洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前) 2枚目以降の心変わり

2018年7月11日

スポンサーリンク

【前書き】

 【第4期の歴史13 遊戯王の歴史 2004年の総括】の続きになります。ご注意ください。

 混迷の2004年が終わりを告げ、遊戯王OCGは6度目の新年を迎えることとなりました。一見するとバランスの整った環境が成立していたかに思えますが、年間を通して【サイエンカタパ】が支配的な地位を築いていた時代でもあり、やはり前年に引けを取らない暗黒期であったことは間違いないでしょう。

 先攻1キルデッキの脅威がゲームを裏から支配する中、1月20日にストラクチャーデッキから新規カード1種が現れた(全2084種)のを皮切りに、続く2月に新年度最初の大規模なカードプール更新が行われることになります。

 

THE LOST MILLENNIUM 扱いにくいカード群

 2005年2月24日、レギュラーパック「THE LOST MILLENNIUM」が販売されました。収録枚数は60種類ですが、うち3種類が再録枠となっており、新規カードは57種類です。遊戯王OCG全体のカードプールは2085種類に増加しています。

 新年の幕開けという時期にふさわしく、これまでにない面白いカードが多数収録されていたパックです。

 【岩石族】の切り札となる「メガロック・ドラゴン」や、【次元ビート】のエースアタッカーを務める「異次元の生還者」は特に知られているカードでしょう。とりわけ後者はその変則的な除外耐性から【次元斬】のメタカードとしても注目を集めたほどです。

 変わったところでは、【ワイト】を成立させた「ワイトキング」の存在も見逃せません。後世では様々なサポートカードを獲得するなど、非常に息が長く、また公式からも愛されたカテゴリです。

 その一方で、汎用性に優れたカードがほとんど収録されなかったパックでもあります。上記のいずれもコンボ及び専用デッキでの使用が前提となるデザインのカードであり、普通のデッキではまず採用できません。

 一応、別の評価点として、【HERO】カテゴリのカードや「ハネクリボー」、「古代の機械巨人」などアニメ由来のカードの収録が多かったため、そちらのファンの方には期待が持てる商品となっています。

 とはいえ、やはり純粋なOCGプレイヤーにとっては魅力が薄く、言葉は悪いですが「塩パック」に近い商品だったのかもしれません。

 

洗脳-ブレインコントロール 塩パック唯一のトップレア

 唯一の例外があるとすれば、それは「洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)」です。

800ライフポイントを払う。相手フィールド上の表側表示モンスター1体を選択する。発動ターンのエンドフェイズまで、選択したカードのコントロールを得る。

 相手フィールドの表側表示モンスター1体のコントロールを、ターン終了時まで奪う効果を持っています。事実上「心変わり」の完全下位互換カードですが、それでも十分に強力なコントロール奪取カードです。

 当時は「心変わり」が現役を務めていましたが、制限カードに指定されていたため2枚目以降として需要があり、相性のいいデッキでは採用候補に挙がっていました。上級モンスターを多めに搭載したタイプの【カオス】、さらには【ネフティス】などでもシナジーの強さから取り上げられています。

 とりわけこの時期は「氷帝メビウス」が採用率を上げていたため、その補助として需要が高まっていた形です。仮想敵の【アビス・コントロール】はモンスター比率が少なめのデッキでしたが、それでもコントロール奪取からの生け贄召喚が効果的に作用するタイミングは多く、特にサイド戦ではしばしば姿を見かけるようになっていきます。

 ただし、「心変わり」と違ってセットモンスターに触れられないという点が、このカードの使い勝手を大きく落としていることは否めません。この時期は「聖なる魔術師」を筆頭とする優秀なリバースモンスター、さらに「マシュマロン」が広く流行しており、それらに対処できないことはコントロール奪取カードとしては厳しい弱点でした。

 「強奪」のように永続的なコントロール奪取もできない以上、このカードの強みを十全に活かせる状況はやや限定的です。最悪の場合、ゲーム終盤まで使いどころもなく持て余し、最後に意味もなくアタッカーを奪って終了ということにもなりかねません。

 そのため、奪ったモンスターをコンスタントに何らかのコストにできるようなデッキでなければ真価を発揮できず、おおむねサイド向けのカードという評価を抜け出せない状況に置かれていました。それでも十分に強いため細々と使われてはいましたが、大々的には2006年~2007年頃の【帝コントロール】の全盛期に輝く遅咲きのカードです。

 その結果、2007年9月の制限改訂で制限カードに指定され、最終的には2010年9月に禁止カード指定を下されています。

 現在ではエラッタによって消滅しており、「通常召喚可能な」モンスターしかコントロール奪取できない効果へと弱体化修正が入りました。これにより、ほぼ別物と言えるほどに扱いにくい性能になってしまい、今ではほとんど姿を見かけることもなくなっているのではないでしょうか。

 

【当時の環境 2005年2月24日】

 2005年における最初の大規模なカードプール更新があったものの、有望株は「洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)」程度しかなく、環境に及ぼした影響はごく軽微なものにとどまりました。

 もちろん、「洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)」が弱かったわけではなく、当初から一定レベルの地位は築いています。基本的にはサイド向けの性能ですが、「心変わり」同様「異次元の女戦士」などに対しては非常に強く、状況次第では1:2交換が成立することも珍しくありません。

 そうした流れもあり、当時のプレイヤーの間では「女戦士を含むモンスター2体を並べるのは避けるべき」という定石が浸透していきました。

 ただし、元々この時期は「ライトニング・ボルテックス」の流行の影響でアタッカーを並べるリスクが高まっていたため、こうしたプレイングを求められるのは「洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)」に限った話ではなかったとも言えます。そのため、このカード固有の影響としましては、異次元の女戦士」の横にセットモンスターを置かない、などの細かな部分にとどまっていたのではないでしょうか。

 さらに細かな部分においては、冒頭で少し触れた「異次元の生還者」も一部では流行の兆しがありました。

自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがゲームから除外された場合、このカードはエンドフェイズ時にフィールド上に特殊召喚される。

 フィールドから除外された場合に自力で帰還する効果を持つため、除外効果持ちアタッカーにぶつけることで0:1交換が成立します。攻撃力も1800と図ったような数値であり、3種全ての次元戦士にこれ1枚で対応することができました。

 この時期は「異次元の女戦士」「D.D.アサイラント」が汎用アタッカーとして流行していたこと、また「増援」が準制限カードだったこと、そしてそれを上記アタッカーと共有できることなどから有用性を見出された格好です。

 とはいえ、それら以外に対してはほぼバニラに近い性能であり、最終的な位置付けは【次元斬】に対するサイドカードという形に収まっていたのではないでしょうか。

 その他、メタゲーム面に関しては2004年終盤の流れをそのまま引き継いでおり、【アビス・コントロール】【深淵1キル】などのコントロールデッキ、【やりくりターボ】ギミックを搭載した【グッドスタッフ】や【次元斬】などの純正ビートダウンデッキがメタの上位を占めていました。

 そんな中、【アビス・コントロール】で多用されていたロックカードへの対策として、「黒蠍-逃げ足のチック」を利用した無限ループコンボが発見されています。

 詳しくは上記記事の一項目にまとめていますが、戦闘ダメージを通した時のバウンス効果を利用して無限に攻撃を行うコンボです。レベル3かつ攻撃力1000というステータスにより「レベル制限B地区」「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」「平和の使者」のいずれにも引っかからず、状況が整えば一撃必殺を狙えるとして多くのプレイヤーに注目されました。

 とはいえ、どんなデッキにも入るギミックではなく、【深淵1キル】などの相性のいいデッキで採用される程度にとどまっていたのではないでしょうか。

 もちろん、こうした動きの裏では【サイエンカタパ】【デッキ破壊1キル】などの先攻1キルに特化したコンボデッキの脅威も蔓延しています。【デッキ破壊1キル】の方は「ネコマネキング」などの対抗手段もあり、それほど支配的ではありませんでしたが、【サイエンカタパ】に関しては完全に手の施しようがない状況です。

 もはやこうした状況はプレイヤー側の力ではどうにもならず、問題の解決は公式の手による制限改訂を待つほかありませんでした。

 

【まとめ】

 「THE LOST MILLENNIUM」販売によって起こった出来事は以上となります。

 2005年度における最初のレギュラーパック販売となっていましたが、ふたを開けてみれば中身はそれほど濃いわけではなく、環境に与えた影響は非常に小さなものでした。

 メタゲームは前年のものをそのままなぞった形であり、「良くも悪くも」変化の乏しい時期となっていたのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

スポンサーリンク