制限改訂2009年9月 ダーク・ダイブ・ボンバー禁止カード行き

2019年3月25日

【前書き】

 【第6期の歴史20 ガーディアン・エアトス全盛期 専用デッキ【次元エアトス】の活躍】の続きとなります。ご注意ください。

 「ガーディアン・エアトス」の参戦を受けて【次元エアトス】のひな形がおぼろげに成立し、間もなく【除外メタビ】の代表格として名を馳せることになりました。こうしたOCG面での評価の高さもさることながら、何よりアニメでの活躍もあってファンアイテムとしての人気も高く、結果として多くのプレイヤーから注目を受けていたカードです。

 新戦力の台頭の気配に環境が少なからず反応を見せる中、続く9月に第6期後期の行く末を決める重要な制限改訂が行われることになります。

 

制限改訂 2009年9月1日

 2009年9月1日、遊戯王OCGにおいて26回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の45枚です。

ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前) 無制限
死者蘇生 制限
生還の宝札 制限
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) 制限
ヴィクトリー・ドラゴン
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
キラー・スネーク(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サイバーポッド
サウザンド・アイズ・サクリファイス
処刑人-マキュラ(エラッタ前)
聖なる魔術師
月読命
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)
デビル・フランケン
同族感染ウィルス
ファイバーポッド
魔導サイエンティスト
八汰烏
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿(エラッタ前)
押収
苦渋の選択
強引な番兵
強奪
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
次元融合
蝶の短剣-エルマ
天使の施し
ハーピィの羽根帚
早すぎた埋葬
ブラック・ホール
突然変異
遺言状
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
第六感
刻の封印
破壊輪(エラッタ前)
ラストバトル!

 

 制限カードに指定されたカードは以下の63枚です。

終焉の王デミス 無制限
召喚僧サモンプリースト
BF-疾風のゲイル 無制限
ブラック・ローズ・ドラゴン 無制限
メンタルマスター 無制限
レスキューキャット(エラッタ前)
精神操作 無制限
大寒波 無制限
ワン・フォー・ワン 無制限
神の宣告 無制限
リビングデッドの呼び声 禁止
E・HERO エアーマン
カードガンナー
剣闘獣ベストロウリィ
クリッター(エラッタ前)
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)
サイバー・ドラゴン
スナイプストーカー
ゾンビキャリア
ダーク・アームド・ドラゴン
魂を削る死霊
ダンディライオン
深淵の暗殺者
N・グラン・モール
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
マシュマロン
冥府の使者ゴーズ
メタモルポット
黄泉ガエル
大嵐
オーバーロード・フュージョン
巨大化
緊急テレポート
高等儀式術
サイクロン
地砕き
スケープ・ゴート
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)
増援
団結の力
手札抹殺
ハリケーン
光の護封剣
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
名推理
モンスターゲート
リミッター解除
レベル制限B地区
異次元からの帰還
おジャマトリオ
グラヴィティ・バインド-超重力の網-
激流葬
聖なるバリア -ミラーフォース-
ダスト・シュート
停戦協定
転生の予言
光の護封壁
魔法の筒

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の17枚です。

カオス・ソーサラー 制限
氷結界の虎王ドゥローレン 無制限
馬頭鬼 制限
ローンファイア・ブロッサム 無制限
奈落の落とし穴 無制限
ゴブリンゾンビ
裁きの龍
D-HERO ディアボリックガイ
ネクロフェイス
闇の仮面
おろかな埋葬
連鎖爆撃
封印の黄金櫃
魔法石の採掘
闇の誘惑
血の代償
マインドクラッシュ

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の6枚です。

異次元の女戦士 制限
風帝ライザー
魔導戦士 ブレイカー 制限
森の番人グリーン・バブーン
地割れ 制限
デステニー・ドロー

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動26枚、うち規制強化が17枚、規制緩和が9枚となっており、全体的に規制強化の枚数が多めに取られていた改訂です。

 さらに、無制限カードから一気に厳しい規制を受けたカードも多く、それだけ当時の環境に危険な兆候が生まれていたと言えるでしょう。

 

凶悪なシンクロモンスターへの規制

 「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」が禁止カードに指定されています。

 もはや説明が不要になるほどの壊れカードであり、当時のあらゆるデッキで最強のフィニッシャーとして暴れ回っていたモンスターです。単純にOCG環境のゲームスピードを大幅に加速させていたことに加え、一部のループコンボの射出台としても悪用されていた背景もあり、問答無用で無制限カードから一気に禁止カード行きを宣告されたのではないでしょうか。

 一方、「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」ほどではないにしろ環境を荒らしていたカードへの対処として、ブラック・ローズ・ドラゴン」が制限カードに指定されたことも出来事としては見逃せません。

 制限カード止まりである以上は全体除去の脅威が消えたわけではありませんが、一度しか使えなくなったことで使用タイミングの見極めが重要になり、逆に使われる側は1度防げばリセットに怯える必要がなくなるなど、結果としては環境の健全化に一役買った形です。

 

 準制限カードだった「レスキューキャット(エラッタ前)」「召喚僧サモンプリースト」の2枚が制限カードに規制強化されています。

 いずれも【レスキューシンクロ】では確定で2枚積まれていたカードであり、これに対する規制は【レスキューシンクロ】のみならず【猫】系デッキ全般にとって大打撃となりました。カード自体の強さが失われたわけではありませんが、流石に制限カード2種を軸にデッキを組むのは無理があり、アーキタイプとしては大幅な衰退を余儀なくされた形です。

 また、主流の型ではないにせよ【猫姫】などで密かに活躍していた「ローンファイア・ブロッサム」も準制限カード行きとなるなど、総じて【レスキューシンクロ】というアーキタイプそのものを強く意識した改訂となっていました。

 

【BF】への規制

 「BF-疾風のゲイル」が制限カードに指定されています。

 【BF】のサポートカードとしての強さはもちろんのこと、単純に汎用チューナーとしても極めて優秀なカードであり、結果としてデッキを選ばずに複数枚積まれるという状況を生み出していました。このことがゲームバランスの悪化を引き起こしていたことは言うまでもなく、そのため誕生から1年未満で制限カード行きという厳しい決定に向かったものと思われます。

 とはいえ、「黒い旋風」のサーチに対応しているという取り回しの良さは失われておらず、【旋風BF】にとっては見た目ほど大きな痛手には繋がっていません。

 しかし、逆に「黒い旋風」のサーチ能力に頼れない【墓地BF】ではかなり厳しい規制となり、デッキパワー及び展開力を大幅に低下させてしまうことになりました。

 

【アンデット族】への規制緩和

 「馬頭鬼」が制限カードから準制限カードに規制緩和を果たしています。

 前回の改訂で大幅にデッキパワーを落とした【シンクロアンデット】でしたが、これにより「多少無理をすれば組めなくもない」というレベルにまで力を取り戻しました。また純構築だけでなく【ライトロード】と組み合わせた【ライロアンデット】と呼ばれる型も考案されており、こちらは9月以降のトーナメントシーンでも実績を残していくことになります。

 

汎用パワーカードへの規制

 「大寒波」「精神操作」「神の宣告」など、当時の環境を代表するパワーカードが一斉に制限カードに指定されています。

 特に「大寒波」はワンキル前の露払いや先撃ちによる疑似的な制圧カードとして濫用されており、単体のカードでありながらメタゲームにも強い影響を及ぼしていました。2007年3月環境を境に評価を急上昇させていたカードですが、ここで遂に対処が入った格好です。

 また、上記3種ほどではありませんが汎用除去として多用されていた「奈落の落とし穴」も準制限カードとなっています。こちらは「大寒波」とは違い防御的な意味合いが大きいカードでしたが、それでも当時の環境ではずば抜けた採用率(※)を誇っていたため、一旦は準制限という形でクッションを置いた規制を挿んだのではないでしょうか。

(※当時は「積むしかない必須除去」というような扱いでした)

 その他、「死者蘇生」「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」の2枚が禁止カード行きとなったことも大きな出来事の一つです。

 特に「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」は2004年3月2004年9月環境を【ミーネ・ウイルス】として席巻して以来、長らく制限カードの立ち位置にとどまり続けていたカードであり、これが突然禁止行きになると予想できたプレイヤーは少なかったのではないでしょうか。

 もっとも、当時であっても【墓地BF】などを中心に疑似エンドカードとして使われ続けていた以上、もはやこれ以上は「ウイルス地獄」の脅威を放置できないという判断があったのかもしれません。

 

一部のワンキルコンボへの規制

 「継承の印」を絡めたループギミックへの対処として、「氷結界の虎王ドゥローレン」が準制限カードに、「生還の宝札」が禁止カードに、それぞれ規制されています。

 汎用性の高いコンボではなく、実際に環境レベルでは特に影響を及ぼさなかったギミックですが、ここに「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」などの射出カードを組み込むことで先攻1キルが成立する危険性は無視できません。ギミックの大半がエクストラ内だけで完結する(※)という出張適性の高さもあり、恐らくは今後の悪用を防ぐ意図もあったのではないでしょうか。

(※この頃は「継承の印」が規制されておらず、「パワー・ツール・ドラゴン」で確実にサーチすることもできました)

 また、これに絡んだ話として「ワン・フォー・ワン」も制限カードに指定されています。

 これは上記ギミックの搭載先として【ガエル】がよく選択されていたためで、イレカエル」や「フィッシュボーグ-ガンナー」の安易なリクルートを抑止するための規制です。純粋な【ガエル】にとってはとばっちりのような話ですが、元々この時期の【ガエル】はむしろワンキルコンボこそが数少ない取り柄という面もあったため、「一周回ってとばっちりではない」などと言われることもありました。

 その他、「メンタルマスター」や「終焉の王デミス」といった面々も制限カード指定を受けています。

 「メンタルマスター」は「脳開発研究所」を絡めたコンボが知られていましたが、それ以上に海外環境では【サイキック族】が流行していたことが大きく、実質的には海外に合わせる形で規制が入った状況となります。

 「終焉の王デミス」は言わずと知れた【デミス】系デッキのキーカードであり、この時期は「ブラック・ボンバー」「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」を搭載した【デミスボンバー】と呼ばれる地雷デッキが考案されていました。もちろん、流石にトーナメントレベルのデッキではありませんでしたが、そもそも「終焉の王デミス」自体が当時の基準ではパワーカードだったという背景もあり、念を入れて規制強化に向かったものと思われます。

 

過去のパワーカードへの規制緩和

 「魔導戦士 ブレイカー」「異次元の女戦士」「風帝ライザー」「地割れ」など、過去の環境で猛威を振るったパワーカードが一斉に無制限カードに釈放されています。

 とはいえ、いずれもこの頃にはパワーカードというほどの強さは維持できなくなっており、環境に与えた影響はごく小さなものにとどまっていました。一応、「魔導戦士 ブレイカー」が3枚積めるようになったことはそれなりに話題を呼んでおり、デッキによっては採用実績を残すこともありましたが、やはりかつてのような必須アタッカーとしての権威は失ってしまったというのが実情です。

 また、前回の2009年3月で制限復帰を果たした「カオス・ソーサラー」がさらに準制限カードに緩和されるなど、かなり大胆な調整も随所に見られます。

 ただし、こちらは来期環境で【ライトロード】などを中心に猛威を振るい、結果再び制限カードに逆戻りするという経緯を辿っています。そのため、上記のカード群のように過去のカードと扱われることはなく、むしろかつての脅威を思い起こさせる往年のパワーカードとしてその強さを再認識されることになりました。

 

【後編に続く】

 このように、前期環境を動かしていたカード群に様々な部分から調整が入ったことにより、以降の環境も大きく様変わりしていくことになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史