制限改訂2006/3/1 第4期最後の制限改訂 【マッチキル】の解体

2018年8月20日

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【前書き】

 【第4期の歴史27 【除外デッキ】の概念が生まれた瞬間 マクロコスモスと次元の裂け目】の続きになります。ご注意ください。

 「マクロコスモス」に代表される全体除外カードの誕生により、当時のメタゲームに少なくない影響が及びました。【黄泉帝】【リクルーターカオス】への打撃はその筆頭と言える出来事でしたが、それだけで上記デッキが衰退したというわけではなく、実際の影響は見た目より繊細な変化に収まっています。

 複雑化するゲームバランスを前にプレイヤーが試行錯誤する中、続く3月に第4期最後となる制限改訂が実施されました。

 

制限改訂 2006年3月1日

 2006年3月1日、遊戯王OCGにおいて19回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の28枚です。

ヴィクトリー・ドラゴン 無制限
サイバーポッド 制限
同族感染ウィルス 制限
強欲な壺 制限
ブラック・ホール 制限
現世と冥界の逆転(エラッタ前) 制限
刻の封印 無制限
ラストバトル!
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
キラー・スネーク(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
処刑人-マキュラ
ファイバーポッド
魔導サイエンティスト
八汰烏
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
苦渋の選択
強引な番兵
心変わり
サンダー・ボルト
死者蘇生
蝶の短剣-エルマ
ハーピィの羽根帚
王宮の勅命(エラッタ前)
第六感
破壊輪(エラッタ前)

 

 制限カードに指定されたカードは以下の52枚です。

ダンディライオン 無制限
D.D.アサイラント 無制限
闇の仮面 無制限
黄泉ガエル 無制限
王家の神殿(エラッタ前) 無制限
天使の施し 禁止
貪欲な壺 無制限
魔法石の採掘 無制限
遺言状 無制限
レベル制限B地区
聖なるバリア -ミラーフォース- 禁止
はたき落とし 無制限
異次元の女戦士
お注射天使リリー
クリッター(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サウザンド・アイズ・サクリファイス
人造人間-サイコ・ショッカー
神殿を守る者
月読命
ドル・ドラ
深淵の暗殺者
ならず者傭兵部隊
ネフティスの鳳凰神
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
マシュマロン
魔導戦士 ブレイカー
メタモルポット
押収
大嵐
強奪
サイクロン
スケープ・ゴート
団結の力
月の書
手札抹殺
早すぎた埋葬
光の護封剣
魔導師の力
突然変異
ライトニング・ボルテックス
リミッター解除
激流葬
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
停戦協定
魔法の筒
無謀な欲張り
リビングデッドの呼び声

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の12枚です。

聖なる魔術師 無制限
魔鏡導士リフレクト・バウンダー 制限
見習い魔術師 無制限
魔のデッキ破壊ウイルス 制限
暗黒のマンティコア
強制転移
増援
成金ゴブリン
非常食
抹殺の使徒
グラヴィティ・バインド-超重力の網-
ゴブリンのやりくり上手

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の1枚です。

アビス・ソルジャー

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動は25枚、うち20枚が規制強化となっており、全体的にデフレの方向に動いていたことが窺える改訂です。

 

【Vドラコントロール】への規制

 何と言っても一番の規制対象となったのは、当時様々な問題を引き起こしていた【Vドラコントロール】に他なりませんでした。

 マッチキルの象徴でもあった「ヴィクトリー・ドラゴン」が無制限からいきなり禁止カード指定を受け、【V】系デッキ全般が構築不可能となっています。事実上のマッチキル撲滅宣言であり、前年10月のルール改訂と合わせて開発側がこのシステムを危険視していたことが見て取れる規制です。

 また、「刻の封印」が禁止カードに、「はたき落とし」「闇の仮面」が制限カードに指定されるなど、ドローロックギミックに対する圧力も見られます。これらはいずれも無制限カードであり、一般的なデッキではまず使われないカードでしたが、【Vドラコントロール】では安全に「ヴィクトリー・ドラゴン」を通す手段として悪用されていたため、おおむね妥当な変更と言えるでしょう。

 ただし、ドローロックパーツとしての役割は「刻の封印」だけで十分であるとされており、「はたき落とし」にまで声がかかるケースは非常に稀でした。そのため、これに対する規制は今後代用カードとして使われることを防ぐ意図があったものと思われます。

 その他、優秀な攻撃抑制カードの「レベル制限B地区」が制限カードに規制強化され、コントロールデッキとしても防御力をやや落としました。「王宮のお触れ」などのメタカードが効かないロックカードとして最も重宝されていた防御カードだったため、これが規制強化されたことは大きな痛手だったのではないでしょうか。

 

【MCV】と【トランス】への規制

 同様に、マッチキル関連のコンボパーツに規制の手が加わっています。

 【MCV】に対する規制としては、「サイバーポッド」の禁止カード化、また「王家の神殿(エラッタ前)」「魔法石の採掘」の制限カード化が挙げられます。後者2枚は無制限カードからの制限行きであり、先攻1キル系コンボデッキ根絶の意図が感じられる改訂です。

 同時に【トランス】に代表される【TOD】への圧力として、「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」が禁止カード指定を受けました。

 上記の関連記事にも解説がありますが、やはりルール改訂だけでは【TOD】対策が不十分なところもあり、一思いに根元から断ってしまおうという判断があったのではないでしょうか。

 補足となりますが、これらの規制の巻き添えで【デッキ破壊1キル】が壊滅的な被害を被り、事実上構築不可能な状況へと追い込まれていたことにも触れておきます。

 1年前の改訂によって表舞台から姿を消していたデッキではありましたが、以降はカジュアルデッキとしても生存の見込みがなくなりました。潜伏期間も含めれば第2期より続いていたアーキタイプの崩壊であり、この使用者にとっては名残惜しい結末だったのではないでしょうか。

 

【黄泉帝】への規制

 上記のようなマッチキル関連の規制とは逆に、健全なメタゲーム推移の結果による改訂も当然行われています。

 具体的には、当時のトップメタであった【黄泉帝】に対して強い圧力が加わっています。最大のキーカード「黄泉ガエル」を筆頭に、「ダンディライオン」「遺言状」といった有力なデッキパーツが一斉に制限カード指定を受けました。

 これによりデッキの安定感が大幅に損なわれ、以降は苦しい立場に置かれることになります。ただし、「グリズリーマザー」「おろかな埋葬」などのサポートカードは手付かずで生き残っており、額面ほど大きく弱体化していたわけではありません。

 また、クリボー」「クリボーを呼ぶ笛」を取り込んで【黄泉クリ帝】に派生するなど、デッキの安定感を補完する研究も盛んに行われています。これは将来的には【未来オーバー】へのメタとしても取り上げられ、新時代における【黄泉帝】の基本構築として高く評価されました。

 とはいえ、やはりトップメタからの転落は免れない状況であり、第5期以降は厳しい立ち位置に置かれることになるのは否定できない事実だったのではないでしょうか。

 

【リクルーターカオス】への規制

 次いで規制対象となったのは、【リクルーターカオス】【雑貨貪欲ターボ】などのターボ系デッキです。

 優秀なアドバンテージソースの「貪欲な壺」が無制限カードからいきなり制限カードに指定されています。さらに、それを再利用する「聖なる魔術師」と、そのリクルートを行う「見習い魔術師」がそれぞれ準制限カード行きとなりました。

 いずれも上記アーキタイプでは必須カードとされていたため、この規制によるダメージは決して無視できません。特に【雑貨貪欲ターボ】はデッキコンセプトそのものが半壊してしまい、事実上の解体宣言を下されてしまった格好です。

 とはいえ、元々【リクルーターカオス】はかつての【カオス】を下敷きとしていたこともあり、【サイカリバー】軸にシフトすることで活路を見出しています。それどころか2006年の選考会では並居る競合デッキを打ち破り、見事日本代表の一角を射止めていたほどです。

 その結果、次の制限改訂では更なる一手が加わることになりますが、それでも【カオス】の底力を見せつける結果を残していたのではないでしょうか。

 

汎用カードの規制と緩和

 こうした特定のデッキを狙い打った規制のほかに、当時環境に蔓延していた汎用カードへの対処も行われています。

 何よりも大きな話題を呼んだのは、遂に「強欲な壺」が禁止カードに指定されたことでしょう。

 1999年に誕生し、2000年4月の改訂で制限カードに指定されて以来、どのような環境でも投入率100%を誇ったカードでしたが、この時をもって現役時代を終えることになりました。以降は一度も制限復帰しておらず、現在に至るまでその位置に封印され続けています。

 また、「同族感染ウィルス」「ブラック・ホール」の2枚もこの時に禁止行きとなり、以降は長きに渡って表舞台から姿を消しています。これらは「強欲な壺」とは違い、将来的には現役復帰を遂げているカードですが、当時は二度と帰ってこないかもしれないとも囁かれていました。

 逆に禁止カードからの制限復帰として、「天使の施し」「聖なるバリア -ミラーフォース-」の2枚が環境に戻ってきたことも大きな出来事の1つです。もはや恒例とも言える交換改訂ですが、これまで制限カードにとどまり続けた「強欲な壺」との交換には不穏な気配も漂っており、これが最後の交換となる可能性も示唆されていました。

 その他、無制限カードからの規制強化としては、当時の汎用アタッカー「D.D.アサイラント」の制限カード化が挙げられます。これにより【アサイバー】系列のデッキが大きく弱体化し、環境の最前線から撤退することになりました。

 とはいえ、主流型である【サイカリバー】にとってはほぼノーダメージの規制でもあり、アーキタイプとして受けたダメージは小さなものだったのではないでしょうか。

 

よく分からない規制

 こうしたメタゲームに直結した規制とは別に、ラストバトル!」が準制限から禁止カード行きとなっていたことにも触れておく必要があるでしょう。

 特殊勝利カードの1枚であり、かつては猛威を振るったこともあるカードです。とはいえ、カードプールの変化によって先攻1キルデッキとしてはほぼ死滅しており、この時期もそれほど注目されていたわけではありません。

 しかし、なぜかこの時に突然禁止カード行きを宣告され、当時の現役プレイヤーを大いに困惑させています。実用性以前にカードの効果処理の多くが調整中となっており、また裁定もころころ入れ替わっているなど、そもそも好んで使われるカードではなかったことは確かです。

 (ちなみに、この時期は「昇霊術師 ジョウゲン」とのコンボが調整中に変更されていました)

 やや邪推が含まれる推測にはなりますが、そうした特殊裁定を管理するのが面倒になったがゆえの禁止カード指定だったのかもしれません。

 

【当時の環境 2006年3月1日】

 「ヴィクトリー・ドラゴン」の禁止カード化により、当時猛威を振るっていた【V】系デッキが完全解体されました。

 同様に【トランス】などの【TOD】も姿を消し、ゲームバランスが健全化に向かっています。実際のトーナメントシーンでの【マッチキル】の活躍は【Vドラコントロール】が中心でしたが、それでも【MCV】を始めとする極悪デッキが解体されたことは非常に大きな意味を持っていたのではないでしょうか。

 ビートダウン界隈の出来事としましては、【黄泉帝】【リクルーターカオス】の弱体化が挙げられます。これにより【ガジェット】が再び環境の最大勢力として盛り返し、この先の第5期初頭環境において大々的に存在感を示していくことになりました。

 こうした【ガジェット】の台頭、また【アサイバー】系列デッキの衰退により、遂に【お触れホルス】浮上の兆しがこの頃より表れています。

 実に2年近い下積み時代の末の栄転であり、このデッキのファンにとっては非常に感慨深い出来事だったのではないでしょうか。

 その他、天使の施し」の現役復帰により【暗黒界】に注目が集まり、やがて【カオス】との複合デッキである【ダークカオス】として突如メタゲームに浮上したことも大きな出来事に数えられます。

 この時の改訂で「魔のデッキ破壊ウイルス」が準制限カードに規制緩和されていたことも追い風となり、以降の環境では主流デッキの一角として多くの結果を残すことになりました。

 ちなみに、2006年の世界大会では【ガジェット】が使用不可であったことも関係し、この【ダークカオス】が見事優勝を果たしています。選考会での活躍と合わせて、【カオス】というアーキタイプの底知れないポテンシャルを覗かせる出来事でもあったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 2006年3月1日の制限改訂で起こった出来事は以上です。

 「ヴィクトリー・ドラゴン」周辺の問題に大きなメスが入り、当時の環境が適切なゲームバランスへと整備されました。ビートダウン界隈にも調整が加わり、その結果【お触れホルス】や【ダークカオス】などの新たな勢力の台頭も起こっています。

 制限改訂としてはおおむね成功していたことは間違いなく、健全化がなされた環境の中を第4期終盤が過ぎ去っていきました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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