やりくりターボ 第4期前半の爆アドコンボ
【前書き】
【第4期の歴史10 ライトニング・ボルテックスが強かった時代】の続きとなります。特に、この記事では前中後編の中編の話題を取り扱っています。ご注意ください。
ゴブリンのやりくり上手 蓄積した知識
「ライトニング・ボルテックス」を筆頭に、多数の有望株を環境に送り込んできた「FLAMING ETERNITY」ですが、それらとは別方面で優秀さを発揮する「コンボ色の強いカード」も同時に現れています。
それは「ゴブリンのやりくり上手」という罠カードでした。
自分の墓地に存在する「ゴブリンのやりくり上手」の枚数+1枚をデッキからドローし、手札からカードを1枚選択してデッキの一番下に戻す。
テキストの通り、やや複雑な効果を与えられた変則的なドローカードです。墓地に存在する同名カードの枚数に応じてドロー枚数が増える性質を持っており、使えば使うほど後々のドロー枚数が増していく面白いデザインが成されています。
しかし、ドロー後に手札を1枚デッキボトムに送らなければならないため、単体で使ってもアドバンテージを稼ぐことはできません。特に1枚目は確実にディスアドバンテージに繋がってしまうなど、メリット以上に扱いにくさが目立つ玄人向けのカードとして見られていました。
ところが、「非常食」とのコンボが発見された瞬間、この「ゴブリンのやりくり上手」は一転して優秀なドローカードに化けることになります。
ポイントは「ゴブリンのやりくり上手」のドロー枚数を参照するのが効果解決時であるという点です。よって「ゴブリンのやりくり上手」にチェーンして「非常食」などでそれを墓地に送った場合、効果解決時には既に同名カードが墓地に存在することになり、追加で1枚のカードをドローできることになります。
これだけではライフゲインがあるとはいえ3:2交換にとどまりますが、このギミックの真価は複数枚の「ゴブリンのやりくり上手」を揃えた時の爆発力です。2枚の場合は5:6交換でアドバンテージとなり、3枚の場合はなんと7:12交換と膨大なアドバンテージを獲得することすら夢ではありません。(「非常食」1枚、「ゴブリンのやりくり上手」3枚、ボトムに戻すカード3枚の計7枚)
【やりくりターボ】の成立 悪夢の蜃気楼ギミックの再来
とはいえ、常に都合よくコンボが成立するわけではなく、特に「ゴブリンのやりくり上手」が3枚揃うことは非常に稀でした。上記2枚のみを積むだけでは十分な強みを発揮できないどころか、場合によっては足枷にすらなってしまいます。
しかし、だからと言ってこのコンボが実戦で使われなかったわけではありません。当時現役を務めていた各種禁止カードと併用することにより、投入のリスクを最小限に抑えることができたからです。
最も素直に噛み合っていたのは「悪夢の蜃気楼」でしょう。元々「非常食」とはシナジーを形成するため、自然にギミックに組み込むことができます。
次点では、「第六感」や「苦渋の選択」といった墓地肥やしカードとのコンボが考えられます。前者はほぼ運頼りですが、後者は5枚中2枚を「ゴブリンのやりくり上手」にすることで強力な動きに繋げることが可能でした。
具体的には、「ゴブリンのやりくり上手」が選ばれた場合は2:2交換のドローソースとして、選ばれなかった場合もデッキ内の最後の1枚が2:3交換の強力なドローソースに変わるため、どう転んでも損にはならないという理屈です。もちろん、その最後の1枚を引けるとは限りませんが、デッキ内の「強欲な壺」が2枚に増える(※)と考えれば悪い話ではありません。
(※現在の価値観ではあまりピンと来ない話ですが、当時のゲームスピードでは通常ドローの価値が今よりも重かったため、素引きの確率が2倍になるだけでも強力でした)
こうした各種パーツの集合体こそが【やりくりターボ】の正体です。デッキ名というよりも出張ギミック名といった方が正確であり、第9期で言うところの【クラウンブレード】のようなもの、と考えた方が語弊は少ないかもしれません。
その後、ほとんどのデッキで利用できる汎用ドローギミックとして猛威を振るった結果、直近の制限改訂では「ゴブリンのやりくり上手」「非常食」の2枚ともに準制限カード指定を受けています。前記事の「ライトニング・ボルテックス」に比べれば緩めの規制ですが、性質上2枚だけでは全く真価を発揮できないため、以降は完全に環境から姿を消すことになりました。
補足となりますが、このギミックと相性のよかった「悪夢の蜃気楼」「第六感」「苦渋の選択」の3枚は、その全てがこのタイミングで禁止カードに指定されています。これらはそれ自体が凶悪なパワーカードであったため上記カードとはやや話が異なりますが、それでも全くの無関係ではなかったのではないでしょうか。
【後編に続く】
「ゴブリンのやりくり上手」、ひいては【やりくりターボ】に関する話は以上となります。
現在の基準では迂遠にも思える低速コンボですが、第4期当時としては非常に強力なコンボであり、実際に当時の環境では最新のドローギミックとして大流行することになったほどです。しかし流行しすぎた結果、3ヶ月強という短い期間で使用できなくなってしまいましたが、その事実こそが全盛期の【やりくりターボ】の強さを物語っていると言えるでしょう。
さて、「FLAMING ETERNITY」の販売によって引き起こされた環境の変化という意味においては、前記事を含め上記の内容で以上です。しかしながら、当パックのパッケージイラストを飾っていた、トップレアとも言えるカードの存在を忘れるわけにはいきません。
後編に続きます。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
ディスカッション
コメント一覧
>> これだけではライフゲインがあるとはいえ3:2交換にとどまりますが、このギミックの真価は複数枚の「ゴブリンのやりくり上手」を揃えた時の爆発力です。
>> 2枚の場合は5:6交換でアドバンテージとなり、3枚の場合はなんと7:12交換と膨大なアドバンテージを獲得することすら夢ではありません。
ここの箇所がよくわからなかったのですが、2枚の場合は4:6交換、3枚の場合は5:12交換ではないでしょうか?
3枚の場合、非常食・やりくり*3・ボトムに戻す1枚の合計5枚を使用しているのだと思うのですが。
ご指摘いただきました件ですが、デッキボトムに戻す効果は「ゴブリンのやりくり上手」の枚数分だけ処理されます。
そのため、カード消費は「非常食」1枚、「ゴブリンのやりくり上手」3枚、ボトムに戻すカード3枚の計7枚となる次第です。
記事本文にその旨を追記いたしました。説明が不十分で申し訳ございません。