暗黒期到来 八汰烏の脅威と【グッドスタッフ】の最期

2018年2月8日

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【前書き】

 【第2期の歴史35 デビルフランケンの浮上 制圧効果持ちの融合モンスター】の続きになります。ご注意ください。

 カードプールの変化によって【デッキ破壊】が勢力を縮小させ、当時の環境は【グッドスタッフ】によって制圧されたかに見えました。

 しかし、そうした通常のデッキとは別軸の強さを持つ、【宝札エクゾディア】などの先攻1キルデッキの脅威も依然として残ります。【エクゾディア】(第1期)と異なり対抗手段こそありましたが、後攻時の場合は成す術がなく、根本的にゲームが成り立たないシチュエーションに遭遇することも珍しくありません。

 暗雲立ち込める空気の中、事態は遂に最悪の方向へと動き始めていました。

 

【蘇りし魂 終わりの始まり】

 2001年11月29日、「Mythological Age -蘇りし魂-」が販売され、新たに51種類のカードが誕生しました。同年10月25日発売の「STRUCTURE DECK-城之内編-」収録の2種類と合わせて、遊戯王OCG全体のカードプールは1200種類に増加しています。

 第2期中最も凶悪と名高いパックであり、当時どころか現在ですら恐れられる禁止級カードが数多く輩出されています。

 もちろん、それらが環境に及ぼした被害は計り知れません。ほとんどのフェアデッキはことごとく駆逐されてしまい、これ以降は否定の余地のない暗黒時代に突入していくことになります。

八汰烏 遊戯王史上最悪のモンスター

 遊戯王OCGの歴史には、様々な形で脅威を振り撒いていたモンスターが存在します。単純に順位をつけられるものではありませんが、その中でも「最悪」と評されるモンスターは「八汰烏」に他ならないでしょう。

このカードは特殊召喚できない。召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに持ち主の手札に戻る。このカードが相手プレイヤーにダメージを与えた場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。

 スピリットモンスターの1体であり、特殊召喚できず、エンドフェイズに手札に戻るという2つの共通特性を与えられています。ステータスは攻撃力200、守備力100と貧弱そのもので、到底戦闘に耐えうる数値ではありません。

 しかし、戦闘ダメージを与えた場合に「次の相手のドローフェイズを飛ばす」という、他のカードゲームでも類を見ないほど凶悪な効果を持っていることが「八汰烏」を最悪のカード足らしめていました。

 遊戯王OCGというカードゲームは、毎ターンカードをドローすることを前提にゲームバランスが整えられています。近年のインフレ環境ではそうした前提も覆されつつありますが、少なくとも第2期当時は通常ドローが重要なウェイトを占めていたことは間違いありません。

 「八汰烏」はそれを壊してしまうカードであり、その凶悪さは遊戯王全体を見渡しても指折りです。「刻の封印」など、ドローロック効果を持ったカードが以前にも存在していなかったわけではありませんが、それらは多くの場合「単発のドローロック」であり、継続的にドローを封じる能力はありません。

 しかし、このカードの場合は毎ターンの直接攻撃によって非常に容易くドローロックを維持することができます。性質上、一度この状況が完成してからのロック突破は不可能であり、「決められたら負け」という恐るべきコンボです。

 もちろん、手札にカードが残っている場合は活路を見出せるケースもあるでしょう。たとえば、守備力200以上のモンスターをセットするだけでもひとまずロックから抜け出すことはできます。

 ただし、それだけでは時間稼ぎにしかならず、依然として脅威は去っていないことを忘れてはなりません。結局のところ「八汰烏」に対処できなければ状況は悪化していく一方です。時間を稼いでいる間に何らかの回答を引けない限り、いずれは完全に打つ手がなくなってしまうでしょう。

 つまり、上記のように一旦ソフトロックが決まってしまった場合、そこから完全ロックに移行するのは時間の問題となります。これを打破するには元々手札に回答を握っているか、もしくは猶予ターン中に奇跡的にドローを光らせるしかありません。

 もっとも、「八汰烏」はターン終了時に手札に戻ってしまうため、スペルスピード1の除去では対処不可能です。除去する場合は罠カードなどフリーチェーンのものを用いるか、ハンデスで手札から捨てさせるといった若干手間のかかる手段が必要となるでしょう。

 そのため、手札次第では直接「八汰烏」を潰すのではなく、間接的に盤面に対処する必要性も出てきます。具体的には、相手モンスターを全滅させるなどして壁モンスターが生存できる状況を作り出し、八汰烏」の攻撃を通せないようにする、といった形の対処法です。

 効果こそ恐ろしい「八汰烏」ですが、単体では弱小モンスターに過ぎません。ひとたび機能し始めれば無類の制圧力を発揮する反面、周囲の脅威を念入りに潰すことで間接的に無力化できます。

 ……しかしながら、そもそもそんなことができるのであれば「八汰烏」どうこうの話ではなく、元々自分が有利な状況だったから突破できたという身も蓋もない話でしかありません。どちらかというと「こじつけ的」な弱点であり、何もこのカードに限ったことではないでしょう。

 結論としましては、「サンダー・ボルト」などの単純なパワーカードとは根本的に住んでいる世界が違うカードです。どちらが強いかという議論はさておき、どちらが「悪い」かという話については一瞬で結論が出てしまうのではないでしょうか。

 ちなみに、上述の通り凶悪さでは「八汰烏」の足元にも及ばない「刻の封印」ですが、現在ではそれすら禁止カードに指定されている状況です。カード単体の性能ではなく、コンボによる使い回しを踏まえた規制ではあるものの、それが逆に「八汰烏」の凶悪性を際立たせていることは言うまでもありません。

 

 こうした都合もあり、「八汰烏」は誕生早々に【グッドスタッフ】の常連パーツを務めていくことになりました。

 その凶悪さもさることながら、「クリッター(エラッタ前)」などから必要な時にサーチできる柔軟性がこのカードの強みを引き上げている格好です。【グッドスタッフ】そのものが持つ豊富な除去、ハンデスも合わせて「八汰烏」が活躍する土壌が整っており、まさにこの時のために【グッドスタッフ】というデッキが用意されていたと言わんばかりの状況です。

 しかし、再三申し上げましたように「八汰烏」によるドローロックは極めて強烈な制圧力を持っています。それさえ決まれば勝ててしまうというほどであり、アドバンテージを度外視してでも狙いに行かない理由がありません。

 そのため、これまでのようにリソースを意識したプレイではなく、いかに「八汰烏」の攻撃を通すかという駆け引きに終始することとなります。それはもはや【グッドスタッフ】というよりも【八汰ロック】そのものであり、【ハンデス三種の神器】の時と同様にデッキコンセプトを乗っ取られてしまった形です。

 次第にデッキの採用枠も「八汰烏」を最大限サポートするためのカード選択に傾いていくことになります。場を空けるための除去カードが優先して積まれるようになったほか、遂には「聖なる魔術師」などの「遅い」モンスターが抜けてしまうケースすらあったほどです。

 「八汰烏」が入っていなければ【グッドスタッフ】ではなく、そして「八汰烏」が入っている【グッドスタッフ】は【八汰ロック】以外の何物でもありません。事実上、【グッドスタッフ】が環境から消滅してしまった瞬間であり、これ以降は【八汰ロック】に姿を変えて猛威を振るっていくことになりました。

 

【中編に続く】

 遊戯王史上最悪のモンスター、「八汰烏」の誕生によって引き起こされた出来事は以上です。

 たった1枚のカードが【グッドスタッフ】という巨大なアーキタイプを塗り潰し、遂には【八汰ロック】の成立を招いてしまいました。あまりにも常識の範疇から逸脱したカードパワーを持っていると言うほかなく、その影響力の大きさは「ハンデス三種の神器」の比ではありません。

 その上、この時が全盛期ではなく、第3期に入って「混沌帝龍 -終焉の使者-」が現れてからは更なる脅威を振り撒くことになります。最終的に禁止カード指定を受けるまで環境を荒廃させ続けた、まさしく「最悪」を名乗るにふさわしいモンスターです。

 しかし、恐ろしいことに事態はこれだけでは終わりませんでした。見方によっては「八汰烏」以上の凶悪性を持つ、「ラストバトル!」というカードが生まれていたからです。

 中編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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