同族感染ウィルスの参戦と【お触れホルス】の原形(大嘘)

2018年3月5日

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【前書き】

 【第3期の歴史8 魔導サイエンティスト 1枚で環境を動かしたカード】の続きになります。特に、この記事では前中後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

黒魔導の覇者 その他の優良カードと最後のトップレア

 「魔導戦士 ブレイカー」「魔導サイエンティスト」という2体の怪物を生み出してしまった「黒魔導の覇者」でしたが、残りのカードがその他大勢扱いだったわけではありません。「魔導雑貨商人」や「我が身を盾に」などの将来的に環境で活躍する遅咲きの優良カードのほか、中には前述のトップレアに匹敵する即戦力のパワーカードも含まれていました。

同族感染ウィルス 歩く大量破壊兵器

 「黒魔導の覇者」3枚目のトップレア、それは「同族感染ウィルス」というモンスターです。

手札を1枚捨てて種族を1つ宣言する事で、自分と相手のフィールド上に表側表示で存在する宣言した種族のモンスターを全て破壊する。

 手札コスト1枚と引き換えに、指定した種族のモンスターを全て破壊するという疑似的な全体除去効果を与えられています。言うまでもなく強烈極まりない性能であり、第3期当時としては軽さ、効力ともに反則的とも言える除去能力です。

 まず、種族を持たないモンスターは「マジカルシルクハット」などの例外を除き存在しないため、表側表示でさえあればどんなモンスターでも除去できます。もちろん、同一種族のモンスターが2体以上存在する場合はまとめて破壊できるため、召喚タイミングを見計らえばアドバンテージを取ることも難しくありません。

 また、1ターン中に何度でも効果を発動できる点も凶悪さに拍車をかけ、手札コストに目を瞑ればフィールドを更地にすることすらできるでしょう。まさしく必殺技的な効果であり、間違っても下級モンスターが持っていて良い効果ではありません。

 反面、セットモンスターに対しては無力であるため、その点では「ならず者傭兵部隊」などに劣っています。加えて自己再生能力を持っている「ヴァンパイア・ロード」相手にはコストの払い損となってしまうケースが多く、そうした面でも「異次元の戦士」などに劣っているのは事実です。

 そして何より、自分のモンスターも巻き込んでしまうという最大の欠点は見過ごすわけにはいきません。睨み合いの盤面ではほぼ効果が腐ってしまうほか、「同族感染ウィルス」自身と同種族である「水族」相手には自爆を余儀なくされてしまいます。

 逆に言えば、こうした弱点を除けば当時最強クラスの除去効果持ちモンスターと考えて差し支えないカードです。さらに、当時は「キラー・スネーク(エラッタ前)」が3積みできる環境だった関係で手札コストも負担になりにくく、実質ノーコストで除去効果を連発できるケースすら珍しくありませんでした。

 素の打点も1600と準アタッカー並であり、除去効果なしでもまずまずの働きが期待できます。総じて欠点に対して利点が多く、おおよそどんな状況であっても標準以上の仕事が行えるパワーカードです。【八汰ロック】はもちろんのこと、【デビフラ1キル】などのコンボデッキであっても採用候補に入るモンスターと言えるでしょう。

ブラック・パラディン 【お触れホルス】の原形

 当時の環境で活躍していたカードではありませんが、個人的に「超魔導剣士-ブラック・パラディン」という融合モンスターについても少し触れさせていただきます。

ブラック・マジシャン」+「バスター・ブレイダー
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、手札を1枚捨てる事で魔法の発動を無効にし、それを破壊する事ができる。全てのフィールド上と全ての墓地のドラゴン族モンスター1体につき、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。

 なんと手札コスト1枚で魔法カードの発動を無効にするという強烈な効果を与えられています。発動回数に制限もなく、また当時の環境が魔法カードで溢れていた都合もあり、場合によってはこれだけで勝ててしまうほどの圧倒的な制圧力を発揮する効果です。

 素の打点も2900と最上級クラスであり、同じく魔法メタ効果を持つ「マジック・キャンセラー」と違ってそう簡単には戦闘破壊されることもありません。「お注射天使リリー」には注意が必要ですが、2つ目の効果として「お互いのフィールド・墓地のドラゴン族1体につき攻撃力が500上がる効果」を持つため、構築を工夫すれば攻撃力4000以上に到達することも不可能ではないでしょう。

 ただし、融合召喚でしか特殊召喚できない制約の関係上、いかなる場合にも蘇生は不可能です。もちろん、「デビル・フランケン」で踏み倒すこともできません。

 総じて強力なカタログスペックに釣り合った重い融合モンスターであり、まさしく切り札としてふさわしい風格を持っていると言えるのではないでしょうか。

 当時、私はこのカードに惚れ込んでしまい、気付けば専用デッキを組み上げていました。初期に【融合召喚】(第1期)を組んでいたため、自然とデッキパーツが揃っていたという事情も影響していたのかもしれません。

 簡単にまとめれば、「竜破壊の証」で「バスター・ブレイダー」を素早く確保し、融合素材代用モンスターを駆使して「超魔導剣士-ブラック・パラディン」を融合召喚するというコンセプトです。魔法無効化効果に着目したデッキですが、自己強化効果も活かしたかったため、魔導サイエンティスト」からドラゴン族の融合モンスターを墓地に落とすギミックも仕込んでいたことを覚えています。

 この時点で相当重いデッキであることは明らかですが、実に欲深いことに、これだけでは満足できずにもう一つ要素を盛り込んでいました。

 それが「王宮のお触れ」です。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外の罠カードの効果を無効にする。

 これがフィールドに存在する限り永続的に罠カードの効果を無効にする効果を持った永続罠カードです。つまり、「超魔導剣士-ブラック・パラディン」と「王宮のお触れ」の2枚が揃えば「魔法・罠の両方を封じる最強のコンボ」が成立します。

 名付けて【お触れブラパラ】であり、かの【お触れホルス】の原形とも言えるデッキです。

 ……などと称していますが、あくまでも私個人の見解であることは明示させていただきます。実際のところ、当時【お触れブラパラ】を組んでいたプレイヤーは私の知る限り皆無だったため、まず間違いなく眉唾物の話と言って良いでしょう。

 ちなみに、この【お触れブラパラ】ですが、お察しの通りお世辞にも強いとは言えないデッキでした。魔法・罠を封殺すると言えば聞こえは良いものの、都合4枚コンボであり、そもそもコンボを決めること自体がエクゾディアを揃えるような話だと言わざるを得ません。

 また、魔法カード側の封殺には基本的に1:1交換の手札コストがかかるため、融合召喚で手札を消費しきった後では強引に突破されてしまうケースが多発するのも問題となります。計算上、先攻1ターン目にコンボを決めた場合手札は2枚しか残らず、精々牽制程度にしか使えません。

 何よりも致命的なのは、「超魔導剣士-ブラック・パラディン」に魔法以外への除去耐性がなく、ならず者傭兵部隊」や「同族感染ウィルス」、「魔導サイエンティスト」などであっさり潰されてしまう点です。いずれもゲームでの遭遇が多い実戦級モンスターであり、これを無視して通ることはできません。

 このうち、手札コストの問題は「キラー・スネーク(エラッタ前)」を駆使して一応の解決を図りましたが、モンスター効果による除去はどうにもならず、最終的に導き出した結論は「使われないことを祈る」です。要するに対処不可能であり、落第点の回答であることは言うまでもないことでしょう。

 類似のコンセプトを掲げながらも、実戦レベルに仕上げた【ジャマキャン】の完成度の高さが窺える出来事です。

 

【当時の環境 2002年9月19日】

 【第3期の歴史7 魔導戦士ブレイカー 遊戯王前半期最強の下級アタッカー】以降の前中後編の記事内容を総括した項目となっています。ご注意ください。

 極めて汎用的な魔法・罠除去効果を持った「魔導戦士 ブレイカー」の台頭により、当時の遊戯王OCGのゲームバランスが大きく変化しました。

 単純にカードパワーが高いという面もありますが、何よりロック系永続カードを単体で処理できる点が尋常ではありません。逆にそうしたロックカードを多用するデッキにとってはキラーカードそのものであり、実際に【ジャマキャン】においては「人造人間-サイコ・ショッカー」に次ぐ仮想敵として見られていたほどの存在です。

 もちろん、通常のデッキであっても無視できる相手ではなく、安易にセットした魔法・罠カードを撃ち抜かれてアドバンテージを失うといったシチュエーションが多々起こり得ます。そのため、ゲーム序盤は様子見のためにあえて魔法&罠ゾーンを空けておくなど、このカードを意識した立ち回りが求められるようになりました。

 「魔導サイエンティスト」がもたらした被害は極めて甚大で、これ1枚でメタゲームの様相が激変したと言っても過言ではありません。

 まず挙げられることとして、「キラー・トマト」を筆頭とするリクルーターの信頼性が大きく損なわれています。「魔人 ダーク・バルター」によるトマト狩りやピラミッド崩しが流行し、その煽りを受けて「ヴァンパイア・ロード」や【トマハン】が苦しい立場に追い込まれた格好です。

 一方で、相手ターン中は低攻撃力を晒すことになるため、「首領・ザルーグ」の的にされやすいという弱点も存在します。効果発動時のコストと合わせてライフを消耗しやすく、運用タイミングを誤ると敗因に繋がるケースもないわけではありません。

 とはいえ、それはどんなカードにも言えることであり、このカードの評価を下げる原因とはならなかったのではないでしょうか。

 また、「魔導サイエンティスト」の代名詞とも言える【サイエンカタパ】に関しましては、カードプールの関係上この時点では成立していません。やはりコンボの成功率を考えると最低限「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」と「モンスターゲート」の2枚は必須であり、暴走の機会は2003年後半期を待つこととなります。

 「同族感染ウィルス」も当時としては最強クラスの除去性能を持ち合わせており、即戦力として大半のデッキで採用候補に挙がっています。とりわけ「キラー・スネーク(エラッタ前)」のフル投入が基本とされる【八汰ロック】での活躍は目覚ましく、まさに歩く大量破壊兵器として恐れられることになりました。

 総評としましては、全体的に【八汰ロック】が大きく強化を受け、逆に【トマハン】が若干後退している形です。【デビフラ1キル】は足踏みしている印象ですが、面白いことに上記のどのカードもデッキコンセプトに直接の影響はなく、相対的な立ち位置はほとんど動いていません。

 いずれにしても極端に大きな変化があったわけではない以上、広い視点においては横移動に近い状況だったと言えるのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 前記事、前々記事と合わせて、「黒魔導の覇者」販売によって起こった出来事は以上です。

 やはり「魔導戦士 ブレイカー」と「魔導サイエンティスト」の2枚は別格と言うほかなく、「同族感染ウィルス」もそれらに匹敵する凶悪さを秘めています。とにかく他のカードとは一線を画する性能であり、早々に必須カードに近い扱いを受けることになりました。

 実際に当時の環境でも即戦力として受け入れられており、いずれも第3期中に制限カードに指定されています。このうち、最も規制が遅かったのは意外にも「魔導サイエンティスト」でしたが、これは恐らく資産的な理由が絡んでいたのではないかと考えられています。

 効果の性質上、レア度の高い融合モンスターを各種取り揃えなければ真価を発揮できず、カード資産の少ないプレイヤーにとっては手が届きにくいカードだったことは否めません。結果的に環境への浸透には時間がかかり、それに伴って規制の手も緩んでいたという事情があったのではないでしょうか。

 邪推するのであれば、販促的な意図があった可能性もありますが……。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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