【カオス】(第3期)の歴史・時代ごとのデッキレシピまとめ
・デッキデータ
・デッキレシピ
・デッキ解説
・2003年4月(初期形態)
・2003年7月(全盛期)
・2003年9月(最強)
・2003年10月(トップメタ)
・2003年11月
・2004年2月
・2004年3月(衰退期)
・まとめ
【デッキデータ】
活躍期間 | 2003年4月24日~第3期最後まで |
---|---|
脅威度 | 暗黒期(2003年4月24日~10月15日) |
トップメタ(2003年10月15日~第3期最後まで) | |
主な仮想敵 | 【ジャマキャン】(~2003年7月17日) |
【サイエンカタパ】(2003年7月17日~) | |
【ノーカオス】(2004年2月5日~) | |
【次元斬】(2004年2月5日~) | |
【ミーネ・ウイルス】(2004年3月1日~) | |
【深淵1キル】(2004年3月25日~) |
デッキレシピ
サンプルレシピ(2003年4月) | 初期形態 |
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サンプルレシピ(2003年7月) | 全盛期 |
サンプルレシピ(2003年10月) | トップメタ |
サンプルレシピ(2004年3月) | 衰退期 |
【デッキ解説】
【カオス】は、その名の通り【カオス】シリーズに属するモンスターをフィニッシャーに据えた【グッドスタッフ】系ビートダウンデッキです。2003年4月24日、レギュラーパック「混沌を制す者」から【カオス】シリーズモンスターが現れたことで成立しました。
最上級モンスターである「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」「混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)」を筆頭に、上級モンスターの「カオス・ソーサラー」を合わせて計3体の【カオス】が存在します。いずれも第3期の基準を遥かに超越したカードパワーを備えており、当時の【グッドスタッフ】を乗っ取って【カオス】として生まれ変わった格好です。
このうち、「混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)」はエラッタによって消滅しており、現在では使用することができません。現役版デザインは「混沌帝龍 -終焉の使者-」となっており、大幅に弱体化しているため、ここでは取り上げずに話を進める次第です。
デッキ発生の経緯から分かるように、この【カオス】は【グッドスタッフ】を下敷きとしており、デッキコンセプトそのものはそちらと同様のものを掲げていました。違いは【カオス】モンスターを採用しているかどうか、ひいてはその召喚コストとなるモンスターを中心にデッキを組んでいるかどうかという一点に集約されています。
具体的には、【ノーカオス】で必須カードを務める「怒れる類人猿」などが【カオス】で採用されるケースは稀でした。「怒れる類人猿」は当時としては強力なモンスターでしたが、地属性モンスター、つまり【カオス】の召喚コストに使用することができなかったからです。
基本的に【カオス】のモンスターの採用候補は光・闇属性に絞られ、例外は「八汰烏」などの一部の凶悪パワーカードに限られていました。どのようなモンスターが選ばれるかは時期によって異なりますが、【グッドスタッフ】の理念に従い、単体で機能するパワーカードが優先されるという部分においては共通しています。
2003年4月(初期形態)
モンスターカード(18枚) | |
---|---|
×3枚 | 異次元の女戦士 |
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) | |
カオス・ソルジャー -開闢の使者- | |
魔導サイエンティスト | |
×2枚 | ブレイドナイト |
×1枚 | クリッター(エラッタ前) |
黒き森のウィッチ(エラッタ前) | |
魔導戦士 ブレイカー | |
八汰烏 | |
魔法カード(19枚) | |
×3枚 | サイクロン |
×2枚 | |
×1枚 | 悪夢の蜃気楼 |
いたずら好きな双子悪魔 | |
押収 | |
大嵐 | |
苦渋の選択 | |
強引な番兵 | |
強奪 | |
強欲な壺 | |
心変わり | |
サンダー・ボルト | |
死者蘇生 | |
手札抹殺 | |
天使の施し | |
ハーピィの羽根帚 | |
早すぎた埋葬 | |
ブラック・ホール | |
罠カード(3枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | |
×1枚 | 王宮の勅命(エラッタ前) |
破壊輪(エラッタ前) | |
リビングデッドの呼び声 | |
エクストラデッキ(21枚) | |
×3枚 | 紅陽鳥 |
サウザンド・アイズ・サクリファイス | |
デス・デーモン・ドラゴン | |
ドラゴン・ウォリアー | |
魔人 ダーク・バルター | |
魔導騎士ギルティア | |
音楽家の帝王 | |
×2枚 | |
×1枚 |
【カオス】初期形態の4月における採用モンスターに関しましては、おおむね上記サンプルレシピの通りです。
光属性には「異次元の女戦士」や「ブレイドナイト」が、闇属性には「魔導サイエンティスト」が取り上げられています。「クリッター(エラッタ前)」「黒き森のウィッチ(エラッタ前)」「魔導戦士 ブレイカー」なども闇属性モンスターですが、これらは制限カードかつ必須カードであり、どの時代でも採用されていたため、特徴として挙げるのは不適切でしょう。
また、「聖なる魔術師」や「サイバーポッド」などの強力なリバースモンスターが全く採用されていませんが、これは「魔導サイエンティスト」が流行していた影響です。サンプルレシピでも3積みされていることから分かるように、当時は「魔導サイエンティスト」による融合モンスター合戦が多発しており、「魔人 ダーク・バルター」や「デス・デーモン・ドラゴン」によってリバース効果を潰されてしまうことがほとんどでした。
ちなみに、「魔導騎士ギルティア」「音楽家の帝王」の2枚はバニラかつ打点も下級モンスター並と弱いカードですが、【カオス】の餌になる光属性モンスターであるため、特に理由がない限り3枚積みされることがほとんどでした。これらが3枚必要になるケースはほとんど発生しませんが、当時のルールでは融合デッキの枚数制限がなく、「大は小を兼ねる」とも言うべき状況が成立していたからです。
他方では、「魂を削る死霊」などの壁モンスターも採用圏外に飛ばされています。元々「異次元の女戦士」の流行に伴い採用率を落としていたカードではありますが、【カオス】の参戦によって本格的に壁モンスターとして機能しなくなり、それほど時間をかけずに淘汰されていきました。
実際の【カオス】の強さについてですが、この時期はほぼ1強環境とも言うべき状況に陥っています。
第3期の環境レベルを遥かに超えたデッキパワーを備えており、普通のデッキでは到底太刀打ちできない強さです。具体的には、直前の環境で「ヴァンパイア・ロード」と「ピラミッド・タートル」のコンボが猛威を振るっていたと言えば、当時の【カオス】の時代を超越した強さが窺えるのではないでしょうか。
2003年7月(全盛期)
モンスターカード(20枚) | |
---|---|
×3枚 | 異次元の女戦士 |
カオス・ソルジャー -開闢の使者- | |
混沌の黒魔術師(エラッタ前) | |
霊滅術師 カイクウ | |
×2枚 | ブレイドナイト |
魔導サイエンティスト | |
×1枚 | 混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) |
クリッター(エラッタ前) | |
黒き森のウィッチ(エラッタ前) | |
魔導戦士 ブレイカー | |
魔法カード(17枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | 次元融合 |
×1枚 | いたずら好きな双子悪魔 |
押収 | |
大嵐 | |
苦渋の選択 | |
強引な番兵 | |
強奪 | |
強欲な壺 | |
心変わり | |
サンダー・ボルト | |
死者蘇生 | |
手札抹殺 | |
天使の施し | |
ハーピィの羽根帚 | |
早すぎた埋葬 | |
ブラック・ホール | |
罠カード(3枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | |
×1枚 | 王宮の勅命(エラッタ前) |
破壊輪(エラッタ前) | |
リビングデッドの呼び声 | |
エクストラデッキ(21枚) | |
×3枚 | 紅陽鳥 |
サウザンド・アイズ・サクリファイス | |
デス・デーモン・ドラゴン | |
ドラゴン・ウォリアー | |
魔人 ダーク・バルター | |
魔導騎士ギルティア | |
音楽家の帝王 | |
×2枚 | |
×1枚 |
2003年7月17日、レギュラーパック「暗黒の侵略者」から「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」「次元融合」の2枚を獲得し、デッキの爆発力が跳ね上がっています。
これにより【カオス】は高いビートダウン能力に加え、即死コンボを内包するコンボデッキとしての顔も併せ持つようになりました。具体的な強みについては上記関連記事で解説していますが、状況次第では一瞬でゲームが終わってしまうことすら珍しくなかったほどです。
一方で、直前の制限改訂で「混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)」が制限カード指定を受け、少なくないダメージを負っていたことも事実ではあります。
片割れである「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」は無傷ですが、それでも6枚体制から4枚体制に減った影響は無視できません。上記の即死コンボを考慮しても一定の火力喪失は免れず、リセット効果の乱用による不利な盤面からの巻き返しも難しくなりました。
また、こうしたカードプールの変化を受け、「八汰烏」がデッキから外されるケースも増加しています。全体リセットと組み合わせた完全ドローロックが決まりにくくなったこと、そして即死コンボを搭載したことでドローロックを狙う意味が薄れたこと、この2点による採用率の変化です。
もちろん、従来通り低速コントロール要員として運用するだけでも十分な効力を発揮するため、一概に採用圏外に飛ばされていたわけではありません。この時期はメタゲーム的に「クリッター(エラッタ前)」のサーチ先の選択肢が少なく、それを増やすという意味では悪くないカードと言われてました。
他方では、ミラーマッチ対策の「霊滅術師 カイクウ」が標準的にメインから積まれるようになっています。
以前は完全に無名のカードでしたが、そのメタ効果により二重の意味で【カオス】に強いアタッカーとしてスポットライトが当たった形です。ミラーマッチでは先に「霊滅術師 カイクウ」を定着させた方が勝つとまで言われ、【カオス】一色の環境下では必須カードに近い地位を築き上げています。
とはいえ、「異次元の女戦士」や「魔導サイエンティスト」、打点強化条件を満たした「ブレイドナイト」などで処理されることも多く、複数ターンに渡ってこれを守り切るのは至難の業でした。もちろん、魔法・罠カードによる除去にも無力であり、一度でも墓地を掃除できれば十分な仕事を果たしたと割り切って考えることも必要だったのではないでしょうか。
補足として、この頃より悪名高い【サイエンカタパ】が台頭し始めていたことには触れておきます。
ただし、カードプールの関係でそれほど先攻1キルが安定しておらず、【カオス】の勢いを押しとどめるほどの脅威ではありませんでした。シングル戦はともかくマッチ戦を勝ち抜ける強さはなく、おおむね地雷デッキとの評価に収まっていた次第です。
2003年9月(最強)
(※7月のリストとほぼ違いがないため、デッキレシピは省略します)
2003年9月19日、「ザ・ヴァリュアブル・ブック6」の書籍同梱カードから「第六感」という凶器を獲得し、【カオス】は更なるデッキパワーを手にすることになりました。【カオス】としてはもちろん、歴代の暗黒期指定デッキにおいても最強格にあたる時代です。
詳細は省きますが、一言で言えば「1/3の確率でゲームに勝利するカード」であり、もはや無茶苦茶な話と言わざるを得ません。外した場合もモンスターが落ちれば【カオス】の召喚コストとして活用できるため、ディスアドバンテージを軽減しやすかったことも強みです。
ただし、「第六感」は汎用カード、つまり【カオス】だけの武器ではなかったため、相対的に他のデッキとの格差が縮まっていたとも言えます。具体的には、【ノーカオス】などのメタ外のデッキであっても「第六感」さえ当てれば【カオス】に勝つことは可能です。
もっとも、総合力では【カオス】がトップであることは言うまでもなく、あえて他のデッキを使う理由は皆無でした。結局のところ、この「第六感」の参戦によって【カオス】1強環境が揺らぐようなことはなかったのではないでしょうか。
2003年10月
モンスターカード(20枚) | |
---|---|
×3枚 | 異次元の女戦士 |
×2枚 | カオス・ソーサラー |
聖なる魔術師 | |
霊滅術師 カイクウ | |
×1枚 | 混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) |
カオス・ソルジャー -開闢の使者- | |
クリッター(エラッタ前) | |
黒き森のウィッチ(エラッタ前) | |
混沌の黒魔術師(エラッタ前) | |
サイバーポッド | |
ファイバーポッド | |
ブレイドナイト | |
魔導サイエンティスト | |
魔導戦士 ブレイカー | |
八汰烏 | |
魔法カード(14枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | |
×1枚 | いたずら好きな双子悪魔 |
押収 | |
大嵐 | |
苦渋の選択 | |
強引な番兵 | |
強奪 | |
強欲な壺 | |
心変わり | |
サンダー・ボルト | |
死者蘇生 | |
天使の施し | |
ハーピィの羽根帚 | |
早すぎた埋葬 | |
ブラック・ホール | |
罠カード(6枚) | |
×3枚 | 第六感 |
×2枚 | |
×1枚 | 王宮の勅命(エラッタ前) |
破壊輪(エラッタ前) | |
リビングデッドの呼び声 | |
エクストラデッキ(21枚) | |
×3枚 | 紅陽鳥 |
サウザンド・アイズ・サクリファイス | |
デス・デーモン・ドラゴン | |
ドラゴン・ウォリアー | |
魔人 ダーク・バルター | |
魔導騎士ギルティア | |
音楽家の帝王 | |
×2枚 | |
×1枚 |
転機が訪れたのは2003年10月15日、第3期4度目となる制限改訂の瞬間でした。
「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」「魔導サイエンティスト」の3枚が同時に制限カードに指定されています。
これらは【カオス】では必須カードとも呼べる存在であり、その全てに規制が入ったことは非常に大きなダメージです。以前までの【カオス】とは別物と言えるほどにデッキパワーが落ち込んでおり、一般的なトップメタ程度に弱体化修正が入りました。
その結果、上級カオスである「カオス・ソーサラー」が採用候補に挙がるようになっています。最上級カオスには大きく劣りますが、これ自体がパワーカードであることに変わりはなかったからです。
ただし、3枚フル投入されることはほとんどなく、多くて2枚に抑えられるケースが大半でした。複数枚ドローした時に持て余しやすいというのはもちろん、コストの兼ね合いで肝心な時に最上級カオスを召喚できなくなることがあり、やや敬遠される傾向にあったことは否めません。
プレイヤーによっては1枚も採用しないということも珍しくなく、おおむね個々人の好みが現れやすいカードだったと言えるでしょう。その際はやや火力不足となるため、追加のアタッカーとして「人造人間-サイコ・ショッカー」や「天空騎士パーシアス」などの上級モンスターが起用されていました。
他方では、「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」「魔導サイエンティスト」との遭遇率が下がったことにより、「聖なる魔術師」「サイバーポッド」「ファイバーポッド」などのリバースモンスターが再浮上しています。
これまではセットモンスターはリバース前に潰されてしまうことが多く、実戦で活躍できる状況ではありませんでしたが、そうした弱みが薄れたことで評価が回復していきました。代用カードである「カオス・ソーサラー」がセットモンスターに触れる手段を持たなかったこともその要因の一つです。
さらに、全体的にデッキの速度が落ちた影響で「八汰烏」が再び必須枠に戻ってきています。
やはり「八汰烏」の強さは他のカードとは隔絶しています。即死コンボという武器を失ってしまった以上、これを採用しない理由はありません。サーチ先の競合が増えたことは向かい風ですが、単純に強すぎるカードであり、ほぼ必須カードと考えて差し支えないでしょう。
結論としましては、この時期の【カオス】は暗黒期指定には及ばないものの、依然としてトップメタの勢力を維持していたという印象です。【ノーカオス】などの別勢力も徐々に浮上してはいましたが、総合力では【カオス】が頂点に位置していたのではないでしょうか。
2003年11月
その立ち位置が崩れるのは2003年11月20日、レギュラーパック「天空の聖域」が販売された時のことでした。
「モンスターゲート」というコンボパーツの参戦を受け、遂に【サイエンカタパ】が本格的に脅威を振り撒き始めています。その被害に見舞われたデッキは数知れず、【カオス】ですら例外ではありません。
元々弱体化していた都合もありますが、そもそも【サイエンカタパ】自体の強さが圧倒的であり、純粋な凶悪さでは前期の【カオス】を上回っているほどです。
ただし、この時期の【サイエンカタパ】はまだそれほど知られておらず、流行度という面においては【カオス】に及んでいません。もちろん、ある程度知識があるプレイヤーの間ではその限りではありませんでしたが、はっきりとメタゲームに影響を与え始めるのは2004年以降の話だったのではないでしょうか。
2004年2月
2004年に入り、【サイエンカタパ】の知名度が徐々に上がり始める中、2004年2月5日にゲーム同梱カードから「D.D.アサイラント」が現れます。
「異次元の女戦士」と類似した除外効果を持つ優秀なアタッカーであり、当時の環境においても多くのデッキで即戦力として取り入れられました。
しかし、本家と異なり地属性モンスターであるため、手放しで【カオス】に採用できるカードではなかったのは事実です。除外してしまえば同じと考え、気にせず採用するプレイヤーもいましたが、除去された場合に完全に無駄になってしまう点は厳しい弱みと言うほかありません。
「第六感」で巻き込んでもメリットにならないというのも見過ごせない欠点でしょう。「天使の施し」などで手札から捨てた場合も同様です。
このように、【カオス】では複数のデメリットから採用を見送られることも多かった「D.D.アサイラント」でしたが、上述の通り【ノーカオス】などの属性に依存しないデッキではその限りではありません。なおかつ、【カオス】から見た「D.D.アサイラント」は強烈な仮想敵であり、どう転んでも1:1交換以上を取られてしまうことになります。
さらに、この「D.D.アサイラント」の誕生によって【次元斬】が成立したことも向かい風です。
この【次元斬】は事実上【カオス】のメタデッキであり、「墓地にモンスターを溜めさせないこと」「相手の切り札と相打ちすること」の2点に特化していました。どちらも【カオス】にとっては苦しいコンセプトであることは言うまでもありません。
こうした流れを受け、【カオス】とそれ以外のデッキの相対的な距離が次第に縮まっていくことになります。【カオス】がメタゲームの中心にいることは変わりませんでしたが、これまでのような絶対の優位性は得られなくなりつつありました。
2004年3月(衰退期)
モンスターカード(19枚) | |
---|---|
×3枚 | 異次元の女戦士 |
×2枚 | 聖なる魔術師 |
D.D.アサイラント | |
霊滅術師 カイクウ | |
×1枚 | 混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) |
カオス・ソルジャー -開闢の使者- | |
キラー・スネーク(エラッタ前) | |
クリッター(エラッタ前) | |
黒き森のウィッチ(エラッタ前) | |
人造人間-サイコ・ショッカー | |
天空騎士パーシアス | |
同族感染ウィルス | |
魔導サイエンティスト | |
魔導戦士 ブレイカー | |
魔法カード(13枚) | |
×3枚 | サイクロン |
×2枚 | |
×1枚 | 悪夢の蜃気楼 |
押収 | |
大嵐 | |
強引な番兵 | |
強奪 | |
強欲な壺 | |
死者蘇生 | |
天使の施し | |
早すぎた埋葬 | |
ブラック・ホール | |
罠カード(8枚) | |
×3枚 | 第六感 |
×2枚 | 激流葬 |
×1枚 | 聖なるバリア -ミラーフォース- |
破壊輪(エラッタ前) | |
リビングデッドの呼び声 | |
エクストラデッキ(21枚) | |
×3枚 | 紅陽鳥 |
サウザンド・アイズ・サクリファイス | |
デス・デーモン・ドラゴン | |
ドラゴン・ウォリアー | |
魔人 ダーク・バルター | |
魔導騎士ギルティア | |
音楽家の帝王 | |
×2枚 | |
×1枚 |
そして、第3期終盤の制限改訂で禁止カード制度が導入され、当時の環境が根底から覆ることになります。
「サンダー・ボルト」を筆頭に、一部の強力な必須カードがゲームで使用できなくなり、多くのデッキが構築の見直しを余儀なくされました。【カオス】も例外ではなく、上記サンプルレシピでも非常に多くの変動が見られます。
目を引くのは「激流葬」が複数枚採用されている部分でしょう。全体除去カードが目減りしたこと、また「ハーピィの羽根帚」が消えたことで伏せカードを溜め込むリスクが下がったこと、大まかにはその2点による影響です。
同じ理由で「聖なるバリア -ミラーフォース-」も必須枠に格上げされています。これまではプレイヤーによって採用の可否が分かれていましたが、以降は完全にレギュラーメンバーに固定されるようになりました。
また、【次元斬】の流行に伴い、「カオス・ソーサラー」が採用されないケースが増加していっています。これに関しては制限改訂と直接の関係はありませんが、一応この時に「苦渋の選択」が規制されたことも理由の一つだったのではないでしょうか。
結果として、【カオス】におけるカオス要素は「混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)」「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」の2枚のみに絞られることとなり、従来のアタッカー採用基準が大きく変わっていくことになります。具体的には、必要以上にモンスターの属性にこだわる必要性が薄くなったため、「D.D.アサイラント」「怒れる類人猿」「同族感染ウィルス」などの他属性のパワーカードが採用されるようになりました。
加えて、減少したフィニッシャーの数を補うために「人造人間-サイコ・ショッカー」「天空騎士パーシアス」といった生け贄召喚モンスターが復活を遂げています。特に「天空騎士パーシアス」は参入時に比べて打点の低さが足を引っ張りにくくなっており、相対的に使い勝手が改善されていたことも追い風です。
問題があるとすれば、この時期の【カオス】はもはや当初の【カオス】というアーキタイプから逸脱し始めていたということでしょう。
上記のレシピを見ても分かるように、このデッキは見方によっては【ノーカオス】にカオス2種を挿しただけとも言える構築であり、他のビートダウンデッキとの境目が曖昧になっていたことは明らかです。便宜上【カオス】と呼ぶべきデッキであるのは確かですが、凶悪さ自体は2003年の全盛期【カオス】に遠く及びません。
その後、第4期に突入するとともに【ミーネ・ウイルス】が台頭し始めてからは更に構築が変化していき、最終的には【ウイルスカオス】に派生する結末を辿っています。さらに、「混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)」が禁止カード指定を受ける2004年9月以降は【開闢スタン】とも言うべき姿に変わり、ほぼほぼ純正の【グッドスタッフ】に収束しました。
よって事実上、この時をもって【カオス】としての寿命を迎えたと言えるのではないでしょうか。
【まとめ】
第3期の【カオス】に関する話は以上です。
参戦以降、またたく間に環境を一色に塗り潰してしまうなど、その凶悪さは遊戯王全体を見渡しても比類するものはほとんどありません。まさに遊戯王前半期における暗黒時代の象徴とも言えるデッキですが、その全盛期は意外にも短く、半年ほどで勢いを失ってしまったデッキでもありました。
とはいえ、むしろ勢いを失った後ですら環境トップを独占し続けるほどのパワーを持っていたということでもあり、遊戯王を代表する暗黒期指定デッキに数えることにも不足はありません。
また、それほどの短い全盛期にもかかわらずOCG界隈に大きな傷跡を残していった事実こそが、当時の【カオス】の恐ろしさを現しているとも言えるでしょう。
ちなみに、2005年3月~9月に環境トップに君臨する【変異カオス】もカオスの名を冠してはいますが、中身は完全に別物です。実質的には【突然変異】というデッキ名の方が適切であり、実際に当時も【変異スタン】と呼ばれていることがほとんどでした。
むしろ後継デッキとしては2006年3月~9月に流行した【サイカリカオス】が最も近く、全盛期が半年間ということも含めて何かと共通項の多いデッキです。
とはいえ、そちらは健全なビートダウンデッキとして生まれ変わっていたため、やはり【カオス】らしい【カオス】の現役期間はこの時代で終わっていたのかもしれません。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
4期以降の派生デッキ全般に言える事ですけど、逆に40枚の中に1~2枚紛れ込んでるだけでデッキ名に名前が入るぐらいの影響力は持っているというという解釈も可能ですよね。【カオス】というデッキ自体は滅んでもカオスモンスター自体は引き続き前線で戦い続ける様は後の征竜を彷彿とさせます。
記事へのコメント、ありがとうございます。
仰る通り、【サイエンカタパ】などとは違い、純粋にカードパワーが高すぎるという理由で規制されていた事実は非常に重いものだったように思います。
当時のゲームを「カオスゲー」とまで言わしめた強い影響力、存在感は並ではなかったと強く実感する次第です。
カオスでは奈落の落とし穴はあまり採用されていなかったのでしょうか?
また、理由をご存知でしたら教えて頂きたくお願い致します。
コメントありがとうございます。
あくまでも個人的な経験則となりますが、当時のデッキ構築はとりあえず制限カードをできるだけ詰め込み、残りの枠はアタッカーなどを採用するという考え方が主流でしたので、結果的に奈落のような1:1交換の除去(炸裂装甲などもそうですが)はあまり高く評価されていなかったように思います。
その後、禁止カード制度が導入される第4期以降はカードプールの調整とともに汎用除去が再評価されていき、やがては必須と言われるようになったというイメージです。(記憶が正しければ【変異カオス】時代~【バブーン】時代の辺りで使われるようになった気がします)
ありがとうございます。
主力アタッカーの女戦士やカイクウをカオスの種にせず除去、開闢にも対応で悪くはないのかなと思っていました。
優先権終焉や次元融合という穴、1:1交換があまり評価されていなかったということでしょうか…
禁止カード制度の発足と共に引退した、混沌を制すもの発売当時中学生だった世代です。
なけなしの小遣いやお年玉をつぎ込んだ挙句、「テメェらで売っといて禁止とは何事か!!?」と怒り狂ったことを鮮明に覚えています。
友人同士のデュエルでも、「リミットレギュ適用しろ派(多数派)」と「公式戦じゃないんだからいいだろ、開闢終焉使わせろ派(少数)」でクラス内で非常に揉めた懐かしい思い出です。
当時の環境記録として大変楽しく読ませて頂いてます、これからも更新続けてください♪
コメントありがとうございます。
禁止制限は今でこそ基本ルールの一環として受け入れられていますが、昔はそれほど厳密に浸透していなかったと記憶していますし(特に第1期~2期の頃は)、制限を通し越して完全に使用不可となる禁止カードというシステムはやはり抵抗が強い部分もあったように思います。
私自身は周囲の影響もありさほどトラブルには見舞われずに済んだのですが、それでもカードが使えなくなることには少なからず思うところもありましたので、当時の改訂で禁止カードの入れ替え規制が多かったことにもそういった事情が含まれていたのかもしれません。