制限改訂2007/3/1 インフレ環境の一時収束

2018年12月14日

【前書き】

 【第5期の歴史17 風帝ライザー全盛期 制限行きになるほど使われた時代】の続きになります。ご注意ください。

 2007年初弾となるレギュラーパックから「風帝ライザー」という大型新人が参入し、当時の環境に【帝コントロール】復権の気配がにわかに広まりました。純粋にカードパワーが高いこともあって様々な方面から注目を集め、いくつかのデッキでは必須カードに近い立ち位置を確立したほどです。

 メタゲームの展望が新たな勢力の台頭に向かう中、続く3月の改訂によってその流れは決定的なものとなります。

 

制限改訂 2007年3月1日

 2007年3月1日、遊戯王OCGにおいて21回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の36枚です。

ヴィクトリー・ドラゴン 制限
聖なる魔術師 制限
デビル・フランケン 無制限
魔導戦士 ブレイカー 制限
天使の施し 制限
遺言状 制限
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
カオス・ソーサラー
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
キラー・スネーク(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
サイバーポッド
サウザンド・アイズ・サクリファイス
処刑人-マキュラ
月読命
同族感染ウィルス
ファイバーポッド
魔導サイエンティスト
八汰烏
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿(エラッタ前)
苦渋の選択
強引な番兵
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
死者蘇生
蝶の短剣-エルマ
ハーピィの羽根帚
ブラック・ホール
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
第六感
刻の封印
ラストバトル!

 

 制限カードに指定されたカードは以下の53枚です。

E・HERO エアーマン 無制限
N・グラン・モール 無制限
冥府の使者ゴーズ 無制限
オーバーロード・フュージョン 無制限
強奪 禁止
次元融合 無制限
連鎖爆撃 無制限
ハリケーン
封印の黄金櫃 無制限
マインドクラッシュ 無制限
異次元の女戦士
クリッター(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
人造人間-サイコ・ショッカー
神殿を守る者
魂を削る死霊
ダンディライオン
ドル・ドラ
深淵の暗殺者
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
マシュマロン
メタモルポット
森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)
黄泉ガエル
押収
大嵐
サイクロン
スケープ・ゴート
団結の力
月の書
手札抹殺
貪欲な壺
早すぎた埋葬
光の護封剣
抹殺の使徒
魔導師の力
魔法石の採掘
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
リミッター解除
レベル制限B地区
グラヴィティ・バインド-超重力の網-
激流葬
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
聖なるバリア -ミラーフォース-
血の代償
停戦協定
破壊輪(エラッタ前)
魔法の筒
リビングデッドの呼び声

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の11枚です。

D.D.アサイラント 制限
闇の仮面 制限
突然変異 制限
暗黒のマンティコア
見習い魔術師
強制転移
増援
ゴブリンのやりくり上手
光の護封壁
魔のデッキ破壊ウイルス
無謀な欲張り

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の4枚です。

お注射天使リリー 制限
ならず者傭兵部隊
ネフティスの鳳凰神 制限
成金ゴブリン

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動は23枚、うち15枚が規制強化、残りの8枚が規制緩和というバランスの取れた決定です。

 しかし、緩和されたカードの大半が過去のカード、つまり当時は使われなくなっていたカード群で占められており、実質は規制強化の意図が強く現れた改訂だったのではないでしょうか。

 

【エアゴーズ】への規制

 当時の改訂で最も大きな反響を呼んだのは、「E・HERO エアーマン」「冥府の使者ゴーズ」らに対する規制です。

 これら2枚は前期環境において支配的な採用率を誇っていたカードであり、特に「E・HERO エアーマン」はほとんどのデッキに無条件で3積みされるという末期的な状況を作り出していました。このようなパワーカードの存在が容認されるはずがなく、結果いきなりの制限カード指定という厳しい規制を受けています。

 これにより、「E・HERO エアーマン」は汎用アタッカーとしての強みをほぼ喪失することになり、また【エアブレード】などの専用デッキも解体に向かった形です。

(これには後述する「次元融合」「封印の黄金櫃」への規制も関係していました。)

 以降は【HERO】デッキ専用のサポートカードという位置に落ち着き、ある程度の評価を維持しつつも環境の中心からは距離を置いたと言えるでしょう。

 一方、「冥府の使者ゴーズ」の方は制限カード指定を受けながらも、依然有力な汎用パワーカードとして環境で使われ続けています。これは第5期どころか第6期以降も変わらず、環境が高速化を迎えてからも非常に長期に渡って高い評価を維持していました。

 こうした高評価には類似カードの少なさも関係していたものと思われますが、それを踏まえても「時代を先取りしすぎたパワーカード」だったことは間違いないのではないでしょうか。

 

汎用パワーカードへの規制

 当時の環境で猛威を振るっていたパワーカードは上記2枚だけではありません。

 「N・グラン・モール」「封印の黄金櫃」「マインドクラッシュ」の3枚が無制限カードから一気に制限カード行きとなっています。

 このうち、N・グラン・モール」は元々ピン挿しされるケースが大半でしたが、それでも採用率が高かったことに変わりはなく、ここで規制強化という決定に向かったことは妥当な流れです。

 後者2枚も前期環境では非常に重要な立ち位置にあり、特に「マインドクラッシュ」はメタゲームの都合から「3積みするしかないカード」と考えられていたほどでした。これはむしろ強烈な仮想敵が蔓延していたことによる、要は外部的な要因によるところの大きい使用率の高さでしたが、そもそもからして「ダスト・シュート」とのコンボが凶悪であったことも確かではあり、純粋にパワーカードとして規制を受けていたとも言えます。

 禁止カード界隈の動きとしては、「聖なる魔術師」「魔導戦士 ブレイカー」「天使の施し」の3枚が制限カードから一斉に禁止カードに指定されました。

 さらに、これまでワンキルゲーム発生装置として猛威を振るっていた「デビル・フランケン」が遂に禁止カード行きとなるなど、やや思い切った決定が取られています。とりわけ「デビル・フランケン」は長らく無制限カードという位置にとどまり続けており、これが突然禁止行きとなると予想できたプレイヤーは少なかったのではないでしょうか。

 とはいえ、当時においても【フラホルス】に始まる【フラ】系デッキのキーカードとして、また【ダークゴーズ】などのサイドスイッチプランとして3積みされることも増えていたため、流石に見過ごせなくなったということだったのかもしれません。

 

【チェーンバーン】への規制

 こうした汎用的な規制の他に、特定のデッキを狙い撃った調整も随所に見られます。

 前環境で地雷として猛威を振るった【チェーンバーン】に対する圧力として、「連鎖爆撃」が無制限カードから制限カードに規制強化されました。

 地雷とあるように、【チェーンバーン】はどちらかというと前期環境においては2番手以下の立ち位置にあったデッキです。しかし、メイン戦の対処の難しさ、またキルターンの速さなどのゲーム的に危険な要素に加え、何よりも開発側の意向としてバーンカードには厳しい姿勢が取られやすい傾向にあったことから、むしろここで対処の手が加わることは必然に近い成り行きだったとも言えるでしょう。

 

 続いて、第5期初頭環境の残党【未来オーバー】に対するとどめの一手として、「オーバーロード・フュージョン」「次元融合」の2枚が無制限カードから、「ハリケーン」が準制限カードから、それぞれ制限カードへと規制強化されました。

 とはいえ実際のところ、この頃には【未来オーバー】の勢力はかなり縮小方面に向かっており、メタゲームへの影響という意味ではそれほど大きな変化には繋がっていなかった印象です。むしろ「次元融合」などは【エアブレード】のキーカードでもあったことから、どちらかというと【エアブレード】のついでに手を入れられた向きが強かったとも言えます。

 しかし、後々の禍根を断つという意味では大いに頷ける話でもあり、その結果としてこのような決定に繋がったのではないでしょうか。

 

危険性の高いコンボカードへの規制

 その他、危険性の高いコンボカードへの対処として、「ヴィクトリー・ドラゴン」「遺言状」の2枚が同時に禁止カード指定を下されています。

 「ヴィクトリー・ドラゴン」は一度は禁止行きとなりながら、半年前の改訂で突如現役復帰を遂げていたカードです。当然のことながら様々な問題を再燃させてしまっていた曰く付きの存在であり、当改訂ではそれが再びあるべき場所に戻ってきたと言えるでしょう。

 一方、「遺言状」の方は具体的に何らかの形で悪用されていたということはなかったため、おおむね先を見据えた規制強化だったという印象はあります。もしくは、ルール面の不安定さから圧力がかかったという可能性もありますが、いずれにしても今となっては答えの出ない話です。

 

パワーカードの規制緩和

 当改訂における規制強化方面の出来事は上記の通りですが、これらとは逆に規制が緩められたカード群も存在します。前述したようにその大半は過去のカードの放流という形でしたが、メタゲームに大きな影響を与えた変更がなかったわけではありません。

 最大の出来事として、前回の改訂で禁止カード指定を受けていた「強奪」が制限復帰を遂げ、以降の半年間を最後の現役時代として過ごすことになりました。

 さらに、かつて【変異カオス】のキーカードとして猛威を振るった「突然変異」が制限カードから準制限カードに規制緩和されるなど、パワーカードとして名を知られる顔触れに調整が入った格好です。

 これらは当然の如く来期環境ではいくつかの問題を引き起こすことになったため、半年後の改訂では早々に禁止カードに逆戻りするという結末を迎えています。

 もっとも、この頃は「突然変異」はあまり使われなくなっていたため、当時の状況を鑑みる限りにおいては順当な規制緩和ではありました。これが禁止行きとなった背景には【デミスドーザー】の影響が色濃く現れており、それがなければ禁止カードになる時期は大幅に遅れていた可能性は高いです。

 それどころか、そもそも「突然変異」自体が極端に強いカードとは言えない部分もあるため、ひょっとすると禁止カードになることさえなかった、というのもあながちあり得ない話ではないのかもしれません。

 

【中編に続く】

 こうしたカードプールの大幅な変動によって、続く3月以降のメタゲーム勢力図はその姿を大きく変貌させていくことになります。

 中編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。