苦渋の選択 禁止カード大量発生事件

2017年12月26日

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【前書き】

 【第2期の歴史2 ハンデス三種の神器 手札破壊地獄の環境】の続きになります。特に、この記事では前中後編の中編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【当時の環境 2000年4月20日 中編】

 「ハンデス三種の神器」の誕生は、単刀直入に言って当時の環境に荒廃をもたらしました。

 ハンデスが刺さりやすいコンセプトデッキはことごとく生存権を失い、事実上当時のプレイヤーは【グッドスタッフ】以外の選択肢を持てなくなっていました。私の周囲でも、この時期は大半のプレイヤーが【グッドスタッフ】を使っていたと記憶しています。

 しかし、その【グッドスタッフ】も明らかにビートダウンというよりハンデスデッキ以外の何物でもなく、事実上は【ハンデス三種の神器】とでも呼ぶべき状況となっていました。当時のゲームは【ハンデス三種の神器】のミラーマッチで埋め尽くされる格好となり、率直に申し上げて地獄絵図です。

 しかしながら、当時生まれてしまった凶悪カードはこの「ハンデス三種の神器」だけではありません。遊戯王OCG史上最悪のカードと名高い「苦渋の選択」を始めとして、永年禁止級の凶悪カードが何枚も同時に誕生しています。

ジャイアン的カード 強奪

 まずは1枚目、「強奪」です。

・相手のモンスターのコントロールを得る。相手のスタンバイフェイズが来る度に、相手は1000ポイントのライフを得る。

 相手モンスターに装備できる装備魔法カードであり、なんと装備モンスターのコントロールを奪う効果を持っています。端的に言えば永続版「心変わり」とも表現できるカードで、「心変わり」と同様遊戯王OCG最強クラスのコントロール奪取カードです。

 単純に性能を考えても、相手のモンスターを除去しつつ自分はアタッカーを確保できると一石二鳥の効果であるため、事実上除去とアタッカーの双方を兼ねる強烈なパワーカードとなっています。

 申し訳程度に、毎ターン相手にライフを与えるというデメリットも付与されています。しかし、ほとんどの場合奪ったモンスターで与えるダメージの方が多いため、デメリットらしいデメリットになっていません。

 使わない理由が無いとすら言えるカードで、また当時はライバルの「心変わり」が制限カードに指定されていたこともあり、すぐさまデッキにフル投入されていく形となりました。

 とはいえ欠点が無い訳ではなく、装備魔法という性質上、「心変わり」と異なり裏側表示のモンスターを対象に取ることができません。また妨害もされやすく、「強奪」を破壊されてしまえばコントロールを取り返されてしまうという弱みもあります。

 そのため、シチュエーションによっては奪ったモンスターをあえて維持せずに使い捨てるなど、一見乱暴な使い方が最適解となるケースも少なくありません。凶悪なカードであることは疑いようもありませんでしたが、「ハンデス三種の神器」とは違って教科書通りの使い方では扱い切れない、奥深さのある面白いカードでもありました。

「狂気」 苦渋の選択

 次は問題の2枚目、「苦渋の選択」です。

・デッキからカードを5枚選んで相手に見せる。相手はその中から1枚を選ぶ。それを手札に入れ、残りは墓地に捨てる。

 デッキから好きなカードを5枚選び、相手が選んだ1枚を手札に、残りを墓地に送る効果を持っています。あらゆる意味で規格外の性能を持った墓地肥やしカードで、選ぶカードに制約無し、一度に5枚も選択できる、発動条件もコストも存在しない、アドバンテージを全く失わない、と、どの角度から見ても異常な部分しかありません。

 もはや現代のプレイヤーにとっては理解を超越した究極のパワーカードです。これと比べてしまえば「強欲な壺」ですら赤子のような存在でしかないのではないでしょうか。

 そんな「苦渋の選択」ですが、実は誕生初期の段階ではそれほど存在感を示していたカードではありませんでした。

 現在では「墓地は第2の手札」と呼ばれるほど重要な意味を持つ概念です。しかし、当時のカードプールでは墓地を活用する手段が乏しく、「苦渋の選択」の墓地肥やし能力はいわゆる「宝の持ち腐れ」に近い状況となっていました。

 また、プレイヤー側にも墓地アドバンテージの理解が浸透し切っておらず、「墓地は墓地」「時々役に立つこともある」という程度の認識が大半でした。

 こうした事情から、「苦渋の選択」を効果的に使うには「ハンデス5枚」「アタッカー5枚」「除去5枚」などと大雑把に選択するしかなく、結果的に特定の役割を持つカードがデッキから枯渇してしまうという厳しいデメリットが生まれていました。

 優秀なカードではありましたが、やや扱いにくさが目立ち、手放しでデッキに入るカードではなかったと記憶しています。

悪用し放題 ハリケーン

 3枚目は「ハリケーン」です。

・全フィールド上の魔法・罠カードを全て手札に戻す。

 テキストの通り、フィールドの魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す効果となっています。バウンス版「大嵐」であり、単体ではアドバンテージを取れないものの、自分のセットカードを巻き込まずに済むなど独自のメリットがあります。

 単純に使っても優秀なカードですが、自分のカードをバウンスして使い回すなど、どちらかと言うとコンボ前提、あるいは悪用前提となるカードです。単体での性能はともかく、危険性という面では「大嵐」を上回っていると個人的には考えています。

 しかし、当時のカードプールでは単純なバウンスカード以上の使い道を見出すことは難しく、「ハーピィの羽根帚」や「大嵐」の下位互換カードとして見られていました。とはいえ、「ハーピィの羽根帚」が準制限カード、「大嵐」が無制限カードの環境では無理もなく、あえてこれを使う利点はありませんでした。

 結論としましては、ここで生まれた凶悪カード達はこの時点ではそのポテンシャルを活かし切れず、必須カードとして高評価を受けていたのは「強奪」だけであったと記憶しています。これらがその凶悪なカードパワーを発揮するまでには一定の封印期間を置くことになります。

優良カード サイクロンと成金ゴブリン

 また、凶悪と称するほどではありませんが、「サイクロン」「成金ゴブリン」といった有名どころのカードが誕生したのもこの時です。

 特に「サイクロン」の方は長期に渡って環境の最前線で活躍し続けた一級品のカードであり、遊戯王OCG屈指の名カードとして多くのプレイヤーに愛されていました。現在ではライバルが増えたために一線からは退いてしまいましたが、今なおその存在が記憶に色濃く残っているという方も少なくないのではないでしょうか。

 もちろん、それは誕生当時の環境においても当てはまり、早々に活躍の機会が与えられる形となりました。

・全フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。

 上記は当時の「サイクロン」のテキストです。非常にシンプルな構造の単体魔法・罠除去カードとなっています。

 とにかくカードデザインが美しく、あらゆる単体魔法・罠除去カードがこれを元にデザインされていると言っても過言ではありません。

 性能面に関しては、単純に除去する枚数だけを見るのであれば「ハーピィの羽根帚」の下位互換ですが、速攻魔法であるため相手ターンでも発動できる独自の強みがあります。汎用性の高さは圧倒的であり、特に装備魔法である「強奪」に対して実質カウンター罠として振る舞うことから、そのメタカードとしても注目されました。

 ……が、【遊戯王 環境の歴史24 第2期 新エキスパートルールの制定】の記事でも少し触れました通り、この「サイクロン」というカードはプレイヤー同士のトラブルを非常に誘発しやすかったカードとしても有名です。「最強サイクロン」という概念に触れたことのあるプレイヤーも、決して少なくないのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「ハンデス三種の神器」を始めとして凶悪なカードが多数現れ、当時の環境を席巻する形となりました。それにより、【グッドスタッフ】はデッキの4割近くが総入れ替えとなり、戦術の変更を余儀なくされます。

 その結果【ハンデス三種の神器】が産み落とされ、当時の環境は脅威の手札破壊地獄へと姿を変貌させました。

 しかし、何より恐ろしかったのは、これらが全て一度に引き起こされた事態であったという現実です。

 あまりにも変化が大きかったことから、当時の遊戯王OCGはあたかも別のカードゲームではないかと思えるほどに性質を変えていました。特に「ハンデス三種の神器」に関しては、下手をすればプレイヤー人口そのものにすら打撃を与えかねない重大な事態です。

 新しい時代の幕開けとしてはあまりにも幸先が悪く、一プレイヤーながら第2期の行く末に不安を感じたのを覚えています。

 まさに阿鼻叫喚を巻き起こした「Magic Ruler -魔法の支配者-」でしたが、実はもう一つだけ特徴があります。幸いと言うべきか、プレイヤーにとって負担とならない、健全な変化も訪れていました。

 【装備ビート】の復権です。

 後編へ続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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