アンティルールとは 遊戯王最初期に実在した「賭けデュエル」の概念
【前書き】
遊戯王における架空の闇ルールとして、「アンティルール」と呼ばれるものが存在します。
その名の通り、実際にカードを賭けてデュエルを行い、勝者はそのカードを自分のものにできるというルールです。アニメなどではお馴染みとも言える「悪人キャラ御用達ルール」ですが、これが最初期に実在していたことは意外に知られていません。
現在はこのルールが公式の話題に取り上げられることはなく、事実上「存在しなかったことに」されているルールでもあります。では、かつて存在していたアンティ関連の具体的なルール内容は一体どのようなものだったのでしょうか?
この記事では、そんな謎の多いアンティルールについて解説いたします。
アンティルールの詳細と当時の扱い
1999年当時において、公式に定められていたアンティルールは以下のようなものでした。
①:デュエル開始時にデッキトップ1枚を取り除く。そのゲーム中、そのカードは使用できない。
②:デュエル決着後、勝者はそのカードを自分のものにできる。
③:アンティによりデッキ枚数が40枚未満となった場合、サイドデッキからカードを1枚選んでメインデッキに入れる。
公式ルールブック内の正確な本文は不明ですが、処理としては上記のような内容となります。当時販売されていたスターターデッキなどにもルールブックが同梱されていたことから、このルールの存在を目に入れていた方は少なくなかったのではないでしょうか。
とはいえ、実際にアンティルールを前提にデュエルを行ってしまった場合、様々なトラブルの温床となることは火を見るより明らかです。倫理的、法的な問題ともに当時から問題視されており、基本的には存在しないルール(※)として扱われるケースが大半でした。
(※というより、そもそもアンティルールが公式ルールだと知らないプレイヤーの方が多数派だった印象はあります)
一方で、純粋にゲームシステムとしてのみに着目すれば興味深いルールでもあることは確かです。
そのため、賭けカードをセットするだけで所有者の変更はしない、いわゆる「フェイクアンティ」としてゲームが行われることはありました。あるいは手持ちのいらないカードを賭けて火遊び的にアンティデュエルを行うなど、いずれにしても本気で貴重なカードを賭け合うケースは(少なくとも私の周りでは)皆無だったと記憶しています。
しかし、フェイクにせよ火遊びにせよ、そもそもカードを賭けるという行為自体が好ましく思われていなかったことは事実です。保護者はもちろん、外聞の悪さからショップ側の迷惑になることもあり、やはりこうしたアンティデュエルが表立って行われることは稀だったのではないでしょうか。
ちなみに、このアンティルールは公式大会の場では採用されないことがほとんどであり、採用されるとしてもスターチップなどの代替品が用いられる形式が取られていました。こうしたシステムを大々的に公式の場に取り入れることは賭博行為の推奨とも取られかねず、企業としても扱いかねるルールだったのかもしれません。
結局、2000年に入ってからはアンティルール自体が取り沙汰されなくなってしまい、有耶無耶な形で存在が抹消されるという経緯を辿ることになりました。その後は今日に至るまで全く触れられておらず、事実上公式からも黒歴史扱いを受けていることが窺えるルールです。
【まとめ】
遊戯王最初期のアンティルールについては以上となります。
一見するとアニメの世界の出来事にしか思えない話ですが、かつては大真面目に公式ルールの中に存在していました。現在の価値観では信じがたい話であり、間違いなく今後二度と復活しないルールに該当します。
そもそも1999年当時の時点ですら受け入れられていなかった以上、文字通り生まれてくる世界を間違えていたルールだったのかもしれません。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
1998年に発売したGB版最初の遊戯王ゲームでも同じようなルールとシステムありましたね。
確か通信対戦で負けると問答無用でデッキの中のカード1枚がランダムで相手に渡ってしまう仕様で、トラブルの元でした。
このゲームの攻略本にも「トラブルを避けるため、あまり強いカードはデッキに入れないようにしておこう!」みたいなことが書いてあったような記憶があります。
コメントありがとうございます。
強制アンティ設定、しかも賭け対象カードすらランダム選択というのは相当に問題のあるシステムのように思われます。素人目に考えても絶対に子供同士で喧嘩になると予想できそうなものですが、時代背景的にそういった配慮はなされにくい世代だったのかもしれません。
この「相手の物になったカード」は、そのマッチ中は相手が自由に使えるがマッチ終了時に返却するのか、マッチ終了後も文字通り相手の物になるのか、どっちなんでしょうね?
MTGの場合は後者だったようですが。
コメントありがとうございます。
賭けカードについてですが、ルール上(というとやや奇妙ですが……)の扱いとしてはMtGと同様に文字通り相手の物になってしまうという形式でした。
ただ、やはり実際にカードを賭けるとなると様々な問題が生じてしまいますので、私の周囲では賭けカード絡みのルールは存在しないものとして扱われており、また世間一般的にもそれが主流だったのではないかと思われます。