制限改訂2005/3/1 【サイエンカタパ】の最期と【スタンダード】の衰退

2018年7月13日

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【前書き】

 【第4期の歴史14 洗脳-ブレインコントロール 2枚目以降の心変わり】の続きになります。ご注意ください。

 2005年初弾となるレギュラーパックの販売が行われたものの、当時の環境に影響を及ぼすカードはほとんど現れず、前年の流れを引き継ぐ形でメタゲームが進行していました。

 その裏では【サイエンカタパ】を筆頭に凶悪な先攻1キルデッキが蔓延っており、遊戯王OCGは健全なカードゲームとしての顔を失いつつありました。かつての【カオス】の全盛期ほどではありませんが、いずれにしても暗黒期指定を免れることはできません。

 多くのプレイヤーが深い闇に飲まれていく中、遂に神の裁きが下されることになります。

 

【制限改訂 2005年3月1日】

 2005年3月1日、遊戯王OCGにおいて17回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の18枚です。

処刑人-マキュラ
ファイバーポッド 制限
魔導サイエンティスト 制限
悪夢の蜃気楼 制限
押収 制限
苦渋の選択 制限
強引な番兵 制限
心変わり 制限
蝶の短剣-エルマ 制限
第六感 制限
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
八汰烏
サンダー・ボルト
死者蘇生
ハーピィの羽根帚
ブラック・ホール
王宮の勅命(エラッタ前)

 

 制限カードに指定されたカードは以下の44枚です。

異次元の女戦士 無制限
クリッター(エラッタ前) 禁止
ネフティスの鳳凰神 無制限
マシュマロン 無制限
いたずら好きな双子悪魔 禁止
団結の力 禁止
天使の施し 禁止
ライトニング・ボルテックス 無制限
聖なるバリア -ミラーフォース- 禁止
魔のデッキ破壊ウイルス 無制限
お注射天使リリー
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
キラー・スネーク(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サイバーポッド
人造人間-サイコ・ショッカー
神殿を守る者
同族感染ウィルス
ドル・ドラ
ならず者傭兵部隊
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
魔鏡導士リフレクト・バウンダー
魔導戦士 ブレイカー
メタモルポット
大嵐
強奪
強欲な壺
サイクロン
手札抹殺
早すぎた埋葬
光の護封剣
魔導師の力
激流葬
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
停戦協定
破壊輪(エラッタ前)
魔法の筒
無謀な欲張り
リビングデッドの呼び声

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の15枚です。

アビス・ソルジャー 無制限
ヴァンパイア・ロード 制限
黒蠍-逃げ足のチック 無制限
深淵の暗殺者 無制限
成金ゴブリン 制限
非常食 無制限
レベル制限B地区 無制限
グラヴィティ・バインド-超重力の網- 無制限
ゴブリンのやりくり上手 無制限
暗黒のマンティコア
切り込み隊長
強制転移
増援
抹殺の使徒
ラストバトル!

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の1枚です。

カオスポッド

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。なんと変動30枚と非常に大がかりな変更であり、いつになく開発側のやる気が感じられる制限改訂です。

 以前の記事でも再三に渡って取り上げたことですが、当時の遊戯王OCGは【サイエンカタパ】という爆弾を抱え込んでおり、業界としては危うい立場に置かれていました。一応、ビートダウン界隈に限れば健全と言えるゲームバランスが成立していましたが、「第六感」が現役を務めているなど、細かな問題は至るところに見え隠れしています。

 こうした末期的な状況を前にしてしまっては、流石の公式も重い腰を上げざるを得なかったということでしょう。

 

魔導サイエンティスト投獄 終身刑確定

 この時の改訂において最も重大な出来事だったのは、まず間違いなく「魔導サイエンティスト」が禁止カード指定を受けたことに他なりません。

 これにより【サイエンカタパ】が構築不可能となり、おおよそ1年8ヶ月にも及ぶ現役時代に終止符が打たれました。当時の現役プレイヤーにとっては当然喜ばしい出来事であり、ようやく訪れた安息に胸を撫で下ろされた方も少なくなかったのではないでしょうか。

 また、この「魔導サイエンティスト」はそれ自体がパワーカードでもあり、当時のほとんどのデッキに採用される必須カードでもあったため、その意味でもこのカードが消えた影響は計り知れません。これまでのように魔導サイエンティスト」1枚で盤面をひっくり返されることがなくなり、堅実なアドバンテージ・ゲームが成立しやすくなっています。

 

無限ループパーツへの規制 処刑されたマキュラ

 また、この時に姿を消した凶悪コンボパーツは「魔導サイエンティスト」だけではありません。「処刑人-マキュラ」の禁止カード化を筆頭に、無限ループパーツを中心とする規制の手が入っています。

 これにより引き起こされた最も大きな出来事は【デッキ破壊1キル】の衰退でした。元々【サイエンカタパ】の影に隠れていた2番手のデッキではありましたが、これをもってメタゲームからの完全撤退を余儀なくされています。

 一応、「王家の神殿(エラッタ前)」を代用するなどによってコンセプトの崩壊は辛うじて免れていましたが、いずれにしても大きく弱体化してしまったことは事実です。以降は「ガチデッキ寄りのカジュアルデッキ」という立ち位置に甘んじることとなり、表舞台での活躍の機会は次第に失われていきました。

 同様に【深淵1キル】もやや勢いを失っています。これ自体は「深淵の暗殺者」の無限手札コストギミックを中核に据えたコンボ・コントロールデッキでしたが、サブギミックとして「処刑人-マキュラ」が搭載されていることも少なくなかったからです。

 さらに、当の「深淵の暗殺者」も準制限カード指定を受けており、デッキの重要な屋台骨が揺らぐ結果に繋がっています。隠れたフィニッシャーでもあった「黒蠍-逃げ足のチック」も準制限カード行きとなっているなど、逆風の状況は免れません。

 (ただし、黒蠍-逃げ足のチック」は「処刑人-マキュラ」との併用を前提にピン挿しされるケースが大半だったため、あまり意味のない規制ではありました)

 もちろん、これだけでメタゲームから弾き出されるほど脆いデッキではありませんでしたが、少なくとも首位争いからの脱落は避けられなかったのではないでしょうか。

 他方では、かつて【エルマ1キル】のキーカードとして猛威を振るった「蝶の短剣-エルマ」も禁止カードに指定されています。

 とはいえ、この時期は【エルマ1キル】ほぼ絶滅危惧種と言えるほどに数を減らしており、この規制が与えた影響はほぼ無視できるものに過ぎませんでした。これ自体が問題だったというよりも上記カード群のついでに規制された印象も強く、【エルマ1キル】の使い手にとってはとばっちりに近い話だったのかもしれません。

 

汎用パワーカード大量規制 制限行きから禁止行きまで

 次点で影響が現れた出来事は、大量のパワーカードに対して厳しい対処が行われたことです。

 「ファイバーポッド」「押収」「苦渋の選択」「強引な番兵」「心変わり」「第六感」の6枚が新たに禁止カードに指定されています。いずれも名だたるパワーカードであり、当時の環境では必須カードとも言える存在でした。

 当然、これらが現役を退いたことは非常に重大な事件です。【ノーカオス】に始まる【グッドスタッフ】系デッキはもちろん、【アビス・コントロール】などのロックデッキも含めて構築の見直しを余儀なくされました。

 さらに、無制限カードからの規制強化として、「異次元の女戦士」「マシュマロン」「ライトニング・ボルテックス」の3枚が制限カードに指定されたことも見過ごせません。これまで3枚フル投入可能だったものが急に制限行きとなったため、ある意味では上記カード群以上にゲームバランスに影響を及ぼしています。

 特に「異次元の女戦士」はビートダウンデッキであれば3積み確定と言われていたほどの存在であり、これに対する規制は当時のプレイヤーに大きな衝撃をもたらしました。とはいえ、その強さからいずれは規制されるだろうと予想されていたカードでもあったため、プレイヤー側としても納得せざるを得ない規制だったのではないでしょうか。

 

【やりくりターボ】の消滅 汎用ドローギミックへの規制

 上記とは別方面の大きな出来事として、当時大流行していた【やりくりターボ】ギミックに規制が入ったことも挙げられます。

 「ゴブリンのやりくり上手」「非常食」の2枚が準制限カードとなったほか、「悪夢の蜃気楼」が禁止カードの仲間入りを果たしています。いずれも当時のあらゆるデッキで活躍していたドローソースであり、こうした対処が行われることもそれほど不自然ではありません。

 一応、2枚までは使用できるため完全にギミックが潰れたわけではありませんが、3枚あって初めて有効に働くコンボでもあり、実用性については期待できなくなっていたのではないでしょうか。

 

【アビス・コントロール】への規制 ロックパーツに対する圧力

 当時のトップメタの一角を務めていた【アビス・コントロール】に対する規制が行われたことも無視できません。

 最大のキーカードである「アビス・ソルジャー」を筆頭に、重要なロックパーツ「レベル制限B地区」「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」の計3枚が準制限カードへと指定されました。アビス・ソルジャー」は言うまでもなく、後者2枚も基本的に3積み推奨のカードだったため、これにより少なくないダメージを負ってしまっています。

 とはいえ、ロックパーツに関しては「平和の使者」という代用パーツが手付かずで残っており、それほど大きなダメージには繋がっていません。対【次元斬】において「異次元の戦士」の攻撃を通してしまうという問題こそありますが、元々有利なマッチアップでもあることからあまり気にされず、実質的には「アビス・ソルジャー」に対する規制のみが刺さった形です。

 結果としてデッキが弱体化したことは事実でしたが、致命傷には程遠く、この【アビス・コントロール】も引き続き主流デッキの一角として存在感を示していくことになりました。

 

やや不当な規制 実際には使われていなかったカード達

 その他、環境に与えた影響は小さなものにとどまった出来事として、「ネフティスの鳳凰神」「魔のデッキ破壊ウイルス」の2枚が制限カード指定を受けていたことが挙げられます。

 これらは当時の基準では非常に優秀なパワーカードでしたが、残念ながら環境的に強みを発揮できる状況ではなく、実戦で使用される機会はそれほど多くありませんでした。そのため、このタイミングで厳しい規制が入ったことはやや見当違いな話であり、当デッキの使用者にとっては気の毒な出来事だったと言うほかありません。

 一応、「ネフティスの鳳凰神」は中堅クラスながら環境でもそこそこ使われていたため、全く理解できない話ではありませんが、「魔のデッキ破壊ウイルス」に関しては完全にとばっちり以外の何物でもないでしょう。「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」の影響で必要以上にヘイトが集まっていた印象は強く、「なんとなく危険そうだから規制しておこう」という意図が透けて見える改訂です。

 

規制緩和 釈放されたカード達

 以上22枚がこの時の改訂で規制強化されたカードですが、もちろん逆に規制が緩められたカードも少なくありません。禁止カードからは5枚、制限カードからは2枚、準制限カードからは1枚がそれぞれ緩和されています。

 とりわけ禁止カードの変動は当時の環境にも明確に影響を及ぼしています。「クリッター(エラッタ前)」「いたずら好きな双子悪魔」「天使の施し」「聖なるバリア -ミラーフォース-」といった必須カードが現役復帰した意味は大きく、あらゆるデッキに4枠の固定枠が生まれたと言っても過言ではない状況だったのではないでしょうか。

 一応、この時に「団結の力」も制限復帰していたのですが、当時は流石にもうそれほど使われておらず、一部のターボ系デッキでワンショットキルのサポートとして取り入れられる程度でした。

 その他、制限カードの「ヴァンパイア・ロード」「成金ゴブリン」の2枚が準制限カードに、準制限カードの「カオスポッド」が無制限カードに規制緩和されていたことにも触れておきます。いずれも時代の変化によって環境から姿を消して久しい存在であり、これらの復帰もそれほど目立った動きには繋がっていません。

 

【当時の環境 2005年3月1日】

 このように、一度の改訂とは思えないほど数多くのカードの移動があったことは上述の通りです。当然のことながら、この改訂によるメタゲームへの影響は極めて稀に見る大変動となって現れることになりました。

 何よりも決定的なレベルで浮き彫りになったのは、遂に【スタンダード】の衰退が目に見えて明らかになったことでしょう。第4期突入以降、徐々に勢いを落としていたアーキタイプではありましたが、ここで多数の汎用カードを失った結果、ほぼ総崩れに近い状況にまで追い込まれています。

 辛うじてデッキスペースを支えていた【やりくりターボ】ギミックも消滅しているため、従来の構築方法ではデッキ枚数が30枚にも届かなくなってしまったほどです。代わりに「地砕き」「炸裂装甲」などのベターなカードが積まれるようになりましたが、これまでの面々と比べて明らかに見劣りするスペックであることは言うまでもありません。

 とはいえ、この時においても「強欲な壺」を筆頭とする禁止カードは生き残っていたため、一部の綻びに目を瞑れば戦えないことはないデッキだったのも事実ではあります。流石にトップメタを名乗るのは難しい状況でしたが、一つの勢力として命脈を保っていたことは確かだったのではないでしょうか。

 次いで影響を及ぼしたのはもちろん、【サイエンカタパ】に対して解体宣言が下されたことです。

 単刀直入に言って大事件かつ朗報であり、暴虐を振り撒いていた先攻1キルデッキの消滅は諸手を上げて歓迎されました。当時は【サイエンカタパ】の使い手すら【サイエンカタパ】を疎んでいるような状況だったため、誰にとっても幸いと言える結果に終わったのではないでしょうか。

 【サイエンカタパ】が消えたことによるメタゲームの影響ですが、これに関しては「一周回って何もない」という形に収まっています。というのも、元々対策のしようがないタイプのデッキであり、そもそも正常なメタゲームが成立していなかったからです。

 その他、この改訂で現れた影響としましては、【アビス・コントロール】の微弱体化、また【深淵1キル】【次元斬】の衰退が挙げられます。後者2デッキはそれぞれ重要なキーカードを咎められており、これによる勢いの喪失は免れない状況でした。

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの変動を受け、当時の環境の勢力図も緩やかに塗り替えられていくことになります。最もダメージが少なかった【アビス・コントロール】が徐々に支配圏を拡大し、以降はビート・コントロールの時代が始まるかに見えました。

 実際のところ、それはある意味で正しい話でしたが、この時に頂点へと至ったのは【アビス・コントロール】ではありませんでした。理由は極めて単純で、【アビス・コントロール】では太刀打ちできないほど強力な新勢力が突如として表舞台に躍り出たからです。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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