マジック・キャンセラーの誕生 【ジャマキャン】の影

2018年2月28日

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【前書き】

 【第3期の歴史5 昔は強かったブレイドナイト 第3期の英雄】の続きになります。ご注意ください。

 「ブレイドナイト」という強力な高打点アタッカーが誕生したことを受け、当時の下級ラインが遂に崩れ去ることになりました。ヂェミナイ・エルフ」などの1900ラインアタッカーは信頼性を著しく損ない、採用率も大きく低下しています。

 有力な新人の参戦によって環境が揺れ動く中、7月中旬にレギュラーパックの販売が行われました。

 

【ユニオンの降臨 そこはかとない塩パック】

 2002年7月18日、「ユニオンの降臨」が販売されました。新たに54種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1390種類に増加しています。

 パック名の通り、「ユニオン」と呼ばれるモンスター群をメインテーマに据えているのが最も大きな特徴です。合計で6セットのユニオンモンスターが誕生し、中には原作漫画で活躍した【XYZ】シリーズも含まれていました。

 しかし、ゲーム面での性能は残念ながら並以下と言わざるを得ず、まともに専用デッキを構築するのも難しい状況でした。辛うじて【XYZ】は原作ファンの間で組まれることもありましたが、いわゆるキャラデッキであることは否めず、やはり活躍の機会はカジュアルな場にとどまっています。

 こうした「ユニオン」の苦しい評価はこの時期以降も覆ることはなく、十余年もの長い間失敗メカニズムとして見られる立場にありました。地位向上の機会は遥か未来である第6期の「マシンナーズ・ギアフレーム」、ひいては第9期の【ABC】の誕生を待つことになります。

 「ユニオン」モンスター以外にも見どころはあり、一撃必殺ロマン砲の異名を持つ「波動キャノン」や、【デッキ破壊1キル】の強烈なメタとなり得る「ネコマネキング」、リクルーター・サーチャー潰しの「異次元の狂獣」、珍しい盤面制圧効果を持つ「カイザーコロシアム」など、いくつかの優良カードが収録されています。

 しかしながら、いずれも目玉カードと言うには少々小粒であり、前弾と比べて内容に濃さがないことは否定できません。禁止・制限カードに名を連ねたことのあるカードが1枚も存在しない事実からもそれが窺えるでしょう。

マジック・キャンセラー 魔法版サイコショッカー

 もっとも、当時のメタゲームに影響を及ぼしたカードが存在しなかったわけではありません。

 1枚目は「マジック・キャンセラー」です。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り魔法カードは発動できず、全てのフィールド上魔法カードの効果は無効になる。

 これがフィールドに存在する限り永続的に魔法カードを無力化する効果を持っています。まさしく魔法版「人造人間-サイコ・ショッカー」とも言うべきモンスターであり、その強烈な制圧能力から当初は非常に多くの注目を集めていたモンスターです。

 しかし、実はこのカードはある一つの大きな欠陥を抱えていました。なんと上級モンスターにもかかわらず攻撃力が1800しかなく、下級アタッカーにすらあっさり戦闘破壊されてしまう虚弱性を持ち合わせていたからです。

 これこそが「人造人間-サイコ・ショッカー」との致命的な格差であり、「マジック・キャンセラー」が一般的なデッキで流行しなかった最大の理由でもあります。それでも効果の強力さを見込んで一部ではしばらく試行錯誤が行われていましたが、やはり打点の低さという問題は解決が難しく、次第にそうしたプレイヤーからも見放されていきました。

 いずれは【ジャマキャン】の主力として活躍するモンスターではありますが、この時点では収納ファイル内で眠りに就いていた不遇のモンスターです。

群雄割拠(大嘘)

 同じく【ジャマキャン】のキーカードとして、「群雄割拠」という永続罠カードも挙げられます。

お互いのプレイヤーはそれぞれ種族が1種類になるように、フィールド上の自分のモンスターを墓地へ送る。このカードが存在する限り、お互いに自分のフィールド上に出せるモンスターの種族はそれぞれ1種類だけになる。

 やや込み入ったテキストですが、一言でまとめると「お互いにそれぞれ1種族しかモンスターをコントロールできなくなる」という効果です。厳密にはもう少し複雑な処理を行うカードではあるものの、記事スペースの都合から細部についてはここでは省略いたします。ご容赦ください。

 性能を見る場合、やはり強制的に種族統一を強いる効果は強烈の一言であり、単体でも高い制圧力を発揮します。特に当時の主流デッキである【八汰ロック】【トマハン】の主力モンスターは見事に種族がバラけており、これが張られているだけで大きく動きを制限されることは言うまでもありません。

 【デビフラ1キル】に至ってはコンボを決めることすらできなくなり、デッキコンセプトそのものが成り立たなくなる始末です。「サイクロン」などで速やかに対処できなければ敗北は免れないでしょう。

 総評としましては、この「群雄割拠」は環境においても極めて高い影響力を持ち合わせており、サイドデッキの常連パーツにもなり得る優秀なメタカードという印象です。もちろん、単純に使っても弱くはなく、デッキによってはメインから採用することも十分に考えられるのではないでしょうか。

 とはいえ、このカードを張る時点で1枚分のカード・アドバンテージを消費していることには注意しなければなりません。漠然とデッキに入れるだけでは役には立たず、最悪自分の首を絞めるだけで終わってしまいます。

 メタカードとして見た場合であっても、例えば【八汰ロック】【デビフラ1キル】対策としてこのカードを使うというのは考えにくく、役割の焦点がぼやけていることは事実です。そのため、有力な効果を持ちながらも当初はそれほど注目されておらず、やや影が薄いカードであることは否めませんでした。

 ちなみに、「群雄割拠」という言葉の意味とは真逆のことが起こるとして知られているカードでもあります。当時の開発側の独特なセンスが光る1枚です。

組めそうで組めない【ジャマキャン】

 こうした事情もあり、多数のデッキパーツを獲得しつつも【ジャマキャン】の成立には至らず、これらのキーカードも環境で活躍の機会を得ることはありませんでした。

 そもそも【ジャマキャン】というのはデッキ名の通り「おジャマトリオ」と「マジック・キャンセラー」を中核に据えた【ロックバーン】の一種であり、同時に【メタビート】の開祖でもあるデッキです。【グッドスタッフ】のようにパーツの代替が利くタイプのデッキではなく、やはり2大キーカードの片割れである「おジャマトリオ」なしで構築するというのは無理があると言わざるを得ません。

 【マジキャン】と称し、強引に似たようなコンセプトのデッキを組めないこともありませんが、どちらにせよ【ジャマキャン】ではないことは確実であり、デッキの成立は2002年の終盤を待つことになりました。

 

【当時の環境 2002年7月18日】

 「ユニオンの降臨」から多数の新規カードが現れ、カードプールが大幅に更新されています。

 しかし、いずれも小粒のものが多く、当時の環境を大きく動かすカードは特に見当たらない状況でした。第3期のパックとしては珍しいことですが、いわゆる「塩パック」という評判をつけられていたことは否定できません。

 将来的には【ジャマキャン】のキーカードを務めることになる「マジック・キャンセラー」や「群雄割拠」もこの時点では評価が振るわず、当時の3強環境が揺らぐ気配もありませんでした。

 

【まとめ】

 「ユニオンの降臨」販売によって起こった出来事は以上となります。

 パック販売直後は目立った影響がありませんでしたが、カードプールの変化によって徐々に浮上していったカードが多かったという印象です。とりわけ「マジック・キャンセラー」と「群雄割拠」の2枚は【ジャマキャン】のキーカードを務めたほどであり、その成立以降の環境では大きな存在感を示していくことになりました。

 もっとも、前弾の「新たなる支配者」と比較した場合、かなり薄味であったことはやはり否定できませんが……。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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