レスキューキャット(エラッタ前) シンクロ全盛期の引き金

2019年2月27日

【前書き】

 【第6期の歴史2 氷結界の龍ブリューナク参戦 エラッタ前のバウンス地獄】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

レスキューキャット超強化 禁止カード以上の壊れカード

 デュエルターミナル第1弾のスタートによって大幅に強化を遂げたカード、それは「レスキューキャット(エラッタ前)」と呼ばれるモンスターでした。

自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体をフィールド上に特殊召喚する。この方法で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 自身を墓地に送ることで、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体をリクルートする効果を持ったモンスターです。ただし、この効果で呼び出したモンスターはエンドフェイズに自壊してしまうというデメリットがあります。

 レベル3以下の獣族を自由に呼び出せると言えば聞こえはいいですが、第5期以前のカードプールではリクルート先が貧弱すぎたことは否定できません。そのため、これまでは【宝玉獣】やリクルート特化型【バブーン】のサポート(※)、あるいは「邪悪なるワーム・ビースト」を呼び出して手札を増やす程度の使い道しかありませんでした。

(※さらに言えば、そうしたデッキも強さとしてはファンデッキの域を出なかったため、環境レベルではほぼ意識されていないカードだったことは事実です)

 しかし、デュエルターミナルから現れた「X-セイバー エアベルン」の存在により、このような「レスキューキャット(エラッタ前)」の低評価が180度ひっくり返ってしまうことになります。

チューナー・効果モンスター
星3/地属性/獣族/攻1600/守200
このカードが直接攻撃によって相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手の手札をランダムに1枚捨てる。

 効果や攻撃力を含め、アタッカーとしてもそこそこ優秀なモンスターですが、何よりも重要なのは「レベル3・獣族・チューナー」という恵まれすぎたステータス(※)です。つまり「レスキューキャット(エラッタ前)」のリクルートに対応しているため、もう片方の獣族と合わせて即座にシンクロ召喚に繋げられます。

(※ちなみに、2009年10月までは「レスキューキャット(エラッタ前)」から呼べる唯一のチューナーでした)

 これにより「レスキューキャット(エラッタ前)」は1枚で5~6シンクロを自在に呼び出せるモンスターに進化し、以降のシンクロ全盛期を牽引する筆頭カードとして猛威を振るうことになります。3月時点ですら「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」と「A・O・J カタストル」の2体が存在していたことに加え、4月には「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」が、さらに9月には「ナチュル・ビースト」が現れるなど、シンクロモンスター側の層の厚さも躍進の後押しとなっていました。

 これらをまとめて考えると、当時の「レスキューキャット(エラッタ前)」は「攻撃力2800、戦闘破壊したモンスターのコントロールを奪い、フィールドの任意のカードをバウンスし、あらゆる魔法カードを無効にする効果を持ち、さらに闇属性以外のモンスターとの戦闘では無敵になる下級モンスター」というとんでもない怪物だったことになります。

 メインデッキの圧迫があるとはいえ凄まじいカードパワーであり、言うなれば第6期に蘇った「魔導サイエンティスト」以外の何物でもなかったのではないでしょうか。

 いずれにしても、この瞬間をもって「レスキューキャット(エラッタ前)」が並の禁止カードでは相手にもならない極悪カードに変貌を遂げたことは間違いありません。

 こうした流れを受けて間もなく【レスキューシンクロ】が成立し、最強のパワーデッキとして環境トップに君臨することになります。

 

【レスキューシンクロ】の台頭 第6期環境の覇者

 当然のことながら、【レスキューシンクロ】の台頭は当時の環境に多大な影響を及ぼしました。ボード・アドバンテージの消費という形でバランスを取っていた【シンクロ召喚】のセオリーがいきなり崩れた状況であり、そこはかとなく雲行きが怪しくなっています。

 同様に、その「レスキューキャット(エラッタ前)」をリクルートできる「召喚僧サモンプリースト」も評価を急上昇させていました。こちらは魔法カードの手札コストがかかるため「レスキューキャット(エラッタ前)」ほどの手軽さはありませんが、逆に高レベルのシンクロモンスターに繋げやすい(※)という強みもあり、少なくとも【レスキューシンクロ】ではフル投入が前提とされていたカードです。

(※将来的には「アーカナイト・マジシャン」の素材になれることも評価点となり、【AKB】型では「レスキューキャット(エラッタ前)」以上の中核カードにもなりました)

 一方、非チューナー側のリクルート候補として、レベル3以下の獣族モンスター全般に対しても脚光が当たっています。当初はその中でも「デス・コアラ」が最有力のリクルート候補でしたが、やがては「N・ブラック・パンサー」の方が環境に噛み合っていることが判明したため、間もなくそちらが主流(※)になっていきました。

(※というより、最終的にはほぼ1択になっています)

 逆にレベル2の獣族は「ライトロード・ハンター ライコウ(エラッタ前)」が優秀すぎたため、他のモンスターが候補に挙がることはほとんどなかったと言えるでしょう。一応、ナチュル・ビースト」が現れてからは「コアラッコ」にもスポットライトが当たっていますが、それでもピン挿しにとどまるケースが大半だったのではないでしょうか。

 

【ダムドビート】との統合 そして【シンクロダムド】全盛期へ

 その他、こうした【シンクロ召喚】のギミックとは別角度の話として、「ダーク・アームド・ドラゴン」の新たな運用法がこの頃より持ち上がっています。

 これまでは【ダムドビート】を中心に活躍していたカードですが、シンクロ時代突入後は【レスキューシンクロ】におけるフィニッシャー枠としても名を馳せていくことになります。

 なぜなら、レスキューキャット(エラッタ前)」から「N・ブラック・パンサー」を呼び出せばそれだけで闇属性カウントが加算されるため、実質「終末の騎士」のような感覚(※)でこれを取り回すことができたからです。

(※ただし、自身及びシンクロ先が闇属性ではないため、完全な代用にはなりません)

 さらに、「召喚僧サモンプリースト」から「ファントム・オブ・カオス」をリクルートし、「レスキューキャット(エラッタ前)」をコピーすれば即座に闇属性モンスター3体が出揃います。ある意味ではこれまで以上に墓地枚数調整が容易になった形であり、言い換えればダーク・アームド・ドラゴン」を運用する上で【闇属性ビート】の形に縛られる必要がなくなったということでもありました。

 この結果として引き起こされたのが、【ダムドビート】が【レスキューシンクロ】に統合されるという事態です。

 これによって生まれたデッキが【シンクロダムド】であり、この成立以降はメタゲームの勢力図が一気に塗り替わっています。第5期終盤から勢いに乗り始めていた【ライトロード】や【剣闘獣】は2番手の立ち位置に追い落とされ、その他の中小勢力も緩やかに衰退の道を辿りました。

 逆に唯一追い風を受けていたのが【メタビート】であり、【シンクロダムド】に対して有利に戦えることから一大勢力として急浮上を果たしています。

 また、型についても【メタビート】らしい【メタビート】だけではなく、例えば【帝コントロール】に「王宮の弾圧」を取り入れて特殊召喚メタを張った【弾圧帝】など、ある程度のデッキパワーを維持しつつもメタ側に回った「主流メタビ」の開発も進んでいました。基本的に少数派に収まりやすい【メタビート】がこれほどのシェアを獲得するに至った環境は過去に例がなく、この時代が【メタビート】の全盛期にあたることは間違いありません。

 とはいえ、結局【シンクロダムド】の勢いに歯止めをかけることはできず、選考会では【シンクロダムド】が上位を独占するという結果に終わっています。

 逆に言えば、自分自身のメタデッキにすら勝ててしまう【シンクロダムド】が強すぎたということでもあり、解釈によってはこの頃からゲームバランスのインフレが加速していったと捉えることもできるのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 「レスキューキャット(エラッタ前)」についての話は以上です。

 第4期中に現れて以降、長らくマイナーカードの位置付けにあったモンスターですが、【シンクロ召喚】の導入に伴って凄まじい強化を果たしています。

 むしろ強いを通り越して壊れカードの域に足を踏み入れていたため、2008年9月には準制限カードに、2009年9月には制限カードになり、2010年9月には遂に禁止カードに指定されるという結末を迎えました。丁度1年刻みで規制強化が重なっていった形であり、時期により姿を変えつつも2年半もの間メタゲームに顔を見せていた脅威のアーキタイプです。

 現在ではエラッタによる弱体化を受け、その他大勢に埋もれてしまった印象があることは否めませんが、まさに第6期という時代を代表する1枚と言えるのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。