黒蠍-棘のミーネ参戦 【ミーネ・ウイルス】の中核モンスター

2018年3月15日

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【前書き】

 【第3期の歴史16 制限改訂2003/1/1 第3期最初の制限改訂】の続きになります。ご注意ください。

 第3期突入から8ヶ月が経過し、ようやく1度目の制限改訂が行われました。環境に溢れていたパワーカードに対する厳しい規制が入り、全体的にゲームバランスのデフレが発生しています。

 それにより上級モンスターを使いやすくなり、本格的に「ヴァンパイア・ロード」が流行し始めることになるなど、少しずつカード選択にも影響が現れていっている形です。

 とはいえ、それ以降1月中は大きな動きもなく、メタゲームも緩やかな横移動に落ち着いていました。一方で、1月中旬に遊戯王史上初となる、いわゆる「TIN缶」が販売されるなどの出来事も起こっています(新規カード1枚、全1503種)。

 そんな折、2月下旬に大きなカードプールの更新が成されることになりました。

 

【闇魔界の脅威 コントロール色の強いパック】

 2003年2月20日、「闇魔界の脅威」が販売され、新たに52種類のカードが誕生しました。また、同日に「遊戯王デュエルモンスターズ8 破滅の大邪神」とその攻略本(上巻)も販売され、ゲーム・書籍同梱カードとして新規カードが5枚現れています。

 合計で57枚の新規カードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1560種類に増加しました。

 全体的にコントロール・コンボ色の雰囲気漂うパックとなっており、非常に個性的なカードが多数収録されていたのが特徴です。

 パックそのもののテーマである【デーモン】カテゴリを始めとして、ロックデッキの有力なエンドカードとして浮上した「終焉のカウントダウン」、先攻1キル系デッキにおいて優秀なサルベージカードの役割を務めた「魔法再生」、将来的に【暗黒界】のキーカードとして花開く「墓穴の道連れ」など、当パック出身の独特なカードは少なくありません。

 変わったところでは、生け贄召喚時に生け贄に捧げたモンスターの倍の攻撃力を得る「偉大魔獣 ガーゼット」も有名どころに含まれるでしょう。性能自体はファンデッキ向けという印象ですが、そのトリッキーかつ大雑把な効果から多くのプレイヤーに愛されているカードです。

 反面、単体で機能するパワーカードがそれほど見られなかったという特徴もあります。「炸裂装甲」など、優秀なカードが含まれていなかったわけではありませんが、これまでのパックと比較して不作であったことは否めません。

 やはり他のカードと組み合わせてこそ真価を発揮するカードが多く、良く言えば遅咲き、悪く言えば即戦力に繋がらないカードプール更新だったのではないでしょうか。

黒蠍-棘のミーネ 【ミーネ・ウイルス】のキーカード

 上述の通り、誕生当時から早々に環境で活躍したカードは収録されていませんでしたが、その分ポテンシャルを持ったカードが生まれていたのも事実です。

 その筆頭は何と言っても「黒蠍-棘のミーネ」に他なりません。

このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●「黒蠍」という名のついたカードを自分のデッキから1枚手札に加える。
●「黒蠍」という名のついたカードを自分の墓地から1枚手札に加える。

 【黒蠍】カテゴリに属するモンスターの1体であり、その中核となるカードです。戦闘ダメージをトリガーにカテゴリ専用のサーチ・サルベージ効果を発動できる強力な能力を持っています。

 攻撃力が1000と低めなのが玉に瑕ですが、アドバンテージ生成能力そのものは現代の基準と照らし合わせても遜色ありません。もちろん、第3期当時としては最高クラスのカテゴリサポートカードと言えるでしょう。

 問題は肝心の【黒蠍】自体がそれほど強くなく、折角の強みを活かし切れなかったということでしょうか。カテゴリの歴史としてもこの時に現れたカード群が最後であり、現在に至るまで新規カードは現れていない不遇の状況です。

 そのため、この「黒蠍-棘のミーネ」も【黒蠍】の一員として見た場合はそれなりの性能と言わざるを得ず、環境での活躍も皆無だったと結論付けるべきでしょう。

 しかし、このカードを単体で運用することを考えた場合、「黒蠍-棘のミーネ」は一転して有力なアドバンテージ・モンスターに変貌することになります。このカードのサーチ・サルベージ効果は自身にも対応しており、これを3積みするだけでも粘り強く戦線を維持することができたからです。

 頼りない攻撃力に反して守備力は1800と高く、1900ラインが崩壊して久しい第3期では十二分に信頼のおける壁として機能する強みもあります。セット状態のこのカードに攻撃してきた準アタッカーを受け流しつつ、サーチ効果でアドバンテージを取る動きは当時としては脅威の一言でしょう。

【ミーネ・ウイルス】 後期【カオス】を抑えた英雄

 そして、こうしたアドバンテージ生成能力を最大限に活用することを目的に開発されたデッキこそが【ミーネ・ウイルス】でした。

自分フィールド上の攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体を生け贄に捧げる。相手のフィールド上モンスターと手札、発動後(相手ターンで数えて)3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、攻撃力1500以上のモンスターを破壊する。

 上記は第3期の「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」のテキストです。発動コストこそ必要ですが、準アタッカー以上の高打点モンスターを全滅させつつ3ターンの間はドロー分もシャットアウトできるなど、決まりさえすれば莫大なリターンが期待できます。

 誕生当時こそ入手困難なレアカードでしたが、この時期はストラクチャーデッキなどで何度も再録されていたため、比較的手が届きやすくなっていたのも魅力だったのではないでしょうか。

 エラッタによって弱体化するまでは禁止カードに指定されていたことからも分かるように、この「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」は単純に普通のデッキで使っても強いカードです。実際、【ミーネ・ウイルス】成立以前にも【グッドスタッフ】などで採用された実績のあるカードとなっています。

 とはいえ、やはり専用デッキを組んでこそ輝くカードでもあるというのは事実です。これ以前にも細々とこれを活かすデッキが考案されていましたが、ここで「黒蠍-棘のミーネ」という最高のパートナーを得たことで一気に花開くことになりました。

 上述の通り、「黒蠍-棘のミーネ」は比較的緩い条件でモンスターを継続的に確保できる強みを持っており、「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」とは強固なシナジーを形成します。低めの攻撃力もむしろ「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」のコストに対応する強みとなるほか、ウイルス効果によって攻撃を通しやすくなるなど、どちらの視点から見ても相性は抜群です。

 性質上、高打点モンスターをメインアタッカーとするハイビート系デッキに対しては滅法強く、一時期はあの【カオス】を抑えた実績すらある強力なデッキです。

 もっとも、その頃の【カオス】は度重なる規制で大幅に弱体化していたのですが、それを踏まえても十分な手柄と言えるでしょう。

 しかしながら、この時期はリクルーターの全盛期、つまり攻撃力1500未満のモンスターが幅を利かせていたため、そもそも切り札となる「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」が効力を発揮しにくい環境にあったことは否めません。それどころか友情コンボが成立してしまう「ヴァンパイア・ロード」が現役だった都合上、まともにコンセプトを成り立たせるのも困難だった印象すらあります。

 そのため、この【ミーネ・ウイルス】も「黒蠍-棘のミーネ」誕生後即座に開発が進んでいたわけではなく、当初は単なるビートダウンデッキの採用候補の1体という評価を付けられていました。あくまでも環境的に「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」が強く機能する時期になって初めて開発されたデッキだったと言えるでしょう。

 

【後編に続く】

 「黒蠍-棘のミーネ」に絡んだ話については以上です。

 第3期当時としては破格のアドバンテージ生成能力を持ち、やがては【ミーネ・ウイルス】の成立を導いた優秀なモンスターではありましたが、当時はそもそも肝心の「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」が活躍できる環境ではなく、やや埋もれてしまっている状況にあったことは否定できません。

 とはいえ、単体でもそこそこ優秀なモンスターとして見られていたことは記事の通りです。ビートダウンデッキで採用候補に挙がることも少なくなかった以上、下級モンスターとしては十分な扱いを受けていたのかもしれません。

 しかし、当パックにはこの「黒蠍-棘のミーネ」以上に大きな影響力を持つことになる、未来の禁止カードが含まれていたことには触れておかなければならないでしょう。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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