魔導戦士ブレイカー 遊戯王前半期最強の下級アタッカー

2018年3月1日

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【前書き】

 【第3期の歴史6 群雄割拠とマジック・キャンセラー 【ジャマキャン】の影】の続きになります。ご注意ください。

 【ジャマキャン】のデッキパーツ2種が誕生しつつも活躍の機会は訪れず、当時の環境はほぼ現状維持の状況が続いていました。とはいえ、メタが動いていないわけではなく、コンボデッキである【デビフラ1キル】への対策が標準的にサイドに用意されるようになるなど、少しずつ勢力図に影響が出てきています。

 一方、カードプール側の変化は僅かに書籍同梱カードが1枚現れたのみ(全1391種類)です。再録パックを除けば新商品の展開もなく、大きな動きは9月中旬のレギュラーパック販売を待つこととなりました。

 

【黒魔導の覇者 凶悪カードの大盤振る舞い】

 2002年9月19日、「黒魔導の覇者」が販売されました。新たに53種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1444種類に増加しています。

 やや実入りの乏しかった前弾とは一転して、非常に多くのパワーカードの収録があったことで知られているパックです。規制経験のあるカードは4枚と平均以上の水準であり、さらに将来的にコンボデッキのキーカードを務める危険なコンボパーツも多数含まれていました。

 中でも【図書館エクゾディア】の「王立魔法図書館」、【ガエルドライバー】の「マスドライバー」は特に有名なのではないでしょうか。

魔導戦士 ブレイカー 露骨に強すぎる1900族

 もちろん、純粋に1枚で強いパワーカードについても有名どころは少なくありません。

 その筆頭は、まず間違いなく「魔導戦士 ブレイカー」に他ならないでしょう。

このカードが召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを1個乗せる(最大1個まで)。このカードに乗っている魔力カウンター1個につき、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。また、魔力カウンターを1個取り除く事で、フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。

 召喚時に魔力カウンターを自身に乗せる効果、魔力カウンター1つにつき攻撃力を300上げる効果、魔力カウンターを取り除いて魔法・罠カード1枚を除去する効果、合計3つの効果を与えられています。一見すると複雑な効果を持っているようにも見えますが、要するに「攻撃力を300下げることでサイクロンを発動できるヂェミナイ・エルフ」と考えて差し支えありません。

 結論を先に申し上げますと、この「魔導戦士 ブレイカー」は極めて高いカードパワーを誇る第3期最強格の下級アタッカーです。むしろ第3期どころか遊戯王前半期を代表する下級アタッカーと言っても過言ではないのではないでしょうか。

 まず、攻撃力1900という優秀なステータスがこのカードの安定した強みを支えています。素の攻撃力は1600ですが、魔力カウンターで強化が入るため実質の打点は1900です。これは第1期から年単位に渡って主力アタッカーを務めていた「ヂェミナイ・エルフ」と同等の攻撃力であり、その有用性については語るまでもないでしょう。

 もっとも、この時期は「ブレイドナイト」の全盛期であった関係上、1900ラインのアタッカーはかなり評価を落としていたことは否めません。下級アタッカーとして十分な戦闘力を持ち合わせていたのは事実ですが、当時に限れば純粋な攻撃力目当てにこれが使われるケースは少なかったものと思われます。

 よって本命は後半の魔法・罠除去効果となりますが、こちらは率直に申し上げて「常識外れに強い」効果です。

 単純にノーコストで「サイクロン」が撃てるため、ほぼどんな状況であっても相手の魔法・罠カードと1:1交換が行えます。ただし、こちらには1600打点の準アタッカーが場に残ることになり、結果的に0:1交換が成立します。

 つまり、第3期のモンスターとしては極めて異質なことに、ほぼリスクを冒さずアドバンテージを獲得できてしまうということです。魔力カウンターを使う前に除去を当てられる、あるいは使った後に戦闘破壊されてしまった場合は有利を取り返されてしまいますが、その場合ですら1:1交換に収まり、全く損をしていないことになります。

 大前提として、この時期に使われていた除去効果持ちモンスターは1:1交換が基本であり、「ならず者傭兵部隊」などの自身を犠牲にするものが大半を占めていました。

 そして、それですら高い評価を受けていた状況となっており、そうしたゲームバランスの中に現れた「魔導戦士 ブレイカー」の存在は異端ですらあったと言えるでしょう。

 もちろん、純粋に除去として見た場合の信頼性も高く、「王宮の勅命(エラッタ前)」を始めとするロック系カードを単独で突破できるなど、その圧倒的な利便性は尋常ではありません。加えて、それだけ優秀な効果を持ちながら「ヂェミナイ・エルフ」並の戦闘能力を有している始末です。

 「ヂェミナイ・エルフ」として小型モンスターを討ち取り、さらに「サイクロン」をノーコストで発動してアドバンテージを取ったのち、最終的に準アタッカーとして居座るというのは何かがおかしいと言わざるを得ません。誰の目にも明らかなパワーカードであり、往年の「ニュート」同様、露骨に強すぎるという評価が当てはまるモンスターです。

 「黒魔導の覇者」におけるトップレアの一角に輝いていたことは言うまでもなく、当時のプレイヤーが目の色を変えるほどの強烈な存在感を放っていました。

1900族のバーゲンセール

 「魔導戦士 ブレイカー」の衝撃に隠れがちですが、実は同パックにはこれ以外にも2体の1900アタッカーが収録されています。

自分または相手が魔法を発動する度に、このカードに魔力カウンターを1個乗せる(最大3個まで)。魔力カウンターが3個乗っている状態のこのカードを生け贄に捧げる事で、自分の手札・デッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」を1体特殊召喚する。

全身がサファイアに覆われた、非常に美しい姿をしたドラゴン。争いは好まないが、とても高い攻撃力を備えている。

 それぞれ「熟練の黒魔術師」と「サファイアドラゴン」のテキストです。後者はフレーバーテキストであることから分かるように、「ヂェミナイ・エルフ」同様バニラモンスターとなっています。

 しかし、こちらは守備力が1600と高く、準アタッカークラスの攻撃を受け流せる硬さを誇ります。アタッカーとして運用する場合は大きな違いにはなりませんが、事実上の上位互換カードであることは疑いようもありません。

 「熟練の黒魔術師」に至ってはメリット効果がついている上に、守備力も1700と「サファイアドラゴン」すら上回っている始末です。下級モンスターのステータスのインフレが発生していることは明らかであり、当時の開発側の間でステータスの基準値を引き上げる決定があったことは恐らく間違いないでしょう。

 これまではエースアタッカーの象徴とも言えた1900ラインは有り触れた基準に成り下がり、そのラインを築き上げていた「ヂェミナイ・エルフ」「ブラッド・ヴォルス」の2大巨頭も雑踏の中に消えていくことになりました。

 

【中編に続く】

 「黒魔導の覇者」に収録されていたカードのうち、1900アタッカー関連の話については以上です。

 やはり何をおいても「魔導戦士 ブレイカー」の存在感は異様であったと言うほかありません。まさしく「強いことしか書かれていないカード」であり、当時の下級アタッカーの中では明らかに飛び抜けた性能を持ち合わせていました。

 もちろん、こんなカードが野放しにされるはずもなく、次の制限改訂では早々に制限カードに指定されています。しかし採用率が落ちることはなく、あまりにも高い使用率から一時期は禁止カードに指定されていたこともあったほどです。

 現在では環境の変化から無制限カードに落ち着いていますが、このカードの活躍が印象に残っている方は少なくないのではないでしょうか。

 そんな「魔導戦士 ブレイカー」ではありますが、実はこのカードの存在は前座に過ぎませんでした。

 遊戯王OCG屈指の極悪カード、「魔導サイエンティスト」の参戦です。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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