暗黒期到来 遺言状エクゾと無限射出バーン

2017年12月17日

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【前書き】

 【第1期の歴史18 メタルモンスターのロマン デッキで適用される召喚ルール効果】の続きになります。ご注意ください。

 メタルモンスターというロマン溢れるモンスターが誕生し、遊戯王OCGの金属愛好家界隈が僅かに賑わう形となりました。

 しかしながら、依然として【エクゾディア】一強の状況は動かず、【グッドスタッフ】は非常に苦しい立場に追い詰められていました。ほぼ「メタモルポット」を通せるか否かというゲームであり、それは【エクゾディア】と【グッドスタッフ】の戦いではなく、【エクゾディア】と「メタモルポット」の戦いと呼んだ方が正確だったのかもしれません。

 そんな折、【エクゾディア】と【グッドスタッフ】の格差を決定的にするカードが誕生してしまうことになります。

 

【当時の環境 1999年12月16日】

 1999年12月16日、「EX」が販売され、新たに17種類のカードが誕生しました。遊戯王OCG全体のカードプールは617種類となり、参入数としては微増にとどまる形となりました。

 この時の販売形態は【遊戯王 環境の歴史2 第1期 ブルーアイズとサンボル】で触れた「STARTER BOX」と同じく構築済みデッキとなっており、全ての商品で同一の収録内容となっています。収録カード枚数は102枚85種類、内68種類が既存カードと、非常に多くの再録があった構築済みデッキです。

 再録内容は豪華の一言で、「ブラック・ホール」「落とし穴」などの強力な除去カードを始めとして、「死者蘇生」「デーモンの召喚」「心変わり」といった当時の必須カード、また「岩石の巨兵」「ホーリー・エルフ」などの優秀な壁モンスターが揃っていました。

 カードをあまり持っていない初心者にとっては非常にありがたい収録内容であり、この商品のお陰で新規参入のハードルがぐっと下がったと記憶しています。

 もちろん、優秀な新規カードも誕生していたため、既にカードを揃えている先発組にとっても得るところの多い商品でした。

遊戯王版フォグ 和睦の使者

 その内の1枚は「和睦の使者」です。

・相手モンスターからの戦闘ダメージを、発動ターンだけ0にする。ターン終了後、このカードを破壊する。

 発動ターンのみ戦闘ダメージを0にする効果を持った罠カードです。この「ダメージを0にする」というのは自分のモンスターに対しても適用されるため、それらが戦闘破壊されることもなくなります。

 ほぼ確実に1ターン生き残ることができ、更にモンスターも残せるため、時間稼ぎとしても反撃の起点としても運用できます。当時現役だった「光の護封剣」には及ばないものの、4枚目以降の防御カードとして愛用されていく形となります。

 ちなみに、これを最も活かせたのは例によって【エクゾディア】でした。防御カードが6枚体制となったため、辛うじて狙えないこともなかった【グッドスタッフ】のワンショット戦法がほぼ封じられ、対抗手段はいよいよ「メタモルポット」を残すのみとなります。

無限ループの具現 遺言状

 しかし、この時には「和睦の使者」以上に【エクゾディア】に有利をもたらす、とてつもなく危険なカードが誕生していました。

 「遺言状(エラッタ前)」です。

・このターンに墓地へ送られたモンスター1体の代わりに、デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体をフィールド上に出すことができる。

 一見すると訳の分からないテキストですが、「発動ターン中、自分のモンスター1体がフィールドから墓地へ送られる度に、デッキからモンスター1体を特殊召喚する」効果となっています。

 そして一番重要なことですが、なんとこの効果には回数制限が存在しません。つまり、「遺言状(エラッタ前)」の効果で特殊召喚したモンスターが墓地へ送られた場合、更に「遺言状(エラッタ前)」の効果でモンスターを特殊召喚することができ、そしてそれをデッキのモンスターが尽きるまで無限に繰り返すことができます。

 これだけ聞くと何の意味があるのか分からない、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば「墓地へ送られることがメリットとなる」モンスターとの組み合わせでは凶悪な力を発揮します。

 当時最も多かったのは、「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」でライフの続く限り自爆特攻を繰り返し、大量にモンスターをサーチするという使われ方でした。

 もちろん、サーチされるのはエクゾディアパーツです。

 言い換えれば、「遺言状(エラッタ前)」を発動した状態で何らかのモンスターを墓地へ送り、サーチャーを呼び出して自爆特攻を5回行うことで一瞬でエクゾディアパーツを揃えることができます。モンスターの方は何でも構わないことから実質「遺言状(エラッタ前)」1枚コンボであり、そもそもコンボと呼ぶことにすら違和感を覚える状況です。

 こういった事情から、当時のゲームではモンスターを攻撃表示で出すことにすらリスクが生まれるようになり、【グッドスタッフ】は完全にデッキコンセプトを否定されてしまう形となりました。

 「ヂェミナイ・エルフ」などのアタッカーをまともに運用できなくなったため、必然的に【グッドスタッフ】は「メタモルポット」に全ての望みを託さざるを得なくなります。しかし、それはもはや【グッドスタッフ】でも何でもない別の何かでしかありませんでした。

 無理矢理デッキ名にするのであれば【メタモルポット】となるのでしょうが、コンセプトとして成り立っているかどうかは別の話です。事実上、【グッドスタッフ】が環境から姿を消した瞬間と言えるのではないでしょうか。

キャノン・ソルジャー 無限射出

 また、これとは別方向の相方として、「キャノン・ソルジャー」が突如環境に浮上した時期でもあります。

・モンスター1体を生け贄に捧げ、相手のライフポイントに500ポイントのダメージを与える。

 1999年11月18日、「Vol.6」に収録されていたモンスターです。モンスター1体をコストに相手に500ダメージを与える効果を持っています。

 コストとリターンが見合っておらず、単体では強いと言えるカードではありません。事実、誕生当時は全く注目を集めることのなかったカードです。

 しかし、「遺言状(エラッタ前)」との組み合わせにより、デッキにモンスターが残っている限り無限に射出を繰り返せるコンボが生み出されてしまいます。成功率についても、「遺言状(エラッタ前)」で「キャノン・ソルジャー」を呼び出せるため実質1枚コンボであり、非常に決まりやすい即死コンボとなっていました。

 ただし、こちらは決着までに16体分のモンスターを射出しなければならず、デッキ構築の面で相応の負担となることから【エクゾディア】ほどには流行しなかったと記憶しています。むしろ自爆特攻ができない状況下でも「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」を墓地へ送る手段を用意するために、【エクゾディア】にピン挿しされることの方が多かった印象です。

 ちなみに、【エクゾディア】に採用されるモンスターはいずれも低ステータスであったため、多少構築を意識するだけで無限射出ギミックの成立条件を満たすことができます。そのため、「メタモルポット」でエクゾディアパーツが捨てられるなど、何らかの理由でエクゾディアの特殊勝利条件を満たせなくなった場合のサブプランとしてデッキに搭載されることもありました。

 いずれにしても、【グッドスタッフ】ではどう足掻いても【エクゾディア】に対抗できなくなってしまった事実は動かず、遊戯王OCGのゲーム性は完全に崩壊を迎えてしまう形となりました。

 

【まとめ】

 1999年12月16日当時に起きた変化については以上となります。

 「遺言状(エラッタ前)」の誕生によって【エクゾディア】が遂に完全体となり、【エクゾディア】以外のデッキは例外なく生存権を失ってしまいました。

 しかしながら、あまりにもゲーム性に乏しすぎたからか、当時は【エクゾディア】の使用を自重する空気があり、文字通り「封印されし」デッキとしてプレイヤーに恐れられていくことになります。

 この状況は2000年4月の制限改訂で【エクゾディア】のメインパーツが規制されるまで続き、それまでは【エクゾディア】から目を逸らしながら【グッドスタッフ】同士で対戦するなど、表面上は平和なもののどことなく閉塞感のある状況が広がっていました。

 また、この「遺言状(エラッタ前)」には第2期開始直後に裁定変更が入り、1ターンに1度しか効果を適用できない仕様に変更されています。

 しかし、そもそも攻撃力1500以下でさえあればどんなモンスターでも呼び出せるという点が凶悪すぎたことから、様々な瞬殺コンボギミックに組み込まれていくことになりました。そういった意味でも、「遺言状.」は非常に悪名高いカードと言えるのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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