【レスキューシンクロ】大幅衰退 ワンキル環境の一時沈静化
【前書き】
【第6期の歴史21 制限改訂2009/9 ダーク・ダイブ・ボンバー禁止カード行き】の続きとなります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。
【レスキューシンクロ】系列デッキの衰退
当然のことながら、当改訂で最も大きなダメージを負った勢力は【レスキューシンクロ】でした。
デッキの中核をなす「レスキューキャット(エラッタ前)」「召喚僧サモンプリースト」の2枚が制限カードになったダメージは極めて重く、根本的に【レスキューシンクロ】というアーキタイプを成り立たせることが困難になってしまっています。一応、これ以降も代替構築が模索されていたことはありましたが、結局それが環境レベルで形になることはなく、実質的にはこれをもって第6期環境からの撤退を余儀なくされてしまった格好です。
しかし、「レスキューキャット(エラッタ前)」自体のカードパワーの高さは健在であり、その活躍の場が失われていたわけではありません。
その後は【剣闘獣】や【魔轟神】の汎用サポート枠、つまりカード単位での活躍が中心になっています。単純にカード1枚からモンスター2体を展開するカードとして見るだけでも非常に強く、「デッキの核にはならないものの引ければ強いパワーカード」というポジションを確立していきました。
一方、「召喚僧サモンプリースト」の方はコストの兼ね合いから汎用カード扱いを受けることはなく、環境での存在感も次第に薄れていっています。
しかし、リクルートカードとしての有用性はカードプールの増加によって以前よりも増しており、またその傾向が時間経過とともに強まり続けていたことも事実です。そのため、これ以降は非常に長期間に渡って制限・準制限にとどまる形となり、無制限カードへの釈放は遠い未来である第10期を待つことになりました。
寒波DDB消滅 ワンキル環境の一時沈静化
他方では、環境全体の傾向としてゲームスピードの高速化にようやく歯止めがかかったことが大きな変化に数えられます。
「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」の禁止カード化はもちろんのこと、「大寒波」の制限カード化がメタゲームに大きな影響を及ぼしたことは間違いありません。これまでの環境では「大寒波」が通る≒ゲームに負けるというバランスが成立していたと言っても過言ではありませんでしたが、以降はこうした状況に遭遇することはレアケースになりました。
また、逆に「大寒波」を使う側も「大寒波」3積みを前提とした攻撃的なデッキ構築を行うことができなくなり、短期決戦に特化したコンセプトを取るメリットが薄くなった形です。そのため、むしろ中長期戦を意識した構成を取った方が安定して勝てると言われるようになり、結果的にゲームスピードが低速化するという流れにも繋がっています。
【メタビート】の復権 【次元エアトス】ほか
こうしたゲームスピードの低速化を追い風として受けたのは、言うまでもなく【メタビート】などの各種コントロールデッキでした。
というより、【レスキューシンクロ】の大流行に伴う「大寒波」時代に飲み込まれていた勢力がようやく息を吹き返したと言った方がよく、どちらかと言うとマイナスがゼロに戻ったというのが正確な表現です。なおかつ、そこからプラスにまで立て直したのが【次元エアトス】などの【次元】系メタビであり、逆に2009年9月環境のメタがそれだけ墓地利用に強く寄っていた(※)と言い換えることもできるでしょう。
(※これについては【ライトロード】の流行が強く関係していました)
同様に、【剣闘獣】を筆頭とする【罠メタビ】系デッキも立場を回復させています。
これは「レスキューキャット(エラッタ前)」の規制によって【猫剣闘獣】が実質構築不可能になったことも関係しており、カードプールの変化を受けて元々のコンセプトに回帰した格好です。さらに、上述の通り環境的に墓地利用が増えたことで【次元剣闘獣】の価値が上昇したため、引き続きメタの一角として存在感を示していくことになりました。
その他、これまでビートダウン一辺倒だった【BF】も「王宮の弾圧」などのメタ側に寄せたカード選択を取るようになるなど、環境全体を通してコントロール色の強いバランスに移行しつつあったことが窺えます。
いずれにしても、この時の制限改訂を境にメタゲームの様相が大きく転換したことは間違いなく、遊戯王全体を見渡しても中々見られない激動の改訂だったのではないでしょうか。
【まとめ】
前記事と合わせて、2009年9月の改訂で起こった大まかな出来事は以上となります。
2009年上半期を支配していた【レスキューシンクロ】の衰退を筆頭に、様々な部分にまで影響が及んでいた大規模な制限改訂です。これまでの環境をリセットするかのような調整内容であり、この改訂こそが第6期後期環境の流れを決定付けたと言っても過言ではないでしょう。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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