禁止カードは本当に強いのか? 遊戯王初期の壊れカードを辛口評価

2018年5月29日

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【前書き】

 他の多くのカードゲームがそうであるように、遊戯王OCGにも禁止カードと呼ばれる「ゲームで使用できないカード」が存在します。

 この仕組みが導入されたのはOCG発足から5年後、2004年3月1日のことです。それ以前には禁止カード制度は存在せず、制限、準制限カードが存在するだけでした。

 禁止カードは環境に存在するだけでゲームバランスを崩壊させると公式から判断されたカードであり、そしてそれは多くの場合事実です。これらの中でも特に危険なカードが解放された場合、遊戯王OCGのメタゲームが根底からひっくり返ることは間違いありません。

 しかし、そんな禁止カードにも「格」と呼べるものがあり、カードによってその強さ、凶悪さは大きく異なります。上述したように1枚で環境を動かすカードもあれば、復帰したとしても優秀な汎用カード止まりになるか、あるいは時代に取り残されて消えていくように思われるカードも含まれています。

 この記事では、そんな禁止カードのうち、第1期出身のものを1枚ずつ解説していきます。

 

サンダー・ボルト ★★☆☆☆

 遊戯王OCGにおいて最古となる禁止カード。それは「サンダー・ボルト」です。

 1999年3月18日、ストラクチャーデッキ「STARTER BOX」から誕生しました。効果は単純明快、「相手フィールドのモンスターを全て破壊する」というシンプルにして凶悪な全体除去効果です。

 ただし、純粋にカードパワーを推し量る場合、禁止カードとしては平均的な性能であることは否めません。

 全体除去というカードタイプを鑑みる限り、このカードが最も効果的に働くシチュエーションは「不利な状況の巻き返し」でしょう。インフレが極まった現環境において、有利な状況、つまり盤面の制圧を完了しているのであれば、わざわざ全体除去に頼ることなくゲームを決められるケースが多いからです。

 しかし、上記のように後攻時の切り返し札として運用する場合、このカードは「ブラック・ホール」とほぼ同等の性能にまで落ち込んでしまうことは意識しなければなりません。また、今日では破壊耐性を持ったモンスターも数多く、手放しに信頼できるカードではないことは明らかです。

 場合によっては「拮抗勝負」などに活躍の場を奪われかねない危うい立場にあるとも言えます。かつては恐れられた最強の全体除去カードといえども、時代が進んだ今となっては絶対的な存在足りえません。

 必然的に、このカードの性能が活きるシチュエーションは先攻時及びゲーム膠着時に限られることになりますが、やはりその場合も効力としては今一つです。

 具体的には、「灰流うらら」などの各種手札誘発を抱えている方が遥かに安泰が得られるでしょう。1枚のカードから展開が広がっていく今日において、その「初動を潰すこと」は明らかに「返しの全体除去」以上に価値を持ちます。

 もちろん、この「サンダー・ボルト」が効果的に作用する局面も少なくありません。いかに強力な環境デッキであっても常に理想的な展開が行えるわけではない以上、そうした中間的なゲームにおいては非常に頼もしい存在です。

 総評としましては、「強いことは強いがバランスブレイカーではない」という印象であり、実際に海外環境では制限カードという位置付けが成されています。

 これは私個人の推測となりますが、この「サンダー・ボルト」も海外に倣っていずれは規制緩和される日が来るのではないでしょうか。

 

強欲な壺 ★★★★★

 次に挙げる禁止カードは「強欲な壺」です。1999年5月27日、レギュラーパック「Vol.3」から誕生しました。

 結論から申し上げますが、この「強欲な壺」というカードは「今後二度と規制緩和されないであろうカード」に該当します。上記の「サンダー・ボルト」とは大きく評価が異なりますが、恐らく現役プレイヤーであれば多くの方が納得できる扱いなのではないでしょうか。

 気になる効果は極めてシンプル、「デッキから2枚ドローする」というものです。単純に考えてもノーコストかつノーリスクで手札が1枚増えるため、非常に「雑に強い」という評価が当てはまるカードでしょう。

 しかし、このカードの強さを考える場合、「無条件でアドバンテージを稼げること」に目が行きがちですが、実際のところ「強欲な壺」最大の強みは「どんなデッキにも入るカードである」という事実に他なりません。

 例えば、かつて環境トップを取ったデッキに【十二獣】(第9期)というカテゴリが存在します。これは大雑把に言えば「十二獣モルモラット」を軸に展開を広げ、盤面の脅威と各種手札誘発でゲームをコントロールする中速ビートダウンデッキなのですが、カテゴリ内に禁止カード3枚、制限カード1枚を含む封印指定デッキでもあります。

 そんな【十二獣】最大の強みは圧倒的な汎用性、拡張性であり、実際に現役時代には多くのデッキに出張ギミックとして採用された実績を持ちます。

 以下はその簡単な展開ルートです。

(新マスタールールに移行した今日では再現不可能な動きですが、ここでは考えないものとします。)

 

①:「十二獣の会局」で「十二獣モルモラット」をリクルートする。

 

②:「十二獣モルモラット」に重ねて「十二獣ワイルドボウ」「十二獣ブルホーン」をX召喚する。

 

③:「十二獣ブルホーン」で獣戦士族モンスターをサーチする(省略可)。

 

④:さらに重ねて「十二獣ドランシア」をX召喚し、「十二獣モルモラット」をリクルートする。

 

⑤:さらに重ねて「十二獣ライカ」をX召喚し、墓地から「十二獣ドランシア」を蘇生する。

 

⑥:さらに重ねて「十二獣タイグリス」をX召喚し、「十二獣モルモラット」をリクルートする。その後、「十二獣ドランシア」の下にX素材を補充する。

 

⑦:「十二獣モルモラット」2体で「ダイガスタ・エメラル」をX召喚し、効果で1ドローする。

 

 メイン6枠、エクストラ6枠という脅威の軽さであり、その気になれば大抵のデッキに搭載できる強力な汎用ギミックです。

 見返りも十二分に大きく、上記の展開では2枚分のハンド・アドバンテージに加え、フィールドには「ダイガスタ・エメラル」と「十二獣ドランシア」が残ります。カード1枚からの展開としては破格のアドバンテージであり、その部分においては「強欲な壺」すら上回っていることは確かです。

 ではそんな【十二獣】出張ギミックは「強欲な壺」よりも強いのかと言うと、決してそんなことはありません。それどころか、上記のカードを全て合わせたよりも「強欲な壺」1枚の方が遥かに強いです。

 【十二獣】が優秀な出張ギミックであることは確かですが、流石に「どんなデッキにも入る」というわけにはいきません。かつての環境における主流デッキが最終的には【純十二獣】と【十二獣真竜】に二分されていた事実からもそのことが窺えます。

 翻って「強欲な壺」は明らかに「どんなデッキにも入る」カードです。どう考えても入れない理由がないため、仮にこのカードが参入すれば事実上デッキ枚数が39枚で固定されてしまうことになります。

 一応、デッキからのリクルートが強力な戦法として確立されて以来、デッキによっては「手札に引きたくないカード」というものが存在するのは事実です。しかし、下手をすると「強欲な壺」の参入によって逆にそれらが駆逐されかねません。

 唯一の弱点があるとすれば、それは恐らく「名前が弱い」ことに限られるでしょう。現状、「強欲な壺」の持つカテゴリカードとしての価値は皆無に近いため、カテゴリ内で強固にサーチギミックが完結したデッキにおいては効果的に機能しない場合もないわけではありません。

 例えば【閃刀姫】(第10期)においては、「強欲な壺」よりも「閃刀起動-エンゲージ」の方が有用であることがほとんどです。仮にどちらか片方しか採用できないのであれば、多くのプレイヤーが後者を選ぶのではないでしょうか。

 しかし、両方を同時に採用できる場合、やはり「強欲な壺」を入れない理由は存在しません。何なら入賞リストにそのまま「強欲な壺」を突っ込んでもいいほどです。

 これは他のあらゆる環境デッキに対しても同様のことが言えます。このカードを採用することによるデメリットが皆無である以上、この結論は覆りようがありません。

 総評としましては、「強欲な壺」は存在するだけでゲームの多様性を失わせる究極のパワーカードです。無条件でアドバンテージを取れる凶悪なドローソースである事実もさることながら、その真の強さは「無限にも等しい汎用性の高さ」にあると言えるのではないでしょうか。

 

 ……ちなみに、仮定の話になりますが、今後の環境の推移によっては「強欲な壺」が規制緩和される可能性も決してゼロというわけではありません。「無限泡影」などの相手ターンに発動できるカードが無数に増加していった場合、スペルスピード1のカードが「遅い」とされ見向きもされなくなる未来もあるからです。

 とはいえ、流石にそんなことになれば遊戯王OCGも破滅は免れません。実際のところ、やはりこの「強欲な壺」が現役復帰することは未来永劫ないと断言してしまってもいいでしょう。

 

死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) ★☆☆☆☆

 次に挙げる禁止カードは「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」です。1999年7月8日、「遊戯王デュエルモンスターズⅡ 闇界決闘記」のゲーム同梱カードとして誕生しました。

 エラッタ前と明記してあるように、この時のデザインのものは既に消滅しており、規制の状況にかかわらず二度と使用できないカードとなっています。そのため、当記事で取り上げるべきかどうかは判断に迷うところですが、ここでは禁止カードに準ずるカードとして扱っている次第です。

 やや効果が複雑であるため、以下に現代版テキストを示します。

通常罠(エラッタ前/使用不可)

①:自分フィールドの攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。相手フィールドのモンスター、相手の手札、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、その内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する。

 ウイルスカードの元祖であり、「魔のデッキ破壊ウイルス」などと同様の処理を行うカードです。違いはコストが攻撃力1000以下の闇属性モンスターであること、また効果範囲が攻撃力1500以上のモンスターであることの2点となります。

 おおよその使用感は既存のウイルスカードと同様であり、それらと共通のメリット・デメリットを備えているカードです。

 ……既に察しの付いている方もいらっしゃるとは存じますが、この「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」も手放しで強いと評価できるカードではありません。

 発動時の除去効果はともかく、残存効果であるウイルスの影響が及ぶのは「ドローしたカード」であり、それ以外のモンスターは基本的に全て素通しとなります。現環境で多用されるサーチ・サルベージには対応できず、直接フィールドに特殊召喚された場合も無力です。

 つまりデッキからのリクルートや墓地からの蘇生はもちろん、エクストラデッキから特殊召喚される高打点モンスターには全くの無防備であることになります。フィニッシャーの多くがエクストラデッキに用意される今日において、この抜け道はあまりに致命的であると言うほかありません。

 そもそも現在の傾向として、メインデッキ内のモンスターは効果重視で選ばれるケースがほとんどです。結果的に小粒のモンスターで枠が占められることも多く、相手が展開し終わるまで発動タイミングが訪れない可能性すらあります。

 最悪の場合、「相手の高打点モンスターを一度だけ全滅させたはいいが、その後は特に何もしない」ということにもなりかねません。その場合はコストの付いた罠版「サンダー・ボルト」のような使用感であり、全く強いとは言えない性能です。

 一応、メインデッキ内のモンスター比率が高く、かつ1500打点以上を多く含むデッキ、例えば【EM魔術師】(第10期)などに対しては強烈に作用することは確かです。発動コストの兼ね合いからデッキを選ぶカードですが、メタゲームによってはサイドカードとして注目される可能性は大いにあるでしょう。

 もちろん、特に相性のいいデッキであれば、ギミックの一つとしてメインから採用されうるポテンシャルは備わっているカードです。しかし、逆に言えば相性のいいデッキでしか採用されない「優秀止まりのカード」に過ぎないことは否めません。

 既にエラッタによって消滅したカードではありますが、仮にそのままの性能で復帰したとしても環境を荒らすことは考えにくいのではないでしょうか。

 

血の代償 ★★★☆☆

 次に挙げる禁止カードは「血の代償」です。1999年7月17日、ブースターシリーズ「BOOSTER3」から誕生しました。

 500LPをコストにモンスター1体を通常召喚する、という効果を持った永続罠カードです。これだけならば凡庸なカードという評価に落ち着きますが、なんとこの効果には回数制限が一切設けられていません。

 それどころか同一チェーン不可制限もないため、その気になれば10個以上のチェーンをこれ単独で積むこともできます。事実上、ライフの続く限り無限に通常召喚を行えるようにするカードであり、禁止カードの名に恥じないバランスブレイカー級の性能です。

 最大の欠点があるとすれば、それはこのカードが罠カードであるという一点に集約されるでしょう。

 効果の発動条件、また「召喚権を増やす」という効果の性質を考慮した場合、「血の代償」がまともに回り始めるのはこれをセットした次の自分ターン以降の話になります。1ターンの遅れが致命傷に繋がりうる現環境において、このタイムラグを許容してまでこのカードを使うかどうかは冷静に考えたいところです。

 構築面における問題も見過ごすことはできません。1枚は必要、しかし2枚は必要ないタイプのカードである以上、安易に複数枚投入することは躊躇われます。その一方で、1枚も引けなければデッキの回転力が大きく鈍るため、最適な構築を考えれば考えるほどジレンマに苦しむことになるでしょう。

 こうしたリスクとリターンを考慮する限り、この「血の代償」が非常にピーキーなカードであることは残念ながら否定できません。つまり禁止カードとしては平均的な性能であり、デッキを選ぶという時点で最上位陣のカードには大きく水をあけられています。

 とはいえ、やはり「血の代償」が凄まじい爆発力を秘めたカードであることは事実です。難しいところですが、このカードが今後復帰するかどうかは公式の匙加減一つというところではないでしょうか。

 補足となりますが、この「血の代償」というカードはかつて少なからぬ騒動を巻き起こしたカードとしても知られます。初期特有の分かりにくいテキストによって効果の誤解釈が生まれてしまい、一部で【血の代償最上級】(第1期)なるデッキが成立してしまったのです。

 

天使の施し ★★★★★

 次に挙げる禁止カードは「天使の施し」です。1999年8月26日、ブースターシリーズ「BOOSTER4」から誕生しました。

 遊戯王史上最強と謳われるドローカードであり、凶悪さそのものは上記の「強欲な壺」をも上回ります。その効果は「カードを3枚ドローし、2枚捨てる」という常軌を逸したものとなっており、単刀直入に言って「撃てば勝てるカード」です。

 純粋にアドバンテージ面のみに目を向ければ3:3交換ですが、もちろんそれだけで終わるような話ではありません。遊戯王OCGは「墓地は第2の手札」とも言われるカードゲームであり、適切に墓地を活用すれば爆発的なアドバンテージが転がり込んでくることでしょう。

 ……実力不足を露呈するようで恐縮ですが、この感覚を遊戯王未経験者ないし初心者に文章だけで伝えることは私には無理です。具体例を挙げることもできなくはないのですが、あまりにも活用方法が膨大であり、その内のいくつかを特別に取り上げることは酷くナンセンスに思えます。

 仮の話をします。

 人によっては失礼にあたる問いかけになってしまうことをあらかじめ謝罪いたしますが、何でもいいのであなたの好きなデッキを一つ思い浮かべてみてください。例えばそのデッキに、「カードを3枚ドローし、2枚捨てる」という効果を持った専用サポートカードが現れたら強そうだとは思いませんか?

 「天使の施し」が現役復帰するということは、全てのデッキにそれが同時に現れるようなものです。そんな事態になればメタゲームが滅茶苦茶に荒れることは想像に難くありません。

 これ以上はキリがないため、「天使の施し」に関する解説はここで打ち切りといたします。強い強いと言葉にするだけならば簡単なのですが、このカードに関しては本当にそれしか言えません。

 仮に「天使の施し」2枚か「強欲な壺」3枚のどちらかを選べと言われたら、恐らく即答はできないプレイヤーの方が多いのではないでしょうか。

 

心変わり ★☆☆☆☆

 次に挙げる禁止カードは「心変わり」です。1999年9月23日、レギュラーパック「Vol.5」から誕生しました。

 発動条件のない通常魔法カードであり、「相手モンスター1体のコントロールをターン終了時まで奪う」強力な効果を持っています。1ターン限りとはいえ、無条件で任意のモンスターを奪えるカードは遊戯王広しといえども「心変わり」が唯一です。

 しかしながら、だからと言ってこのカードが飛び抜けて強いかというと、決してそんなことはありません。普通の除去カードに比べれば優秀なのは確実ですが、少なくとも禁止カードの中では最低ランクの性能です。

 厄介な制圧系モンスターをカード1枚の消費で奪い取り、リンク素材などにして処理する動きは確かに強力です。しかし、その使い方であれば精神操作」などとほぼ同等の働きにしかならないこともまた事実ではあります。

 この2枚の違いは「攻撃宣言できず、リリースできない」という部分のみですが、これは現環境の視点では決して大きな格差とは言えません。仮に「精神操作」からこれらのデメリットを取り除いたとして、果たして実際の環境で使われるかというと首を傾げる部分もあります。

 もちろん、対象を取る効果に耐性を持つモンスターにも無力です。

 加えて、根本的に環境の速度に付いていけなくなっている現実も見え隠れします。不利な盤面をこれ1枚で押し返すほどの強さはなく、かといって有利な局面ではそもそも「心変わり」自体が必要なくなってしまうことの方が多いでしょう。

 現環境において「精神操作」がほとんど流行していない事実を鑑みる限り、場合によっては「心変わり」も似たような立ち位置に落ち着いてしまうのかもしれません。

 

クリッター(Vol.6) ★★★★☆

 次に挙げる禁止カードは「クリッター(Vol.6)」です。1999年11月18日、レギュラーパック「Vol.6」から誕生しました。

 こちらも「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」と同様、エラッタによって既に消滅しており、現在では二度と使用できないカードに分類されます。このカードは二度のエラッタを経由して現在の調整に至っているため、この最初期のものはエラッタ前のそのまたエラッタ前のデザインです。

 効果そのものは非常にシンプルであるため、ここではあえて当時そのままのテキストをご紹介します。

このカードが墓地におかれた時、自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、デッキを切り直す。

 見て分かる通り、どこから墓地に送られても無条件でサーチ効果が誘発するテキストとなっており、現代のものとは比較にならない利便性を発揮します。ターン1制限なども特に設けられていないため、繰り返し使い回すことで膨大なアドバンテージを稼ぐことも難しくありません。

 もちろん、圧倒的なサーチ範囲の広さも大きな強みの一つです。ざっと数えても3000種類近いモンスターに対応しており、汎用性の高さで右に出るものはほとんど存在しないでしょう。

 ただし、そんな「クリッター(Vol.6)」にも当然弱点は存在します。大前提として「墓地に落ちるまではバニラ」であり、これを活かすために他のカードを必要とするからです。

 つまり、どんな状況においても強さを発揮するようなカードではなく、上記の「強欲な壺」や「天使の施し」には性能面で遠く及びません。仮にこのカードを漠然と環境デッキに投入してみせたとして、本当に有用であるかどうかは慎重に判断したいところです。

 また、今日ではカテゴリごとに強力な専用サポートカードが与えられていることも多く、それらを差し置いての採用にはやはり一考を要します。

 併用を考える場合も「カテゴリに属していない」事実が足を引っ張ることは確実です。カテゴリ内で完結した展開ギミックの恩恵を受けられず、結果としてデッキの中で浮いてしまうリスクは決して小さなものではありません。

 総評としましては、「間違いなく禁止カード級の性能、しかし適切に使えなければ弱い」といった印象です。逆に言えば非常に悪用しやすいカードでもあるため、仮に現存していたとしても復帰の見込みはないでしょう。

 

黒き森のウィッチ(Vol.6) ★★★★☆

 上記の「クリッター(Vol.6)」の同期である、「黒き森のウィッチ(Vol.6)」というサーチャーも存在します。こちらは攻撃力ではなく守備力を参照するという違いがあり、対応範囲がやや異なっていました。

 基本的な運用方法、カード評価は「クリッター(Vol.6)」に準ずるため、ここでは個別の解説は省略します。どちらか片方が優れているという話ではなく、おおむね相互互換の関係にあると言っていいからです。

 一応、現環境でも大きな違いとなり得るポイントは、「幽鬼うさぎ」「灰流うらら」といった高守備力の手札誘発モンスターに対応していないという部分でしょうか。今日における手札誘発の重要性を鑑みる限り、この一点が大きな評価の分かれ目となる可能性は決して低くありません。

 とはいえ、逆に高攻撃力の手札誘発が現れた場合は評価がひっくり返るため、これも結局はカードプール次第の話です。

 

遺言状 ★★★★★

 次に挙げる禁止カードは「遺言状」です。1999年12月16日、ストラクチャーデッキ「EX」から誕生しました。

 非常に難解な処理を行うカードであるため、以下に仮テキストを示します。

通常魔法

①:このターン、以下の効果を適用する。

●自分フィールドのモンスターが墓地へ送られている場合に1度だけ、デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 恐らくですが、これだけ見ても効果がよく伝わらないのではないかと思います。そもそも書いている私にも意味が分かりません。

 一つずつ見ていきますと、まずこのカードを発動した時点で「●以降の残存効果」が適用されるようになります。その残存効果の処理は「攻撃力1500以下のモンスターをリクルートすること」です。これは条件を満たせばダメージステップなど一部のタイミングを除いて好きな時に呼び出せる裁定となっており、また残存効果ゆえにチェーンブロックも作りません。

 ややこしいので大雑把にまとめますが、要するに「デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚する」効果を持ったカードです。カテゴリ専用サポートにおいてはありがちな効果であり、一見すると危険度の低いカードに見えるかもしれません。

 しかし、実際にはそれらとは比べるのも酷と言えるほどに凶悪な性能のカードです。

 例えば、「水晶機巧-ハリファイバー」というリンクモンスターが存在します。現役プレイヤーにとっては非常によく見かけるモンスターですが、簡単に言うとリンク召喚成功時にチューナー1体をリクルートできるモンスターです。

 極めて範囲の広い凶悪なリクルート効果であり、このカードの誕生によって全てのチューナーに調査が入ったと言っても過言ではありません。ジェット・シンクロン」「幻獣機オライオン」などが環境に浮上したのは間違いなく「水晶機巧-ハリファイバー」の影響です。

 こうした事情を踏まえて再び「遺言状」に目を向けてみると、このカードがいかに狂った性能であるかが克明に浮かび上がってきます。対応範囲はおよそ10倍、しかもノーコストの通常魔法カードであり、リクルート効果の条件を満たすのも現環境では非常に容易です。

 劣っている部分があるとすれば、メインデッキを圧迫する点、サーチが難しくルートが安定しない点などですが、そうした弱みを補って余りある強さを発揮することは言うまでもありません。悪用方法も極めて多岐に渡るため、永遠に禁止しておかなければならない極悪最凶カードです。

 ちなみに、この「遺言状」にはエラッタ前のデザインも存在し、1999年12月16日~2000年4月頃まではそちらが使用されていました。なんとリクルート効果に回数制限がないため、その凶悪さは100倍にしても足りないほどでしょう。

 さらに補足ですが、この「遺言状(エラッタ前)」をキーカードに据えた【エクゾディア】(第1期)というデッキもかつては存在していました。「キャノン・ソルジャー」によってサーチャーを無限に射出し、一瞬でエクゾディアを揃えるなど、遊戯王初期の暗黒時代を象徴するような極めて凶悪なデッキです。

 

大嵐 ★★☆☆☆

 次に挙げる禁止カードは「大嵐」です。2000年3月1日、ブースターシリーズ「BOOSTER7」から誕生しました。

 効果は単純にして豪快、「フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する」というものです。魔法・罠版「ブラック・ホール」とも言えるカードであり、非常に強力なバック除去性能を備えています。

 類似カードの「ハーピィの羽根帚」との違いは「自分のカードを巻き込む」という点ですが、これはメリットにもデメリットにもなり、例えば効果破壊をトリガーとする展開ギミックに利用することもできるでしょう。

 とはいえ、多くの局面において「ハーピィの羽根帚」と同等以下の使用感に落ち着いてしまうことは否めません。

 インフレの進んだ今日において、破壊されることがメリットになるカードが数多く存在するのは事実です。しかしながら、常に都合よくコンボが成立するかというとそんなことはなく、そもそも「大嵐」に限らず同じことができるカードはいくらでも存在します。

 伏せ除去もできるコンボパーツと考えれば十二分に強力ではあるですが、言ってしまえばそれだけの性能であり、バランスブレイカー級のカードかというと首を傾げてしまいます。もちろん、これがいきなり無制限カードにでもなれば流石に大変な事件ですが、1枚程度であれば大勢に影響はないだろうというのが私個人の認識です。

 現環境で「ハーピィの羽根帚」がもっぱらサイドデッキに追いやられている事実を鑑みる限り、仮に「大嵐」が復帰したとしても環境を席巻するほどの影響力は持っていないと見るべきでしょう。

 

【まとめ】

 第1期出身の禁止カードについては以上となります。

 「強欲な壺」「天使の施し」「遺言状」は流石の貫禄ですが、「サンダー・ボルト」「血の代償」「大嵐」はそれらに一段も二段も劣り、「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」「心変わり」の2枚に至っては非常に苦しい立場です。

 「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」の2枚は禁止カードにふさわしい凶悪な性能ですが、最上位陣には一歩及ばず、また強さの方向性もコンボ寄りに傾いています。きちんと悪用してこそというカードであり、単体で役に立たないというのは禁止カードとしてはやや物足りません。

 こうして並べてみると、ドローソースやサーチカード、展開サポートカードが飛び抜けて強く、それ以外の単純な除去カードはそれほど脅威的ではないことが明らかになってきます。例外となる「血の代償」も効果そのものは凶悪であり、例えばこれが魔法カードであれば評価は一瞬でひっくり返るのではないでしょうか。

 ただし、これはあくまでも私個人の認識に過ぎず、万人がそうと捉えるわけではないということはここに明示いたします。最上位陣は満場一致としても、それ以下のカードは評価が入れ替わる可能性も高いです。

 今後現役復帰する可能性があるかどうかも含め、禁止カードの格付けについて友人知人と議論してみるのも面白いかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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