ホルスの黒炎竜LVシリーズ誕生 【お触れホルス】成立せず

2018年6月6日

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【前書き】

 【第4期の歴史1 第4期スタート レギュラーパックの体裁変更】の続きになります。ご注意ください。

 2004年5月に第4期がスタートし、いくつかの変更が加わりつつも第3期以前と同じ形で遊戯王OCGが進行していました。

 これまでの世代交代と比べて変化が少なく、ほぼ据え置きとも言える状況でしたが、この直前に遊戯王史上初となる禁止カード制度が導入されるという歴史的な出来事も起こっています。

 厳密には第3期中の出来事ではあるものの、こうした出来事もまた世代交代を象徴する一要素と言えるでしょう。

 新たな時代の幕開けに空気がざわめく中、第4期最初のレギュラーパックが販売されることとなりました。

 

SOUL OF THE DUELIST 第4期初弾パック

 2004年5月27日、第4期最初のレギュラーパックである「SOUL OF THE DUELIST」が販売されました。新たに60種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1871種類に増加しています。

 新時代の幕開けとなるパックにふさわしく、いくつもの体裁変更が行われたことで有名です。

 もちろん、収録内容自体も非常に濃く、実戦級の優良カードも少なくありません。扱いはやや難しいものの、単体除去の基本カードとして【除去ガジェット】で使われた「ハンマーシュート」や、通常モンスター、とりわけ【エクゾディア】の最高のパートナーとして活躍した「闇の量産工場」などは特に知名度の高いカードでしょう。

 変わったところでは、「おジャマ・キング」も当初から大きな注目を集めています。ただし、真っ当な使われ方ではなく、かの【サイエンカタパ】において神秘の中華なべ」用のライフゲイン手段として重宝されていた有様です。

 その後も一部のロックデッキでロックパーツとして扱われるケースが多く、真っ当に【おジャマ】のエースとして活躍する機会はカジュアルな場に限られていました。一応、環境で存在感を示していたカードではあるものの、ある意味では不遇の存在だったのかもしれません。

 

LVモンスター誕生 条件達成レベルアップ

 しかし、当時何よりも話題を呼んでいたのは「LV」シリーズのモンスターに他なりません。

このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、コントロールを変更する事はできない。このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送る事で「ホルスの黒炎竜 LV6」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。

このカードは自分フィールドに表側表示で存在する限り、魔法の効果を受けない。このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送る事で「ホルスの黒炎竜 LV8」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。

このカードは通常召喚できない。「ホルスの黒炎竜 LV6」の効果でのみ特殊召喚できる。このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、魔法の発動と効果を無効にし破壊する事ができる。

 それぞれ、「ホルスの黒炎竜 LV4」「ホルスの黒炎竜 LV6」「ホルスの黒炎竜 LV8」となります。下級、上級、最上級に分かれており、最上級を除き特定の条件を満たすことで一段階進化する共通効果を備えているモンスター群です。

 この進化条件は【LV】シリーズごとに固有のものが与えられており、「モンスターの戦闘破壊」や「自分ターンのスタンバイフェイズを迎える」などが存在します。【ホルスの黒炎竜】シリーズは前者に該当し、後者と比べて能動的に動かなければならない反面、隙が少なく総合的には後者よりも安定していると言えるでしょう。

 もちろん、カタログスペック自体も非常に強力なモンスターです。

 下級ホルスの段階では実質バニラとも言える性能であり、打点も1600と物足りません。しかし、そこから一段階進化した上級ホルスはなんと魔法カードへの完全耐性を持ち、当時の多くの除去に対して強気に出ることができました。

 さらに、最上級ホルスに至っては魔法カードそのものの発動を無効化することが可能です。効果自体は「超魔導剣士-ブラック・パラディン」と同等ですが、こちらはノーコストかつ回数制限なしと比較にならないほど取り回しに優れています。

 性能自体は現代でも通用するほどであり、実際に第8期の征竜魔導時代は【征竜】のサイドデッキで採用された実績すらある強力なカードです。現時点に限れば環境での活躍はありませんが、今後のカードプールの動き次第では今でも浮上の機会は残されているのではないでしょうか。

 そして、それほどのパワーカードが第4期初頭に現れて注目されないはずがありません。すぐさまプレイヤーの間で専用デッキの開発が推し進められ、やがては【お触れホルス】の成立に繋がっていきました。

 

【お触れホルス】 当初はファンデッキ扱い

 【お触れホルス】は、「ホルスの黒炎竜 LV8」と「王宮のお触れ」の2枚を組み合わせ、魔法・罠カードを完全に封じることをコンセプトとするビート・コントロールデッキです。非常に高いコントロール能力を備える一方、ビートダウン能力も相応に高く、通常のビートダウンデッキにも決して引けを取らない強みがありました。

 【ジャマキャン】同様【メタビート】に属するアーキタイプであり、事実上はその後継デッキとなります。魔法・モンスターを抑える【ジャマキャン】とはやや趣が異なりますが、環境に合わせて姿を変えた地続きのデッキとも言えるでしょう。

 なお、完全に眉唾話ですが、【お触れブラパラ】なるデッキを前身としている説も極々一部では囁かれています。

 ……囁いているのは私です。信憑性については保証しかねますことをあらかじめご了承ください。

 話を戻して、【お触れホルス】におけるキーカード2種はどちらも維持に費用がかからないため、カードを揃えさえすればロックを決められるというのが利点です。また、上述の通りロックパーツである「ホルスの黒炎竜 LV8」自体が高い打撃能力を持っており、ロックを決めた後は速やかにゲームを終わらせることができます。

 ロック自体の強度、成立条件の緩さ、単純なデッキの地力の高さといずれも高水準にまとまっている強力なデッキです。実際、一時期は主流デッキの一角として環境に浮上し、大きな存在感を示していたこともありました。

 ただし、デッキ成立当初から環境での活躍があったわけではありません。

 第4期初頭環境はおおよそ第3期終盤の流れを引き継いでおり、【サイエンカタパ】を筆頭に、【カオス】【ノーカオス】【次元斬】などの既存勢力のほか、【ミーネ・ウイルス】といった強力な新勢力がしのぎを削っている状況でした。

 さらに、「異次元の女戦士」や「D.D.アサイラント」など、ホルスの黒炎竜 LV8」の天敵とも言えるモンスターが環境に溢れ返っており、まともにロックを維持することすら困難だったと言うほかありません。「王宮のお触れ」を積んでいる関係から【ミーネ・ウイルス】に対してはやや有利ですが、そもそもカードレベルの話で大きな不利がついてしまっていたことは明らかです。

 「レベル制限B地区」などの攻撃ロックカードを用いればこうした弱点をカバーできますが、流石に本末転倒であり、そもそも【カオス】などの除去効果持ちにはやはり無力化されてしまいます。

 総じて向かい風という言葉でも足りないほどの逆風の状況に置かれており、率直に申し上げて当初はファンデッキの一種という扱いに甘んじていたことは否めません。もちろん、【お触れブラパラ】などに比べれば遥かに完成度の高いデッキに仕上がっていましたが、環境の最前線で戦っていけるほどの実力は流石に持ち合わせていなかったと結論付けるべきでしょう。

 その後、規制によって環境がデフレを起こす第4期終盤頃から次第に評価が持ち上がり始め、2006年3月以降は遂にメタデッキの一角として環境に君臨することになります。それからは1年ほど現役を務めるなど、非常に長期に渡って第一線で活躍しました。

 実に2年にも及ぶ雌伏の末に浮上した経歴を持つデッキであり、全盛期の華々しい活躍の裏には長い下積み時代があったと言えるのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 「SOUL OF THE DUELIST」のトップレア、「ホルスの黒炎竜 LV8」に関する話は以上となります。

 カタログスペックとしては非常に高いポテンシャルを持ち合わせていましたが、環境的に真価を発揮できる土壌が整っておらず、当初は不遇の立ち位置に置かれていました。

 とはいえ、カード自体の人気はイラストの美麗さも手伝って極めて高く、ある意味では誕生時点からトップレアとしての風格を持ち合わせていたとも言えるでしょう。

 そんな「ホルスの黒炎竜 LV8」ではありますが、当パックに収録されていた不遇のパワーカードはこれだけではありません。同じく将来的には活躍の機会に恵まれるものの、当時に限れば鳴かず飛ばずとすら言える扱いを受けていたものも存在しています。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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