星杯の神子イヴが禁止カードになった理由

2020年3月17日

【前書き】

 「星杯の神子イヴ」というモンスターが存在します。

シンクロ・チューナー・効果モンスター
星5/水属性/魔法使い族/攻撃力1800/守備力2100
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードをS召喚する場合、自分フィールドの「星杯」通常モンスター1体をチューナーとして扱う事ができる。
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「星遺物」カード1枚を手札に加える。
②:S召喚したこのカードが墓地へ送られた場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「星杯の神子イヴ」以外の「星杯」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 言わずと知れた第10期最強格の汎用5シンクロであり、現環境ではもはや見飽きるほどに遭遇の多かったカードです。各種シンクロデッキではもちろん、時にはシンクロ召喚をそれほど多用しないデッキであっても展開ルート補強のためにタッチされることすらあり、その利便性はあらゆる展開要員の中でも頭一つ抜けていたと言うほかありません。

 そのため、現役プレイヤーの間ではこの先の規制がほぼ確実視されている状況にありましたが、案の定2020年4月改訂において無制限カードから一気に禁止カード指定を下されることになりました。

 この記事では、そんな「星杯の神子イヴ」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

リンクロスとの気が狂ったシナジー ダンディライオン改

 上述の通り、「星杯の神子イヴ」の凶悪さは多くのプレイヤーが認識するところとなっており、平たく言えば「単純にカードパワーが禁止級ゆえに禁止行きになった」という順当極まりない言葉で片付きます。

 しかし、それだけでは説明にならないため、ここでは特に致命的な規制理由になったと思われるリンクロス」との気が狂ったシナジーについて簡単に取り上げます。

 恐らく最も代表的な展開パッケージは下記の通りです。

 

①:「水晶機巧-ハリファイバー」をリンク召喚し、効果で「幻獣機オライオン」をリクルートする。

 

②:「水晶機巧-ハリファイバー」を素材に「リンクロス」をリンク召喚し、効果でリンクトークン2体を特殊召喚する。

 

③:「幻獣機オライオン」とリンクトークン(1体目)を素材に「武力の軍奏」をシンクロ召喚する。

 

④:「武力の軍奏」の効果で「幻獣機オライオン」を蘇生しつつ、「幻獣機オライオン」の効果で幻獣機トークンを特殊召喚する。

 

⑤:「リンクロス」「武力の軍奏」を素材に「任意のリンク2モンスター」をリンク召喚し、リンク先を確保する。

 

⑥:「幻獣機オライオン」と幻獣機トークンを素材に「星杯の神子イヴ」をシンクロ召喚し、任意の【星遺物】カードをサーチする。

 

 これにより、星杯の神子イヴ」の展開に加えて「任意のリンク2モンスター」及び「リンクトークン(2体目)」が盤面に残り、なおかつ「星遺物を継ぐもの」を筆頭とする各種【星遺物】による展開サポートが加わるため、ここからデッキに合わせて様々な展開ルートを組むことができます。「水晶機巧-ハリファイバー」1体からどれだけ展開を広げているのかという話であり、これを成立させてしまう「リンクロス」のパワー、ひいては「イヴ+リンクロス」のシナジーはやはり気が狂っていると言わざるを得ません。

 実質的にはエクストラに置いておける「ダンディライオン」に近いものがあり、アクセスの容易さを考慮すれば利便性はそれ以上です。これに関してはリンクロス」側のカードパワーがそもそもおかしい(※)と言ってしまえばその通りなのですが、その「リンクロス」のポテンシャルを最大限に引き出す「星杯の神子イヴ」側にも問題があることは明らかでしょう。

(※案の定、2020年7月改訂では「リンクロス」も禁止カード指定を受けました)

 

「ドロドロゴン+ドラグーン」拡張パッケージについて

 加えて、上記の「イヴ+リンクロス」展開のパワーを強烈に後押ししていたのが「ドロドロゴン+ドラグーン」拡張パッケージの存在です。

 

⑦:「星杯の神子イヴ」「リンクトークン(2体目)」を素材に「ドロドロゴン」をシンクロ召喚する。

 

⑧:「星杯の神子イヴ」の効果で「星杯の守護竜」をリクルートする。

 

⑨:「ドロドロゴン」の②の効果により、「ドロドロゴン」「星杯の守護竜」を素材に「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」を融合召喚する。

 

 「またドラグーンか」という声が聞こえてきそうな話ではありますが、実際問題「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」が直前の環境の中心にあった以上、これを避けて物事を考えることはできません。上記のケースでは融合素材に通常モンスターを使用していないためバーン除去効果は撃てませんが、それでも「効果破壊されず、対象にも取られない万能カウンター持ちの実質4000打点」という怪物が弱いはずがありません。

 さらに、手順⑤で出す「任意のリンク2モンスター」を「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」にすることで2体目の「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」を立てることも可能です。こちらは当然融合素材に通常モンスターを含んでいるためバーン除去効果も問題なく使用でき、「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」2体による二重の万能カウンター体制と合わせてすみやかにゲームを終わらせることができます。

 要するに現在における「星杯の神子イヴ」というカードは「展開の初動や中継ぎを務めつつ最終的にはドラグーン2体を生むカード」と化してしまっていたということであり、どう考えても到底許されるような性能ではないでしょう。

 もっと言えば、こうした「星杯の神子イヴ」の利便性は2020年4月適用の新ルールによって更に高まることが目に見えています。むしろ以前から新ルール版の展開ルートが各地で研究されていたほどで、その潜在的な危険度はもはや計り知れなくなっている面もありました。

 よって結論としては、今回の「星杯の神子イヴ」の禁止カード化はやはり妥当な措置だったと言えるのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「星杯の神子イヴ」についての話は以上です。

 情報判明当初から「源竜星-ボウテンコウ」の再来として大いに話題になったカードであり、環境においても多くの実績を残してきた第10期屈指のパワーカードです。また、こうしたゲーム的なカタログスペックとは別に、いわゆるイラストアドの高さによっても人気を博したモンスターでしたが、次世代である第11期を目前に遂に現役引退を迎えることとなりました。

 個人的には、「星杯の神子イヴ」に対する規制にはおおむね納得しつつも、それはそれとして「水晶機巧-ハリファイバー」が結局最後まで生き残ってしまったことには割と衝撃を受けていますが……。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

著者情報:遊史

Posted by 遊史