制限改訂2005年9月 変異カオス崩壊 除去ガジェ環境へ

2018年7月30日

【前書き】

 【第4期の歴史21 死霊騎士デスカリバー・ナイト参戦 【サイカリバー】の台頭】の続きとなります。ご注意ください。

 遊戯王前半期を代表する最高の下級アタッカー、「死霊騎士デスカリバー・ナイト」の参入により、当時の環境に大きな波紋が広がりました。単純に強いだけのカードではありませんでしたが、その事実がむしろプレイヤーの探求心に火を点け、やがては【サイカリバー】の成立へと導いています。

 大型新人の台頭に環境が揺れ動く中、その1週間後に第4期の行く末を決める重大な制限改訂が行われます。

 

制限改訂 2005年9月1日

 2005年9月1日、遊戯王OCGにおいて18回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の22枚です。

カオス・ソルジャー -開闢の使者- 制限
キラー・スネーク(エラッタ前) 制限
いたずら好きな双子悪魔 制限
天使の施し 制限
聖なるバリア -ミラーフォース- 制限
破壊輪(エラッタ前) 制限
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) -
黒き森のウィッチ(エラッタ前) -
処刑人-マキュラ(エラッタ前) -
ファイバーポッド -
魔導サイエンティスト -
八汰烏 -
悪夢の蜃気楼 -
苦渋の選択 -
強引な番兵 -
心変わり -
サンダー・ボルト -
死者蘇生 -
蝶の短剣-エルマ -
ハーピィの羽根帚 -
王宮の勅命(エラッタ前) -
第六感 -

 

 制限カードに指定されたカードは以下の47枚です。

サウザンド・アイズ・サクリファイス 無制限
月読命 無制限
深淵の暗殺者 準
押収 禁止
スケープ・ゴート 無制限
月の書 無制限
ブラック・ホール 禁止
突然変異 無制限
リミッター解除 無制限
異次元の女戦士 -
お注射天使リリー -
クリッター(エラッタ前) -
混沌の黒魔術師(エラッタ前) -
サイバーポッド -
人造人間-サイコ・ショッカー -
神殿を守る者 -
同族感染ウィルス -
ドル・ドラ -
ならず者傭兵部隊 -
ネフティスの鳳凰神 -
封印されしエクゾディア -
封印されし者の左足 -
封印されし者の左腕 -
封印されし者の右足 -
封印されし者の右腕 -
魔鏡導士リフレクト・バウンダー -
マシュマロン -
魔導戦士 ブレイカー -
メタモルポット -
大嵐 -
強奪 -
強欲な壺 -
サイクロン -
団結の力 -
手札抹殺 -
早すぎた埋葬 -
光の護封剣 -
魔導師の力 -
ライトニング・ボルテックス -
激流葬 -
現世と冥界の逆転(エラッタ前) -
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) -
停戦協定 -
魔法の筒 -
魔のデッキ破壊ウイルス -
無謀な欲張り -
リビングデッドの呼び声 -

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の11枚です。

アビス・ソルジャー -
暗黒のマンティコア -
強制転移 -
増援 -
成金ゴブリン -
非常食 -
抹殺の使徒 -
レベル制限B地区 -
グラヴィティ・バインド-超重力の網- -
ゴブリンのやりくり上手 -
ラストバトル! -

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の3枚です。

ヴァンパイア・ロード 準
切り込み隊長 準
黒蠍-逃げ足のチック 準

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動は18枚と前回に比べて穏やかですが、その分しっかりと狙いが定まった的確な制限改訂です。

 

【変異カオス】への規制

 最大の規制の対象となったのはもちろん、当時のトップメタであった【変異カオス】でした。

 切り札である「サウザンド・アイズ・サクリファイス」を筆頭に、「月読命」「スケープ・ゴート」「突然変異」など重要なデッキパーツに規制が集中しています。いずれも無制限カードからいきなりの制限行きであり、当時の開発側が【変異カオス】を十分に警戒していたことが見て取れる結果です。

 禁止カード指定は免れているため、コンボ単体としては成立していますが、アーキタイプとしては生存の見込みはありません。以降は出張ギミック的に他のデッキでタッチされる程度になり、デッキとしては完全に姿を消しました。

 また、「月の書」「深淵の暗殺者」など、メインギミックと直接の関係はないものの相性の良いカードにも対処の手が入っています。「月の書」は無制限から、「深淵の暗殺者」は準制限からの制限カード指定です。

 特に「深淵の暗殺者」は同名カードの無限サルベージコンボが猛威を振るっていたため、それを潰されたことで大幅に使い勝手を落としています。当時の基準ではそれでも優秀なモンスターではありましたが、やや向かい風の状況であったことは否めません。

 一方、「月の書」の方は単純にパワーカードとして評価されていたため、制限カード指定後も高い採用率を維持していました。むしろ枚数を絞られたことで採用率そのものは上昇傾向にあったのではないでしょうか。

 

凶悪なパワーカードへの規制

 規制の対象となったのは【変異カオス】だけではなく、当時現役を務めていた極悪カードの数々にも圧力が加わっています。

 【カオス】の二枚看板の片割れである「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」、無限の手札コスト「キラー・スネーク(エラッタ前)」、最強のハンデスカード「いたずら好きな双子悪魔」、あらゆるデッキで使えるドローソース「天使の施し」、最高の逆転カード「聖なるバリア -ミラーフォース-」、エンドカード級の万能除去「破壊輪(エラッタ前)」など、計6枚の制限カードが禁止カード指定を受けました。

 いずれも当時のほとんどのデッキで100%に近い採用率を誇っていた必須カードであり、これらが姿を消したことによる影響は計り知れません。特に「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」は2003年の暗黒時代の象徴とも言える存在だったことから、この禁止化はまさしく時代の変わり目となる瞬間だったのではないでしょうか。

 

【フラガジェ】への規制

 その他、【変異カオス】に次ぐ勢力を築いていた【フラガジェ】に対する規制として、「リミッター解除」が無制限カードからの制限行きを果たしています。

 これにより「デビル・フランケン」とサイドラ融合体によるワンショットギミックが崩壊し、後攻1キルデッキとしての寿命を終えることになりました。とはいえ、【ガジェット】として受けたダメージはごく僅かであり、【フラガジェ】から【除去ガジェット】へと姿を変えて引き続きトップメタを走っています。

 元々【フラガジェ】自体が【変異カオス】のメタとして浮上していた向きもあり、そういった意味でも「リミッター解除」の制限カード化による【ガジェット】への被害は軽微だったと言えるでしょう。

 

規制緩和 釈放されたカード達

 こうした規制強化の流れとは逆に、規制緩和がなされたカードも存在します。

 最も大きな出来事は、「押収」「ブラック・ホール」の2枚が禁止カードから制限復帰を果たしたことです。「いたずら好きな双子悪魔」「聖なるバリア -ミラーフォース-」の2枚との入れ替わりの格好であり、当時はよく行われていた交換改訂の形式が取られています。

 「押収」の復帰は【ガジェット】のメタとしては非常にありがたく、当の【ガジェット】を含めて必須カードの立ち位置を確立しました。前環境の「いたずら好きな双子悪魔」にはアドバンテージ面で劣りますが、ガジェットトリオのサーチ連鎖を断ち切るにはピーピングハンデスでなければ効果が薄かったからです。

 「ブラック・ホール」は言わずもがなであり、当時のカードプール最強の全体除去カードとして必須枠に収まっています。これにより「ライトニング・ボルテックス」がやや評価を落としていますが、手札コストがかさむとはいえ十分な強さだったため、こちらも併用されることがほとんどでした。

 その他、「ヴァンパイア・ロード」「黒蠍-逃げ足のチック」「切り込み隊長」の3枚が準制限カードから無制限カードに制限解除されていたことにも触れておきます。

 「ヴァンパイア・ロード」はかつて一世を風靡した強力な上級モンスターでしたが、環境の変化により当時はほとんど使われておらず、この規制解除も納得のいく流れです。

 「黒蠍-逃げ足のチック」は2004年9月~2005年3月環境の【深淵1キル】においてコンボパーツとして使われていたために規制されていました。

 しかし、相方の「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」が禁止カード化を受けていたため意味の薄い規制だったこと、また【深淵1キル】自体が衰退していたことを受けての規制解除となっています。

 最後の「切り込み隊長」に関しましては、元々なぜ規制されているのか分からないと言われていたカードだったため、規制解除というよりは正しい場所に戻ってきたという印象です。実に3年4ヶ月にも及ぶ準制限カード時代を過ごしており、むしろ開発側からも忘れられていたカードだったのかもしれません。

 

当時の環境 2005年9月1日

 【変異カオス】が解体されたことにより、その対抗馬として活躍していた【ガジェット】が一気に勢力を拡大しています。

 これにより当時のゲームがいわゆる「伏せ環境」に移行し、「炸裂装甲」などの攻撃反応罠カードの存在を前提としたプレイングが求められるようになりました。状況によってはあえて攻撃を行わずに立ち止まるなど、セットカードを巡る駆け引きの幅が広がっていった形です。

 この流れを追い風として受けたのが「氷帝メビウス」で、これまでの一歩及ばないという評価を抜け出し、遂にパワーカードの仲間入りを果たしています。

 【ガジェット】視点では「メビウスを通したら負け」と言っても過言ではなく、デッキ使用者はこの対策に頭を悩ませることになりました。

 他方では、新勢力として【リクルーターカオス】や【サイカリバー】が頭角を現しています。

 特に【リクルーターカオス】はリクルーターで戦線を維持することで「氷帝メビウス」着地の隙を作り出しやすく、【ガジェット】とも対等に戦えるデッキとして注目を集めました。同型デッキとして【雑貨貪欲ターボ】流行の兆しもあり、当時のメタゲームは前期以上に複雑さを増していたのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 2005年9月1日の制限改訂で起こった変化のうち、主だった範囲の出来事については以上です。

 当時最大勢力であった【変異カオス】が姿を消し、以降は【ガジェット】を頂点としつつも多数のデッキが入り乱れる群雄割拠の時代が幕を開けています。なおかつ【ガジェット】そのものにも複数の型が存在しており、同じデッキは一つとしてないという状況です。

 おおむね良環境と言えるゲームバランスが成立していた遊戯王OCGでしたが、その水面下では恐るべき事態が進行していたことには触れておかなければなりません。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史