深淵の暗殺者 無限の手札コストと【深淵1キル】の成立

2018年4月12日

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【前書き】

 【第3期の歴史33 D.D.アサイラント参戦 【ノーカオス】の強化と【次元斬】の成立】の続きになります。ご注意ください。

 「D.D.アサイラント」という強力な汎用アタッカーの参戦を受け、【カオス】とそれ以外のデッキのカードパワー格差は次第に縮まっていきました。

 しかし、活発化するビートダウン界隈とは対照的に、【サイエンカタパ】を筆頭とする先攻1キルデッキの脅威は依然として消えていません。また、「第六感」による「サイコロゲー」の被害も広がる一方であり、当時の遊戯王OCGが暗黒期に突入していたことは火を見るより明らかでした。

 そんな折、当時の環境に更なる波乱を呼ぶ出来事が起こることになります。

 

【ファラオの遺産 危険なコンボパーツ達】

 2004年2月26日、「ファラオの遺産」が販売されました。新たに56種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1808種類に増加しています。

 非常に多くの優良カードを輩出したことで知られているパックです。遊戯王前半期のロック系コントロールの象徴である「レベル制限B地区」を筆頭に、サーチ型【エクゾディア】で活躍した「冥界の使者」、【融合召喚】全般で多用される「沼地の魔神王」など、往年の名カードとの評価がふさわしい新人が何枚も収録されています。

 また、【デッキ破壊1キル】、そして【MCV】で使われた「リバースソウル」や「砂漠の光」といった危険なコンボパーツも少なくありません。これらは単体では強さを発揮しませんが、特定のデッキでは強烈に作用する「コンボパーツの中のコンボパーツ」とも言える存在です。

 一方で、【グッドスタッフ】で使われるような汎用パワーカードの姿は見当たらなかったという欠点もあります。とはいえ、それを考慮しても十分に実入りの多いパックだったのではないでしょうか。

深淵の暗殺者 無限の手札コスト

 しかし、そうした平和なメンバーの中に、一際危険なコンボパーツが紛れ込んでいたことには触れておかなければなりません。

 それは「深淵の暗殺者」というリバースモンスターでした。

リバース:相手フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する。このカードが手札から墓地に送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。

 リバース時に相手モンスター1体を破壊する1つ目の効果、手札から墓地へ送られた場合にリバースモンスター1体をサルベージする2つ目の効果を与えられています。

 結論から先に申し上げれば、実戦級の除去効果、そして極めて悪用しやすいサルベージ効果を併せ持つ、非常に危険なカードです。1つ目の除去効果は「人喰い虫」とほぼ同じ使用感ですが、2つ目の効果は無限の手札コストにもなり得るポテンシャルを秘めています。

 単純に考えても手札コストを相殺しつつ「聖なる魔術師」などのリバースモンスターを再利用できる効果であり、堅実にアドバンテージを稼いでいける優秀な効果です。しかし、何よりも問題だったのは「同名カードのサルベージが制限されていない」という事実に他ならないでしょう。

 つまり、これが2枚揃えばそれだけで無限コストが成立してしまいます。流石に自分自身をサルベージすることは不可との特殊裁定が出ていましたが、2枚コンボであっても十二分に強力なギミックであることは言うまでもありません。

 「サンダー・ブレイク」などの重いカードをノーコストで撃てるようになるほか、「同族感染ウイルス」に至っては効果が使い放題になります。同じく無限の手札コストになる「キラー・スネーク(エラッタ前)」と比較した場合、安定性では流石に及びませんが、即効性、爆発力においては凌駕していると言えるでしょう。

 また、複数枚の「深淵の暗殺者」が同時に墓地へ送られた場合、それぞれ対象に取り合うことで全て回収することもできます。「天使の施し」や「手札抹殺」を使う場合に起こり得るシチュエーションであり、状況次第では爆発的なアドバンテージを生み出すことも不可能ではありません。

 そして、上記の相互サルベージコンボと、1ヶ月後に誕生する「魔法石の採掘」とを組み合わせ、【深淵1キル】が考案されることになりました。

 

【深淵1キル】 無限ドロー再び

 【深淵1キル】は、「深淵の暗殺者」と「魔法石の採掘」を組み合わせて無限ループを狙う即死コンボデッキです。

 厳密には、2004年2月26日当時は「魔法石の採掘」が誕生していなかったため、この時期に成立していたわけではありません。しかし、およそ1ヶ月後の出来事であり、ほぼこの時期に誕生したものと考えても差し支えはないでしょう。

 具体的なコンボの手順は以下の通りです。

 

①:「深淵の暗殺者」を手札に2枚、「魔法石の採掘」を手札・墓地にそれぞれ1枚ずつ揃える。

 

②:「魔法石の採掘」の手札コストで「深淵の暗殺者」2枚を捨て、墓地の「魔法石の採掘」を回収する。

 

③:「深淵の暗殺者」のサルベージ効果でお互いを回収し、①に戻る。

 

④:無限に魔力カウンターが得られるため、「王立魔法図書館」などを使ってゲームを決める。

 

 最終的に無限の魔力カウンターを得ることを目的に据えているなど、構造的には【ギアフリード1キル】と共通する部分が多いのが特徴です。こちらは必要パーツがかなり多く、コンボ達成難易度は決して低くはありませんが、代わりにカード単体の性能に優れている強みがありました。

 元々「深淵の暗殺者」自体が普通に使っても強いカードであり、感覚的には「コンボパーツにもなる汎用カード」という印象です。最悪でも「人喰い虫」にはなる以上、基本的にゲーム中に持て余すケースはほとんどありません。

 「魔法石の採掘」の方は単体では苦しい性能ですが、「キラー・スネーク(エラッタ前)」などを駆使すればディスアドバンテージを軽減できます。状況を見て不要牌を捌くことにも使えるため、少なくとも「蝶の短剣-エルマ」と比べれば遥かに役に立つカードです。

 また、必ずしも無限ループにこだわる必要はないということも大きな強みの一つに数えられるでしょう。例えば、「深淵の暗殺者」が2枚揃うだけで「魔法石の採掘」をノーコストで撃てるようになるため、コンボ完成を待たず任意の魔法カードに変えてしまう方が強いケースも少なくありません。

 総じてコンボデッキとしては対応力や柔軟性に優れており、総合的なデッキパワーは【ギアフリード1キル】を上回っていたのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 「深淵の暗殺者」に関する話は以上となります。

 単純にカードの性能が高水準でまとまっており、コンボパーツとしては破格の汎用性を備えているモンスターです。もちろん、コンボに組み込んだ際の爆発力も並ではありません。

 こうした凶悪さを踏まえ、この「深淵の暗殺者」は第4期中に制限カードに指定されたまま今現在を迎えています。カードプールが広がった現在では当時以上に多彩な悪用法が考えられる以上、今後も規制緩和されることは恐らくないと言えるでしょう。

 そんな「深淵の暗殺者」を輩出した当パックではありますが、実はここに収録されていた危険なコンボパーツはこれだけではありません。むしろ直後の環境に限れば「深淵の暗殺者」以上に騒動を巻き起こしたとすら言えるほどです。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

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