「連続魔法」誕生 【サイエンカタパ】更なる高みへ

2018年6月18日

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【前書き】

 【第4期の歴史6 死者転生 遊戯王史上初の万能サルベージ】の続きになります。特に、この記事では前中後編の中編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

魔法コピー 悪用されるために生まれてきたカード

 「RISE OF DESTINY」には様々な実戦級カードが収録されていたということは前記事の通りです。しかし、当時最も環境で活躍したのはそうした汎用的なカードではありません。

 それは「連続魔法」という速攻魔法カードでした。

自分の通常魔法発動時に発動する事ができる。手札を全て墓地に捨てる。このカードの効果は、その通常魔法の効果と同じになる。

 一言でまとめれば、自分が発動した「通常魔法カード」にチェーン発動することで、その効果をコピーするという効果を持っています。

 ただし、発動コストとして手札を全て捨てなければならず、まともに運用することは非常に困難です。好きな魔法カードをコピーできると言えば聞こえは良いですが、いくら何でもコストが重すぎると言うほかありません。

 効果の性質上、目的の通常魔法カードにチェーン発動しなければならない点も使い勝手を落とします。

 具体的には、相手に適当なカードをチェーンされるだけで目論見が潰えてしまうことになります。優先権ルールの関係上、先に効果を発動する権利が与えられるのは相手プレイヤーであり、狙いを読まれれば簡単に妨害されてしまうからです。

 結論としましては、単純に魔法カードを再利用するのであれば「魔法石の採掘」で十分という印象は拭えません。そもそも当時は「聖なる魔術師」という優秀なリバースモンスターが現役を務めていたため、魔法カードの再利用を目的に「連続魔法」が使われるケースは稀だったのではないでしょうか。

 しかしながら、こうした多くのデメリットが問題にならない状況も存在します。特定の魔法カードをコンボパーツとするコンボデッキであれば、2枚目3枚目のキーカードにもなり得るからです。

 

【サイエンカタパ】強化 遺言状×2

 第4期当時において、この「連続魔法」の恩恵を最も強く受けたデッキは【サイエンカタパ】に他なりませんでした。

 「魔法石の採掘」同様、タイムラグなく魔法カードを再利用できるため、非常に優秀なコンボパーツとして機能します。例えば、条件を満たした「遺言状」をコピーすればそれだけで勝利が確定するでしょう。

 コンボに完全特化している関係上、重い発動コストも気になりません。むしろ確実に2枚の手札コストが必要な「魔法石の採掘」よりも扱いやすく、当デッキでは事実上の上位互換として見ることもできます。

 また、この「連続魔法」でコピーするのは効果のみであり、コストを支払う必要がないという点も大きな優位点のひとつです。

 具体的には、「モンスターゲート」などの発動コストが必要な魔法カードであっても、追加でそのコストを支払う必要がないということになります。これもまた「魔法石の採掘」にはない大きなメリットと言えるでしょう。

 ちなみに、その「魔法石の採掘」をコピーすることも当然可能です。一見すると意味のないテクニックに思えますが、2種類の魔法カードを使い分ける必要がある時などに重宝します。

 

【デッキ破壊1キル】強化 手札抹殺×2

 2番目に「連続魔法」の恩恵を強く受けたのは【デッキ破壊1キル】です。

 エンドカードである「手札抹殺」を2連打することができるようになったため、これまでとは比較にならないほどデッキデスの成功率が上がっています。単純にノルマが「デッキ枚数の半分」で済むようになったことに加え、状況次第では「浅すぎた墓穴」などをコピーして展開に繋げることもできるでしょう。

 さらに、本来は重いデメリットでしかない発動コストも当デッキでは明確なメリットとなり得ます。どのような状況であっても確実に自分の手札を0枚にできるため、自分の「手札抹殺」に巻き込まれて自滅する心配がなくなりました。

 これによって「サイバーポッド」で手札を溜め込むリスクがほぼ無視できるレベルになり、途中でコンボが止まる可能性が大幅に下がっています。この時期は「サイバーポッド」は禁止カードに指定されていましたが、制限カードに規制緩和される2004年9月以降は【デッキ破壊1キル】の代表的なギミックとして知名度を上げていきました。

 

【レンハン】の成立 連続魔法によるハンド・コントロール

 上記のような先攻1キルコンボデッキとは系統を違えるアーキタイプとして、【レンハン】というデッキも考案されています。

 コンセプトは単純明快、「連続魔法」を効果的に活用することだけです。つまりそれ以外のコンボ要素はなく、デッキ名の由来の通りコントロールデッキの一種となっています。

 具体的には、「強欲な壺」や「いたずら好きな双子悪魔」といった強力な魔法カードを何度も使い回し、自分・相手の手札をコントロールすることを狙います。「ハンド・コントロール」とは言い得て妙ですが、もちろん漠然と「連続魔法」を積むだけでは成立しません。

 まず、通常のデッキでは重すぎる手札コストを相殺するために、「キラー・スネーク(エラッタ前)」や「深淵の暗殺者」を可能な限り投入するのは大前提です。見方によっては【深淵1キル】の派生形とも言えるデッキで、採用カードについても似通った顔触れになるのではないでしょうか。

 こうしたカード選択だけではなく、デッキの構造自体にも注意を払う必要があります。「連続魔法」の発動前はもちろん、発動後も手札を魔法&罠ゾーンに貯金できるように、魔法・罠カードの比率を高めにしておくと良いでしょう。

 このように、非常に驚くべきことですが、この【レンハン】は「連続魔法」を真っ当な手段で活用しようとしたデッキです。上記の2デッキとは活用法が180°異なっており、プレイヤーの発想力に限界がないことの表れとも言えます。

 とはいえ、この【レンハン】も「連続魔法」の誕生から即座に開発が進んだわけではありません。というより、あまりの扱いにくさから連続魔法」をまともに使おうとするプレイヤーがそもそもおらず、少なくともこの時期は影も形もなかったデッキだったのではないでしょうか。

 【レンハン】の厳密な成立時期については不明ですが、以下の事実からおおよその活躍期間が推測できます。

 

①:キーカードでもある「いたずら好きな双子悪魔」が制限復帰したのは2005年3月。

 

②:その半年後に「キラー・スネーク(エラッタ前)」が禁止カードに、「深淵の暗殺者」が制限カードになっている。

 

 事実上、②の時点でコンセプトの大半が崩壊してしまっているため、2005年3月~2005年9月の半年間が最大寿命となるでしょう。「いたずら好きな双子悪魔」の制限復帰以前にも類似のデッキが存在していた可能性はありますが、【レンハン】としての現役期間は上記のものと考えて差し支えありません。

 なお、肝心のデッキパワーに関しましては、恐らく環境レベルには届いていなかったものと思われます。

 コンセプトとしては綺麗に纏まっており、面白いデッキではあるのですが、やはり構造的に不安定な部分が多いというのも事実です。そのため、この【レンハン】も純粋なデッキの強さで有名になったわけではなく、本来は使いにくい「連続魔法」を活かした異色のデッキという意味で知名度を上げたデッキだったと言えるのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 悪用前提の魔法コピーカード、「連続魔法」に関する話は以上です。

 純粋なカードパワーはそれほど優れていませんが、コンボパーツとしてのポテンシャルは極めて高く、実際に【サイエンカタパ】【デッキ破壊1キル】などのキーカードを務めています。

 とはいえ、それは「連続魔法」が悪いというより、その相方に原因があることは明らかです。実際、この「連続魔法」に対して規制が入ったことは一度もありません。

 また、【レンハン】という純正のコントロールデッキを生み出すなど、決して悪用されるだけのカードではなかったことも窺えます。一見すると使いこなすのが難しいカードであっても、プレイヤーのデッキビルド次第では輝きを放ちうるということでしょう。

 ……と、ここで話が終わればよかったのですが、当パックと同日発売のプレミアムパックの中に、とてつもない怪物が潜んでいたことには触れておかなければなりません。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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