ホープゼアルが禁止カードになった理由

2020年9月18日

【前書き】

 「SNo.0 ホープ・ゼアル」というモンスターが存在します。

SNo.0 ホープ・ゼアル(シャイニングナンバーズ0 ホープ・ゼアル)

エクシーズ・効果モンスター
ランク0/光属性/戦士族/攻撃力?/守備力?
同じランクの「No.」Xモンスター×3
ルール上、このカードのランクは1として扱う。
このカードは手札の「RUM」通常魔法カード1枚を捨て、自分フィールドの「希望皇ホープ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
①:このカードのX召喚は無効化されない。
②:このカードのX召喚成功時には、相手は効果を発動できない。
③:このカードの攻撃力・守備力はこのカードのX素材の数×1000アップする。
④:相手ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン相手は効果を発動できない。

 いわゆる「テキスト激強カード」の一種であり、なんと「このターン相手は効果を発動できない」などというとんでもないことが書いてあります。一見すると強化版「No.16 色の支配者ショック・ルーラー」のように見えてもおかしくないカードですが、実際には召喚難易度の関係で安定運用は難しく、それを裏付けるように誕生から5年間環境とは無縁の立ち位置にありました。

 しかし、そうした背景をよそに「SNo.0 ホープ・ゼアル」は2020年10月改訂において突如禁止カード指定を受けることになります。上記の経歴を鑑みれば一見信じがたい話であり、一体何があったのかと不思議に思っても仕方がありません。

 この記事では、そんな「SNo.0 ホープ・ゼアル」がなぜ禁止カード指定を受けるに至ったのかについて解説いたします。

 

お手軽3色ルーラー (見た目は)強すぎる壊れコンボ

 とはいえ、例によって経緯は非常に単純で、一言で言えば「召喚難易度の関係で安定運用は難しい」という前提が崩れてしまったことが直接の規制理由にあたります。

ヌメロン・ネットワーク

フィールド魔法
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分メインフェイズに、発動条件を満たしている「ヌメロン」通常魔法カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。この効果は、その魔法カード発動時の効果と同じになる。
②:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分フィールドの「ヌメロン」XモンスターがX素材を取り除いて効果を発動する場合、X素材を取り除かずに発動する事もできる。

ヌメロン・ダイレクト

通常魔法
①:自分のフィールドゾーンに「ヌメロン・ネットワーク」が存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。EXデッキから「ゲート・オブ・ヌメロン」Xモンスターを4体まで特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに除外される。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は1回しかモンスターを召喚・特殊召喚できない。

 それぞれ「ヌメロン・ネットワーク」及び「ヌメロン・ダイレクト」のテキストです。「ヌメロン・ダイレクト」は「ヌメロン・ネットワーク」を発動条件に含み、そしてその「ヌメロン・ネットワーク」はデッキの「ヌメロン」通常魔法カードをコピーできるため、実質「ヌメロン・ネットワーク」1枚から「ヌメロン・ダイレクト」を発動できることになります。

 つまりヌメロン・ネットワーク」はNo.1~4までの「ゲート・オブ・ヌメロン」モンスターを1枚で展開可能なカードということになるわけですが、ここで重要になってくるのは「ゲート・オブ・ヌメロン」モンスターが全てランク1のエクシーズモンスターであるという事実です。

 要するに「SNo.0 ホープ・ゼアル」の持つ「同じランクの「No.」Xモンスター×3」という重い素材指定を簡単にクリアできるため、これを組み合わせるだけでヌメロン・ネットワーク」は事実上のターンスキップカードに変貌します。

 まさに「絶対に許されないコンボ」と言うべき最悪の完封ギミックであり、少なくともカタログスペックだけを見れば遊戯王史上稀に見るほどの壊れコンボです。もちろんカタログスペックだけと断っている通り、実際にはそうとも言い切れない部分もあった(※)のですが、大まかに言えばこの「ヌメロンゼアル」コンボこそが「SNo.0 ホープ・ゼアル」の禁止カード行きを決定付けたというわけです。

(※詳しい理由は後述します)

 

【ヌメロンゼアル】デッキレシピ(2020年8月8日)

サンプルデッキレシピ(2020年8月8日)
モンスターカード(18枚)
×3枚 増殖するG
ヌメロン・ウォール
灰流うらら
惑星探査車
×2枚 エフェクト・ヴェーラー
ダイナレスラー・パンクラトプス
幽鬼うさぎ
×1枚  
魔法カード(20枚)
×3枚 ヌメロン・ネットワーク
墓穴の指名者
抹殺の指名者
ライトニング・ストーム
×2枚 禁じられた一滴
ヌメロン・ダイレクト
×1枚 三戦の才
テラ・フォーミング
ハーピィの羽根帚
魔鍾洞
罠カード(3枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚 無限泡影
エクストラデッキ(15枚)
×3枚    
×2枚 No.1 ゲート・オブ・ヌメロン-エーカム
No.2 ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー
No.3 ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ
No.4 ゲート・オブ・ヌメロン-チャトゥヴァーリ
×1枚 CNo.1 ゲート・オブ・カオス・ヌメロン-シニューニャ
旧神ヌトス
鎖龍蛇-スカルデット
SNo.0 ホープ・ゼアル
双穹の騎士アストラム
天霆號アーゼウス
プランキッズ・ロアゴン

 

 当然と言うべきか、このコンボは発見されるや否や各地で話題騒然となり、間もなく専用デッキが開発されるに至りました。

 いわゆる【ヌメロンゼアル】、あるいは単に【純ヌメロン】と呼ばれるアーキタイプであり、先攻時は上述の「ヌメロンゼアル」コンボを、後攻時には「ゲート・オブ・ヌメロン」らによるワンキルを仕掛けるというシンプルなコンセプトで組まれています。

 もちろん、ただコンボ一辺倒のデッキというわけではなく、豊富に積まれた各種手札誘発、及び「ライトニング・ストーム」などの強力な返し札によって攻防に広く対応できます。また惑星探査車」を標準搭載する関係でフィールド魔法のシルバーバレット戦術も組み込みやすく、特に「魔鍾洞」によるロック性能はそれ自体が一種の地雷として働くほどです。

 なお、一旦出てしまった「SNo.0 ホープ・ゼアル」についてですが、基本的には返しのターンでの対処は困難であると考えておくべきでしょう。

 しばしば対策カードの類として名前が挙がることもあった「無限泡影」「原始生命態ニビル」辺りについては、実を言うとプレイングだけでケアできるため特に問題ではありませんでした。同様に、直近の環境では遭遇率の高かった「教導の騎士フルルドリス」なども封殺効果が通っている以上は解決にならず、何もなければ返しの「ヌメロン・ダイレクト」でワンショットが成立します。

 一方、「禁じられた一滴」や「幽鬼うさぎ」に関してはどうしようもない面もありましたが、これらも「抹殺の指名者」などで対策できないわけではなく、1枚で負けるほど致命的なカードだったわけではありません。

 

環境では地雷 (活躍を)許されないドン・サウザンド

 このように、話を聞く限りでは一見最強にも思える【ヌメロンゼアル】というアーキタイプですが、実戦環境においてはそれほど目立った実績を残せなかったというのは現役プレイヤーの間では周知の事実です。

 その理由としてよく言われるのは「ゼアルを止められると負ける」あるいは「事故率が高い」などといった弱点ですが、そうしたリスクは実のところさして重要な部分ではありません。

 本当に問題だったのは、「そもそもゼアルだけでは勝ちきれない」という根本的かつ重大な欠陥だったのではないでしょうか。

 これに関しては元々【ヌメロン】自体が共通して抱える問題でもありますが、「ヌメロン・ネットワーク」は発動条件の関係上フィールドが空いていなければ機能しません。よって「SNo.0 ホープ・ゼアル」を通した後は基本的に置物同然となってしまい、相手に「ゼアルを処理してもらう」まで一向に身動きが取れなくなります。

 つまり相手が「何もできない」のと同じように自分も「何もすることがない」ため、実質的にはお互いにターンをスキップしているに過ぎず、要するに何も起こっていません。むしろ「SNo.0 ホープ・ゼアル」を処理するタイミングを調整されると相手が先に動けるようになるため、その場合相手の1ターンと自分の2ターンをトレードするという意味の分からない取引を行うことになってしまいます。

 そのため、実質ダイレクトアタックで2000削っただけで出番終了(※)ということも珍しくなく、額面上のスペックからは想像もできないほど弱すぎるコンボだったのです。

(※言い換えれば、デッキ単位で特化してデス・メテオ」を2枚投げるだけの牧歌的なコンボに過ぎなかったということでもあります)

 こうした打撃力不足は「天霆號アーゼウス」の誕生によって解決されたとする意見も時折見かけはしましたが、実際には「天霆號アーゼウス」が居たところでゲームを決めるほどの威力はなく、結局は2回目の「ヌメロン・ダイレクト」が通るかどうかが全てだったことは否めません。つまり「ヌメロン・ネットワーク」に対する妨害は言うに及ばず、「ゲート・オブ・ヌメロン」モンスターを除去されるだけで、それどころかワンショットに失敗するだけでほぼ負けが確定してしまうなど、根本的にデッキ基盤が脆すぎたことは確かです。

 また、こうなってくると刺さらないと言われていた「無限泡影」なども普通にセットされるだけで辛く、要するに「1妨害の罠カード」というただそれだけのカードが脅威になってしまいます。

 さながら往年の【デビフラ1キル】を彷彿とさせる脆さですが、流石にこれを第11期という時代でやろうとするのは相当の無茶だったのではないでしょうか。

 実際、末期には「SNo.0 ホープ・ゼアル」不採用の【ヌメロン】すら出始めていたほどで、もはや【ヌメロンゼアル】というコンボの存在は半ば形骸化しつつあったと言わざるを得ません。いわんやトーナメントシーンでの活躍など夢物語であり、これが一瞬でも流行ったこと自体が何かの冗談だったのではないでしょうか。

 とはいえ、「SNo.0 ホープ・ゼアル」が著しくゲーム性を否定するタイプのカードであることは事実です。

 例えば「ゼアル+α」のように追加の戦力が加わってしまった場合、「ヌメロンゼアル」ギミックの危険度は急激に跳ね上がります。まかり間違って「SNo.0 ホープ・ゼアル」の隣に制圧モンスターを置く類のデッキ(※)が今後現れないとも限らず、カードプールに残しておくこと自体が危険です。

(※パッと思いつくだけでも、「ヌメロン・ダイレクト」にチェーンして何らかの制圧モンスターを設置する、あるいは相手ターンに展開を行うといった可能性が考えられます)

 実際、直近の環境においても【ヌメロンエルドリッチ】がそれに近い動きを実現させていた面もあり、ごく局所的ながらも「SNo.0 ホープ・ゼアル」の危険性を明確に証明していました。

 よって結論としては、今改訂の「SNo.0 ホープ・ゼアル」の禁止カード指定は妥当と言える決定だったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「SNo.0 ホープ・ゼアル」についての話は以上です。

 コンボが発見された当初はその危険性が大々的に騒がれ、環境を取ると言われながら鳴り物入りで参入を決めたものの、蓋を開けてみれば地雷デッキの域を出ない活躍に終わっています。いわゆる出オチカードの一種であり、過去の例では【LLネプチューン】などと同様の「机上の空論コンボ」だったと言えるでしょう。

 もっとも、そうした過去の例に倣うのであれば、むしろ実績を残せずに禁止カード行きになるところまで含めて必然の流れだったのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

著者情報:遊史

Posted by 遊史