ハンデス三種の神器 手札破壊地獄の環境

2017年12月25日

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【前書き】

 【第2期の歴史1 新エキスパートルールの制定 はびこる最強サイクロン】の続きになります。ご注意ください。

 新エキスパートルールの導入により、遊戯王OCGのゲーム性は格段に増していきました。

 とはいえ、導入当初はプレイヤー側の不慣れさもあり、これが受け入れられるのにはやや時間を要する格好となります。とりわけ「チェーン」や「スペルスピード」の概念は全く新しいものであったため、少なくない混乱が生じていました。

 そんな折、第2期初弾となるカード群が4月20日に誕生します。

 

【新たな分類 永続魔法・速攻魔法】

 環境の話に入る前に、この時に誕生した新たな分類のカードについて触れさせていただきます。

フィールドに残り続ける 永続魔法カード

 まずは「永続魔法」カードです。一例として「墓守の使い魔」を挙げます。

・相手モンスターが攻撃するたびに、相手はデッキの一番上のカードを1枚墓地に送らなければならない。

 性能に関しては一旦脇に置き、ポイントは永続的に効果を発揮するテキストとなっている部分です。これまでのように使い切りのカードではなく、発動後もフィールドに残って効果を適用し続けるという性質を与えられています。

 現在多くの永続魔法が誕生していることからも明らかですが、この「フィールドに残り続ける魔法カード」という発想は遊戯王OCGの発展に大きく寄与しました。プレイヤーはもちろん、開発側としてもカードデザインの幅が広がった形となり、いずれにしてもゲームの自由度が増す結果となります。

 「光の護封剣」がフィールドに残り続ける裁定に変更されたのも、恐らくはこの影響でしょう。

 しかし、何かが違えばエラッタではなく分類自体を永続魔法に変更されていた可能性も低くはありません。実際、ルール的にはそちらの方が処理しやすく、後続の類似カードは一部の例外を除いて永続魔法として生まれてきています。

 黎明期の名残が現存している稀有な例であり、そういった部分も「光の護封剣」というカードの知名度を上げる一因となっているのではないでしょうか。

相手ターンに発動 速攻魔法

 次は速攻魔法に関する話です。一例として「突進」を挙げます。

・モンスター1体の攻撃力を、発動ターンのみ700ポイントアップする。

 テキストの通り、効果の性質としては単体強化カードですが、特筆すべきはこれが速攻魔法であるという一点になります。スペルスピード2、いわゆるフリーチェーンとなっており、端的に申し上げれば罠カードのように好きなタイミングで撃てる魔法カードです。

 更に、罠カードと異なり一旦フィールドに伏せる必要がないため、自分のターン中に限り手札から即座に発動することができます。これは言い換えれば「伏せカードが存在しないシチュエーションであっても、相手に割り込まれる可能性が生まれた」ということであり、駆け引きの範囲が大きく広がる形となりました。

 このように、当時誕生した2種類の新たな魔法カードが遊戯王OCGの発展に貢献したことは間違いありません。

 しかしこの時、それが霞むほどの重大な事件が起こってしまうことになります。

 「ハンデス三種の神器」の誕生です。

 

【当時の環境 2000年4月20日 前編】

 2000年4月20日、「Magic Ruler -魔法の支配者-」が販売され、新たに50種類のカードが誕生しました。また、同日に「ザ・ヴァリュアブル・ブック2」が販売され、ここでも新規カードが2種類誕生しました。

 遊戯王OCG全体のカードプールは772種類となり、僅か40種類から始まった前期とは比較にならないほど恵まれたスタートを切る形となりました。

 「魔法の支配者」という呼び名に恥じず、高いカードパワーを持った魔法カードが多数誕生したパックです。また、魔法カード以外にも珍しい効果を持ったモンスターが複数生まれており、総じて第1期のものと比較して収穫の多い収録内容となっています。

友情破壊 ハンデス三種の神器

 しかし、やはり最も際立っていたのは「ハンデス三種の神器」の存在でしょう。

 「ハンデス三種の神器」とは、その呼び名の通り凶悪な手札破壊効果を持った3枚のカードを指した言葉です。時代によって該当するカードは変わり、この時期は「押収」「いたずら好きな双子悪魔」「強引な番兵」の3枚がそのように呼ばれ、恐れられていました。

 三種の神器が一、「押収」の当時のテキストは以下の通りです。

・1000ポイントのライフを払う。相手の手札を見て、その中からカードを1枚選んで墓地に捨てる。

 相手の手札を確認し、その中の1枚を選んで捨てさせるという効果を持っています。純粋にアドバンテージだけを見るのであれば1:1交換ですが、実質の強さはその遥か上を行き、存在自体がゲームバランスの崩壊を招きかねない危険極まりないカードです。その状況で最も脅威となるカードを事前に落とすことができるため、場合によってはそのままゲームの流れを掌握できます。

 もちろん、ハンデスという概念自体が危険である、というわけではありません。例えばMtGなど、他のカードゲームではハンデスカードの存在が珍しくない場合もあります。

 しかし、遊戯王OCGの場合、テンポ・アドバンテージを全く失わずに撃てる点が尋常ではなく、前方確認札としてこれ以上ないほど効果的に機能してしまいます。そのため、ほとんどの場面で「とりあえずハンデスしてから動く」という図式が成立してしまい、ゲームシステムの膠着化を招きます。

 更に、ハンデスの性質上、先に撃った側が優位に立てることは自明であるため、先手有利のゲームを助長してしまうことも問題点の一つです。上記の理由からハンデスを連打することも難しくはなく、その結果一方的なゲーム展開を生んでしまうケースも少なくありません。

 こういった理由から、遊戯王OCGに限って言うのであれば、条件の軽すぎるハンデスカードは失敗メカニズムと呼んで差し支えない存在となっています。事実、現在では「ハンデス三種の神器」はもちろん、これ以降に誕生した下位互換カードすら規制を受けている状況となっており、エラッタなしでの復帰はまずあり得ないと言われています。

広がるハンデス地獄

 そして、それほどの凶悪カードを無制限に使用できた当時の環境は、率直に言って最悪とすら表現できるものでした。

 相手の先攻1ターン目から挨拶代わりにハンデスが飛んでくるのは日常茶飯事であり、非常に張り詰めた空気でのデュエルが行われていたと記憶しています。

 また、連打されてしまえば8割方ゲームが終わってしまうため、撃った方も撃たれた方も閉口してしまうなど、まともにゲームが成り立たなかったケースも少なくありません。

 もはや当時の【グッドスタッフ】は【ハンデス三種の神器】と化してしまっていたと言うほかなく、何もできなくなった相手を下級アタッカーで一方的に殴り続ける寒い展開も珍しくありませんでした。カードゲームとしてはもちろん、コミュニケーションツールとしても致命的な問題を抱えたシチュエーションが頻発してしまう形となります。

 このハンデスの嵐に飲まれたのは【グッドスタッフ】だけではなく、当時存在していたあらゆるデッキが理不尽な手札破壊の被害に晒されました。特に【エクゾディア】に至ってはパーツを揃えるのが事実上不可能となり、デッキコンセプトが根底から瓦解してしまいます。

 更に、【融合召喚】などのコンセプトデッキも特定のキーカードに依存する関係上、同様にハンデスの被害を受けやすく、次第に衰退していきました。当時私の周りには使用者が居ませんでしたが、恐らくは【デッキ破壊】もそれに近い状況となっていたと推測できます。

 これを回避するためには、「そもそもコンボカードをデッキに投入しない」などといった根本的な対策を取らざるを得ません。そのため、単体で役に立つ汎用性の高いカードでデッキを固めざるを得なくなり、結局当時の環境は【グッドスタッフ】もとい【ハンデス三種の神器】へと収束していく形となりました。

中編へ続く

 このように、第2期の遊戯王OCGが冒頭から第1期の【エクゾディア】とは別方向にゲームバランスの崩壊に向かっていったことは明らかです。

 しかしながら、考え方によっては「ハンデス三種の神器」の誕生以上に重大な出来事も、この時に同時に起こっていました。

 第2の刺客、「苦渋の選択」です。

 中編に続きます。

 

【まとめ】

 アニメ遊戯王DMの放送と同時期にスタートを切った第2期でしたが、蓋を開けてみればハンデス9枚体制という恐ろしい世界が広がっており、期待に胸を膨らませていたプレイヤー達を混乱の渦に叩き落としました。

 環境に与えた影響も凄まじく、事実【エクゾディア】は一瞬で死滅してしまう形となります。

 しかし、この時に起こった出来事は、まだまだこの程度で収まるものではありませんでした。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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