リンクロスが禁止カードになった理由

2020年6月13日

【前書き】

 「リンクロス」というカードが存在します。

リンクロス

リンク・効果モンスター
リンク1/光属性/サイバース族/攻撃力900
【リンクマーカー:下】
リンク2以上のリンクモンスター1体
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。そのリンク素材としたリンクモンスターのリンクマーカーの数まで、自分フィールドに「リンクトークン」(サイバース族・光・星1・攻/守0)を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「リンクトークン」をリンク素材にできない。

 恐らく現役プレイヤーのほぼ全員が満場一致で「なぜ刷った」と考えていたであろうカードであり、リンク世代屈指の、というより遊戯王史上稀に見るレベルの壊れカードです。もはや根本的に気が狂ったスペックの持ち主であることは目に見えて明らかで、案の定2020年7月改訂では誕生から僅か172日(※)という気が狂ったスピードで禁止カード入りを果たしました。

(※禁止最速部門ランキングでは新たに第5位へとランクインしました。代わりに「星守の騎士 プトレマイオス」が圏外に弾き出されています)

 この記事では、そんな「リンクロス」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

お手軽ハリクロス展開 最強の壊れコンボ

 実際のところ、個人的には「理由も何もあるか」というのが正直な気持ちなのですが、万に一つの可能性で「リンクロス」の危険性を知らないプレイヤーが居ないとも限らないため、「リンクロス」を使用した代表的な展開例を下記に示します。

 

①:何らかの手段で「水晶機巧-ハリファイバー」をリンク召喚し、効果で「幻獣機オライオン」をリクルートする。

 

②:「水晶機巧-ハリファイバー」を素材に「リンクロス」をリンク召喚し、効果でリンクトークン2体を特殊召喚する。

 

③:「幻獣機オライオン」「リンクトークン(1体目)」の2体で「武力の軍奏」をシンクロ召喚する。

 

④:「武力の軍奏」の効果で「幻獣機オライオン」を蘇生しつつ、「幻獣機オライオン」の効果で幻獣機トークンを特殊召喚する。

 

 いわゆる「ハリクロス展開」あるいは「ハリブリキ展開」として知られる悪名高い展開ギミックであり、例によって「水晶機巧-ハリファイバー」を起点としたハリ系コンボ(※)の一種です。単純に「水晶機巧-ハリファイバー」1体がモンスター5体に増えるというだけでも既に何かがおかしいですが、最悪なことにここからデッキに合わせて好きなようにルートが広がっていくため、これが内包する展開ルートの数はもはや数え切れません。

(※逆に、「聖騎士の追想 イゾルデ」などのチューナー供給用リンク2を「リンクロス」に変換し、そこからハリファイバーに繋ぐパターンも多用されていました)

 実際、【焔聖騎士】や【3軸シンクロ】などを筆頭に「リンクロス」の存在を拠り所としていたアーキタイプは少なくなく、このカードの存在自体がOCG環境を歪ませていることは明らかでした。これの比較対象として「サモン・ソーサレス」が取り上げられることもしばしばありましたが、むしろ純粋な展開力に限れば「サモン・ソーサレス」よりも遥かに凶悪(※)なカードでしょう。

(※とはいえ、汎用性においては流石に「サモン・ソーサレス」に軍配が上がると思われますが……)

 

大会で使われることすら無かった 何のために生まれたのか

 このように、ゲーム上に限ってもプレイヤーの理解を超えていた「リンクロス」というカードですが、ある意味それ以上に致命的な問題点として、現実世界における騒動との関係に触れないわけにはいかないでしょう。

 非常にデリケートな話題であるため具体的な単語は出しませんが、現在は世界的に外出を自粛する空気が続いており、それに伴い大会を含むOCGのイベントは原則開かれなくなっていました。これに関しては現時点においても完全に終息したわけではないのですが、ともあれ必然的に「リンクロス」が実戦環境で使われることも当然無かったわけです。

 ところが、そうした時代背景をよそに「リンクロス」は禁止カード行きとなり、そのあまりにも短すぎる(というより始まってすらいない)生涯を終えてしまったわけです。

 要するに「リンクロス」は散々壊れていると言われながらもトーナメントシーンでの実績は全く残さないまま禁止行きになってしまったということであり、もはや何のために生まれてきたのかすら分かりません。遊戯王の歴史上、いわゆる「存在が間違い」とされるカードは一定の頻度で現れていますが、本当に文字通りの意味で存在意義が問われてしまったカードは流石に「リンクロス」が最初で最後でしょう。

 ……ひょっとすると、「リンクロス」がOCG化したというのはプレイヤーが見ていた幻か何かだったのかもしれません。

 

【まとめ】

 「リンクロス」についての話は以上です。

 単に壊れカードであるというだけであれば「リンクロス」に匹敵するカードは少なくありませんが、それに加えて「使用前に使用不可になる」という究極に意味不明な偉業を達成してしまったことがこのカードを唯一無二の存在足らしめています。これでは実質印刷されていないようなものであり、本当に何のために生まれてきたのか全然分かりません。

 また、こうして過去最悪の出オチを食らった「リンクロス」の裏で、その相方であった「水晶機巧-ハリファイバー」が何事もなく生存していることも大きな突っ込みどころの1つでしょう。個人的には、今回ばかりは流石の「水晶機巧-ハリファイバー」と言えども犠牲者側に回るのではないかと薄々予想していたのですが、開発側としては「リンクロス」を規制した方が丸く収まると判断した模様です。

 つまり「生後172日、それも実戦環境すら経験していないピカピカの最新カード」よりも「水晶機巧-ハリファイバー」を取ったということであり、いっそのこと「何があっても絶対禁止にならないカード」の代表例として教科書に乗せるべきかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

著者情報:遊史

Posted by 遊史