マインドクラッシュと氷帝メビウス 当初は不遇の立場

2018年6月8日

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【前書き】

 【第4期の歴史2 ホルスの黒炎竜LVシリーズ誕生 【お触れホルス】成立せず】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

マインドクラッシュ 10年前の灰流うらら

 「SOUL OF THE DUELIST」に収録されていた強力なカードは「ホルスの黒炎竜 LV8」だけではありません。

 その内の1枚は「マインドクラッシュ」という罠カードでした。

カード名を1つ宣言する。相手は手札に宣言したカードを持っていた場合、そのカードを全て墓地へ捨てる。持っていなかった場合、自分はランダムに手札を1枚捨てる。

 カード名を1つ宣言し、相手の手札にそのカードがある場合、それを全て捨てさせるという変わったハンデス効果を持っています。ただし、相手が宣言したカードを持っていなかった場合、逆に自分が手札を失うことになるリスキーなカードです。

 しかし、然るべき状況、タイミングで使用することにより、こうしたリスクはほぼ無視できるレベルにまで小さくすることができます。なぜなら、相手が確実に握っているカードを宣言した場合、ほとんどの状況で確定ハンデスが成立するからです。

 代表的なケースは相手がサーチ・サルベージカードを使用した直後のタイミングであり、優先権が回ってきた瞬間に発動することで実質的にサーチ・サルベージへのカウンターとして機能します。なおかつ、わざわざ手札に確保するということは相手にとって有用なカードであるということでもあり、それに対するカウンターが効果的に作用することは言うまでもありません。

 気になるのは罠カードゆえの遅さですが、当時は今ほどゲームスピードが速くなかった都合もあり、ほとんど問題視されていません。現代風に例えれば「灰流うらら」のような感覚に近いものがあったと言えば、全盛期の「マインドクラッシュ」の強さが窺えるのではないでしょうか。

 こうした事情により、全般的にサーチカードが流行し始める第5期突入頃からは採用率が跳ね上がり、あらゆるデッキで使われる必須カードとして知名度を上げていくことになります。とりわけ「ダスト・シュート」とのシナジーは凶悪の一言であり、ハンデスとピーピングを行ったのちに「マインドクラッシュ」で追い打ちをかけるさまは、往年の【ハンデス三種の神器】(第2期)の脅威を思い起こさせるほどだったと言っても過言ではありません。

 このように、時期によっては極めて高い評価を受けることになる「マインドクラッシュ」ではありますが……実は誕生当時に限れば驚くほど注目されていなかった無名のカードでもあったのは事実です。

 第4期当時に現役を務めていたサーチ・サルベージカードは「増援」「黒蠍-棘のミーネ」や「クリッター(エラッタ前)」、「聖なる魔術師」程度しか存在しておらず、「マインドクラッシュ」を撃つタイミングが非常に限られている状況でした。スピリットモンスターなど、自動で手札に戻るモンスターに対してはそれなりに有効でしたが、環境レベルのスピリットモンスターが当時存在しなかったことは「八汰烏の骸」の項で触れた通りです。

 そもそも、その場合ですら普通の除去で事足りてしまうケースが多く、あえて腐りやすい「マインドクラッシュ」を選択するメリットは皆無だったと言わざるを得ません。

 そのため、この「マインドクラッシュ」も環境で姿を見かけることはおろか、話題に上ることすら稀だった印象です。強い弱い以前にそもそも存在に気付かれておらず、カード評価としてはある意味で最も低い位置に置かれていたとも言えます。

 

巻き戻しマイクラ 優先権ルールの厳格化

 話の方向性は変わりますが、この「マインドクラッシュ」はルール上の騒動を巻き起こした過去を持つことでも知られています。

 それは俗に「巻き戻しマイクラ」と呼ばれるものでした。

 

「我のターン、ドロー! 天使の施しを発動する!」

 

「待ってください、優先権に違反したプレイです。巻き戻しを要求します」

 

「わかりました」

 

「スタンバイフェイズにマインドクラッシュを発動します。宣言は 天 使 の 施 し です」

 

「……」

 

 上記は「巻き戻しマイクラ」における最も代表的な事例です。ルール上、お互いのプレイヤーにはフェイズごとに優先権、つまりカードや効果を発動する権利が回ってくるため、それを無視したプレイには異議を唱えることができます。

 よってこの場合、悪いのは優先権に違反したプレイを行った「我」の方なのですが、それはそれとして釈然としないものが残るのも事実です。また、上記のようなケースはやむを得ない部分もありますが、場合によってはあえて曖昧な仕草で優先権を放棄したように見せかけた上で、カードをプレイした瞬間に巻き戻しを要求する悪質なケースも存在しました。

 こうした事情もあり、「マインドクラッシュ」の流行後は次第にフェイズ確認の厳格化がプレイヤーの間に浸透していく結果にも繋がっています。今現在では半ば常識と化しているルールですが、かつては公式な場であってもそれほど厳密には意識されておらず、当時のプレイヤーは不慣れな行為に戸惑いつつもルールに馴染んでいきました。

 

 個人的なエピソードですが、私はこの「巻き戻しマイクラ」を弟相手にやったことがあります。当然の如く喧嘩になり、紆余曲折の末「マインドクラッシュ」はハリーポッターで言う例のあの人的な存在と化してしまうことになりました。

 とはいえ、今となってはそれも懐かしい思い出の一つです。もしかすると、何だかんだと言って一番楽しかったのはそんな弟とのデュエルなのかもしれません。

 

氷帝メビウス 最強格の帝

 話を戻して、「SOUL OF THE DUELIST」に収録されていた最後のトップレアは「氷帝メビウス」という上級モンスターでした。

このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カードを2枚まで破壊する事ができる。

 生け贄召喚(アドバンス召喚)に成功した時、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで破壊できる効果を持っています。当時としては極めて汎用性が高く、上級モンスターの性能の基準を作り上げたほどの強力なモンスターです。

 単純に考えても1:2交換が狙えるアドバンテージ・カードであり、召喚するだけで既に得をしていることになります。攻撃力も2400と上級ラインに届いているため、そのままモンスターを戦闘破壊できれば脅威の1:3交換が成立します。

 とにかく損をしない優秀なモンスターであり、上級モンスターとしては異例なことに複数枚の投入を検討できるパワーカードと言えるでしょう。ビートダウンデッキにおける汎用上級モンスターとしてはもちろん、将来的には【帝コントロール】のエースモンスターとして活躍することになる存在です。

 しかし、例によってこの「氷帝メビウス」も当初は肩身が狭く、環境での活躍も難しい状況に置かれていました。

 この時期は「第六感」や「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」などのフリーチェーン罠カード、また「激流葬」などの召喚誘発系罠カードが流行しており、「氷帝メビウス」が十全に仕事を果たせるケースは非常に稀でした。

 そもそも「大嵐」や「サイクロン」などを警戒するために安易な伏せカードのセット自体が避けられる傾向にあり、下手をすると除去効果の的すらないというシチュエーションも少なくありません。その場合、「氷帝メビウス」は実質バニラということになってしまい、一転して最弱クラスの上級モンスターに成り下がってしまいます。

 恵まれたステータスを活かすにしても、当時は「異次元の女戦士」や「D.D.アサイラント」などが流行していたため、大抵の場合それらと相打ちに終わってしまうことになるでしょう。生け贄を含めて2:1交換であり、明らかに割に合わない取引です。

 1枚でもセットカードを破壊、あるいはモンスターを戦闘破壊できれば2:2交換に持ち込めますが、リスクを払った上での等価交換はそれほど魅力的とは言えません。

 結局のところ、前記事の「ホルスの黒炎竜 LV8」ほどではありませんが、かなり逆風の立場に置かれていたことは否定できないのではないでしょうか。

 

【当時の環境 2004年5月27日】

 【第4期の歴史2 ホルスの黒炎竜LVシリーズ誕生 【お触れホルス】成立せず】以降の前後編の記事内容を総括した項目となっています。ご注意ください。

 「ホルスの黒炎竜 LV8」という極めて高いロック性能とビートダウン性能を併せ持つモンスターが誕生し、将来的には【お触れホルス】成立のきっかけとなっています。

 しかし、当時は環境的に「ホルスの黒炎竜 LV8」が活躍できる土壌が全く整っておらず、思うような躍進は難しい状況でもありました。

 同じく「マインドクラッシュ」「氷帝メビウス」の2枚も遅咲きのカードという印象は強く、当初は不遇の立場に置かれていた次第です。パック自体の内容は豪華なものでしたが、やはりこの時のカードプール更新が及ぼした環境への影響はごく僅かなものだったと言えるのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 前記事と合わせて、「SOUL OF THE DUELIST」販売によって起こった出来事は以上となります。

 将来的に活躍する遅咲きのカードが多数現れた一方、即戦力となるカードは乏しく、第4期最初のパックとしてはやや静かな反響にとどまりました。決して内容の薄いパックではありませんが、当時に限れば「おジャマ・キング」が一番使われていた可能性すらある始末です。

 元々、禁止カード制度導入に伴う環境の混乱が起こっていた影響もあり、見方によってはパックそのものが割を食っていた印象はあったのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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