【未来オーバー】全盛期 第5期初頭環境の後攻1キルデッキ

2018年10月15日

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【前書き】

 【第4期の歴史29 グリーンバブーン全盛期 エラッタ前のあの頃】の続きになります。ご注意ください。

 2004年4月~2006年4月の2年間続いた第4期が終了し、その来月から第5期がスタートしました。ゲーム形式は前世代のものをそのまま引き継いでいる形であり、新エキスパートルール下では最後となる時代が始まっています。

 新たな時代の始まりにプレイヤーの期待が高まる中、5月中旬に第5期初弾となるレギュラーパックが販売されました。

 

【未来オーバー】のキーカード達

 2006年5月18日、レギュラーパック「POWER OF THE DUELIST」が販売されました。収録枚数は60枚ですが、再録カードが含まれるため新規カードは59種類です。遊戯王OCG全体のカードプールは2445種類に増加しています。

 「D-HERO ドグマガイ」や「ベビケラサウルス」など、後世において注目を集める強力なコンボカードのほか、「死皇帝の陵墓」を筆頭に優良カードの数々が収録されていたパックです。特に前者2枚はそれぞれ【ドグマブレード】【恐竜竜星真竜】のキーカードとして名を馳せ、環境においても大きな実績を残しています。

 そんな中、当時から一際異彩を放っていたのは「キメラテック・オーバー・ドラゴン」「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」「オーバーロード・フュージョン」の3枚のカードでした。

 これにより後攻1キルデッキ【未来オーバー】が成立し、第5期初頭環境におけるトップデッキの一角として猛威を振るうことになります。

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン サイバー流の極致

 【未来オーバー】の中核カード、「キメラテック・オーバー・ドラゴン」の当時のテキストは下記の通りです。

サイバー・ドラゴン」+機械族モンスター1体以上
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードの融合召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを全て墓地へ送る。このカードの元々の攻撃力と守備力は、融合素材にしたモンスターの数×800ポイントの数値になる。このカードは融合素材にしたモンスターの数だけ相手モンスターを攻撃する事ができる。

 まず何よりも目につくのは、融合素材として「カード名を指定しないモンスター」を、それも任意の数だけ要求していることでしょう。不特定の融合素材を持つモンスターとしては「F・G・D」などが既に存在していましたが、素材の数が可変となる融合モンスターはこれがOCG史上初です。

 さらに、素材にしたモンスターの数に応じた攻撃力を得る効果に加え、その分だけ(モンスターに対してのみ)複数回攻撃できる効果も備えています。第5期当時としては非常に画期的なデザインのモンスターであり、アニメでの活躍の影響もあって多くのプレイヤーから注目を集めていたカードです。

 とはいえ、これを素直な方法で運用しようとすると流石に重すぎることは否めず、既存のデッキに採用するのは難しい専用構築向けのカードでもありました。

 

未来融合(エラッタ前) 遊戯王最凶格の墓地肥やしカード

 その問題の一部を解決したのが「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」でした。

自分のデッキから融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、融合デッキから融合モンスター1体を選択する。発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に選択した融合モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 発動時の効果処理として融合モンスター1体を選び、その素材となるモンスターをデッキから墓地に送ることで、2ターン後のスタンバイフェイズにそれを特殊召喚することができるという永続魔法カードです。

 結論から申し上げればOCG最凶クラスの融合関連カードの1枚であり、かつては禁止カードの中でも指折りの極悪カードと恐れられていた存在でもあります。現在ではエラッタによって既に消滅しているため、規制の如何にかかわらず二度と使用できません。

 このカードを凶悪足らしめているのは、非常に緩い条件で任意のモンスターを墓地に落とせるという事実です。

 例えば「F・G・D」を選べば好きなドラゴン族を5体、「E・HERO アブソルートZero」などの各種属性指定モンスターを選べば事実上あらゆるモンスターを墓地に落とせることになります。つまり上記の「キメラテック・オーバー・ドラゴン」を組み合わせた場合、このカードだけで10体以上の機械族モンスターを墓地に送り込むといった荒業も容易に成し得てしまうのです。

 もちろん、本来の使い方である融合召喚効果の強さも意外に侮れません。2ターンのタイムラグに加え自壊デメリットも付随しますが、実質1枚のカード消費で融合モンスターを呼び出せるというのは当時としては破格な性能でした。

 ただし、「キメラテック・オーバー・ドラゴン」は融合召喚成功時に自分フィールドを更地にしてしまうデメリットがあるため、これだけでは召喚と同時に自滅してしまいます。そもそも「キメラテック・オーバー・ドラゴン」自体が火力特化のモンスターでもあり、その奇襲能力が失われるリスクは決して看過できるものではありません。

 

オーバーロード・フュージョン 「墓地融合」の代表格

 その欠陥をカバーしていたカード、それこそが「オーバーロード・フュージョン」です。

自分フィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、闇属性・機械族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 墓地のモンスターを素材として使用できる特殊な融合カードであり、その代表的な位置付けにある1枚です。代わりに融合先のモンスターが闇属性かつ機械族でなければなりませんが、もちろん「キメラテック・オーバー・ドラゴン」はこれに該当しています。

 というより、この時期のカードプールでは「キメラテック・オーバー・ドラゴン」を除けば「ガトリング・ドラゴン」にしか対応していなかったため、実質的には専用融合魔法カードとしてデザインされたカードだったとも言えるでしょう。

 ともあれ、これを上記の「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」と併用することにより、即座に即死火力級の「キメラテック・オーバー・ドラゴン」を呼び出してゲームエンドに持ち込むことができます。

 具体的なギミックは下記の通りです。

 

①:「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」で「キメラテック・オーバー・ドラゴン」を選び、デッキ内の機械族モンスターを任意の数だけ墓地に送る。

 

②:「オーバーロード・フュージョン」で墓地の機械族モンスターを素材に「キメラテック・オーバー・ドラゴン」を融合召喚する。

 

 これにより、攻撃力8000オーバーの全体攻撃能力持ちモンスターという怪物が一瞬で降臨するため、多くの場合そのままワンショットが成立します。事実上の2枚コンボであり、ワンショットキルという大きな見返りに反して成立条件があまりにも緩いと言うほかありません。

 これ以外にも有用なギミックは存在しており、例えば「次元融合」を絡めた制圧布陣なども非常に凶悪です。上記の機械族モンスターの中に「マジック・キャンセラー」や「人造人間-サイコ・ショッカー」を巻き込んで【お触れホルス】に近いロックを決める、といったギミックが組み込まれることもありました。

 俗に言う【次元キメラ】であり、またこの動きが「閃光の追放者」に対する「メタのメタ」にもなることから次第に注目度が上がっていき、最終的には【未来オーバー】における最有力型と呼ばれるまでに至っています。

(「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」は全体除外下でもカードの発動自体はでき、「次元融合」があれば友情コンボに近い形に持ち込めたため。)

 遂には逆に自分から「閃光の追放者」を積む型すら現れ始め、墓地利用というより除外利用デッキのような振る舞いをすることさえあったほどです。

 文字通りキメラのように姿を変えるデッキであり、後攻1キルという外見の派手さに反して対応力に優れたアーキタイプとして勢力を拡大していくことになります。

 

【当時の環境 2006年5月18日】

 当然のことながら、この【未来オーバー】の台頭は当時の環境に多大な影響を及ぼすこととなりました。

 単純なメタの変動量という意味では先月の【バブーン】の比ではなく、それこそ以前までのゲームバランスを一新してしまったほどです。具体的には「マクロコスモス」に始まる除外カードを基本に、和睦の使者」などの防御カードが標準的にサイドデッキに用意されるまでになっています。

 とりわけ顕著に表れたのが【閃光ガジェット】の躍進でした。

 これまでの環境でも主流デッキの一角として注目を集めていたデッキでしたが、以降は【未来オーバー】を含む墓地利用デッキ全般に強い強力アーキタイプとして一気に支配圏を拡大しています。むしろ最終的にはメタゲームにおける最大勢力に成長を遂げ、選考会では当デッキの使用率が過半数を占める事態にも繋がりました。

 とはいえ、この時期は【未来オーバー】も姿を見せたばかりであり、十分な対策の用意が進んでいない状況でもあったことは確かです。

 それどころか時間経過によって【未来オーバー】の構築が洗練されるにつれ、既存の主流デッキは相対的に苦しい立場に置かれることになりました。特に前改訂で弱体化していた【黄泉帝】の凋落は目に見えて明らかなものとなり、その後継として開発された【次元帝】も中堅クラスを抜け出せないままメタゲーム上位から姿を消しています。

 この時期の勢力図は大別して【閃光ガジェット】と【墓地利用系】に二分される格好となり、メタを張る側と張られる側に分かれて激しい争いが繰り広げられることになりました。

 

【まとめ】

 レギュラーパック「POWER OF THE DUELIST」の販売によって起こった出来事は以上となります。

 サイバー流関連の強力パーツの一斉輩出、そしてそれによる【未来オーバー】の成立など、非常に大規模な波及が起こっていたカードプール更新です。まさしく新時代の幕開けに相応しい劇的なスタートを切っており、当時の現役プレイヤー達が受けた衝撃は計り知れないものだったのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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