【MCV(Vドラマッチキル)】(第4期)

2018年6月22日

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デッキデータ

 活躍期間 2005年9月2006年3月
 脅威度 暗黒期
主な仮想敵  【ガジェット】(2005年4月~)
【トランス】(2005年9月~2005年10月)
【Vドラコントロール】(2005年9月2006年3月
【リクルーターカオス】(2005年9月2006年3月
【雑貨貪欲ターボ】2005年9月2006年3月
【サイカリバー】(2005年9月~)
【黄泉帝】(2005年11月~2006年3月

 

デッキレシピ

サンプルレシピ(2005年9月1日)
モンスターカード(6枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚 ヴィクトリー・ドラゴン
カオスポッド
サイバーポッド
聖なる魔術師
メタモルポット
闇の仮面
魔法カード(24枚)
×3枚 浅すぎた墓穴
王家の神殿(エラッタ前)
太陽の書
魔法石の採掘
リロード
×2枚 おろかな埋葬
成金ゴブリン
×1枚 ご隠居の猛毒薬
強欲な壺
手札抹殺
鳳凰神の羽根
魔力の枷
罠カード(10枚)
×3枚 砂漠の光
×2枚 強欲な瓶
八汰烏の骸
×1枚 鳳翼の爆風
無謀な欲張り
竜の血族
エクストラデッキ(0枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚  

 

デッキ解説

 【MCV】は、カオスポッド」を軸に無限ループを組み立て、最終的に「ヴィクトリー・ドラゴン」によるマッチキルを狙うコンボデッキです。

 同じく「ヴィクトリー・ドラゴン」をフィニッシャーとする【Vドラコントロール】の派生デッキとして開発され、当時の現役プレイヤー達を阿鼻叫喚の渦へと叩き落としています。具体的な状況については上記関連記事で取り上げていますが、一言でまとめれば「デッキ崩し」に始まるプレイヤー側のモラル問題にまで発展してしまっていたほどです。

 デッキの土台そのものは【デッキ破壊1キル】を下敷きとしており、基本的なデッキの動きはそちらに準じます。

 ただし、コンボを成立させるには【デッキ破壊1キル】以上に複雑なプレイング技術が要求されるため、回し方をしっかりと理解しなければ使いこなせない上級者向けのデッキとして扱われていたことも事実の一端ではありました。

 

【MCV】の回し方

無限ループ成立まで

 まず、最初の目標となるのは無限ループの土台を整えることです。

 具体的には、「王家の神殿(エラッタ前)」によって罠カードを即座に発動できるようにした上で、フィールドに「カオスポッド」「闇の仮面」「聖なる魔術師」を、手札に「砂漠の光」を揃えることを狙います。

 この時、デッキ内に他のモンスターが存在してはならないこと、また「カオスポッド」「闇の仮面」の2体はセット状態でなければならないことには注意が必要です。

 逆に言えば、「聖なる魔術師」は表側表示になっていても構いません。つまり、「浅すぎた墓穴」から「聖なる魔術師」を蘇生し「太陽の書」でリバース、回収した「浅すぎた墓穴」で「闇の仮面」を蘇生、といった形の展開ルートを取ることもできます。(逆のパターンは成立しないのでご注意ください)

 上記のシチュエーションで「砂漠の光」を発動した場合、「闇の仮面」「カオスポッド」のリバース効果がそれぞれ誘発するため、「砂漠の光」を即座に回収した上で3体全てを再びセットし直すことができます。あとはこれを繰り返し行うことで無限に魔法カードをサルベージし、マッチキルを決めるための土壌を整えていくという仕組みです。

 問題はこの状況を作り上げるまでの流れですが、これに関しては上述の通り【デッキ破壊1キル】の動きをなぞった展開を行っていきます。

 具体的には「サイバーポッド」「メタモルポット」を何度も使い回して手札を稼ぎ、潤沢なリソースに物を言わせて盤面を構築するという流れです。もちろん、必ずしもデッキを引き切る必要はなく、上記の条件が揃い次第ループに突入することができます。

 ただし、相手のデッキを削るだけで済む【デッキ破壊1キル】とは違い、ただ闇雲にデッキを掘り進めるだけではコンボ成立には至らないことには注意しなければなりません。極端な話、手札が20枚以上あったとしても「浅すぎた墓穴」が1枚しか残っていなければ「詰み」の状況に陥ってしまいます。

 曲者なのが「デッキを掘り進めること」自体にも「浅すぎた墓穴」を消費してしまうということで、形としてはエンジンパーツとコンボパーツが競合を起こしている格好です。そのため、現時点でデッキにどのカードが何枚残っているのかを常に逆算しつつ、状況に応じて使用するカードを選択していかなければなりません。

 言葉だけでは分かりにくいため、以下に簡単な具体例をいくつか示します。

 

・デッキに「浅すぎた墓穴」「魔法石の採掘」「太陽の書」「砂漠の光」が1枚ずつ残っている場合。

 

 自由に行動できる。可能な限り手札を稼げるように動く。

 

・デッキに「浅すぎた墓穴」がなく、「魔法石の採掘」「太陽の書」「砂漠の光」が1枚ずつ残っている場合。

 

 手札の「浅すぎた墓穴」「魔法石の採掘」の枚数に注意する。最低1枚は残すこと。

 

・手札及びデッキに「砂漠の光」がなく、「浅すぎた墓穴」「魔法石の採掘」「太陽の書」が1枚ずつ残っている場合。

 

 「鳳凰神の羽根」で「砂漠の光」をデッキに戻すか、「浅すぎた墓穴」→「闇の仮面」→「太陽の書」のルートで回収する。後者の場合は「闇の仮面」が表側表示となるため、さらに以下のようなルートを取る。

 

 ●「浅すぎた墓穴」→「聖なる魔術師」→「太陽の書」→「太陽の書」回収→「魔法石の採掘」で「浅すぎた墓穴」回収→「カオスポッド」→「太陽の書」→3体のリバースモンスターがセット状態に→「砂漠の光」→ループ成立

 

 もちろん、ループ突入までのパターンは上記のものに限りませんが、全てを記載することはできないためここでは割愛します。より詳しい動きを知りたい場合は、やはり実際に回してみるのが一番なのではないでしょうか。

 いずれにしても「浅すぎた墓穴」が重要なキーカードとなることは変わりませんが、これに関しては魔法石の採掘」を含めても6枚体制であり、序盤の「手札抹殺」や「カオスポッド」で墓地に落ちてしまうことも考慮すればギリギリの枚数です。枚数に余裕を持たせたい場合は「魔法再生」などを追加で用意することも考えられます。

 ただし、サイバーポッド」でリバースモンスター3種のいずれかを引き当てた場合、「浅すぎた墓穴」の消費が1枚浮くということは覚えておいて損はありません。運が絡むルートですが、状況によってはこの方法に賭けるしかないケースもあるでしょう。

ヴィクトリードラゴン着地まで

 無事に無限ループが成立した場合、続けて「ヴィクトリー・ドラゴン」によるマッチキルを決める土壌を整えていきます。

 上記のループでは魔法カードしか回収できませんが、鳳凰神の羽根」と「成金ゴブリン」を組み合わせれば間接的に全てのカードを回収可能です。その場合、相手のライフも際限なく回復していきますが、これは「ご隠居の猛毒薬」による無限バーンを行うことで相殺します。

 (ちなみに、これにより相手のライフを200刻みで調節できます。この発見から後述の「魔力の枷」ロックが開発されるに至りました)

 その後、上記のギミックで「鳳翼の爆風」を無限に使い回し、相手フィールドを更地にします。除去として使う場合は「サンダー・ブレイク」でも構いませんが、デッキバウンスによって相手のデッキ切れを防ぐことができるため、特に理由がない限りこちらが優先されることがほとんどでした。

 盤面が整った後はいよいよ「ヴィクトリー・ドラゴン」の召喚に移ります。しかし、この時点で既に召喚権を消費してしまっているケースが多いため、何らかの方法で召喚権を補充しなければなりません。

 初期の型では主に「血の代償」が使われていましたが、後期においてはその発展形として「魔力の枷」ギミックが採用されています。

 当時のカードプールでは「魔力の枷」ロックを抜け出す方法はほぼ存在せず、相手のライフを500未満にすることで実質全ての行動を封じることができました。そうして事実上のターンスキップを得ることで安全に次のターンを迎え、満を持して「ヴィクトリー・ドラゴン」を召喚するという流れです。

 お互いのデッキ切れはそれぞれ「鳳凰神の羽根」「鳳翼の爆風」によって回避できるため、ループ突入時点でデッキが0枚であっても問題ありません。稀に「鳳翼の爆風」でデッキに戻すカードが存在しない状況に遭遇することもありますが、その場合はループに「サイバーポッド」を巻き込んで一旦フィールドを吹き飛ばし、その後「浅すぎた墓穴」を3連打すればループを復元しつつデッキバウンスの的を作り出すことができます。

 また、このようにターンを跨ぐ形でマッチキルの土台を形成しているため、先攻1ターン目からこの状況に持ち込むことも不可能ではありません。その場合、相手はカードを1枚もプレイできないままマッチを落とすことになるため、この【MCV】が【V】系デッキの中でも最高あるいは最悪のデッキであることは疑いようもない事実でしょう。

 

【MCV】の事故率について

 そんな【MCV】ではありますが、もちろん強いだけのデッキではなく、いくつかの構造的な欠陥を抱えていることは確かです。

 それらを一言にまとめれば、「非常に事故を起こしやすいデッキである」という問題に集約されます。

 単純明快な事実として、ただでさえ不安定な【デッキ破壊1キル】にマッチキル用の無限ループギミックを搭載している以上、デッキ全体の安定感が損なわれていることはどう言い繕っても否定できません。「サイバーポッド」「メタモルポット」のどちらかが無ければ身動きがほとんど取れず、根本的にはそれらを初手に引き込めるかどうかの勝負です。

 もちろん、相手の妨害が差し込まれる後攻スタートの場合は条件がさらに悪化します。相手のデッキタイプも関係するため一概には言えませんが、総合的なマッチキル成功率は精々2~3割程度でしょう。

 実際、当時のトーナメントシーンで結果を出していたのは【Vドラコントロール】の方であり、この【MCV】は大きな声で騒がれるばかりで目立った成績は残していません。初期の「血の代償」軸は言うに及ばず、最適化が進んだ「魔力の枷」軸ですら大会を勝ち上がるだけの安定感はなく、ルール改訂を待たずして淘汰されていた印象はあります。

 最後は2006年3月の制限改訂で「ヴィクトリー・ドラゴン」「サイバーポッド」の2枚が禁止カードに、「王家の神殿(エラッタ前)」が制限カードに指定され、完全な解体宣言を下されることになりました。

 上述の通り、この【MCV】が当時のメタゲームで支配的な地位を築いていたわけではありませんが、だからと言ってこのようなデッキの存在を許すべきではないことは明らかです。デッキを回し慣れていてもマッチキルを決めるまでに20~30分はかかるため、そういった領域でも対人ゲームとして致命的な問題を抱えていたことは明らかなのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 【MCV】に関する話は以上です。

 誕生するや否や各地で話題騒然となり、遊戯王OCGというカードゲームそのものに大きな傷跡を残しています。しかし、その一方で構造的な欠陥を随所に孕んでおり、実戦での活躍はなかった理論上デッキでもありました。

 最悪かつ最弱の【V】系デッキであり、悪名の大きさに名前負けしている印象は拭えません。純粋なデッキパワー自体はファンデッキ級の強さでしかなく、単にマッチを取りたいのであれば普通のデッキで2勝する方がよほど簡単でしょう。

 とはいえ、そうしたゲームバランス上の話とは別の領域で暴虐を振り撒いていたことも事実です。類型デッキも含め、この【MCV】が現代に蘇ることは未来永劫あってはならないのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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