【ネタ】遊戯王アニメチートオリカ大量OCG化事件 荒廃する環境に際して

2020年4月1日

【前書き】

 遊戯王には、アニメオリジナルカードと呼ばれるカード群が存在します。

 その名の通り、遊戯王アニメシリーズにのみ登場する劇中カードの一種であり、様々な理由からOCG化が見送られているカードを指した呼称です。単純に商業的な都合からOCG化されていないケースもありますが、カードパワーがあまりにも高すぎるため調整のしようがないという判断からアニメ時空に封印されているカードも少なくありません。

 ところが、4月1日発売の最新パック「COLLECTION PACK-錯乱の決闘者編-」から大量のアニメオリジナルカードが一斉にOCG化されるという前代未聞の事件が起こりました。事前情報なども一切ない中での突然のリリースであり、各地で話題騒然となっています。

 とはいえ、これに関しては既に各所で語られ尽くしているため、この場で改めて触れることはしません。ここではそうした現実世界の騒動からは離れ、アニメカード参入に伴うOCGの一連の環境変遷について解説していきます。

 

「黄泉天輪」降臨 アニメオリカ最強格

 「COLLECTION PACK-錯乱の決闘者編-」のリリースにより、従来のOCG環境は完膚なきまでに破壊されました。

 その発端となったのは、やはり何と言っても「黄泉天輪」の存在です。

永続魔法
①:このカードの発動時の効果処理として、フィールドのモンスターを全て破壊し、お互いのデッキのモンスターを全て除外する。
②:自分・相手のスタンバイフェイズに発動する。お互いのプレイヤーは、それぞれ自分の墓地からモンスター1体を選んで特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。
③:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、以下の効果を適用する。
●お互いのプレイヤーは、モンスターカードに記された召喚条件を無視する事ができる。
●お互いのプレイヤーは、自身の方法で特殊召喚されていないモンスターをカードの効果で特殊召喚できる。

 言わずと知れたアニメオリカ最強勢の一角であり、根本的に書いてあることが何もかもおかしいカードです。一言で言えばブラック・ホール」「ヘル・テンペスト」「死者蘇生」を全部足して1枚にしてしまったようなカードですが、それだけでは到底説明し切れない狂気が至る所に潜んでいます。

 メインとなるのはやはりカード発動時の疑似「ヘル・テンペスト」効果であり、デッキのモンスターが完全に枯渇するためほぼ全てのデッキが機能不全に陥ります。特に先攻1ターン目に通ってしまった場合は悲惨の一言で、そうなれば手札に残った僅かなモンスターだけで戦うことを余儀なくされるでしょう。

 一方、後半の効果も負けず劣らずの壊れ具合であり、これが張られている間は文字通りの「無条件」でモンスターを特殊召喚できる状態になってしまいます。召喚条件だけでなく蘇生制限すら無視することができるため、例えば「光の創造神 ホルアクティ」を蘇生して即座に特殊勝利する(※)といった横暴さえもまかり通ってしまうわけです。

(※とはいえ、勝利手段としてはややオーバーキルであること、また入手難易度などの都合もあり、現在のトーナメントシーンでは地雷の域にとどまっています)

 一応の弱点として、全体除去の処理が最初に入る関係でフィールドにモンスターが存在しない状態では発動できない(※)という制約も存在しますが、逆にそれ以外に制約らしい制約は存在せず、明らかに対価と効果が釣り合っていません。そもそも「灰流うらら」などの適当な誘発を通常召喚するだけで簡単に条件を満たせる以上、これが運用上の問題となることはほぼないと言って良いでしょう。

(※「妨げられた壊獣の眠り」などと同じルールです)

 

大量ドロー&サーチの狂気 宝札ゲーの始まり

 当然のことながら、「黄泉天輪」の参戦は多くのプレイヤーを困惑させることになりました。

 あえてシンプルに表現しますが、先攻で「黄泉天輪」を握ったプレイヤーはその瞬間にゲームに勝てるため、実質的には3~4割の確率で「何もせずにデュエルが終わってしまう」という状況に遭遇するようになったことを意味します。これは要するに本来の勝率とは別のところでの勝敗判定が勝手に行われるようになってしまったようなもので、例えるならば「デュエル開始前にサイコロを振って5か6が出た場合、そのデュエルは先攻プレイヤーの勝ちとする」という意味不明のルールが突然生まれてしまった(※)に等しい状況であるわけです。

(※とはいえ、過去にも「第六感」の出現により似たような状況に陥ったケースはあります)

 しかしながら、最悪なことに「COLLECTION PACK-錯乱の決闘者編-」から輩出された爆弾は「黄泉天輪」だけではありません。

 「運命の宝札」を始めとする極悪ドローカードの参戦です。

通常魔法
①:サイコロを1回振り、出た目の数だけ自分はデッキからドローする。その後、ドローした数だけ自分のデッキの上からカードを除外する。

 見ての通り、サイコロの出目がそのままドロー枚数になるという「第六感」も裸足で逃げ出すほどの宇宙的効果を持っています。なんとドロー枚数の期待値3,5枚という狂気のスペックであり、最低でも「成金ゴブリン」、運が悪ければ「強欲な壺」、少し運が悪いとディスカードしない「天使の施し」という究極に狂ったドローカードです。

 おまけに後半の除外効果も「表側表示での除外」となっているため、各種除外系アーキタイプでは逆にメリットとして見ることすらできます。カード1枚が一体どれだけのアドバンテージを内包しているのかという話であり、正直この世にあっていいカードではありません。

 なお、当パックから現れた主なドローカードは下記の通りとなっています。

異次元からの宝札
運命の宝札
代償の宝札
壺の中の魔術書
埋葬呪文の宝札
流転の宝札

 流石に「運命の宝札」ほど頭のおかしいドローカードは他には見られませんが、いずれも程度の差はあれOCGのドローカードの水準を遥かに超えたパワーを持っており、明らかに遊戯王を壊しにかかっています。不幸中の幸いか、まだOCG化されていない宝札カードも何枚か残っているとはいえ、どちらにせよ地獄のようなラインナップであることは間違いありません。

 一方、サーチ方面はドローと違い汎用的な性能のものは少なく、一見すると危険性が低いカード群であるようにも見えます。

 しかし、中には「亜空間バトル」など思わず二度見してしまうようなカードも紛れ込んでおり、とりわけ「マジック・サンクチュアリ」のスペックは頭一つ抜けていると言うほかありません。

永続魔法
①:このカードの発動時の効果処理として、お互いのプレイヤーはそれぞれデッキから魔法カード1枚を手札に加える。
②:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、全ての魔法カードはルール上速攻魔法カードとしても扱う。

 発動時の効果処理として任意の魔法カードをサーチできる永続魔法であり、この時点で意味不明に壊れています。カードパワー云々以前にそもそも存在してはいけない類のカードであり、なぜこんなものがOCG化してしまったのか全然分かりません。

 反面、後半の効果は基本的にはサーチのおまけ扱いをされることが多いですが、それでも冥王結界波」をフリーチェーンで撃てるというのは凄まじい話です。ただし、相手にも同様の恩恵を与えるためメリットだけの効果ではなく(※)、特にセットカードがある状態での発動には少なからずリスクが伴います。

(※もっとも、そうした些細な弱点がどうでもよくなるほど壊れていることは言うまでもありませんが……)

 いずれにしても、上記のドローカードによってOCGのゲームバランスが滅茶苦茶に荒れてしまったことは間違いありません。

 これにより、非常に高確率で「黄泉天輪」にアクセスできる土壌が整ってしまうこととなり、間もなくこれを軸にした専用デッキとして【黄泉天輪】が成立することになります。

 

純【黄泉天輪】のデッキレシピ・回し方解説

 

純【黄泉天輪】(2020年4月1日)
モンスターカード(19枚)
×3枚 エフェクト・ヴェーラー
増殖するG
ドロール&ロックバード
灰流うらら
×2枚 ディメンション・アトラクター
×1枚 召喚師アレイスター
不知火の宮司
電脳堺姫-娘々
屋敷わらし
幽鬼うさぎ
魔法カード(22枚)
×3枚 運命の宝札
バンデット~盗賊~
マジック・サンクチュアリ
黄泉天輪
流転の宝札
×2枚 復活の祭壇
埋葬呪文の宝札
×1枚 召喚魔術
ハーピィの羽根帚
冥王結界波
罠カード(0枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚  
エクストラデッキ(15枚)
×3枚 召喚獣メルカバー
×2枚 召喚獣プルガトリオ
召喚獣ライディーン
×1枚 混沌の戦士 カオス・ソルジャー
PSYフレームロード・Ω
転生炎獣アルミラージ
召喚獣カリギュラ
召喚獣コキュートス
召喚獣メガラニカ
セキュア・ガードナー
虫忍 ハガクレミノ

 

サイドデッキ(15枚) 
×3枚 原始生命態ニビル
浮幽さくら
異次元からの埋葬
×2枚 コズミック・サイクロン
×1枚 光の創造神 ホルアクティ
屋敷わらし
幽鬼うさぎ
D・D・R

 

 【黄泉天輪】は、「黄泉天輪」をエンドカードに据えたコントロールデッキの一種です。

 恐らくですが、「コントロール」という分類に違和感を持たれる方も少なくないのではないかと思われます。

 しかし、そもそも「黄泉天輪」が通った瞬間に大半のデッキは前面の脅威をほぼ展開できなくなるため、その時点で8割方こちらの勝利が確定します。加えて先攻の場合は「バンデット~盗賊~」によって相手のハンドから脅威となるカードをあらかじめ奪い取っておける都合もあり、あえて即死コンボなどで短期決戦に特化するメリットは見かけほど多くはありません。

 よって「光の創造神 ホルアクティ」などの特別なフィニッシャーをメインから用意する必要性はさほどなく、やがて最低限のスロットだけで勝利可能なギミック(※)を搭載する型が主流構築として定着しました。

(※ちなみに、当初はそれすら用意せずに大量ドローでかき集めた手札誘発をリンクモンスターに変換していく中速ビートプランも試されていましたが、ミラーマッチに弱すぎることから現在は姿を消しています)

 現在主流となっているのは上記のように召喚師アレイスター」「召喚魔術」のセットを組み込む型で、簡単に言えば相手の墓地に残ったモンスターを除外しつつ各種融合体でビートダウンを行っていく(※)という単純明快なプランです。「マジック・サンクチュアリ」による水増しに加え、「召喚魔術」が除外されるリスクなども「電脳堺姫-娘々」「PSYフレームロード・Ω」によってケアできるため、両者ピン挿しであっても信頼性の高い勝利手段として機能します。

(※相手の「黄泉天輪」を受けた場合も同様であり、その場合はお互いに墓地リソースを奪い合いながら「召喚獣メルカバー」の定着を狙う泥沼展開に陥ります)

 一方、後攻スタートの場合は大量に搭載された手札誘発の出番です。期待値的には2枚の誘発を確保できる見込みがあるため、そうやすやすと相手の最大展開を通してしまうことは少ないでしょう。

 もっとも、誘発2枚で相手が棒立ちになるとも限らないため、返しのターンでは各種全体除去による盤面リセットを狙います。「黄泉天輪」は言うに及ばず、「マジック・サンクチュアリ」からの「冥王結界波」「ハーピィの羽根帚」、そしてそれらを再利用できる「復活の祭壇」など、返し札の枚数はかなり厚めです。

 最後は「黄泉天輪」を通してゲームを壊し、召喚魔術」と合わせて相手の墓地リソースを潰す段階に移行します。この時「PSYフレームロード・Ω」を立てていれば自分の墓地リソースを回復できるようになるため、タイミングを見計らって設置(※)できればおおむね盤石の体制が整うでしょう。

(※「ライディーン+3チューナー」「プルガトリオ+ヴェーラー」など)

 まとめると、「黄泉天輪」という古代兵器を「誘発+返し札」という最新式装備でバックアップして戦う、まさに現代遊戯王の闇を煮詰めたグロテスクなデッキです。

 

黄泉天輪の裁定まとめ

 その他、一応の補足として、【黄泉天輪】デッキを使用する上で最低限知っておくべき裁定もここに置いておきます。

 

Q:フィールドにモンスターが存在しない場合に「黄泉天輪」を発動できますか?
A:いいえ、発動できません。(20/04/01)

 

Q:「黄泉天輪」の発動時の効果でフィールドのモンスターを1体も破壊できなかった場合、後半のデッキのモンスターを除外する処理は行われますか?
A:いいえ、行われません。(20/04/01)

 

Q:「モンスターを全て破壊する」ことに失敗し、いずれかのフィールドにモンスターが残っています。この場合、後半のデッキのモンスターを除外する処理は行われますか?
A:はい、1体でもモンスターが破壊されていれば後半のデッキのモンスターを除外する処理を行います。(20/04/01)

 

Q:「アーティファクト-ロンギヌス」の③の効果が適用されているターンに「黄泉天輪」を発動できますか?
A:いいえ、できません。(20/04/01)

 

Q:「黄泉天輪」の発動にチェーンして「アーティファクト-ロンギヌス」の③の効果が発動された場合、処理はどうなりますか?
A:その場合、フィールドのモンスターを破壊する処理のみが行われ、デッキのモンスターを除外する処理は行われません。(20/04/01)

 

Q:「黄泉天輪」の③の効果には「モンスターカードに記された召喚条件を無視する事ができる」とありますが、これは召喚・特殊召喚のどちらにも適用されるのですか?
A:はい、適用されます。よって「光の創造神 ホルアクティ」などの特殊召喚モンスターであっても、最上級モンスター扱いとしてアドバンス召喚することができます。(20/04/01)

 

Q:上記の場合、シンクロモンスターなどの扱いはどうなりますか?
A:召喚条件を無視できるとしてもカードの性質までは無視されません。よって通常通りの手順に従ってシンクロ召喚を行います。(20/04/01)

 

Q:「黄泉天輪」の③の効果により、「旧神ヌトス」などの「1ターンに1度しか特殊召喚できない」モンスターを2回以上特殊召喚することはできますか?
A:いいえ、「1ターンに1度しか特殊召喚できない」という記述は召喚条件ではありませんので、無視することはできません。(20/04/01)

 

 主な裁定は以上です。

 細かいものも含めれば上記以外の裁定もまだまだありますが、あまり羅列してもキリがないので詳しくは公式サイトをご確認ください。

 

【黄泉天輪】環境トップへ ヘルテン地獄の幕開け

 【黄泉天輪】の環境入りに伴い、前期までのメタゲームは完全に一新されることになりました。

 先攻「黄泉天輪」に耐えられないデッキはマジック・サンクチュアリ」を乗り越えて「アーティファクト-ロンギヌス」を通す(※)ところからゲームを始めなければならなくなり、その重いハンデから間もなくメタゲームでの生存権を失っています。

(※「黄泉天輪」を2枚確保されると「天輪→ロンギ→天輪」で踏み潰され、即投げしてもドローフェイズまで待たれてしまうため、「バンデット~盗賊~」を持たれていないことを祈りながら「ハーピィの羽根帚」をサーチするしか手がありません)

 とはいえ、前期の勢力が完全に姿を消してしまったわけではなく、しばらくの間はいくつかのデッキが生き残っていました。

 

・「雷龍融合」+「雷電龍-サンダー・ドラゴン」の友情コンボにより復帰が狙える【サンダー・ドラゴン

 

・「召喚師アレイスター」「召喚魔術」により戦える【召喚獣】

 

・各種オルフェゴールリンクにより除外ゾーンを回収可能な【オルフェゴール】

 

・下級閃刀姫の素引きまたは「閃刀機-ホーネットビット」により展開の線を残せる【閃刀姫】

 

 いずれも直前の環境では主流デッキとして存在感を示していた面々であり、残るところが順当に残った結果であると言えるでしょう。

 

派生デッキ【黄泉天輪メタファイズ】ほか

 もっとも、上記の面々は「先攻黄泉天輪を受けてもある程度戦えるデッキ」に過ぎず、【黄泉天輪】環境を生き抜く上で最適なデッキとは言えない部分もありました。例えば【サンダー・ドラゴン】の場合は雷龍融合」を止められてしまうとほぼ詰んでしまうため、どこまで行っても不安定な戦いを強いられることは避けられません。

 そのため、これ以降は「除外アドバンテージを積極的に活用可能なデッキ」が新たにメタゲームに浮上することになります。

 これに関しては様々な除外系アーキタイプが試されていましたが、とりわけ目を引いたのは【メタファイズ】や【不知火】といったマイナー勢力の躍進でしょう。これらは「黄泉天輪」が通った瞬間に莫大なアドバンテージが約束されるため、【黄泉天輪】環境における生存適性はピカイチです。

 また、友情コンボが成立するのであれば当然自分で使っても普通にコンボが成立するため、間もなく【黄泉天輪】の派生デッキ【黄泉天輪メタファイズ】や【黄泉天輪不知火】として大々的に参入を決めています。さらに、相手が「黄泉天輪」を使ってくることを見越して「黄泉天輪」を採用しない、いわゆる【黄泉天輪レス黄泉天輪メタファイズ】といったトリッキーな型も開発されていました。

 これまでの今一歩及ばない立ち位置から一気に抜け出した格好であり、カードプールの変化次第ではどのようなデッキにも躍進の目がある遊戯王の奥深さを示しているのではないでしょうか。

 

「魔力の布施」の発見 ビートダウン絶滅へ

 ところが、こうした除外系アーキタイプによるビートダウン環境は唐突に終わりを告げました。

 「魔力の布施」の発見です。

永続魔法
①:このカードの発動時の効果処理として、自分は1000LP回復する。
②:お互いのプレイヤーは1ターンに1度、自分メインフェイズに数字を1つ宣言して発動できる。そのプレイヤーは宣言した数×500LP回復する。このターンのエンドフェイズに以下の効果を適用する。
●この効果の発動後にそのプレイヤーが発動した魔法カードの数がこの効果で宣言した数より少ない場合、そのプレイヤーは1000ダメージを受ける。

 やや込み入ったテキストですが、ざっくり言うと毎ターン魔法カードの使用枚数を宣言し、その数に応じたライフゲインを行うというカードです。代わりに宣言を外してしまうと1000ダメージを受けるデメリットが存在するなど、一見するとアニメの尺合わせにありがちな地味ゲイン系カードに見えてもおかしくはありません。

 しかし、よくよくテキストを確認すると宣言する数字にはこれといって制限が設けられていないため、使用枚数を明らかに守る気がない宣言も普通に行えてしまいます。つまり5000兆枚などと宣言することで無限に等しいライフを瞬時に得ることができ、事実上ビートダウンによる決着がつかなくなってしまうわけです。

 よって「黄泉天輪」や各種ドローカードでデッキを掘りすぎるとデッキ切れで敗北する可能性が高く、これらのみに頼ったゲームプランを取ることは不可能になりました。

 このケアとして最も分かりやすいのは時械神ハイロン」などのライフ差分系バーンカード、あるいは「地縛超神官」などのライフ固定系カードを用いる(※)ことですが、前者は即効性がなく、後者は専用のギミックを用意する必要があります。これは他の手段であっても似たり寄ったりのことが言えるため、回答としてはあまり信頼できません。

(※もしくは無限ループで攻撃力を上げ続ける手もありますが、相手が「不可説不可説転」を繰り出してきた場合、先に宇宙の寿命が来てしまいます)

 結果として、これ以降【黄泉天輪】系デッキは「自分のデッキ切れを何らかの修復ギミックで防ぎつつ、相手のデッキ修復ギミックを瓦解させて自滅に追い込む」というコンセプトに行き着くことになったわけです。

 

【デッキ修復デッキ】VS【デッキ修復デッキメタデッキ】

 こうした流れの中、いち早く環境に適応を見せたのはやはりと言うべきか【黄泉天輪不知火】でした。

 大本の【不知火】がそうであったように、【黄泉天輪不知火】もまた除外ゾーンを回収するギミックを豊富に搭載しているため、【黄泉天輪】系列デッキの中でも一際高い耐久力を発揮します。他の型と違って特定の手段に依存することなく多角的にデッキ修復手段を持つことができ、妨害を受けても柔軟な軌道修正が利きやすいことが最大の強みと言えるでしょう。

 その一方で、【黄泉天輪】系列デッキの流行に伴いシェアを縮小させていた純【黄泉天輪】が復権するなどの出来事も起こっています。

 具体的には、「召喚獣メルカバー」や各種手札誘発による妨害を軸に「デッキ修復デッキメタデッキ」として再び注目を集めた形です。元々「召喚魔術」及び「PSYフレームロード・Ω」の疑似ループによる耐久戦を得意としていることもあり、環境初期とはまた別の立ち位置を新たに見出していました。

 

【黄泉天輪ホルアクティ】 光の中へ完結する物語

 しかしながら、【黄泉天輪】環境における最大のキーパーソンとなったのは上記の面々のいずれでもありませんでした。

 「光の創造神 ホルアクティ」です。

特殊召喚・効果モンスター
星12/神属性/創造神族/攻撃力?/守備力?
このカードは通常召喚できない。自分フィールドの、元々のカード名が「オシリスの天空竜」「オベリスクの巨神兵」「ラーの翼神竜」となるモンスターをそれぞれ1体ずつリリースした場合のみ特殊召喚できる。
このカードが特殊召喚に成功した時、自分はデュエルに勝利する。
①:このカードの特殊召喚は無効化されない。

 OCGにおける特殊勝利カードの一種にして、数あるコレクションアイテムの中でもずば抜けて高い知名度を誇る遊戯王屈指の有名カードです。当初はそのオーバーキル的な取り回しから敬遠されがちなポジションに追いやられていましたが、「黄泉天輪」、ビートダウン、デッキデスのいずれも明確な勝利手段として機能しなくなった環境においてこれ以上に信頼できる勝利手段はありません。

 これに伴い、【黄泉天輪】の採用カードにも変化が生じていくことになります。

 相手にターンを渡さずに「光の創造神 ホルアクティ」を降臨させられる「D・D・R」や、逆にそれを咎める「タイフーン」といったカードが使われ始め、代わりに長期戦を見据えたカードがデッキから抜けていっています。当初の勝ち手段であった【召喚獣】セットはもとより、最終的には上記で取り上げた「魔力の布施」や各種デッキ修復ギミックすら入らなくなってしまうなど、1周回って【黄泉天輪ホルアクティ】のワンキルゲームに行き着いてしまった格好です。

 他方では、こうしたホルアクティミラー環境の到来を受け、その対策を兼ねた「異次元からの埋葬」が大々的に流行し始めたことも見逃せません。

 自分の「黄泉天輪」の補助としてはもちろん、後手番であっても相手の「黄泉天輪」に合わせて「光の創造神 ホルアクティ」を墓地に戻せるため、展開パーツでありながら疑似的な「自爆スイッチ」に近い役割をこなせます。運用の都合上、あくまでも素引きが前提となる以上は過信は禁物ですが、4割弱の確率で引き分けに持ち込める(※)というのは決して分の悪い賭けではないでしょう。

(※また、ルール上「D.D.クロウ」などに割り込まれるタイミングがないという強みもあります)

 いずれにしても、現在のメタゲームが【黄泉天輪ホルアクティ】優勢の時代で固まりつつあることは間違いありません。

 唯一の問題があるとすれば、キーカードである「光の創造神 ホルアクティ」の入手難易度があまりにも高すぎる(※)ということですが……。

(※需要と供給のバランスが極限まで振り切れてしまったため、現在は以前の数十倍の相場で取引されています)

 

「絶望の宝札」OCG化決定 そして絶望へ

 このように、【黄泉天輪ホルアクティ】という結論の浸透によってアニメオリカを取り巻く環境変遷にも一応の決着がついたかに見えました。

 ところが、その後ほとんど間を置かずに「絶望の宝札」のOCG化が決定し、真の絶望が訪れています。

通常魔法
①:デッキからカード3枚を手札に加える。その後、自分のデッキを全て墓地へ送る。

 無条件サーチ×3枚というだけで既に根源が見えるスペックですが、なんとサーチ後に残りのデッキ全てを墓地に落とすことができます。黄泉天輪」が赤子に見えるほどの究極の壊れカードであり、むしろ人類に想像し得る発想を遥かに超越していると言わざるを得ません。

 まともに理解しようとすると気が狂ってしまうため、具体的な考察は省かせていただきますが、ひとまずこのカードの参入によって黄泉天輪】環境が前座に思えるほどの極限地獄が訪れることは間違いないでしょう。

 むしろ頭がパンク状態なせいでその程度のことしか認識できない、というのが正直なところなのですが……。

 

【まとめ】

 遊戯王アニメチートオリカ大量OCG化事件についての話は以上です。

 「黄泉天輪」を筆頭に、ゲームバランス崩壊級のアニメカードが大量にOCG化されるという未曽有の事件であり、近年の情勢においては到底信じがたい騒動です。現役プレイヤーの間ではもちろん、普段OCGとはあまり関わりのない層にも騒動が知れ渡ってしまうなど、混乱の大きさは20年前の東京ドーム事件に勝るとも劣りません。

 一方、OCG環境に及ぼした影響も極めて深刻であり、現在は紆余曲折あって【黄泉天輪ホルアクティ】がメタゲームを支配しています。また、光の創造神 ホルアクティ」の相場のハイパーインフレに伴いこれを狙うリアルグールズが出没し始めるといった意味不明の事態も発生しており、はっきり言って正気を保とうと努力することすら億劫です。

 しかし、そうした危うい状況にとどめを刺すかの如く「絶望の宝札」のOCG化が電撃的に決定するなど、事態は完全に最悪の方向へと向かっています。

 また、真偽は不明ですが天よりの宝札」や「ラーの翼神竜」などが原作効果にエラッタされるらしいとの情報も出回っており、もはや何が何だか分からない状況です。これまで遊戯王プレイヤーの端くれとして多くの環境を経験してきましたが、これほどの暗黒時代に直面したことはいまだかつてありません。

 個人的には、後学のためにこの暗黒時代にも身を投じる所存ではありますが、下手に手を出すと精神に異常をきたす可能性もある危険な環境ですので、もし足を踏み入れる際にはどうか無理のない範囲で生き抜いていただければと思います。

 ……いっそのこと、どうか全てが「嘘」であってくれたらと切に願うばかりです。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

追記:この記事はエイプリルフール企画用の「嘘」情報ページです。もう日付が変わったので削除しようとも思いましたが、せっかく書いたものを1日で消してしまうのも勿体ないのでもう少しだけ残しておくことにします。

 

著者情報:遊史

Posted by 遊史