制限改訂2004/3/1 遊戯王史上初の禁止カード制度導入

2018年4月23日

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【前書き】

 【第3期の歴史35 神殿を守る者 地雷デッキ【神殿フルハンデス】の成立】の続きになります。ご注意ください。

 第3期最終弾となるレギュラーパックが販売され、第3期のカードプールはおおよその完成を迎えました。

 しかし、当時の遊戯王OCGは明らかに真っ当なゲームバランスが成立しておらず、率直に申し上げて重度の暗黒期に突入してしまっていたことは否定できません。広がり続けるカードプールに対して規制の手が追い付いていないことは明白であり、もはや現状のやり方では遠からず破綻を迎えてしまうのは目に見えています。

 こうした行き詰まった状況を受け、遂に公式から決定的な対応が取られることになりました。

 

【制限改訂 2004年3月1日】

 2004年3月1日、遊戯王OCGにおいて15回目となる制限改訂が行われました。

 制限カードに指定されたカードは以下の42枚です。

ヴァンパイア・ロード
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
キラー・スネーク(エラッタ前)
クリッター(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
人造人間-サイコ・ショッカー
同族感染ウィルス
ドル・ドラ
ならず者傭兵部隊
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
魔鏡導士リフレクト・バウンダー
魔導サイエンティスト
魔導戦士 ブレイカー
悪夢の蜃気楼
押収
大嵐
強引な番兵
強奪
強欲な壺
死者蘇生
団結の力
蝶の短剣-エルマ
手札抹殺
天使の施し
成金ゴブリン
早すぎた埋葬
光の護封剣
ブラック・ホール
魔導師の力
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
聖なるバリア -ミラーフォース-
停戦協定
破壊輪(エラッタ前)
魔法の筒
無謀な欲張り
リビングデッドの呼び声

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の9枚です。

暗黒のマンティコア
カオスポッド
切り込み隊長
処刑人-マキュラ
メタモルポット
強制転移
増援
抹殺の使徒
ラストバトル!

 

 無制限カードに緩和されたカードはありません。

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動10枚ですが、前回から新たにリストに加わったカードはなく、またリスト間の移動もありません。

 一方で、制限カードの枚数が10枚も減少していることが分かります。もちろん、リストに抜けがあったわけではありません。

 遊戯王OCG史上初となる、禁止カード制度の導入です。

遊戯王最初の禁止カード達

 禁止カードとは、その名の通り一切デッキに入れることができないカードを指します。環境に存在すること自体がゲームバランスに著しい悪影響を及ぼすと判断された場合、適用されることになるリストです。

 事実上、指定されたカードを「生まれてこなかったことにする」規制であり、商用ゲームとしては褒められた行為ではありません。とはいえ、現実的に考えて禁止カードシステムなしでゲームバランスをコントロールするのは不可能に近く、不可抗力的なルール導入ではあったのではないでしょうか。

 この時にリスト入りを果たしたのは以下の10枚のカード達でした。

お注射天使リリー 制限
サイバーポッド 制限
ファイバーポッド 制限
八汰烏 制限
いたずら好きな双子悪魔 制限
苦渋の選択 制限
心変わり 制限
サンダー・ボルト 制限
ハーピィの羽根帚 制限
王宮の勅命(エラッタ前) 制限

 

 いずれも当時の環境で猛威を振るっていた凶悪カードに他なりません。また、うち7枚は今なお禁止カードに指定され続けている危険な存在であり、「王宮の勅命(エラッタ前)」に至ってはエラッタによって消滅している始末です。

 もちろん、この10枚以外に危険なカードが存在しなかったわけではありません。【カオス】を筆頭に凶悪なカードは数知れず、純粋に規制の効力として考えれば不十分であることは明らかです。

 とはいえ、それら全てに一度で対処するというのも現実的ではありません。ゲームバランス的な混乱はさておくとしても、販売戦略が絡む以上は規制に段階を踏むというのも納得できる話でしょう。

 おおむね新システムの導入に慎重になっていた印象は強く、初回は様子見としてワンクッション置く判断があったのではないでしょうか。

 

【当時の環境 2004年3月1日】

 禁止カード制度の導入により、環境から一部のパワーカードが姿を消すことになりました。

 いずれも必須カード級の扱いを受けていたカードであり、これらが存在しなくなったことの影響は計り知れません。単純に全体除去やハンデス、ロックカードが消えたこと自体も大きな出来事ですが、最大の変化は「デッキのスペースが余ってしまった」ことにあったと言えるでしょう。

 これまで40枚丁度でデッキを組んでいたプレイヤーは代わりとなるカードを採用しなければならなくなり、結果的にデッキ構築を見直す機会に繋がっています。従来の「とりあえずパワーカードを詰め込めば良し」という考え方は今後は通用しなくなり、次第にカード間のシナジーを重視する価値観が浸透していきました。

 とはいえ、当時は流石にそういった考え方は芽吹いておらず、引き続き【グッドスタッフ】の理念が主流のデッキ構築概念を占めていたのは事実です。そもそもこの時期は禁止カードの数も少なく、【グッドスタッフ】のコンセプトを成立させることも極めて容易だったという事情もあります。

 余ってしまったデッキスペースの活用法のうち、最もオーソドックスな対応は「アタッカー枠を増量する」というものでした。

 基本的にいつ引いても腐ることがなく、デッキスロットの水増しにあてる負担も然程ではありません。手札でかさばってしまう危険性がないわけではありませんが、仮に初手で3~4枚引いたとしても極端に不利に陥ることはないでしょう。

 こうした流れにより、以降の環境は次第にモンスター偏重のゲームバランスへと切り替わっていくことになります。この時の規制で「サンダー・ボルト」や「サイバーポッド」が消え、モンスターを並べるリスクが小さくなったことも追い風となっていたのではないでしょうか。

 一方で、減少した全体除去の代用カードとして「激流葬」が浮上しています。

モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動可能。フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 発動条件のある「ブラック・ホール」とも言うべきカードで、そちらと比べてやや扱いが難しいのがネックです。しかし、カードパワーの高さは本物であり、この時の改訂以降の環境では一気に採用率を上げていくことになりました。

 実際に直近の制限改訂ではいきなり制限カードに指定されており、このカードの高いポテンシャルを窺わせる結末に繋がっています。元々1:1交換以上を狙えるカードとして注目を集めていましたが、ライバルが数を減らしたことを受けての躍進だったと言えるでしょう。

 しかしながら、この時の環境の変化によって最も評価が一変したカードは、まず間違いなく「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」に他なりません。

 第4期初年度におけるトップメタ、【ミーネ・ウイルス】の台頭です。

 デッキスロットが空いたこと、それによりアタッカー枠が増加したこと、そしてライバルとなる全体除去カードが減少したこと。以上の全ての要素が【ミーネ・ウイルス】にとっては追い風となる変化であり、これ以降の半年間を「ウイルス地獄」へと叩き落としています。

 その結果、ウイルスの効果を受ける攻撃力1500以上のモンスターはそれだけで評価を下げ、末期では「攻撃力1500未満だから強い」とすら言われるようになっていたほどです。

 その煽りを受けてリクルーターが再評価され、結果【トマハン】が復権を果たすという流れもありましたが、総じて【ミーネ・ウイルス】の支配が色濃い時代だったのではないでしょうか。

 

無傷の【サイエンカタパ】 先攻1キルの悪意

 しかしながら、2004年の真の支配者はやはり【サイエンカタパ】に他ならなかったと断言しないわけにはいきません。

 この時の規制では関連パーツに対して何一つ対応が成されず、引き続き暗黒時代の代名詞として恐れられていくことになります。それどころか約1ヶ月後に「魔法石の採掘」を獲得し、更なる安定性を手にしてしまう始末です。

 もちろん、第4期以降もカードプールが追加されるたびに着々と新規パーツを吸収し続け、最終的に「魔導サイエンティスト」が禁止カード指定を受ける2005年3月まで暴走を続けています。その現役期間は第3期を含めればなんと1年8ヶ月に及んでおり、被害の大きさは【エクゾディア】(第1期)【現世と冥界の逆転】(第2期)とは比較になりません。

 誠に遺憾ながら、こうした状況がなぜ発生してしまったのかについては全く推測がつかない状況です。デッキの流行度を鑑みる限り、当時の開発側が【サイエンカタパ】の存在を見落としていたというのはあり得ないはずですが、現実として禁止カード制度の導入後少なくとも1年は放置されてしまっています。

 何らかの理由があってのことなのか、もしくは特に理由はなく過失に過ぎないのか。いずれにしても結果だけを見れば大きな失敗であることは明らかですが、そうした騒動も含めて遊戯王OCGというカードゲームを構成していると言えるのかもしれません。

 

【まとめ】

 2004年3月1日の制限改訂で起こった変化は以上です。

 やはり何をおいても禁止カード制度の導入は革命的な事件であり、遊戯王OCGにおける歴史的な転換期だったと言っても過言ではないでしょう。ゲームバランスの調整が困難となったことを言外に示した出来事でもありましたが、それも見方を変えれば「禁止カード制度なしで5年も持たせた」という事実の裏返しでもあります。

 ただし、【サイエンカタパ】に関連した問題は流石に擁護できません。初回である当時はともかく、半年後にも同じく見過ごされているというのはいかにも不自然であり、単なるミスであればそれはそれで致命的な過失です。

 とはいえ、そうした事態も今となっては過去のものである以上、結果的には丸く収まっていると考えることもできます。時代ごとに様々な問題を引き起こしながらも無事に現在を迎えている辺り、遊戯王OCGは底知れないしぶとさを秘めたカードゲームなのかもしれません。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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