死者転生 遊戯王史上初の万能サルベージ
【前書き】
【第4期の歴史5 アビス・ソルジャー参戦 【アビス・コントロール】の成立】の続きとなります。ご注意ください。
「アビス・ソルジャー」の誕生により【アビス・コントロール】が成立し、有力な新勢力としてメタゲームに影響を及ぼしました。成立直後はカードプールの関係上それほど目立った活躍はありませんでしたが、2004年9月以降は次第に存在感を示していくデッキです。
【ウイルスカオス】を筆頭に、既存勢力も形を変えて環境に適応していた事実も見逃せません。総じてこれまで以上に複雑なメタゲームが発生していたと言えるのではないでしょうか。
カードプールの更新、そしてメタゲームの変化によって環境が動いていく中、続く8月に大規模なカードプールの変動が起こります。
レギュラー&プレミアム パワーカードの大盤振る舞い
2004年8月5日、レギュラーパックである「RISE OF DESTINY」に加え、「PREMIUM PACK 7」が同日販売されました。「RISE OF DESTINY」から60種類、「PREMIUM PACK 7」から8種類、計68種類の新規カードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1947種類に増加しています。
どちらのパックも枚数の差はあれ内容は非常に濃く、この時のカードプール更新が環境に与えた影響は決して少なくありません。
レギュラーパックからは【帝】シリーズの1体である「炎帝テスタロス」を筆頭に、妥協召喚モンスターの代表格「可変機獣 ガンナードラゴン」、様々な活用法を持つコンボパーツ「機械複製術」、効果モンスターに対するカウンター罠「天罰」など、多数の優良カードが現れています。
変わったところでは、海外環境を中心に高い評価を受けていた「魔装機関車 デコイチ」や、一部のロックデッキで活躍した「心鎮壷」といった「知る人ぞ知る名カード」が収録されていたことも特徴のひとつです。
反面、規制経験を持つ分かりやすいパワーカードは内容に含まれていませんが、おおむね豊作のパックだったと言えるでしょう。
一方、プレミアムパックには現在でも禁止カードに指定され続けている凶悪カードが含まれていました。こちらに関しては後編記事で取り上げる予定ですが、結論だけを申し上げれば「二度と帰ってこないであろうカード」に該当する存在です。
死者転生 悪用されやすい万能サルベージ
話を戻して「RISE OF DESTINY」についてですが、当然ながら上記で挙げたもの以外にも目を引くカードはあり、中には参入直後から大きな影響を及ぼしたカードも存在します。
その内の1枚は「死者転生」という魔法カードでした。
手札を1枚捨てて発動する。自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。
状況を選ばず、任意のモンスターを無条件で回収できるという強力なサルベージカードです。ただし、発動に手札コストを要求されるため、基本的には1枚分のディスアドバンテージとなってしまいます。
とはいえ、それを踏まえても優秀なサルベージカードであり、手札コストを捻出しやすいデッキではしばしば採用候補に挙がっていました。特に「キラー・スネーク(エラッタ前)」や「深淵の暗殺者」を擁する【深淵1キル】では必須カードにまで登り詰め、デッキパワーと安定性の底上げに貢献していたほどです。
他には、単純な蘇生カードでは再利用できないカードを使う場合、「死者蘇生」をも上回る効力を発揮することもあるでしょう。具体的には「聖なる魔術師」などのリバースモンスター、「魔導戦士 ブレイカー」などの召喚誘発型モンスター、そして【カオス】などの特殊召喚モンスターが該当します。
もちろん、コストの存在から多用できるカードではないことは上述の通りですが、【ウイルスカオス】などでは「深淵の暗殺者」とともに使われることもありました。これまでは蘇生制限を満たさずに墓地に落ちてしまった【カオス】を再利用する術はありませんでしたが、そうした構造的な欠陥がある程度解消された形です。
とりわけ当時は「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」という天敵が蔓延しており、手札から直接【カオス】を叩き落とされてしまうケースも少なくありませんでした。ゲーム展開によっては「詰み」に嵌ってしまう状況ですが、これを握っていれば活路を見出すこともできます。
ウイルスの影響を受けるのは「ドローしたカード」であり、サルベージによって手札に加わる「死者転生」はこの影響を受けません。それでもアドバンテージを失う点には気を付ける必要がありますが、構築次第では「ウイルスの影響を受けない高打点モンスター」のような振る舞いをさせることも不可能ではないでしょう。
ちなみに、やや意外なことですが、対象の制限なく任意のモンスターをサルベージできるカードはこれが遊戯王史上初です。特に複雑な効果ではないこと、またオリジナルである「死者蘇生」の誕生時期(1999年3月27日)などを鑑みれば遅すぎる参入とも言えます。
もっとも、仮に初期から存在していれば「一部のデッキ」で大暴れしていたであろうことは明らかです。基本的には「死者蘇生」に及ばない性能ですが、中々作ろうにも作れないタイプのカードだったのかもしれません。
【中編に続く】
「RISE OF DESTINY」のトップレアの1枚、「死者転生」については以上となります。
現在では「死者蘇生」のタイピングミスを疑われるほど知名度の低いカードですが、当時は環境での活躍もあった密かな実戦級カードです。手札コストを工面しやすい状況だったこと、また環境的にサルベージ効果が活きやすい土壌が整っていたことなど、複数の要因が絡み合った結果だったと言えるでしょう。
しかしながら、当パックに収録されていたカードの中で、当時最も使われたのは「死者転生」ではありません。真っ当な使い方をされないを通し越し、最初から悪用前提で刷られたとしか思えないピーキーなカードも存在します。
中編に続きます。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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コメント一覧
闇遊戯が写ってるのって通常パックだとRDSが最後なんですよね。そういう意味では何となく特別なパックというイメージが自分の中にはあります。
丁度アニメがクライマックスに入っていたこともあり、私の中でも強く印象に残っている次第です。背景の創世神も良い味を出しているように思います。