デビルフランケンの浮上 制圧効果持ちの融合モンスター

2018年2月6日

【前書き】

 【第2期の歴史34 ならず者傭兵部隊 あらゆるデッキで必須除去として使われた時代】の続きとなります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【メタ効果を持つ融合モンスター達】

 全体的にパワーカードの収録が多かった戦士族に反して、悪魔族・ドラゴン族には分かりやすいパワーカードが含まれていません。しかし、ある意味では「ならず者傭兵部隊」以上に環境を揺るがす、非常に大きな影響力を持ったカードも誕生していました。

 

生きる王宮の号令 デス・デーモン・ドラゴン

 その筆頭は、まさしく「デス・デーモン・ドラゴン」に他なりません。

グランド・ドラゴン」+「レッサー・デーモン」 このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。このカードがフィールド上に存在する限り、リバースモンスターの効果を無効化する。また、このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。

 カタログスペックはさておき、重要なのは「リバースモンスターの効果を無効にする」という一点に尽きます。「王宮の号令」と同じく強烈なリバースモンスターメタカードであり、本家同様に特定の相手には致命的に刺さるカードです。

 もちろん、融合モンスターゆえの扱いの難しさという問題は無視できません。単純にメタカードとして見る場合、「王宮の号令」の方が遥かに安定していることは否めないでしょう。

 しかし、この時期に限ってはその考えは正しいものではありませんでした。「デビル・フランケン」と組み合わせる場合、そうした前提が一気にひっくり返ってしまうからです。

 融合モンスターは正規召喚に手間がかかる反面、「デビル・フランケン」で膨大なライフコストと引き換えに簡単に呼び出せるという側面も持ち合わせています。「デス・デーモン・ドラゴン」には正規の融合素材を使用しなければ融合召喚できない制約が存在しますが、そもそも融合召喚しない場合は関係ありません。屁理屈のようにも思えますが、少なくともルール上は適正です。

 元々「デビル・フランケン」は【グッドスタッフ】のオプションに含まれていた1枚であり、分類的には汎用カードの扱いを受けていました。この時期は環境的に採用率が落ち込んでいましたが、メインから【デッキ破壊】への回答を持てるのであれば話は変わります。

 通常は「サウザンド・アイズ・サクリファイス」などを中心に運用し、相手が【デッキ破壊】だと判明した場合は「デス・デーモン・ドラゴン」に切り替えることで、無理なく戦法をスイッチできます。特に「デビル・フランケン」はサーチ・リクルートの手段に恵まれており、基本的に素引きに頼る部分の多い他のメタカードと違って迅速な対処が行える強みがありました。

 

元祖ナチュビ 魔人 ダーク・バルター

 上記の関連カードである「魔人 ダーク・バルター」も非常に強力な効果を与えられています。

憑依するブラッド・ソウル」+「辺境の大賢者」 このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。通常魔法の発動時に1000ライフを払う事で、その効果を無効化する。また、このモンスターが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。

 やや複雑なテキストですが、「通常魔法カードの効果を1000ライフコストで無効にする効果」と「自身が戦闘破壊したモンスターの効果を無効にする効果」の2種類の効果を持つモンスターです。どちらも「無効」に関係している効果であり、当時の環境においてはトップクラスの制圧力を誇る効果でもありました。

 

魔法無力化 汎用パワーカードの封殺

 まずは魔法無効化効果から解説していきます。

 第2期当時は「強欲な壺」や「ハンデス三種の神器」、「サンダー・ボルト」など強烈なカードパワーを持った通常魔法カードは数多く、それらをシャットアウトできることの価値は計り知れません。ライフコストは相応の負担がかかってしまいますが、それに見合うリターンはあり、必要経費として割り切れます。

 ただし、「デビル・フランケン」から特殊召喚した場合は残りライフに不安が出るため、多くて2回程度しか効果を発動できません。それでも十分と言えば十分ですが、その場合はあくまでも牽制用と割り切って運用するべきでしょう。

 また、罠カードに対しては無力であるため、ある程度の警戒は必要です。とりわけバーン効果を含む「破壊輪(エラッタ前)」は危険性が高く、無暗にライフコストを払っていると即死してしまう可能性すらあります。

 もちろん、通常魔法以外の魔法カード、具体的には速攻魔法や装備魔法にも注意を払わなければなりません。

 「強奪」で奪われた場合は特に悲惨であり、「デビル・フランケン」で消耗しているこちらとは違い、「強奪」で奪っただけの相手は数千以上のライフを残していることが多く、その場合まず魔法カードは通らなくなってしまうでしょう。「大嵐」などの除去も防がれてしまうため、「ダーク・ヒーロー ゾンバイア」などで速やかに対処できなければ敗北は免れません。

 とはいえ、全体的に見れば極めて実戦的な効果であり、第2期どころか現在ですら通用するポテンシャルを持つ効果です。こちらの効果を潤沢に使用することを考えるのであれば、いっそ専用デッキを組んでみるのも面白いでしょう。

 

サーチャー・リクルーター潰し ハ・デスの親戚

 魔法無効化効果が目を引く「魔人 ダーク・バルター」ではありますが、2つ目の効果の方も十分に優秀です。「デビル・フランケン」から呼び出す場合、こちらのみを目当てに使うことも考えられます。

 戦闘破壊した、言い換えれば無力化が済んだモンスターの効果を無効化するという、一見すると無意味にも思えるこの効果ですが、実際には「墓地に送られた時に発動する効果を持つモンスター」に対して強烈に刺さる効果です。

 具体的には「クリッター(エラッタ前)」や「キラー・トマト」を無力化できるほか、戦闘破壊が確定していればリバースモンスターも踏み潰せます。「異次元の戦士」などのダメージステップ後に誘発する効果も同様に無効化できるため、セットモンスターを安全に処理することにかけては右に出るものはありません。

 ただし、リバースモンスターへのメタとして見る場合、上記の「デス・デーモン・ドラゴン」には劣ります。

 このカードによる戦闘破壊が確定したモンスターしか無力化できない以上、自発的に反転召喚された場合はどうにもなりません。「和睦の使者」などで戦闘破壊耐性を付けられた場合も同様のことが言えるため、やはりリバース効果の発動を許してしまいます。

 もっとも、汎用性という意味では「デス・デーモン・ドラゴン」とは比べ物にならないほど優れており、デビル・フランケン」の主力になり得る1枚です。状況によっては「サウザンド・アイズ・サクリファイス」にも引けを取らない活躍が期待できるのではないでしょうか。

 

【当時の環境 2001年9月20日】

 【第2期の歴史34 ならず者傭兵部隊 あらゆるデッキで必須除去として使われた時代】以降の前後編の記事内容を総括した項目となっています。ご注意ください。

 「ならず者傭兵部隊」という極めて使い勝手の良い除去カードが現れたことで、遊戯王OCGのゲームバランスそのものに一石が投じられました。

 従来の汎用除去カードは「必要な時にドローできない」という弱みがありましたが、このカードの場合はサーチャーによって必要な時にサーチできる強みがあります。これまでとは段違いに除去のハードルが下がっており、「デッキに入れているだけで役に立つ」という異質な価値観を生み出してしまった形です。

 どちらかというと現在の遊戯王に近い考え方であり、その皮切りとも言える概念です。もはや採用しない理由を探す方が難しいパワーカードと言うほかなく、【グッドスタッフ】に限らずあらゆるデッキに投入される必須カードの立ち位置を確立していきました。

 また、上記の2種類の融合モンスターの存在から、「デビル・フランケン」が【グッドスタッフ】における必須カードに浮上しています。メインから【デッキ破壊】を見られるというのが何よりの魅力で、以前と比べて非常に有利に戦えるようになりました。

 ただし、これらの融合モンスターも「ならず者傭兵部隊」には対処されてしまうため、完全に丸投げしてしまうのは危険です。あくまでも一時的な対処と割り切り、その隙に攻め込んで勝負を決めるという認識でいるべきでしょう。

 【デッキ破壊】視点としては、やはり「デス・デーモン・ドラゴン」が鬼門となります。「ならず者傭兵部隊」で処理できるとはいえ、召喚権を使ってしまう点が苦しく、そのせいで場を空けてしまっては意味がありません。メタを張られるまでもなく殴り切られてしまうのでは本末転倒と言わざるを得ず、可能であればもう少し具体的な回答が欲しいというのは事実です。

 元々「王宮の号令」という天敵の影もあり、サイド戦では相当苦しいゲームを強いられるケースが増えていったことは想像に難くありません。

 こうした実情を踏まえる限り、この時期の【デッキ破壊】がトップメタの勢いを維持していたかどうかは怪しい部分が残ります。流石に環境から完全撤退していたということはないと思われますが、全体的に【グッドスタッフ】に不利がついてしまっていることは否めず、恐らくは使用者も減少傾向にあったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 前記事と合わせて、「Struggle of Chaos -闇を制する者-」販売によって起こった出来事は以上です。

 非常に実用的な効果を持ったパワーカードが多数現れ、遊戯王OCGのカードプールに大きな衝撃が走りました。度重なる天敵の出現によってとうとう【デッキ破壊】がトップメタから転落するなど、メタゲームにも大きな変化が訪れています。

 また、記事では取り上げませんでしたが、「非常食」「スピア・ドラゴン」「超再生能力」といった優良カードが誕生したのもこの時です。

 特に「スピア・ドラゴン」は高打点の貫通効果持ちという唯一無二の特徴を持っています。一癖あるデメリットを抱えながらも「スケープ・ゴート」や「ゴブリン突撃部隊」、そして自分自身に強いことから一部では高い採用率を誇っていました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史