ゲーム同梱ランダム収録 なかなか手に入らない超レアカード
・前書き
・限定パックの話
・ゲーム同梱カードの話
・当時のトップレア 鎖付きブーメラン
・コストに恵まれない 死のデッキ破壊ウイルス
・実は不遇だった ハーピィの羽根帚
・出し方が分からないグレート・モスの話
・まとめ
【前書き】
【第1期の歴史7 初期の謎テキスト ひいた後で強欲な壺を破壊する】の続きとなります。ご注意ください。
効果モンスターの誕生により、遊戯王OCGのゲーム性は飛躍的に広がる形となりました。実際のゲームだけでなくデッキ構築面での自由度も拡大し、プレイヤーの技術も徐々に求められていくことになっていきます。
しかし、今回の記事では、こういった環境の変化に関係することからは少し離れた話題を取り扱わせていただきます。
普通のカードとは違い、特定の方法でしか入手できなかったカード群に関する話です。
【限定パックの話】
まずは限定パックについて触れていきます。
これが誕生したのは1999年6月中、週刊少年ジャンプの応募者全員サービスパックという企画によるものでした。
パックの正式名称は「LIMITED EDITION 1」と言い、遊戯パック、海馬パック、城之内パックの3種類がありました。通常のパックのように店頭での購入はできず、当時の現行の週刊少年ジャンプを購入した上で、手数料含め、このパックの代金分の切手を封筒に入れて送るシステムとなっていたようです。
個人的な事情を持ち出してしまい誠に恐縮ですが、当時子供であった私はこういった手続きに伝手がなく、同シリーズ含めて購入経験はございません。詳しいことは分かりかねる状況となっており、不透明な情報提供となってしまうことを謝罪いたします。
とはいえ、カード単品に限るのであれば、入手はそれほど難しくなかったと思われます。
厳密な時期については覚えておりませんが、当時拠点にしていた玩具店のカード専用スペースでシングル買いに似たシステムが取り入れられ始め、レアカードがショーケースで飾られるようになりました。ショップ側がこうした対応面で大きく出遅れるということは考えにくいため、恐らく他の場所でも同じような状況となっていたのではないでしょうか。
しかしながら、実際のゲームでの性能を見た場合、好意的に捉えても優秀であるとは言えず、需要に乏しいカード群ではありました。
唯一の例外が「千年の盾」であり、上級モンスターではあるものの、なんと守備力3000と当時最高の守備力を持つカードとして生まれてきています。守備表示の状態で戦闘破壊されることはまずなく、まさに壁モンスターの上位種とも呼べる存在として多少の注目を集めました。
しかし、攻撃力は0と最低の数値だったため、「地割れ」や「『守備』封じ」によってあっさり退場させられることも少なくありませんでした。
総評としては、攻めには使えず、守りとしても信頼し切れない中途半端な性能であり、やはり第一線で活躍できるポテンシャルを持ったカードではなかったと記憶しています。
【ゲーム同梱カードの話】
次はゲーム同梱カードに関する話です。
1999年7月8日、「遊戯王デュエルモンスターズⅡ 闇界決闘記」というゲームソフトが発売されました。その特典として、全10種類の中からランダムに3種類が同梱されたものがこれらのカード群となります。
しかし、元々ゲームという高価な品物の付属品であり、更には同梱カードもランダムと、狙ったカードを正攻法で入手するのは非常に困難な状況となっていました。
入手方法は実質的にシングル買い一択となっていましたが、前述の理由から値段も張り、カードによっては2000円以上の価格で売られていたことを覚えています。現在ではこの程度の価格のカードはいくらでもありますが、当時の常識では、カード1枚の値段としては法外とも言える価格となっていました。
補足として、私が居たところでは実用性の高いカード以上に、攻撃力の高い最上級モンスターに高値がつく傾向にありました。例えば、「青眼の白龍」と「人喰い虫」では、「青眼の白龍」の方が高価格に設定されていたと記憶しています。
これは店側の都合もある程度含まれていたと思われますが、エキスパートルールと公式ルールが混在していた影響も大きかったのではないかと考えています。事実、第2期に入ってからは半額近くまで値下がりしていたことを覚えています。
ともあれ、ゲーム同梱カードが非常に高い値段で取り扱われていたことは事実です。その理由の筆頭は、収録リストに図ったように強力なカードが紛れ込んでいた点にこそあるでしょう。
当時のトップレア 鎖付きブーメラン
全部で3枚あるため、1枚ずつ解説していきます。
まずは「鎖付きブーメラン」です。
相手攻撃モンスター1体を1回だけ守備表示にする事ができる。さらに自分のモンスター1体の攻撃力500ポイントアップ!
テキストからは読み取りにくいですが、「鎖付きブーメラン」は2種類の効果を持ったカードであり、発動時にその片方、または両方を選択して使用することができます。
一つ目は、攻撃している相手モンスター1体を守備表示にさせる効果です。この時、モンスターの攻撃も中断されるため、自分のモンスターを守る用途で使用できます。
また、当時のアタッカーのほとんどは攻撃力よりも守備力が低い傾向にあり、比較的緩い条件でモンスターを寝かせられるこのカードは高い評価を受けました。
二つ目は、自分のモンスター1体に、このカード自身を装備カード扱いで装備させる効果です。修整値は500と中々で、当時の属性対応の装備カードを上回る数値となっていました。
しかし、この効果の真価はそこではなく、どんなモンスターであっても装備可能という点にこそありました。
この時代の常識では、装備カードは特定のモンスターしか装備できない大前提の元にデザインされたカードでした。【装備ビート(属性軸)】に採用されていた実戦レベルの装備魔法カードにも、属性という縛りが存在しています。
しかし、このカードには何の制約も存在しません。当時の【装備ビート】がデッキ単位で工夫してようやく実現させたギミックを、これ1枚で達成できてしまうのです。圧倒的な利便性を誇る非常に強力な装備カードであり、当時の【装備ビート】はこれ1枚の存在から衰退したとも言われます。
また、装備効果を任意のタイミングで発動できることも強さの理由の一つです。
攻撃してきた相手モンスターをコンバット・トリックによって返り討ちにし、ボード・アドバンテージとテンポ・アドバンテージの双方を獲得できます。不利な状況であっても1枚で優位に持ち込めることから、これを持っているプレイヤーには信頼され、持っていないプレイヤーには恐れられていました。
もちろん、装備してなお打点が足りないという状況であっても、一つ目の効果で守備表示にしてしまえば返しの攻撃で討ち取れるでしょう。
総評としては、優秀な一つ目の効果、超優秀な二つ目の効果を併せ持つ、正真正銘のパワーカードです。腐るシチュエーションがなく、いつでも使っていける汎用性を誇っていました。
コストに恵まれない 死のデッキ破壊ウイルス
2枚目は「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」というカードです。
攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体と「死のデッキ破壊ウイルス」を生け贄に捧げる。フィールド上と手札内、発動後3ターン以内ドローした攻撃力1500以上の相手モンスターを破壊する。
何と言っても、このカードの特徴はその派手なテキストにあるでしょう。フィールドだけでなく手札のモンスターも破壊してしまう上に、3ターンの間にドローした分も根こそぎ死滅させる凶悪な効果を持っています。
目に見えて理解しやすいオーバーパワーな効果であり、発動にコストはかかるものの、当時の多くのプレイヤーの関心を集めたカードです。
しかし、誕生当時はコストの条件に当てはまるモンスターの中で有用なカードがなく、相方に恵まれなかったため活躍の機会はそれほどありませんでした。
時代が進むごとに評価を上げていったカード(※)であり、長い間環境に影響を与え続けた歴史の深い存在でもあります。
(※とりわけ【ミーネ・ウイルス】を成立させた実績は極めて多大でしょう)
実は不遇だった ハーピィの羽根帚
3枚目は、「ハーピィの羽根帚」というカードです。
相手のフィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
シンプルに強力な魔法・罠除去カードです。魔法・罠版「サンダー・ボルト」とも言える存在で、カードプールの広がった現在においても最高峰のバック除去性能を誇ります。
間違いなく遊戯王OCG屈指のパワーカードの1枚ですが、実は誕生初期は若干不遇の立場であったカードでもあります。
当時は魔法・罠カードがわざわざフィールドにセットされることは少なく、伏せられるカードは「落とし穴」や「鎖付きブーメラン」くらいしか存在しませんでした。
そして、「落とし穴」は制限カード、「鎖付きブーメラン」は上記の通り希少性が高く、どちらもゲーム中での遭遇率が低いカードです。
唯一仮想敵になりうる「光の護封剣」は裁定によりフィールドに残らず(※)、そもそも除去のしようがないと散々で、カードパワーの高さに反してとにかく使用の機会に恵まれないカードとなっていました。
(※しかし、8月頃にフィールドに残り続ける裁定に変わったため、一応の使い道は生まれていたと言えなくはありません)
以上3枚がゲーム同梱カードの中で優秀だったカードとなります。
どれも強力なカードであることは疑いようもなく、多くのプレイヤーの憧れの的になっていた存在です。当時、これらのカードを求めて地元のショップを練り歩いた方や、トレードでどうにか手に入れようと苦慮された方も少なくなかったのではないでしょうか。
ちなみに、この3枚をゲームソフト1本から同時に入手する確率は1/120です。実際はカード毎に封入率が異なっていたため多少誤差が生まれてきますが、いずれにしても、狙って当てられる確率でないのは確かです。
私の場合、そもそもゲームは許してもらえなかったので挑戦すらしていない(※)のですが……。
(※この1年後に挑戦した結果、色々な意味で痛い目に遭いました)
【出し方が分からないグレート・モスの話】
また、以上の3枚だけでなく、「究極完全態・グレート・モス」と呼ばれるカードも大きな注目を浴びています。
進化の繭がつけられて6ターン後のプチモスを生け贄に捧げない限り召喚できない。
融合モンスターを除けば遊戯王OCG初となる特殊召喚モンスターです。通常のモンスターのように生け贄召喚での召喚はできず、特殊な召喚条件を満たす必要があります。
このカードはその中でも飛び抜けて難しい召喚条件を与えられているのですが、その代わり攻撃力3500、守備力3000と「青眼の白龍」をも上回るステータスを持ち、戦闘ではまず負けない強みがありました。
しかしながら、この時期は「進化の繭」「プチモス」いずれも誕生しておらず、そもそも召喚の方法すら無いという謎のモンスターとなっていました。当時としては未知の召喚法を持っていたこともあり、原作を知らないプレイヤーには訳が分からないカードだったのかもしれません。
補足として、ゲームソフト本体だけでなく、その攻略本にも同梱カードがつけられていました。種類は固定で、「封印されし者の右腕」となります。
前回の「封印されし者の左足」と合わせて、着々とパーツが揃いつつあります。
【まとめ】
手前勝手となりますが、今回の記事では環境という目線からは離れ、カード自体の希少度に絡んだ話をさせていただきました。
普段とは毛色の違う話題であり、更には個人の主観が多少入り混じった話になってしまいましたが、何卒ご容赦くださいますようお願いいたします。
しかしながら、現在では最も評価の低い「鎖付きブーメラン」が当時は一番活躍したというのは興味深い話です。カードプールの違いがカードそのものの価値を変化させる好例と言えるのではないでしょうか。
補足となりますが、この時期に誕生した新たなカードは20種類、遊戯王OCG全体のカードプールは277種類となっています。増加数は普段よりも少なめですが、限定販売が続いた故致し方なしというところでしょうか。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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