エラッタ前クリッターの狂気 最初期の【エクゾディア】地獄

2017年12月9日

スポンサーリンク

【前書き】

 【第1期の歴史15 新たなアーキタイプ デッキ破壊(構築不可)】の続きになります。ご注意ください。

 新規カードの誕生により、遊戯王OCGに【デッキ破壊】という新たな概念が生まれました。しかし、当時はルールの不備という壁に阻まれ、それが実際のゲームに反映されることはありませんでした。

 相変わらず環境は【グッドスタッフ】で埋め尽くされ、強いカードをいかに上手く使いこなすかというゲーム性が浸透していました。

 しかし、この時に誕生した一部のカードにより、このビートダウン一強の環境が激変することとなります。

 

【当時の環境 1999年11月18日】

 1999年11月18日、「Vol.6」が販売され、新たに51種類のカードが誕生しました。遊戯王OCG全体のカードプールは559種類となり、順調に規模を拡大し続けていることが分かります。

カウンター罠の開祖 神の宣告

 さて、新規カードについてですが、まずは「神の宣告」を始めとするカウンター罠カードについて触れていきます。

・ライフポイントを半分払う。魔法・罠の発動、モンスター召喚のどれか1つを無効にし、それを破壊する。発動後、このカードを破壊する。

 以上が「神の宣告」のテキストです。恐らく遊戯王OCGで最も有名なカウンター罠であり、最高峰の評価を持つパワーカードでもあります。

 数あるカウンターの中でもかなりの広範囲を見ることができ、その汎用性の高さは圧倒的です。【パーミッション】はもちろん、理屈の上ではどんなデッキにも入るため、メタ次第では環境デッキにも採用されうるポテンシャルを持っています。

 しかし、これは私の周りだけだったのかもしれませんが……実は誕生当時の時点では、カウンター罠はあまり高い評価を受けていませんでした。カード1枚使って相手を妨害するくらいなら、カード1枚使って自分から攻める方が強いという風潮があり、デッキではなく収納ファイルに入れられていたと記憶しています。

 また、今と比べてライフ・アドバンテージが重視される傾向にあったことも向かい風で、発動コストに半分ものライフを要求される「神の宣告」はリスクが高いとされ、敬遠されていました。実際のところ、遊戯王前半期においても「神の宣告」が流行する可能性はあったはずですが、環境が高速化するまでは長らく日の目を見ていません。

 これは現在のように「1枚で大量展開が行えるカード」「通すとゲームが終わるカード」などが存在しなかったことが主な原因であったとされています。OCG初期のカードプールにおいて、多くのカードは「カード1枚分の仕事しかしないカード」に過ぎず、わざわざカウンターというメカニズムに頼る必要性がそもそもなかったとも言えるでしょう。

 とはいえ、実際の実用性の高さは後世の評価の通りです。使われて初めて強さが理解できるタイプのカードということもあり、使用者が増えるにつれて段々とその強さが浸透していき、次第に評価が盛り返していく形となりました。

クリッターと黒き森のウィッチ

 カウンター罠に関する話は以上になりますが、この時に起きた変化はこれだけではありません。

 「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」の二大サーチャーの誕生です。

・このカードが墓地におかれた時、自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、デッキを切り直す。

・このカードが墓地におかれた時、自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、デッキを切り直す。

 上から順に「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」のテキストとなります。それぞれ攻撃力・守備力に対応しており、自身が墓地へ送られた場合に条件に当てはまるモンスターをデッキから手札に加えることができます。

 何度もエラッタが行われたカードとしても有名で、この時点ではどこから墓地へ送られても効果が誘発する裁定となっていました。

 つまり、フィールドだけでなく手札から墓地へ送られてもよく、「天使の施し」とは最高の相性を誇りました。これ2枚と組み合わせることで「天使の施し」が「3枚ドローして2枚ディスカード、その後2枚サーチ」する効果となり、「強欲な壺」を上回るアドバンテージを稼ぐことすら可能です。

 単体で使った場合であっても、とにかくアドバンテージを失わない点が強く、様子見で場に置いておくモンスターとしては最高の資質を持っていました。

 リバースモンスターと違い除去を当てられても痛手とならず、逆に相手にとっては除去の無駄撃ちとなるため、除去されることがメリットにすら繋がります。アタッカーに殴られた場合でもリソースを維持できるため、どう転んでも裏目を踏まないモンスターです。

 更に、シルバーバレット戦術を取ることができるのも優位点の一つで、当時の有用なリバースモンスターを状況に応じてサーチ可能と、デッキ全体の対応力を高めることもできました。もちろん自分自身もサーチできるため、判断が難しい局面では決定を先延ばしにでき、地味ながら痒いところに手が届く柔軟さを持っています。

 「黒き森のウィッチ(Vol.6)」の場合、各種リバースモンスターだけでなく「デーモンの召喚」「ヂェミナイ・エルフ」といったアタッカーも拾うことができたため、汎用性という面では当時最高のポテンシャルを秘めていた存在と言っても過言ではありませんでした。

 唯一、テンポ・アドバンテージをやや失ってしまう点が弱点と言えなくもありませんが、当時のゲームスピードにおいてはあってないようなデメリットです。どんな状況でも腐らないカードとして、【グッドスタッフ】には当然のように3積みされていく形となりました。

 また、「クリッター(Vol.6)」が攻撃力1000以下の闇属性モンスターだったことから、「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」の媒体として優秀だった点も挙げられます。

 「黒き森のウィッチ(Vol.6)」は攻撃力1100だったため媒体にはなりませんでしたが、媒体をサーチできることから間接的にウイルスの発動条件を満たせます。

 これらを用いることで実質ノーコストでウイルスを撃てる上、サーチ効果で「闇の仮面」を拾ってくれば二度目の発動も狙えます。また、単純に媒体の数が増えたために無理をして低ステータスの通常モンスターを採用する必要がなくなり、デッキ自体の強さも底上げされる形となりました。

オシリスもどき ムカムカ

 これらのサーチャーと相性の良いカードとして、「ムカムカ」も誕生しています。

・自分の手札1枚につき、このカードの攻撃力・守備力が300ポイントアップ!

 自分の手札の枚数に応じてステータスが上昇する効果を持ったモンスターです。当時としては非常に斬新な効果となっており、プレイヤーの間で少なくない関心を集めていました。

 元々の攻撃力は600であるため、手札5枚で攻撃力2100に到達できます。これは「ヂェミナイ・エルフ」を上回る打点であり、下級アタッカーとしては破格の数値となっています。

 もちろん、6枚、7枚と増えていけばそれだけ強化が積み重なっていきます。エキスパートルールでは手札枚数制限ルールが存在していなかったこともあり、攻撃力3000オーバーに到達することも不可能ではありませんでした。

 とはいえ、それだけ手札が潤沢であればそもそも「ムカムカ」に頼る必要性は薄く、やや本末転倒のきらいがあるカードでもありました。何より、手札4枚以下ではアタッカーラインを下回ってしまうという欠点が致命的すぎたことから、スーパーレアというレアリティの高さに反して、当時はロマンカードに近い扱いを受けていたと記憶しています。

 このように、「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」の誕生は当時の環境に大きな影響を及ぼしました。

 しかしながら、これらのサーチャーを最も効果的に運用することができたのは、【グッドスタッフ】でも【死のデッキ破壊ウイルス】でもありませんでした。

 【エクゾディア】です。

 

【封印されしエクゾディア】

・このカードに加え「封印されし者の左足・右足・左腕・右腕」が手札に全て揃った時、勝利が決定する。

 「封印されしエクゾディア」のテキストです。全てのエクゾディアパーツが手札に揃った場合、その瞬間にゲームに勝利することができるという規格外の能力を与えられています。

 【第1期の歴史12 東京ドームの乱 プレミアムパック販売中止事件】の記事でも触れましたように、他に類を見ない特殊なカードであり、誕生当時からこれを使いこなす方法が模索されていました。

 しかし、特殊勝利を狙うには単体では全く役に立たないカードを最低5枚デッキに積まなければならず、構築段階から相応に重い負担となって伸しかかります。

 何より、実際のゲーム中ではほとんどの状況で実質的な死に札となってしまうのが問題で、手札に来るだけで1枚分のディスアドバンテージを抱えてしまう欠点は流石に見過ごすことはできません。このディスアドバンテージは完成に近付くにつれて3枚、4枚と蓄積していくため、加速度的に状況が悪化していってしまいます。

 こういった事情から【エクゾディア】に特化したデッキを組むのは非常に困難であり、その道のプレイヤーが遊び心を持って【グッドスタッフ】に隠し味として投入する程度でした。

 しかし、「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」の誕生により、この状況が一変します。

 これらのサーチャーはエクゾディアパーツをサーチ範囲に含んでいたことから、パーツの回収速度が急激に上昇してしまったのです。

 序盤は使い減りしない壁として運用し、しかる後にエクゾディアパーツに変換していくことができるため、デッキの要素として一切無駄がありません。モンスター故に「死者蘇生」で使い回せるのもポイントで、二回分のサーチにより一気にエクゾディア完成に近付きます。

 エクゾディア完成間際の状況では、サーチャーによる自爆特攻も戦術として有効です。守備表示だった「クリッター(Vol.6)」がおもむろに「デーモンの召喚」に殴りかかってきた時などは、避けられない死のような何かを感じたものでした。

 言い換えれば、【グッドスタッフ】側はゲームが終盤に近付くにつれてサーチャーを戦闘破壊するリスクが膨れ上がっていく形となります。

 当時は「除外」や「デッキバウンス」などの除去方法が存在せず、基本的にモンスターの処理は墓地送り一択となっていました。そのため、相手フィールドに「残りのパーツ」以上の数のサーチャーが並んだ場合、いわゆる「詰み」に嵌り込んでしまいます。

 つまり、【グッドスタッフ】側はこうなる前に勝負を決める必要がありますが、【エクゾディア】側も「光の護封剣」を始めとした防御札を積むなどによって対策しており、最序盤にライフを削り切るのは至難の業です。

 そもそも、【エクゾディア】は当時の【グッドスタッフ】より遥かにキルターンが短い傾向にありました。僅か数ターンで決着がつくことは日常茶飯事であり、場合によっては先攻1ターン目でゲームが終わってしまうことすらあったほどです。

 こちらにターンさえ回ってこないまま負けてしまった時は、流石に唖然としたことを覚えています。

 当時、私はこの【エクゾディア】に全く太刀打ちできず、「どうしたら勝てるのかさっぱり分からない」という状況に陥っていました。

 カウンター罠を試すなど色々と試行錯誤した結果、結局「メタモルポット」「ニードルワーム」などでパーツを直接捨てさせる作戦に行き着いたのですが、それはそれであまり面白いゲームにはならなかったと記憶しています。

 いっそのこと自分も【エクゾディア】を組んでやろうと思ったのですが、どうしてもパーツが揃わず断念した苦い思い出があります。曖昧な記憶で恐縮ですが、確か下半身のどちらかが極端に供給不足となっており、店にすら在庫が無いという状況となっていました。

 胴体は3枚以上持っていたのですが……。

 

【まとめ】

 1999年11月18日当時に起きた変化は以上の通りです。

 二大サーチャーの誕生により、【エクゾディア】は扱いにくいデッキから一転、圧倒的な速度と安定性を手にし【グッドスタッフ】を環境の隅へと追いやりました。

 しかし、私の周囲では、意外にも【エクゾディア】使いのプレイヤーはそれほど見られなかったと記憶しています。そもそもパーツを揃えているプレイヤーが少なかったという事情も関係しているのかもしれませんが、やはり一番の理由は対人関係を考慮した結果だったのではないかと考えています。

 事実、私は友人から【エクゾディア】を借りて何度か回してみたのですが、デュエルを重ねる内に段々と気まずい空気になっていってしまい、「これはいけない」と使うのをやめた思い出が残っています。

 もちろん、これは個人の意見ですが、当時の状況を鑑みるに、恐らくは多数派の認識でもあったのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

スポンサーリンク