【現世と冥界の逆転】の歴史・時代ごとのデッキレシピまとめ

2018年2月4日

【デッキデータ】

 活躍期間 2001年12月28日~2002年4月30日
 脅威度 暗黒期(2001年12月28日~2002年3月20日)
暗黒期(2002年3月21日~4月30日)
主な仮想敵  【八汰ロック】(~2002年3月20日)
【ラストバトル!】(~2002年3月20日)
【宝札エクゾディア】(~2002年3月20日)

 

デッキレシピ

サンプルデッキレシピ(2002年3月21日)
モンスターカード(9枚)
×3枚  処刑人-マキュラ(エラッタ前)
 メタモルポット
×2枚  
×1枚  サイバーポッド
 聖なる魔術師
 闇の仮面
魔法カード(21枚)
×3枚  浅すぎた墓穴
 増援
 太陽の書
 手札抹殺
 成金ゴブリン
×2枚  月の書
 天使の施し
×1枚  苦渋の選択
 強欲な壺
罠カード(10枚)
×3枚  強欲な瓶
 無謀な欲張り
×2枚  現世と冥界の逆転(エラッタ前)
 硫酸のたまった落とし穴
×1枚  
エクストラデッキ(0枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚  

 

 

【デッキ解説】

 

2002年1月

 【現世と冥界の逆転】は、「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」と「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」をキーカードに据えた(※)非常に凶悪な先攻1キルデッキです。2001年12月28日、週刊少年ジャンプから「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」が誕生したことで成立しました。

(※ちなみに、現冥ワンキルと言えば「王家の神殿(エラッタ前)」とのコンボが有名ですが、当時は「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」や「増援」が無制限カードであり、さらに墓地肥やし手段も豊富だったため、この頃はあまり使われていませんでした)

 コンボデッキの一種ですが、他の先攻1キルデッキとは異なり複数枚のコンボパーツを集めて勝利するタイプのデッキではありません。最終的な目的は相手のデッキ切れを起こすことであり、「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」もその手段の一つに過ぎません。重要なキーカードであるのは事実ですが、あくまでもエンドカードの1枚としての採用となります。

 そのため、厳密には【デッキ破壊1キル】に分類されるアーキタイプですが、通常の【デッキ破壊】系デッキとは大きく構造が異なるため、便宜上別種のデッキとして取り扱っている形です。ご了承ください。

 デッキの勝利手段はおおむね以下の3通りに分類されます。

 

①:相手の墓地にカードが存在しない状態で「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」を発動し、相手のデッキを0枚にする。

 

②:相手の墓地が5枚以下の状態で「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」を発動したのち、手札抹殺」か「メタモルポット」でとどめを刺す。

 

③:「サイバーポッド」で相手に大量の手札を押しつけたのち、手札抹殺」でとどめを刺す。

 

 このうち、最も多いのは②のパターンですが、大抵の場合③との複合型になるケースが大半です。必然的に相手の墓地が肥えてしまうことになるため、エンドカードは「手札抹殺」に頼る状況が多くなるでしょう。

 しかし、この頃はデッキのパーツがあまり出揃っておらず、勝利手段はほぼ①のパターンに限られていました。よって相手の墓地にカードが落ちただけで勝利が一気に遠のいてしまうなど、構造的な欠陥を抱え込んでしまっていたことは否めません。

 構築自体もそれほど洗練されていなかった都合もあってか、この時期は【宝札エクゾディア】などの既存の先攻1キルデッキに埋もれている状態でした。

 

2002年3月

 しかし、2002年3月21日に「Pharaonic Guardian -王家の守護者-」が世に解き放たれたことで状況が一変、最強最悪の先攻1キルデッキとして猛威を振るい始めることになります。記事トップのサンプルレシピはこの時の姿です。

 「無謀な欲張り」と「太陽の書」という最高のピースを獲得し、前期とは比べ物にならないほどの爆発力と安定性を手にしています。それに伴い「聖なる魔術師」「闇の仮面」や「硫酸のたまった落とし穴」など、一風変わったカードが取り入れられているのが特徴です。

 前述の通り、「太陽の書」と「サイバーポッド」のコンボにより大量の手札を押し付けられるようになったため、10~20枚前後のデッキを「手札抹殺」1枚で削り切れるようになりました。その際、「サイバーポッド」で次のリバースモンスターをセットする動きも凶悪で、一旦この状況に入った後は連鎖的にコンボが繋がっていきます。

 ただし、状況次第では手札が20枚近くにまで膨れ上がってしまうケースも少なくないため、その場合は適度に手札を無駄遣いすることを意識しなければなりません。「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」があれば大抵の状況はリカバリーが効きますが、稀に詰んでしまうケースもあり、油断は禁物です。

 こうした事情もあってか、この時期の「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」はエンドカードとしての役割以上に、自分のデッキを回復させるカードとしての側面を持つようになっています。性質上、どのような状況でも最低15枚のデッキ枚数は確保できるため、意識して手札枚数を調整していれば困ることはないでしょう。

 総評としましては、比較対象に【エクゾディア】(第1期)が挙がるほどの極悪デッキであり、まず間違いなく第2期最強の称号がふさわしい存在です。上述の通り回し方に多少の理解は必要ですが、初動で躓かない限りどんな状況からでもキルに持っていける圧倒的な回転力は尋常ではありません。

 実際に上記サンプルレシピで50回ほど一人回しをしてみましたところ、先攻1キル率は8割をキープしていました。シャッフルの仕方によって偏りが生じている可能性はありますが、恐らくそれほど的外れな確率ではないのではないでしょうか。

 ちなみに、残りの2割も数ターン以内にはコンボが決まるケースが多かった印象です。大抵の場合、先攻1キルが決まらないパターンは以下の2通りに大別されるためです。

 

①:「サイバーポッド」「メタモルポット」のリバース手段がない。

 

②:「無謀な欲張り」「強欲な瓶」を手札から発動できない。

 

 どちらのパターンでも次のターンには行動できるようになるため、妨害が入らない限り大抵コンボが決まってしまいます。それどころか、①のケースでは大量の手札が入ってくる都合上、多少の妨害は強引に突き破ってしまうことすら少なくありません。

 もちろん、①も②も該当しない完全な事故パターンもないわけではありませんが、そこまで行けばどのようなデッキにも言えることであり、このデッキ固有の弱点として取り上げるのは流石にナンセンスでしょう。

 

2002年5月

サンプルデッキレシピ(2002年5月1日
モンスターカード(12枚)
×3枚  サンダー・ドラゴン
×2枚  クリッター(エラッタ前)
×1枚  黒き森のウィッチ(エラッタ前)
 キャノン・ソルジャー
 サイバーポッド
 聖なる魔術師
 処刑人-マキュラ(エラッタ前)
 メタモルポット
 闇の仮面
魔法カード(21枚)
×3枚  浅すぎた墓穴
 生還の宝札
 太陽の書
×2枚  王家の神殿(エラッタ前)
 増援
 天使の施し
×1枚  苦渋の選択
 強欲な壺
 死者蘇生
 手札抹殺
 成金ゴブリン
 早すぎた埋葬
罠カード(7枚)
×3枚  強欲な瓶
×2枚  硫酸のたまった落とし穴
×1枚  現世と冥界の逆転(エラッタ前)
 無謀な欲張り
エクストラデッキ(0枚)
×3枚  
×2枚  
×1枚  

 

 そして、第2期最後の制限改訂が行われ、とうとうこの【現世と冥界の逆転】も壊滅的なダメージを負うことになります。

 「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」と「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」を筆頭に、上記で挙げたキーカードの大半が潰されていることが分かります。この時期は禁止カード制度が存在しなかった関係で制限止まりとなっていますが、それでも相当苦しい規制であることは言うまでもありません。

 一応、代用パーツとして「生還の宝札」や「王家の神殿(エラッタ前)」が試されているものの、全盛期に遠く及ばないことは火を見るより明らかです。

 一見してまとまりのないリストですが、実際のところ構造的には穴だらけであり、到底先攻1キルデッキとして名乗れる完成度ではありません。この構築で一人回しに挑んでみましたが、先攻1キルが決まったのは8回目のゲームでした。それも初手でコンボが揃っていたために偶然成功したに過ぎず、データとして参考になるものではないでしょう。

 ここから構築を最適化すれば多少の改善の見込みはありますが、根本的に焼け石に水であることは否めません。身も蓋もない話になりますが、無理に先攻1キルにはこだわらず、コントロールデッキとして一から組み直した方が遥かに安定するのではないでしょうか。

 結論としましては、アーキタイプとしては一応の生存を見せたものの、先攻1キルデッキとしては解体されたも同然であり、環境の最前線からも静かに撤退していくこととなりました。

 

【まとめ】

 【現世と冥界の逆転】に関する話は以上です。

 第2期終盤に成立し、その直後に様々なコンボパーツを得て暴虐を振り撒いたものの、最期は厳しい規制によって事実上の解体宣言を下されています。

 とはいえ、完全に息の根が断たれたわけではなく、第3期では「第六感」を獲得したことでやや追い風を受けています。

 しかし、流石にこの時ほどの理不尽な強さはなく、【カオス】【サイエンカタパ】などライバルが多かったこともあって環境レベルでは活躍の機会は訪れませんでした。

 それ以降は【デッキ破壊】や【マッチキル】系デッキなどの隠し味としての採用がメインとなり、細々と環境で存在感を示していくことになります。しかし、第4期終盤の2006年3月の制限改訂で禁止カードに指定されてしまい、遂には完全に姿を消してしまうことになりました。

 現在ではエラッタによってカードパワーを調整されて現役復帰していますが、もちろん環境での活躍はありません。恐らくは今後も浮上の機会はないものと思われますが、ファンデッキを組んで昔を懐かしんでみるというのも一興ではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史