【融合召喚】(第1期)
【デッキデータ】
活躍期間 | 1999年12月1日~2000年3月31日 |
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脅威度 | メタ外 |
主な仮想敵 | その他 |
モンスターカード(20枚) | |
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クリッター(Vol.6) | ×3枚 |
黒き森のウィッチ(Vol.6) | |
サンダー・ドラゴン | |
心眼の女神 | |
聖なる魔術師 | |
デーモンの召喚 | ×2枚 |
破壊神 ヴァサーゴ | |
モンスター・アイ | ×1枚 |
魔法カード(20枚) | |
強欲な壺 | ×3枚 |
心変わり | |
死者蘇生 | |
天使の施し | |
融合 | |
融合賢者 | ×2枚 |
サンダー・ボルト | ×1枚 |
死者への手向け | |
ブラック・ホール | |
罠カード(0枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | |
×1枚 | |
エクストラデッキ(9枚) | |
双頭の雷龍 | ×3枚 |
ブラック・デーモンズ・ドラゴン | |
音楽家の帝王 | |
×2枚 | |
×1枚 |
【デッキ解説】
【融合召喚】は、数ある融合ギミックの中でも特に正規融合を主軸に据えたビートダウンデッキです。
1999年12月1日に販売された「BOOSTER6」で、「心眼の女神」を始めとする融合素材代用モンスターや、「融合賢者」「モンスター・アイ」などの多数の融合サポートカードが誕生したことにより成立しました。融合モンスターを主戦力として用いる初めてのデッキであり、またファンデッキの開祖と言える存在でもあります。
結論を先に申し上げますと、この【融合召喚】というデッキはそれほど強力なデッキではありません。当時環境を支配していた【エクゾディア】はおろか、【グッドスタッフ】と比べても全体的に見劣りする部分が多いのは事実です。
しかし、この「融合召喚というシステム」は原作漫画での活躍も多く、原作ファンの間では非常に高い人気を集めていました。そのため、そうしたプレイヤーにとってはデッキの強さよりも【融合召喚】を構築できることの方が重要であり、喜び勇んでパーツを集め始めることになります。
もちろん、ファンデッキといえども勝ち筋はしっかりと用意されており、その爆発力は侮れません。
エースアタッカーの「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」は3200もの攻撃力を誇り、「青眼の白龍」すらしのぐ打点を持っています。除去耐性こそありませんが、純粋な戦闘で負けることはほぼなく、また攻撃を通すことで非常に大きな戦闘ダメージが期待できます。
融合素材に「デーモンの召喚」を含んでいる点も地味ながら大きなポイントです。「デーモンの召喚」は【グッドスタッフ】では常連アタッカーであり、当時はゲーム中での遭遇率が高かったため、「心変わり」で奪ってそのまま融合素材にしてしまうという「美味しいシチュエーション」に当たることも少なくありませんでした。
次点のアタッカーには「双頭の雷龍」を採用しており、こちらも「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」に負けず劣らず強力な融合モンスターです。攻撃力は2800と「青眼の白龍」を下回っていますが、融合素材が「サンダー・ドラゴン」×2体と非常に確保が容易いというメリットがあります。
自分のメインフェイズで、手札からこのカードを捨て、デッキから別の「サンダー・ドラゴン」を2枚まで手札に加える事ができる。
上記は当時の「サンダー・ドラゴン」のテキストです。自身を手札から捨てることで同名モンスター2体をサーチする効果を持つため、実質1体分の素材から融合召喚が可能となっています。
もちろん、融合素材代用モンスターを絡めれば複数体の展開も実現でき、「双頭の雷龍」が2体以上並ぶケースも珍しくありませんでした。
そして、この【融合召喚】のギミックを土台から支えていたのが、「クリッター(Vol.6)」「黒き森のウィッチ(Vol.6)」の二大サーチャーの存在です。
このカードが墓地におかれた時、自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、デッキを切り直す。
墓地へ送られるだけで攻守1500以下のモンスターをサーチする効果を持っています。この時期はどこから墓地へ送られてもサーチ効果を発動できたため、潤滑油としてはこれ以上ないほど効果的に機能するモンスターです。
詳しくは上記関連記事で取り上げていますが、これらのサーチャーは極めて使い勝手が良く、とりあえず投入しておくだけでデッキの安定性と持久力を大きく向上させることができました。【融合召喚】においてもそれは例外ではなく、むしろサーチャーのお陰でデッキが成り立っていたとすら言えるかもしれません。
特に「黒き森のウィッチ(Vol.6)」は「サンダー・ドラゴン」をサーチ範囲に含んでいたため、「双頭の雷龍」の安定供給に大きく貢献していました。それだけでなく、事故率の問題からフル投入の難しい「デーモンの召喚」を必要な場面でサーチできるなど、まさにデッキに無くてはならない存在です。
そのため、「黒き森のウィッチ(Vol.6)」を墓地に送る手段として「音楽家の帝王」が採用されています。融合素材に「黒き森のウィッチ(Vol.6)」を含んでいる点が最も重要で、盤面展開における歯車としての活躍が見込めます。
例えば、手札が「融合」2枚、「心眼の女神」2枚、「黒き森のウィッチ(Vol.6)」1枚という窒息したシチュエーションであっても、「音楽家の帝王」があれば「デーモンの召喚」をサーチして「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」に繋げることができます。
もしくは、融合素材モンスターが1体分余ってしまうという場面では、展開の合間に「音楽家の帝王」を経由することでパズルのピースを嵌めるようにきっちりと手札を使い切ることができるでしょう。
「本体は弱いが素材が強い」の好例であり、額面だけでは測れないカードパワーを持っていた変わり種のモンスターです。
また、上記に加えて「強欲な壺」「天使の施し」という二大ドローソースもそれぞれ3積みしており、これで回らないデッキはもはや嘘とすら言えるでしょう。潤滑油12枚体制となっており、ファンデッキ然とした外見に反して高い安定性を持っていました。
しかし、2000年4月1日に遊戯王OCG2回目となる制限改訂が行われ、ここで壊滅的な打撃を受ける形となります。
「強欲な壺」が制限カード、「天使の施し」が準制限カードとなり、更には「クリッター(エラッタ前)」「黒き森のウィッチ(エラッタ前)」に裁定変更が入っています。メインエンジンが潰されてしまったためにデッキの回転力を維持できなくなり、デッキパワーを大幅に損なってしまいました。
元々デッキの強さを求められていなかったとはいえ、デッキが動かせないレベルにまで弱体化したダメージは大きく、次第に【融合召喚】の使用者が減少していきます。それでも根強いファンの存在から使用者が全く居なくなることはありませんでしたが、第2期冒頭に現れた「ハンデス三種の神器」などの影響もあり、【融合召喚】との遭遇はレアケースとなっていきました。
【まとめ】
第1期の【融合召喚】に関する話は以上です。
遊戯王OCGで初めて誕生したファンデッキであり、遊戯王の歴史という面では非常に大きな意味を持っていたデッキとなっていました。
しかし、制限改訂という天災を生き残ることはできず、第2期では姿を消しています。この時の規制は【エクゾディア】を狙ったものでしたが、そうしたトップデッキの規制に巻き込まれて死亡してしまうのはファンデッキの宿命とも言えるのかもしれません。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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