制限改訂2010年9月 インフェルニティガン+トリシュの制限入り

2019年6月20日

【前書き】

 【第7期の歴史3 グローアップ・バルブ誕生 【植物シンクロ】出張ギミックの流行】の続きとなります。ご注意ください。

 「グローアップ・バルブ」の誕生に伴って【植物シンクロ】ギミックが完成に至り、間もなく汎用シンクロサポート出張ギミックとしての立ち位置を確立していきました。これによって【植物猫】を筆頭とする複合デッキも環境に姿を見せるようになるなど、メタゲームに対しても少なくない影響を及ぼした出張ギミックです。

 また、この頃になると環境そのものもかなり煮詰まっており、【旋風BF】と【インフェルニティ】への対策が十分に進んだことでメタが1周し、結果的に様々なデッキが混在する環境が訪れていました。もちろん、やはり全体の割合では上記2デッキがトップクラスの使用率でしたが、他のデッキにも勝ち目が見出せるという意味では群雄割拠のゲームバランスが成立していたのではないでしょうか。

 メタの2周目突入によって環境に動きが起こる中、続く9月に第7期初回となる制限改訂が入ることになります。

 

制限改訂 2010年9月1日

2010年9月1日、遊戯王OCGにおいて28回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の47枚です。

イレカエル 無制限
レスキューキャット(エラッタ前) 制限
大嵐 制限
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前) 制限
ヴィクトリー・ドラゴン -
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) -
カオス・ソルジャー -開闢の使者- -
キラー・スネーク(エラッタ前) -
黒き森のウィッチ(エラッタ前) -
混沌の黒魔術師(エラッタ前) -
サイバーポッド -
サウザンド・アイズ・サクリファイス -
処刑人-マキュラ(エラッタ前) -
聖なる魔術師 -
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前) -
月読命 -
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前) -
デビル・フランケン -
同族感染ウィルス -
ファイバーポッド -
魔導サイエンティスト -
八汰烏 -
悪夢の蜃気楼 -
いたずら好きな双子悪魔 -
王家の神殿(エラッタ前) -
押収 -
苦渋の選択 -
強引な番兵 -
強奪 -
強欲な壺 -
心変わり -
サンダー・ボルト -
次元融合 -
生還の宝札 -
蝶の短剣-エルマ -
天使の施し -
ハーピィの羽根帚 -
早すぎた埋葬 -
突然変異 -
遺言状 -
王宮の勅命(エラッタ前) -
現世と冥界の逆転(エラッタ前) -
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) -
第六感 -
刻の封印 -
破壊輪(エラッタ前) -
ラストバトル! -

 

 制限カードに指定されたカードは以下の67枚です。

氷結界の龍 トリシューラ 無制限
インフェルニティガン 無制限
黒い旋風 準
死者蘇生 禁止
ブラック・ホール 禁止
王宮の弾圧 準
E・HERO エアーマン -
カードガンナー -
剣闘獣ベストロウリィ -
クリッター(エラッタ前) -
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前) -
召喚僧サモンプリースト -
ゾンビキャリア -
ダーク・アームド・ドラゴン -
魂を削る死霊 -
トラゴエディア -
深淵の暗殺者 -
N・グラン・モール -
ネクロ・ガードナー -
ネクロフェイス -
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前) -
封印されしエクゾディア -
封印されし者の左足 -
封印されし者の左腕 -
封印されし者の右足 -
封印されし者の右腕 -
BF-疾風のゲイル -
マシュマロン -
冥府の使者ゴーズ -
馬頭鬼 -
メタモルポット -
メンタルマスター -
ライトロード・サモナー ルミナス -
異次元からの埋葬 -
オーバーロード・フュージョン -
おろかな埋葬 -
巨大化 -
緊急テレポート -
高等儀式術 -
スケープ・ゴート -
精神操作 -
増援 -
大寒波 -
デステニー・ドロー -
手札抹殺 -
ハリケーン -
光の援軍 -
光の護封剣 -
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前) -
名推理 -
モンスターゲート -
闇の誘惑 -
リミッター解除 -
レベル制限B地区 -
ワン・フォー・ワン -
異次元からの帰還 -
神の宣告 -
グラヴィティ・バインド-超重力の網- -
激流葬 -
聖なるバリア -ミラーフォース- -
ダスト・シュート -
停戦協定 -
転生の予言 -
光の護封壁 -
マインドクラッシュ -
マジカル・エクスプロージョン -
リビングデッドの呼び声 -

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の18枚です。

カオス・ソーサラー 制限
スナイプストーカー 制限
サイクロン 制限
おジャマトリオ 制限
魔法の筒 制限
オネスト -
裁きの龍 -
終焉の王デミス -
ダンディライオン -
D-HERO ディアボリックガイ -
氷結界の虎王ドゥローレン -
ローンファイア・ブロッサム -
連鎖爆撃 -
封印の黄金櫃 -
魔法石の採掘 -
スキルドレイン -
血の代償 -
奈落の落とし穴 -

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の6枚です。

ゴブリンゾンビ 準
サイバー・ドラゴン 準
ブラック・ローズ・ドラゴン 制限
黄泉ガエル 準
団結の力 準
王宮のお触れ 準

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動21枚、うち規制強化が8枚、規制緩和が13枚となっており、遊戯王全体を見渡しても類を見ないほど規制緩和の方向に傾いていた改訂だったと言えるでしょう。

 しかし、逆に規制強化の方面では誕生後間もないカードに対する圧力も入っており、それだけバランスブレイカー級のカードが環境を支配していたということが窺えます。禁止カード入りも4枚と少なくない枚数であり、規制緩和を意識しつつも致命的な箇所を潰したかのような改訂です。

 

【インフェルニティ】への規制

 当時のトップメタの筆頭であった【インフェルニティ】への規制として、「インフェルニティガン」が一気に制限カード指定を下されています。

 誕生から僅か半年で最大のキーカードを潰された形であり、新規カテゴリに対する規制としてはかなり厳しめの対応です。というより、そもそもアニメカテゴリへのプッシュの一環で【インフェルニティ】に強化が入ったという経緯もあるため、明らかに本末転倒な結果に繋がってしまったと言わざるを得ません。

 しかし、そうした諸々の事情を踏まえた上でも「インフェルニティガン」が当時のOCG環境を荒廃させていた事実は無視できず、何らかの対応が必要なことは火を見るよりも明らかでした。なおかつ、「インフェルニティ・デーモン」の存在や「ガンループ」ギミックの性質を考慮する限り準制限カード指定では効力が薄く、結果として制限カード指定という決定に至ったのではないでしょうか。

 さらに、下記の「氷結界の龍 トリシューラ」への規制もあり、これ以降【インフェルニティ】は環境上位からはほぼ完全に姿を消すことになります。

 

トリシューラへの規制

 遊戯王OCG最強格のシンクロモンスターである「氷結界の龍 トリシューラ」が制限カードに指定されています。

 2010年上半期環境の「トリシュ地獄」を引き起こした張本人であり、その対処の難しい凶悪な除去能力によってOCGのゲームバランスを大きく悪化させていました。さらに、上記の【インフェルニティ】を筆頭に、「氷結界の龍 トリシューラ」の連続シンクロ召喚からワンキルを狙うデッキも猛威を振るっており、単純なカードパワーの高さだけにとどまらない多くの問題を噴出させていたことは否めません。

 また、当時の環境に存在していたシンクロデッキのゴール地点を「いかにトリシューラを素早く、かつ安定して呼び出すか」という目的に挿げ替えてしまった罪は大きく、その意味でも「氷結界の龍 トリシューラ」の制限カード入りは極めて妥当な話だったと言うほかないでしょう。

 とはいえ、ループを狙わない普通のデッキでは1枚用意すれば十分なカードでもあったため、制限カード化による影響はごく小さなものにとどまっていました。危険なコンボへの悪用を防ぎつつ汎用シンクロとしての有用性を残す良改訂であり、実際にこれ以降の環境でも引き続きエクストラの必須枠として活躍していくことになります。

 

【ガエル】系への規制

 【ガエルシンクロ】や【マスドラガエル】、また【ガエル帝】などの各種【ガエル】デッキへの規制として、「イレカエル」が無制限カードからいきなりの禁止カード指定を受けています。

 「粋カエル」の参入以降、「イレカエルループ」ギミックの成立により新進気鋭のアーキタイプとして名を馳せていた【ガエル】系でしたが、その躍進が健全なゲームバランスからは逸脱した場所にあったことは明白です。特に【マスドラガエル】に関しては「マスドライバー」による先攻1キルはもちろんのこと、【ガエルシンクロ】へのサイドスイッチという逃げ道の確保(※)によって対処を困難にさせており、ある意味では【インフェルニティ】以上に環境を荒らしている側面もありました。

(※実際に当時の世界大会では【ガエルシンクロ】スイッチ型の【マスドラガエル】が優勝を射止めています)

 一方、【ガエル帝】についてはワンキルや疑似ループギミックといった負の要素からは距離を置いたポジションにありましたが、そもそも「イレカエル」は普通に使っても「鬼ガエル」以上の働きをするパワーカードだったため、禁止カード指定もやむなしという意見が主流だったのではないでしょうか。

 いずれにしても、「イレカエル」の禁止カード化によって【ガエル】系デッキ全般が大きく弱体化したことは間違いありません。

 しかし、この改訂によって【ガエル】系デッキが完全に環境から姿を消したわけではなく、これ以降は「超古深海王シーラカンス」を取り入れて【シーラカンス】に派生することで命脈を繋いでいます。

手札を1枚捨てる。1ターンに1度だけ、デッキからレベル4以下の魚族モンスターを
可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。このカードの効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃宣言をする事ができず、効果は無効化される。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった場合、自分フィールド上の魚族モンスター1体を生け贄に捧げる事でその効果を無効にし破壊する。

 元々【ガエル】が持っていた【生け贄召喚】システムへの適性を活かした選択であり、本質的には【ガエル帝】の【帝】要素を【魚シンクロ】ギミックに置き換えたようなコンセプトのデッキです。よってシンクロデッキでありながら「邪帝ガイウス」や「風帝ライザー」などを自然に採用できるといった独自の強みを獲得しており、必ずしも弱体化の一途を辿っていたというわけではありません。

 また、【シーラカンス】からの更なる派生デッキにあたる【シーライダー】(※)なども少なからず結果を出しており、弱体化の補填にとどまらない柔軟な研究が見受けられたアーキタイプでした。

(※「光と闇の竜」を採用した【ライダー】系の一種です)

 

【旋風BF】への規制

 当時のトップメタの一角を担っていた【旋風BF】への規制として、準制限カードだった「黒い旋風」が制限カードに規制強化されています。

 2009年に現れて以来、長らく環境上位にあった強力なアーキタイプでしたが、最大のキーカードに頼りにくくなったことで遂にデッキパワーを一段落とすことになりました。これまでの【旋風BF】の代表的な勝ちパターンであった「旋風によるアドバンテージの圧殺」がほぼ狙えなくなったため、少なからずデッキコンセプトを切り替えることを余儀なくされています。

 しかし、逆に言えばそれ以外に弱体化らしい弱体化は受けておらず、デザイナーズデッキとしては依然トップクラスの地力の高さを維持していたことも確かです。そのため、相対的にはむしろライバルが減ったことで追い風を受けていたと言っても過言ではなく、実際にこれ以降も引き続きトップデッキとして環境を牽引していくことになります。

 

 「レスキューキャット(エラッタ前)」が禁止カードに指定されたことにより、【レスキューシンクロ】が完全に構築不可能になっています。

 時期により浮き沈みはありつつも、第6期初頭環境から2年以上に渡ってメタゲームに姿を見せ続けていたアーキタイプでしたが、キーカードそのものが使用できなくなったことで遂に完全消滅を迎えた形です。第7期に入って獲得した「強欲で謙虚な壺」や、直前に現れていた【植物シンクロ】ギミックとの親和性の高さもあり、たとえ制限カードであっても今後の環境に及ぼす影響を無視できなくなったことによる結果だったのではないでしょうか。

 

禁止カード界隈の動きについて

 長らくOCG環境に君臨していたパワーカードへの規制として、「大嵐」「洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)」の2枚が禁止カード入りを果たしています。

 「洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)」は2007年9月から3年間、「大嵐」に至っては2002年5月から8年間に渡って制限カードの立ち位置をキープしていたカードであり、これらが禁止カードに指定されたことは大きな話題を呼びました。特に「大嵐」はほとんどのデッキで必須カードとして重宝され続けていたため、この規制による環境への影響は極めて多大です。

 一方、逆に禁止カードからの緩和として、「死者蘇生」「ブラック・ホール」の2枚が制限復帰を果たしたことも出来事としては見逃せません。特に「ブラック・ホール」は2006年3月から4年半ぶりに現役復帰を遂げた形であり、「大嵐」の禁止カード入りと合わせて「今後は過去のカードに対する規制強化・緩和の動きが増えるのではないか」という認識がプレイヤーの間で広まっていくことになります。

 

過去のパワーカードの一斉規制緩和について

 その他、過去に流行していた往年のパワーカードに対しても規制緩和が進んでいます。準制限カードには5枚、無制限カードには6枚のカードがそれぞれ移動しており、過去の改訂と比べてもかなり大規模な一斉緩和です。

 中でも「魔法の筒」や「おジャマトリオ」などの非常に古いカードや、「黄泉ガエル」「スナイプストーカー」などの環境の最前線で活躍していたカードの規制緩和はゲームバランスの変化を克明に物語っており、まさしく時代の変化を象徴する歴史的な改訂だったと言えるでしょう。

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの大規模な変動により、これ以降のメタゲームは以前とは全く別の顔を覗かせることになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史