という意味ではやはり【電脳堺】の先攻制圧札として多用されていたことが規制の決定打となったのではないでしょうか。

[virtual-world-mai-hime-lulu]
[virtual-world-city-kauwloon]

 【電脳堺】における「真竜皇V.F.D.」の成立パターンは以下の3つです。

 

①:レベル9シンクロモンスター2体

 

②:レベル9シンクロモンスター+レベル6電脳堺モンスター+「電脳堺門-朱雀」の墓地効果(レベルを上げる)

 

③:「電脳堺狐-仙々」+「電脳堺門-朱雀」の墓地効果(レベルを下げる)+レベル3チューナー

 一見ややこしく見えますが、要するに「9+9」「9+(6+3)」「(9-3)+3」のうちどれか1つを作ることで「真竜皇V.F.D.」が成立します。そしてテーマ内のカードが2枚揃えば大半の組み合わせで上記のいずれかに繋がるため、非常に安定して「真竜皇V.F.D.」を立てることができました。

[true-king-of-all-calamities]
[virtual-world-gate-chuche]

 また、【電脳堺】のエンジンである「電脳堺都-九竜」「電脳堺媛-瑞々」らを展開に絡める(※)ことで「電脳堺門-朱雀」を自然と確保できるため、メインギミックの動きだけで「VFD+朱雀」の布陣を作れてしまうのも問題でした。単純にフリーチェーンの妨害が増えるのはもちろんですが、本来有効であるはずの効果無効系カードが「電脳堺門-朱雀」によってケアされてしまい、他のデッキが使う「真竜皇V.F.D.」に比べて対処がより困難だったからです。

(※「電脳堺媛-瑞々」をサーチ可能な「電脳堺門-青龍」を各種【電脳堺】モンスターから墓地に落とせるため、ケアルートを考慮しなければこちらも大体成立します)

[virtual-world-kyubi-shenshen]

 加えて、展開の過程で「電脳堺狐-仙々」が墓地に落ちている関係で返しのワンキルが見えているほか、ゲームが長引いた際のリソース確保すらこなせているという盤石ぶりです。よって時間的な猶予も短い上に長期戦にも対応可能という質の高い布陣を敷くことができたため、額面通りの「VFDが立っているだけ」とは到底言えないほどの多角的な制圧盤面を形成していました。

 要するに一度「真竜皇V.F.D.」が出てしまうと処理の難易度が跳ね上がるため、実質的には展開途中で動きを止めるしかないわけですが、それを「VFD対策」と称するのは少々身も蓋もない話ではあり、そのことが逆に「真竜皇V.F.D.」の理不尽なパワーを証明してしまっていたことは否めません。

 もちろん、【電脳堺】も2枚初動デッキである以上は常に都合よく展開に成功するとは限らず、具体的には「電脳堺媛-瑞々」を「灰流うらら」で止められて負け、といった半事故もしばしば起こり得るデッキだったことは事実です。

 しかし、それでも「真竜皇V.F.D.」の存在がOCG環境を少なからず歪めていたこと自体は間違いなく、そうした背景が今回の規制を招いたと言えるのではないでしょうか。

 ちなみに、「真竜皇V.F.D.」は禁止行きになる以前に2021年4月改訂の時点で制限カード指定を既に受けていたわけですが、これが無制限カードだった頃は現在以上に問題を引き起こしていたという事実にも触れておきます。

[virtual-world-roshi-laolao]
[virtual-world-gate-xuanwu]

 具体的には、展開系デッキが通常苦手とする「原始生命態ニビル」なども「電脳堺悟-老々」「電脳堺門-玄武」を残すことで光属性宣言→2体目の「真竜皇V.F.D.」で貫通できてしまっていた(※)ため、全盛期の「真竜皇V.F.D.」を安定して止めるには「アーティファクト-ロンギヌス」などのピンポイントなメタカードを持ち出す必要がありました。

(※この場合、ニビルを握れていないと「真竜皇V.F.D.」が2体並ぶか、もしくは「セイクリッド・トレミスM7」などを追加されてしまいます)

 

ハリファイバー1枚からVFD+2ドロー ハリラドン展開

 とはいえ、これだけであれば単に【電脳堺】が強かっただけではないか、と思ってしまいそうな話でもあるため、もう一点だけ「真竜皇V.F.D.」に絡んだ有名な話についても触れておきます。

 それは「水晶機巧-ハリファイバー」1枚から「真竜皇V.F.D.」を立てるルートが開発されてしまっていたという事実です。

 

①:何らかの手段で「水晶機巧-ハリファイバー」をリンク召喚する。

 

②:「水晶機巧-ハリファイバー」の効果で「ブンボーグ001」(※)をリクルートする。(※「ジェット・シンクロン」でも可)

 

③:「水晶機巧-ハリファイバー」「ブンボーグ001」を素材に「幻獣機アウローラドン」をリンク召喚し、効果で幻獣機トークン3体を特殊召喚する。

 

④:墓地の「ブンボーグ001」を自己蘇生する。

 

⑤:「幻獣機アウローラドン」の効果により、「幻獣機アウローラドン」と幻獣機トークン1体をコストに「幻獣機オライオン」をリクルートする。

 

⑥:「幻獣機オライオン」と幻獣機トークン1体を素材に「ガーデン・ローズ・メイデン」をシンクロ召喚する。(※「ブラック・ガーデン」のサーチは任意)

 

⑦:「幻獣機オライオン」の効果で幻獣機トークン1体を特殊召喚する。

 

⑧:「ガーデン・ローズ・メイデン」と「ブンボーグ001」を素材に「瑚之龍」をシンクロ召喚する。

 

⑨:「瑚之龍」と幻獣機トークン1体を素材に「飢鰐竜アーケティス」をシンクロ召喚し、2ドロー(※)する。(※「瑚之龍」で1ドロー、「飢鰐竜アーケティス」で1ドロー)

 

⑩:墓地の「ガーデン・ローズ・メイデン」を除外し、墓地の「瑚之龍」を蘇生する。

 

⑪:「瑚之龍」と幻獣機トークン1体を素材に「任意のレベル9シンクロモンスター」をシンクロ召喚する。

 

⑫:「飢鰐竜アーケティス」と「任意のレベル9シンクロモンスター」を素材に「真竜皇V.F.D.」をエクシーズ召喚する。

 

 いわゆる「ハリラドン展開」として知られる展開ギミックであり、「VFD+2ドロー」というシンプルに強い展開を行うことができます。実質的には「水晶機巧-ハリファイバー」さえ出せるのであればどのようなデッキにも出張できる余地があるため、もはや何でも出てくると言っても過言ではありません。

[crystron-halifiber]
[mecha-phantom-beast-auroradon]

 つまり汎用性という観点においては【電脳堺】以上に危険性が高いギミックであり、もはや当初言われていた「VFDは重いから許されている」という免罪符は既に失われてしまったと見るべきでしょう。

 もっとも、このギミック自体が禁止になるほど強かったかというと決してそういうわけでもなく、実際【電脳堺】が使う「真竜皇V.F.D.」ほど大々的に存在感を示していたわけではありません。上述の通り「真竜皇V.F.D.」は単体であれば対処法がないわけではなく、またいくら汎用性が高いとは言っても「ハリラドン展開」ギミック自体がそこそこ重いこともあり、これが「真竜皇V.F.D.」の禁止行きの理由(※)になったかというと少々首をかしげてしまうところではあります。

(※というより、これに関してはVFDどうこうではなく、むしろハリラドン側の問題である可能性が高いです)

 もっとも、この「ハリラドン展開」に限らず「真竜皇V.F.D.」を出す手段そのものは増加の一途を辿っており、今後もカードプールの拡大とともにその危険性が上昇していくであろうことは間違いありません。

 そのため、やはり禁止行きを決定付けたという意味では【電脳堺】での濫用、及び「ハリラドン展開」の存在が間接的にこれを招いたと言えますが、実際のところは将来的な影響を鑑みた上での規制という側面も少なからず含まれていたのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「真竜皇V.F.D.」についての話は以上です。

 個人的には今年の4月時点で禁止行きを予想していたカードでもあるのですが、それでも全盛期ほどではないにしろ現時点でもパワーカードであったことに変わりはなく、「真竜皇V.F.D.」の存在そのものがメタゲームを定義付けている側面もありました。

 実際、「通ってしまうと終わり」という点においては「No.16 色の支配者ショック・ルーラー」に通ずるものもあり、これに対する規制自体は極めて妥当な話でしょう。

[number-16-shock-master]

 とはいえ、そうなってくると【恐竜竜星真竜皇】の時に禁止行きにならなかったのはなぜなのかという疑問がちらついてこないこともないのですが、やはり現代では「ハリラドン展開」などの強力な展開ギミックが幅を利かせてしまっている以上、もはや「真竜皇V.F.D.」に限らず制圧側を生かし続けておくこと自体が難しい時代に入りつつあるのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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