OCG最初のコンセプトデッキ 【装備ビート】の誕生

2017年11月16日

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【前書き】

 【第1期の歴史4 エキスパートルール 生け贄召喚の導入とOCG最初の制限改訂】の続きになります。ご注意ください。

 エキスパートルールの導入によって環境が生まれ変わり、当時のプレイヤーは最良な構築を求めて頭を悩ませました。

 従来のように最上級モンスターを詰め込むだけのデッキ構築は不可能なものとなり、ストレージの底から下級モンスターを掘り返す羽目になった方も多いのではないでしょうか。

 しかし、多少の混乱はあったものの、根本的には歓迎すべき変化であり、プレイヤー側としても遊戯王OCGの進化を実感し始めた時期となっていました。

 

【当時の環境 1999年5月25日】

 1999年5月25日、「BOOSTER2」が販売され、新たに40種類のカードが誕生しました。遊戯王OCG全体のカードプールは212種類となり、徐々にカード選択の自由度が広がっていく形となります。

 この時に起きた出来事は大きく分けて三点です。

そこそこ強かった上級モンスター達

 一点目は「カース・オブ・ドラゴン」以外の上級モンスターが新たに誕生したことです。

 なんと一気に4種類も現れており、カードプール全体では5倍増となりました。ルール改訂の影響が強く感じられる出来事であり、開発側も環境を意識していたことが分かります。

 しかし、その打点は1750~1700と地味な数値に収まっていました。実質「カース・オブ・ドラゴン」の下位互換に近く、積極的にデッキに採用されるほど強いカードではありませんでした。

 とはいえ、当時はレアカードの入手が難しかった都合もあり、上級モンスターであるというだけで一定の評価を集めていたことも事実です。単純に下級モンスターに負けない打点を持っていたため、消去法的にデッキに採用していたプレイヤーも少なくなかったのではないでしょうか。

下級アタッカーの星 ホーリー・ドール

 二点目は下級モンスターの最高攻撃力が更新されたことです。

 この時に誕生した「ホーリー・ドール」は1600もの攻撃力を誇り、同期の上級ラインに手をかける数値となっていました。また、打点1500帯にも「吸血ノミ」が新たに誕生したため、下級アタッカーラインは1500以上が基準となりつつありました。

 一ヶ月前は1200が基準だったことから、若干攻撃力インフレの影が見え隠れしていることが分かります。とはいえ、販売戦略上これは仕方のないことであり、プレイヤーは大人しく新しいカードを集めるしかありませんでした。

画期的システム 属性対応の装備魔法カード

 そして三点目の出来事は、新たな形式の装備魔法カードの誕生です。

光属性モンスターの攻撃力400ポイントアップ! 守備力200ポイントダウン!

 「エルフの光」というカードのテキストがこちらになります。

 ご覧の通り、攻撃力の修整値は400と従来のものと大差ありませんが、装備の対象が種族から属性に変更されています。

 1999年5月25日当時に存在していた種族が19種だったのに対し、属性は6種と1/3です。つまり、種族が共通していなくとも属性は共通するというモンスターは多く、同属性のモンスターカードを集めることはそれほど難しくありませんでした。

 よって、これまでの装備カードの欠陥であった、特定の種族しか装備できないという扱いにくさが改善され、ある程度汎用性を確保できるようになりました。守備力が下がるデメリットもアタッカーとして使う場合は無視できるものでしかなく、カードの評価を下げる部分ではありませんでした。

 この装備魔法カードが環境に与えた影響は非常に大きなもので、これを軸にして原始的なコンセプトデッキが誕生したほどでした。

 

【原始的なコンセプトデッキの誕生 装備ビート】

 【装備ビート(属性軸)】は、デッキのモンスターを特定の属性で固め、装備魔法カードを活かして戦うことを目的としたデッキです。

 デッキに採用される装備カードは多くても2種類で、何がどの程度積まれるかは好みが分かれる部分となっていました。

 とはいえ、下級モンスターで当時最高打点の「ホーリー・ドール」が光属性だったため、光属性対応の「エルフの光」がよく選択されていました。これには「青眼の白龍」が光属性であったことも影響していたと考えられます。

 「エルフの光」を装備した「ホーリー・ドール」は攻撃力2000に到達し、上級モンスターの「カース・オブ・ドラゴン」と同等の打点を確保できます。

 生け贄なしで上級並のアタッカーを用意できるこの動きは非常に強力で、「カース・オブ・ドラゴン」の召喚に成功しても確実な安泰は得られなくなりました。

 また、壁モンスターの常連である「ハープの精」「ホーリー・エルフ」も同じ光属性だったため、最悪の場合はこれらに装備させて殴るケースもしばしばありました。

 次点で候補に入ったのは地属性対応の「覚醒」です。

 地属性には攻撃力1500の「吸血ノミ」「ワイルド・ラプター」、攻撃力1400の「ビーン・ソルジャー」など単体でも打点の高い下級モンスターが揃っていたため、無理なくデッキに組み込むことができました。

 考え方によってはエルフの光」よりも使い勝手の良いカードで、装備先の多さから比較的腐りにくい優秀な装備カードとして運用できます。

 攻撃力は1900までしか上がりませんが、それでも同じ下級モンスターとの殴り合いでは十分な数値であり、序盤から盤面を優位に持っていける有用なコンボとなっていました。

流行の最先端 【装備ビート】の強さの理由

 さて、このデッキが具体的にどう強かったのかということについて解説いたします。

 何と言っても、このデッキの強みは上級並の打点を即座に用意できるという点です。

 通常、「カース・オブ・ドラゴン」などの上級モンスターには、召喚までに2ターンかかる上に、生け贄要因のモンスターが破壊されてしまうと召喚すらできなくなるという欠点がありました。

 しかし、装備カードを用いる場合、タイムラグなく上級アタッカーを確保できるため、即効性のある対応が可能です。攻めにも守りにも使える優秀な動きであり、通常の【グッドスタッフ】が手札に上級モンスターを抱えて敗北してしまうシチュエーションであっても、即座に切り返して反撃に応じることができます。

 弱点として、装備カードが引けない、または逆に装備先が用意できないなど、事故の問題も多少抱えていましたが、総合的に見れば打点の高さ、展開の速さというメリットが上回り、【グッドスタッフ】に対しては有利に戦うことができるデッキとなっていました。

 また、「青眼の白龍」の打点を3400まで上げることができるという点も無視できない強みです。同じ「青眼の白龍」に戦闘破壊されないという事実は極めて重く、除去カード以外では突破されない最強の戦力として運用することができました。

 

【まとめ】

 1999年5月25日当時の環境の変化については以上です。

 遊戯王OCG史上初のコンセプトデッキが誕生し、実際のゲームだけでなくデッキ構築においてもゲーム性が現れてきた時期になります。

 開始直後の札遊びからは想像もできない進化であり、確実にカードゲームとして成長しつつあることが窺える出来事となっていました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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