D.D.アサイラント参戦 【ノーカオス】の強化と【次元斬】の成立

2018年4月9日

スポンサーリンク

【前書き】

 【第3期の歴史32 遊戯王の歴史 2003年の総括】の続きになります。ご注意ください。

 混沌の2003年が終わりを告げ、遊戯王OCGは5度目の新年を迎えることとなりました。年度初頭は穏やかな風が吹いていましたが、【カオス】の参戦以降は一瞬で雲行きが怪しくなり、最終的には【サイエンカタパ】の狂気がプレイヤーを苛んでいます。

 にもかかわらず、毎年恒例だった1月の制限改訂は今年から行われていません。非常に間の悪いことに、2004年から制限改訂のサイクルが3月と9月の年2回に切り替わっており、迅速な対応は望むべくもない状況でした。

 暗黒の空気に包まれたまま新年を通り過ぎていく中、続く2月に頼もしい新人が彗星のように現れることになります。

 

【D.D.アサイラント 【次元斬】のエースアタッカー】

 2004年2月5日、「遊戯王デュエルモンスターズ エキスパート3」と、その攻略本が販売されました。

 ゲーム同梱カードとして新規カードが3種類、書籍同梱カードとして1種類、計4種類の新規カードが誕生しています。遊戯王OCG全体のカードプールは1752種類に微増した格好です。

 カードプールの更新量自体はごく僅かながら、前述の通り環境クラスの強力なカードが輩出されています。

 それは「D.D.アサイラント」という1体の下級モンスターでした。

このカードが相手モンスターとの戦闘によって破壊された時、相手モンスターとこのカードをゲームから除外する。

 戦闘破壊された場合、自身を破壊した相手モンスターを道連れに除外されるという効果を与えられています。「異次元の女戦士」と同型の除外効果を持つ強力な下級アタッカーであり、その相互互換とも言えるモンスターです。

 こちらは除外効果の発動条件が「自身が戦闘破壊された時」とやや厳しめに設定されており、柔軟性では「異次元の女戦士」に水をあけられています。しかし、攻撃力が1700と準アタッカーラインを上回っているため、単純な戦闘力は本家の比ではありません。

 数値にして僅か200の差ですが、当時は攻撃力1600の準アタッカーが幅を利かせていた関係上、この違いは極めて重要な格差です。道連れ除外前にモンスターを戦闘破壊することで1:2交換を成立させられる確率が高く、アドバンテージの取りやすさ自体は「異次元の女戦士」を越えています。

 一方で、除外効果の使い勝手は上述の通り優れてはおらず、「異次元の女戦士」どころか「異次元の戦士」にすら及びません。カードの性能自体は高いものの、その性質はやや異なっていると見るべきであり、除去能力そのものは受け身のモンスターと言えるでしょう。

 とはいえ、「D.D.アサイラント」自体がパワーカードであることは明らかだったことから、当時の環境でも【ノーカオス】を中心に有力な新人として台頭していっています。対照的に、【カオス】においては属性の関係から採用されないケースが多く、事実上は【カオス】だけが恩恵にあずかれなかった格好です。

 さらに、【カオス】側から見た「D.D.アサイラント」はキラーカードに近いモンスターであり、長らく仮想敵の1体として苦しめられる結果に繋がっています。この頃は【カオス】も勢いを落としつつあったため、こうしたメタ効果を備えた汎用パワーカードの参戦は単純に向かい風と言うほかありません。

 そして、こうした除外戦術にデッキ単位で特化するというコンセプトのもと、遂に【次元斬】が成立することになりました。

【次元斬】の成立 【カオス】をメタった【ノーカオス】

 【次元斬】は、道連れ除外効果を持つ「異次元の戦士」「異次元の女戦士」「D.D.アサイラント」の3種を9枚フル投入したビートダウンデッキです。

 構造的には【ノーカオス】を下敷きにしていますが、純粋な【グッドスタッフ】ではないため厳密には【ノーカオス】ではありません。しかし、当時は【カオス】を採用しないビートダウンデッキは【ノーカオス】と一括りにされる傾向にあったため、ここでもそのように扱っています。

 とにかく相手の墓地にモンスターを溜めないことに重きを置いており、ひいては【カオス】を着地させないことに特化したビートダウンデッキです。また、場に出てしまった【カオス】に対しても自爆特攻から1:1交換を狙いやすく、どのような形であれ「相手の切り札を活躍させないこと」に関しては右に出るものはありません。

 もっとも、この時期は上記の3枚以外に特徴的なカードが採用されるケースは少なく、精々「増援」が積まれていた程度です。元々【ノーカオス】自体が「異次元の女戦士」「D.D.アサイラント」の2種を採用していたことは上述の通りであり、明確な差異は「異次元の戦士」を積んでいるかどうかという部分しか残りません。

 時代が進むにつれて「異次元からの帰還」などの強力なサポートを獲得していくことになりますが、当初は【ノーカオス】の派生デッキの一種に近い存在だったのではないでしょうか。

 

【当時の環境 2004年2月5日】

 「D.D.アサイラント」の誕生によって【次元斬】が成立し、【カオス】の対抗馬として環境に台頭しました。

 墓地利用を封じる戦法を取ることで【カオス】の着地を防ぐとともに、その除去能力から【カオス】本体に対しても強く出ることができます。また、単純にカードパワーが高かったことから【ノーカオス】でも取り上げられ、次第に【カオス】とそれ以外のデッキの戦力差が縮まっていった格好です。

 とはいえ【カオス】側も無抵抗ではなく、「異次元の戦士」対策として「聖なる魔術師」などの小型モンスターを増量するといった形で対応しています。当時の環境は度重なる規制によってデフレを迎えており、リバースモンスターの抱える「遅さ」がリスクに繋がりにくくなっていた都合も関係していたのではないでしょうか。

 一方で、【サイエンカタパ】に関しては完全に野放しの状況となっており、もはや頭を伏せてやり過ごすしかないという始末でした。【カオス】含めてビートダウンデッキは「ジャンケンに負けたら最後」としか言えず、運が悪ければ先攻を取れてもゲームを落としてしまうことさえ珍しくありません。

 【サイエンカタパ】同士のミラーマッチも不毛そのものであり、序盤にジャンケン、中盤は初手確認、終盤が先攻1ターン目という有様です。もちろん、序盤に近付くほど重要なのは言うまでもありません。

 率直に申し上げて最悪の事態であり、当時の環境は凶悪な先攻1キルの脅威に晒され続けることとなっていました。

 

【まとめ】

 「D.D.アサイラント」の参戦によって起こった出来事は以上です。

 除外効果持ちのモンスターが増えたことで【次元斬】が成立したほか、【ノーカオス】を強化する結果にも繋がっています。相対的に【カオス】とそれ以外の距離が縮まっていった変化であり、ビートダウン界隈に限ればメタゲームの複雑化を招いた良い刺激だったと言えるでしょう。

 反面、【サイエンカタパ】の脅威は依然として残り続けるなど、解決不可能な問題も至るところに転がっていました。もはやプレイヤーの手でどうにかなる領域の話ではなく、開発側による早急な対応が望まれていたのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

スポンサーリンク