初期の謎テキスト ひいた後で強欲な壺を破壊する

2017年11月18日

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【前書き】

 【第1期の歴史6 元祖効果モンスター リバースモンスターの誕生】の続きになります。特に、この記事では前後編の後半の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【当時の環境 1999年5月27日 後編】

 さて、「強欲な壺」の効果は以下の通りです。

・自分のデッキからカードを2枚ひく。

 単純明快にして意味不明の効果を与えられたカードです。無条件でアドバンテージを稼げる最強のドローソースであり、恐らく遊戯王OCG全体で見ても史上最強クラスのカードパワーを誇ります。

 もはや具体的に理由を解説するのも億劫になるほど絶大な強さを持っており、これが入っていないデッキはデッキではない、と言われたことすらあるカードです。

 具体的な強さの理由に関しましては上記記事の専用項目にて解説しております。ご興味をお持ちの場合、そちらをご覧いただければ幸いです。

 一応、カードゲームに触れたことのない方向けに説明いたしますと、1万円が2万円になるようなものだと考えて下さればと思います。哲学的な解説で申し訳ございません。

 もちろん、この当時においても、当然のようにあらゆるデッキにフル投入されていくことになります。

 この時代はアドバンテージの獲得が難しい環境だったため、「強欲な壺」を何枚引くかがアドバンテージ・ゲームの行方を左右したと言っても過言ではない状況でした。

 ちなみに、当時の「強欲な壺」のテキストには「ひいた後で強欲な壺を破壊する」という謎の記述がありました。当時のルールを鑑みた上でも奇妙なテキストであり、開発側に何らかの混乱があったことが推察できる出来事です。

 個人的な仮説としては、魔法カードではなく罠カードにしてバランスを取ろうとしたことの名残ではないか、と考えています。通常罠カードであれば自分自身を破壊する効果が含まれることにも説明がつき、ゲームバランス的にも引いたターンにすぐ発動できない、とひとまずの調整を図ることができます。

 とはいえ、仮説は仮説であり、真相は闇の中と言えるでしょう。

意外な強カード 『守備』封じ

 「強欲な壺」と比べると小粒ではありますが、「『守備』封じ」というカードも侮れない影響力を持っていました。

・相手のモンスター1体は攻撃表示になる。

 守備表示の相手モンスターを攻撃表示にするカードとなります。現在では流石に強いとは言えない効果ですが、当時は十分に実用に耐えるカードでした。

 理由は二点あります。

 一点目はカード名からすぐに連想できる通り、壁モンスターに対して有効なメタカードとして運用できる点です。

 壁モンスターの代表格である「ハープの精」「ホーリー・エルフ」の攻撃力は800と低く、「アクア・マドール」も攻撃力1200とアタッカーラインを下回ります。

 堅牢な壁モンスターも攻撃表示にしてしまえば無力です。また「地割れ」と違い、裏側表示の壁モンスターに対して通じる点も無視できない強みでした。

 二点目は、同時期に誕生したリバースモンスターに対しても睨みを利かせられるという点です。

 「『守備』封じ」は、守備表示でさえあれば裏側表示のモンスターであっても対象に取ることができます。よって、「光の護封剣」と同様に、セットモンスターを強引にリバースさせて効果を無駄撃ちさせる使い方が可能でした。

 リバースモンスター達が押しなべて低ステータスだったことも追い風で、これらを棒立ちにさせて大きな戦闘ダメージを狙うこともできます。場合によってはこれが引導火力になるケースもあり、ライフが少ない状況ではこのカードの存在を警戒しない訳にはいきませんでした。

 総じて、環境に噛み合った優秀なカードであり、プレイヤーの意識にも影響を与えた存在です。

 ただし、単純に使うだけでは1枚分のディスアドバンテージを負うことになるため、使い方に工夫の要る、やや玄人向けのカードでもありました。

アタッカーもこなせる壁モンスター 岩石の巨兵

 「『守備』封じ」の誕生によって相対的に弱体化を受けた壁モンスターでしたが、彼らにも「岩石の巨兵」という頼もしい新人が現れています。

 守備力は壁モンスター標準の2000ですが、攻撃力も1300と準アタッカー級の打点を持っているのがポイントです。

 壁モンスターとしては画期的なステータスで、通常時は壁モンスター、有利な時はアタッカーとして運用できる優秀なモンスターカードとして活躍しました。

 地属性、つまり覚醒」を装備できるモンスターであることも重要で、この影響下では打点1700と上級ラインに到達できます。この点は非常に大きな強みであり、【装備ビート(属性軸)】にはすぐさま3積みされていきました。

 総じて、リバースモンスターにも引けを取らない、一級品のカードパワーを持ったモンスターであったと言えるでしょう。

 また、この他にも、最上級モンスターである「真紅眼の黒竜」を含む、多数の上級モンスターが誕生した時期でもあります。

 しかし、エキスパートルールが浸透しつつあった当時ではもはや活躍できる環境ではなく、静かに収納ファイルで眠り続けることとなるのでした。

 

【特徴的なカードに関する話】

 前編のリバースモンスターの誕生と合わせて、環境に起こった変化に関しては以上となります。

 ここからは、環境には影響しなかったものの特徴的だったカードについて触れていきます。

遊戯王史上初 ゲームから除外「墓掘りグール」

 まずは「墓掘りグール」という魔法カードです。

・相手墓地から2枚までのモンスターカードを取り除く。これらはそのデュエルではもう使えない。

 遊戯王OCGに「除外」の概念が生まれた瞬間です。このテキストでは分かりにくいですが、これはゲームから除外されたカードを再利用する手段が存在しなかったことから来ています。

 当時墓地を利用するカードは「死者蘇生」しか存在しなかったため、実際のゲームで使用されることはありませんでしたが、新たな概念を生み出したカードとして歴史に名を残すカードの1枚です。

中途半端なステータスとややこしい効果 カードを狩る死神

 次は、「カードを狩る死神」というモンスターカードについてです。

 特徴的だった点は何と言ってもその中途半端なステータスで、攻撃力1380、守備力1930と、まるで別のTCGのカードが紛れ込んできているかのような存在でした。

 ちなみにリバースモンスターの内の1体で、リバース時に罠カード1枚を除去する効果に「似た効果」を持っていました。黎明期特有の不安定な処理を行うカードで、セットカードを確認して魔法カードの場合はそのまま元に戻すなど、ルール的に扱いにくい効果を与えられています。

 とはいえ、当時の実戦級の罠カードは制限カードの「落とし穴」くらいしか存在せず、あまり実用的とは言えない効果です。これ自身が上級モンスターだったことも扱いにくさに拍車をかけ、わざわざデッキに投入されることはほとんどありませんでした。

 しかし、遊戯王OCG屈指の奇妙なステータス・効果を持つ点に注目され、物珍しさからコレクターの蒐集対象になることもしばしばありました。

砂カード サンド・ストーン

 また、やや話が逸れますが、上記とは別方向に奇妙なカードとして、性能があまりにも低すぎることから悪目立ちするカードもありました。

 一例として、「サンド・ストーン」を挙げます。

・星5/地属性/岩石族/攻撃力1300/守備力1600

 以上が「サンド・ストーン」のステータスになります。もちろん、効果モンスターではなく、ただの通常モンスターです。

 召喚に生け贄が必要な上級モンスターにして攻撃力1300、守備力1600と、下級モンスター並のステータスしかありません。

 まさに目を疑うほどの弱さを持つモンスターであり、レベルが2つ下の「岩石の巨兵」の完全下位互換カードとなります。塩カードを通り越して「砂カード」とでも呼ぶべきカードで、ゲームではもちろんトレードにすら使えない、全く活用法を見出せない存在です。

 このような砂カードは「サンド・ストーン」が初出という訳ではなく、これ以前にも類似の砂カードは一定の割合で紛れ込んでいました。実質的にそれらが「ハズレ枠」として生み出されたカード群であることは疑いようもなく、当時の収録カード内容に一定量の水増しが横行していたことは否定できない事実です。

ウルトラレアに輝く謎の左足

 ……では、次のカードもそんな水増しによる産物でしょうか?

・封印された左足。封印を解くと、無限の力を得られる。

 「封印されし者の左足」というモンスターカードのフレーバー・テキストです。攻撃力200、守備力300とステータスも貧弱そのものであり、単体では全く役に立たないカードと言えます。

 しかし、原作漫画を知るプレイヤーにはすぐにその意味が理解できたことでしょう。もっと言えば、実はバンダイ版には既に存在していたカード群でもあります。

 雑多に刷られていく塩カードの裏側で、密かに「とあるデッキ」の誕生までの布石が整えられていく形となっていました。

 

【まとめ】

 さて、前回の記事と合わせて、1999年5月27日に起きた出来事について解説いたしました。

 リバースモンスターの誕生、「強欲な壺」を始めとするパワーカードの誕生により、それらを積んだ【グッドスタッフ】が徐々にデッキパワーを上げていきます。

 対して、【装備ビート】はデッキスロットの関係からリバースモンスターにあまり枠を取れず、また環境に除去カードが一気に増加した影響でモンスターの生存率が下がったため、相対的に無視できない弱体化を受ける形となりました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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