「疫病」が禁止カードになった理由

2021年2月16日

【前書き】

 「疫病」というカードが存在します。

疫病(えきびょう)

装備魔法
戦士族・獣戦士族・魔法使い族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は0になる。また、自分のスタンバイフェイズ毎に、装備モンスターのコントローラーに500ポイントダメージを与える。

 パッと見る限り何とも評価し辛い類のカードであり、強い弱い以前にそもそも何に使えばいいのかすらよく分からない微妙すぎる効果を持っています。一応、「装備魔法」「攻撃力を0にする」「継続バーン効果」とカタログスペック的には唯一無二の性能を持つカードではあるのですが、はっきり言ってしまうと文字通り毒にも薬にもならないようなマイナーカードの一種です。

 ところが、このたび「疫病」に対して臨時リミットレギュレーションが適用され、2021年2月20日から同年3月31日までの間、特例で禁止カード指定を受けることになりました。一見すると意味不明な決定ですが、どことなく悪さができそうなテキストに見えないこともないため、何らかのコンボに悪用された末の禁止指定を疑ってもおかしくはありません。

 しかしながら、今回の改訂は通常のリミットレギュレーションとは根本的に毛色が異なり、OCG的な事情とは一切無関係な形での規制となっています。

 この記事では、そんな「疫病」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

「あまびえさん」配布 疫病退散の願いを込めて

 一言に理由と言っても、実際どう説明するべきなのか今一つ判断しかねる部分もあるため、ひとまず公式サイトの文章をそのまま引用します。

延期となっておりました「あまびえさん」プレゼントキャンペーンの開始が、2021年2月20日(土)に決まりましたのでお知らせします。

また、「疫病退散」の願いを込めたこのキャンペーン実施に合わせて、以下のカードについて臨時リミットレギュレーションを適用します。

臨時適用リミットレギュレーション
禁止カード:「疫病
■ 適用期間: 2021年2月20日(土)~2021年3月31日(水)

なお、プロモーションカード「あまびえさん」は、多くの方に手にしていただけるよう生産しておりますが、在庫状況は各店舗で異なりますのでご了承ください。

配布枚数:全国10万枚

 出典元:「あまびえさん」プレゼントキャンペーン | おしらせ | 遊戯王OCG デュエルモンスターズ

 こういった場で触れるべきか分からないため具体的な単語は出しませんが、いわゆる例の騒動と関連した企画に伴う特例的な禁止カード指定となっており、一種の願掛け的な規制であることが見て取れます。それだけと言ってしまえばそれだけの話であり、何らかのデリケートな背景(※)が存在するというわけではありません。

(※別TCGで言うゴジラのような事例ではないためご安心ください)

 しかし、個人的にあと一歩掘り下げて考察するのであれば、「あまびえさん」による疫病退散の効能をフレーバーではなく現実のものとするための規制ではないかと考えています。

 分かりやすく噛み砕いてまとめると下記の通りです。

 

①:「あまびえさん」が配布されることで「疫病」が禁止カードになる。

 

②:「あまびえさん」の配布が終わると「疫病」が制限解除される。

 

③:①、②により、「あまびえさん」に疫病退散の効能があることが証明される。

 

 これにより「あまびえさん」があたかも実際に「疫病」を封じ込めていたかのような状況が成り立つため、何となく本当に「あまびえさん」というカードそのものに疫病退散のご利益がありそうな気がしてくるという寸法です。単に「疫病」を禁止行きにして疫病退散を祈願するのではなく、あまびえさん」の御力によって「疫病」が禁止カードになったのだ、という逸話を「現実に」作り出すことで疫病退散の祈願効果をより高めているということであり、単なる言葉遊びでは終わらない一捻り効いた秀逸な企画であると言えます。

 加えて、大本のプレゼントキャンペーン自体が元ネタであるアマビエ妖怪の逸話(※)とも綺麗に絡んでいる点を含め、非常にユニークかつ粋な計らいであることは間違いありません。

(※詳しくはWikipedia等をご覧ください)

 要するに結論としてはあまびえさん」に箔付けを施すためのパフォーマンスの一種であり、これをどう解釈するかは人によって意見が分かれるところではないかと思います。

 個人的には「まあそういうのもアリか」という感じでユーモアの一種として解釈していますが、どちらにせよOCG的な実害は無いに等しい以上、こういった企画は変に斜に構えず素直に受け取っておくのが良いのかもしれません。

 

【まとめ】

 「疫病」についての話は以上です。

 一見すると何に使うのか分からないカードでありながら、実際本当に何に使えばいいのか分からないカードであり、しかも何に使うか分からないまま禁止カード行きになるという偉業を成し遂げてしまったカードです。実際には記事の通りゲームバランス的な観点とは無関係な形での規制ですが、何にせよ遊戯王の歴史に名を残すカードの1枚となったことは間違いないのではないでしょうか。

 ちなみに、折角の機会ということで個人的に「疫病」をキーカードにしたデッキを組もうと思い立ったところ、あまりにも取っ掛かりが無さすぎて匙を投げてしまいました。一体何に使えばいいのか、専門家の研究が待たれるところです。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

著者情報:遊史

Posted by 遊史