トポロジックガンブラードラゴンが禁止カードになった理由
【前書き】
「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」というリンクモンスターが存在します。
リンク4/闇属性/サイバース族/攻撃力3000
【リンクマーカー:上/左/右/下】
効果モンスター2体以上
このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
①:このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、このカード以外のモンスターがリンクモンスターのリンク先に特殊召喚された場合に発動する。自分は手札を任意の枚数ランダムに捨てる(最大2枚)。その後、捨てた数だけ相手は手札を選んで捨てる。
②:このカードがEXリンク状態の場合に発動できる。相手は手札を2枚まで可能な限り選んで捨てる。この効果で相手の手札が0枚になった場合、さらに相手に3000ダメージを与える。
パッと見て危険性が高いと理解できるタイプのカードですが、実際のところ間違いなく危険なカードであり、現役プレイヤーの間でも遠からず禁止行きになると囁かれていたリンクモンスターです。そして案の定、2020年1月の改訂をもって禁止カード指定を下されており、おおよそ1年半ほどの短い生涯(※)を終えることとなりました。
(※海外では2019年初頭には禁止行きになっており、僅か半年の寿命でした)
とはいえ、効果そのものが根本的に悪用前提のデザインである以上、実際にこのカードの脅威に遭遇したことのないプレイヤーにとっては具体的に何がどう危険なのかが見えてこない部分もあるものと思われます。
この記事では、そんな「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。
事実上の4ハンデス 疑似先攻1キルパーツとしての問題
結論から申し上げれば、「事実上の4ハンデスカード」として猛威を振るっていたことが最大の理由にあたります。
大まかなギミックについては下記の通りです。
①:自分の先攻1ターン目に2ハンデス(前半の効果)を行う。
②:相手ドローフェイズに何らかのモンスターを特殊召喚し、追い打ちの2ハンデスを仕掛ける。
「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」の前半のハンデス効果はモンスターの特殊召喚に反応する誘発効果であるため、「リンクリボー」や「天球の聖刻印」などのフリーチェーンでモンスターを特殊召喚可能なカードと組み合わせることで相手ドローフェイズでのハンデスが成立します。つまり往復で最大4枚の手札破壊を行えるため、これを先攻1ターン目に狙うことで大幅に有利な状況に持ち込むことができます。
もちろん、その代償として自分も4枚の手札を失うことになりますが、現在のゲームバランスにおいては先攻展開の過程で大量に手札を稼ぐのは決して難しいことではありません。むしろデッキによっては特に意識しなくとも勝手に手札が増えていくことすらあるほどで、そうした事実が「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」を「手軽にエクストラデッキに置いておける4ハンデスカード」という疑似先攻1キルパーツに変質させていたことは否めません。
そのため、単純にリンク数を稼げるデッキであれば自然とメインギミックに組み込めてしまう問題があり、結果として【ドラゴンリンク】や【未界域】など多くの展開系デッキが「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」を制圧のゴール地点に定めるという不健全なバランスを生み出していました。
なおかつ、ハンデスというメカニズム自体が根本的にゲームバランスの悪化を招きやすい側面も無視できず、それらを総合的に考慮した上での禁止カード指定という決定だったものと思われます。また、こうした「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」の抱える問題はカードプールが増加するごとに深刻化していくことが目に見えている以上、今後これが現役復帰を遂げる可能性も非常に低いのではないでしょうか。
もっとも、どのデッキに対しても言えることですが、メインエンジンが生きている限りは別の制圧手段を代用するだけで済んでしまう話でもあるため、実際のところ「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」の禁止カード化も俯瞰視点においては比較的影響の薄い改訂なのかもしれません。
【まとめ】
「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」についての話は以上です。
アニメ出身、それもメインキャラクターのエース格という出自にあったカードですが、参入当初から効果の危険性が指摘され続けており、実際にOCG環境においても少なからず問題を引き起こしていました。一応、アニメ版からして既に調整困難なデザインだったという事情もあるにはありますが、それはそれとして結末としては何とも言えない幕引きでしょう。
ちなみに、そんなアニメ版の「トポロジック・ガンブラー・ドラゴン」のテキストは下記の通りとなっています。
①:自分の手札があり、このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態でこのカード以外のモンスターがリンクモンスターのリンク先に特殊召喚された場合に発動する。お互いの手札を全て破壊する。
②:1ターンに1度、相手の手札があり、このカードがEXリンク状態の場合に発動できる。相手の手札を全て破壊し、相手に3000ダメージを与える。この効果は無効化されない。
③:EXリンク状態のこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドのリンクモンスターは効果では破壊されない。
見ただけでもう駄目だと分かる類の超危険物であり、そもそもこれを真っ当にOCG化しようとすること自体が土台無理な話ではあったのかもしれません。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
今回の禁止カード2枚とも、「あいつはいつかやらかすと思っていました」ってカードですよね〜
コメントありがとうございます。
アザトも危険性の高いカードでしたが、特にガンブラーは遅いか早いかの違いでしかなかった印象はあります。とはいえ、そもそもアニメ版からして既に色々おかしいカードでしたので、どう調整しても規制不可避の運命にあったのかもしれませんが……
魔轟神で使っていましたが兎に角凶悪と言う次元を超越しており、アドを取る能力が高過ぎたのでこれは禁止になるだろうな……と思いながら回していました。
案の定という形でしたし値段も高騰していなかったのを見るに予想していた決闘者も多かったのではと見ています。
コメントありがとうございます。
ガンブラーは単純にそれ自体がどうしようもなく壊れていますが、性質上ディスカード系デッキとは凶悪なシナジーを形成してしまうことも問題だったように思います。特に【魔轟神】は各種トロイメアリンクとも抜群に噛み合っていますので、一度回り始めたら止まらないとの話もよく聞き及んでいました。