混沌の黒魔術師参戦 【カオス】完全体へ

2018年3月27日

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【前書き】

 【第3期の歴史24 制限改訂2003/7/1 【カオス】への規制、そして全盛期へ】の続きになります。ご注意ください。

 緊急の制限改訂によって「混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)」が制限カードに指定され、当時の環境はひとまず最悪の事態からは脱しました。

 とはいえ、【カオス】の強さは他とは隔絶しており、依然として1強時代を維持しています。「霊滅術師 カイクウ」など、【カオス】に対して有効なメタカードも存在していましたが、そもそも【カオス】がそれを主力のひとつに据えている始末です。

 要するに【カオス】をメタった【カオス】が強いという異様な環境であり、当時のプレイヤーは最良の【カオス】を求めて構築に頭を悩ませていました。

 そんな折、7月のレギュラーパック販売によって大きくカードプールが更新されることになります。

 

【暗黒の侵略者 カオスの更なる強化と先攻1キルの影】

 2003年7月17日、「暗黒の侵略者」が販売されました。新たに56種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1681種類に増加しています。

 非常に多くの優良カードの収録があったことで有名なパックで、現在でも現役を務めるカードも少なくありません。汎用除去として知られる「地砕き」や「強制脱出装置」、儀式サポート最高峰の1枚である「マンジュ・ゴッド」、【水属性】の中核を成す「サルベージ」など、デッキによっては必須カード級の扱いを受けるものもあるほどです。

 他にも、優秀な切り返し性能を持つ「ハイパーハンマーヘッド」や2回攻撃モンスターの基準を作り上げた「不意打ち又佐」、独特な攻撃抑制札にしてコンボパーツにもなる「門前払い」など、唯一無二の特徴を与えられたカードが現れています。また当時【ジャマキャン】で活躍した「ステルスバード」、そしてコンボデッキのお供「自爆スイッチ」といった実戦級カードも含まれており、第3期の基準に照らし合わせても特に豊作のパックと言えるでしょう。

混沌の黒魔術師 混黒ループの脅威

 しかしながら、当パックを象徴するのはそうした優良カードではありません。本当の主役は「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」を始めとする凶悪なループギミック系コンボパーツに他なりませんでした。

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。このカードはフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。

 召喚・特殊召喚に成功した時、任意の魔法カード1枚をサルベージする極めて強力な効果を与えられています。最上級モンスターであり、取り回しはやや悪いものの、召喚制限などは特に設けられていません。多少構築を工夫すれば場に呼び出すこともそれほど難しくはないでしょう。

 ちなみに、このカードの特殊召喚に魔法カードを使用した場合、即座にそのカードを回収して更なる展開につなげることも可能です。最も有名なのは「死者蘇生」で釣り上げるコンボで、墓地に落ちている同名カードを連鎖的に並べていくことができました。

 そして、遂には魔法回収効果を目当てにコンボデッキでキーカードとして多用されるまでになり、【サイエンカタパ】や【混黒1キル】、【ドグマブレード】などの先攻1キルデッキ成立の一因となっています。効果自体は「魔法石の採掘」などと同様ですが、こちらは条件が極めて緩く、かつ再利用も容易(後述)であるなどその利便性は常識の範疇を越えていると言うほかありません。

 現在ではエラッタによってサルベージ効果がエンドフェイズに、かつ1ターンに1度のみ発動されるように弱体化が入っているため、こうしたコンボは成立しなくなっています。しかし、このエラッタが行われるまでは長年に渡って禁止カード指定を受け続けており、現役復帰はまずあり得ないものと考えられていたほどです。

 このように、コンボパーツとしての強さが際立つ「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」ですが、もちろん最上級モンスターに恥じない戦闘能力も持ち合わせています。2800という最上級モンスターとして基本的な打点に加え、自身が戦闘破壊したモンスターを除外する効果は「おまけ」の一言で片付けられるものではありません。

 当時は何と言っても【カオス】の全盛期であり、墓地にモンスターを溜めさせないことは極めて大きな意味を持っていました。また、さりげなくサーチャーやリクルーターの天敵となる効果でもあるため、それらを多用する【トマハン】などには非常に強く出られます。

 もっとも、この時期はその【トマハン】もほぼ息をしていなかったのですが、「クリッター(エラッタ前)」などのサーチャーは【カオス】にも必須カードとして投入されていたため、あって損はない便利な効果です。「霊滅術師 カイクウ」と同じく【カオス】対策にもなる優良アタッカーであり、もちろん【カオス】自身にとっても有力な新人として採用候補に浮上していました。

 さらに、このカードはフィールドを離れる場合に除外される特性を持っています。通常はデメリットとなる効果ですが、状況次第では強みにもなる極めて悪用しやすい効果です。

次元融合 遊戯王最強の帰還カード

 その筆頭は、同時期に現れた「次元融合」による大量帰還戦術でした。

2000ライフポイントを払う。お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する。

 お互いのプレイヤーは、除外されている自身のモンスターを可能な限り特殊召喚「しなければならない」という強烈な帰還効果を与えられています。発動コストは2000ライフと重めですが、得られる膨大なアドバンテージに比べれば些細と言えるリスクです。

 相手にもその恩恵を与えてしまうのがネックですが、使いどころを見極めればそれほど問題にはならないでしょう。非常に高い爆発力を備えた遊戯王屈指のパワーカードであり、第5期に制限カード、第6期に禁止カード指定を下されて以降は一度も現役復帰していません。

 ゲームスピードが加速した現在では遊戯王最強格の極悪カードに成長を遂げているため、今後もこの規制状況が変更されることは恐らくないのではないでしょうか。

 そしてこの「次元融合」を「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」と組み合わせた場合、最大3枚もの魔法カードを同時に回収できる脅威のコンボが成立します。その際、「次元融合」を回収すればライフが続く限り何度でも帰還を狙うことすら可能です。

 ここに「キャノン・ソルジャー」や「ブラック・ホール」などのモンスター除去手段を絡めれば有限ループの成立となります。ライフという限界こそあるものの、2~3回任意の魔法カードを使用できるアドバンテージの前には霞んで見えるデメリットでしょう。

 コンボ達成難易度は上がりますが、「魂吸収」や「魔力倹約術」(当時は未誕生)によってライフ面の問題を解決できれば無限ループに繋げることも不可能ではありません。これを活かしたコンボデッキの総称が【混黒1キル】であり、第5期の2006年末頃に地雷として猛威を振るうことになりました。

 (ちなみに、これこそが【ドグマブレード】の前身であったともされています。)

 では第3期、第4期ではどうだったのか、という話ですが、意外にも活躍の機会は訪れていなかった印象です。【カオス】【サイエンカタパ】の影に隠れていたというのも理由の1つですが、そもそもカードプールの関係で実用レベルの強さではなかったからです。

 そのため、この「次元融合」も長い間規制の手を免れており、カードパワーの高さの割にはそれほど注目されていない状況が続いていました。どちらかというと相互互換カードの「異次元からの帰還」の方が固定ライフ消費がない分扱いやすく、相対的に評価が振るわなかった次第です。

 ただし、決して「次元融合」が使われていなかったわけではなく、むしろ当時の【カオス】においては必須カード級の扱いを受けていました。【カオス】の除外コストにしたモンスターを帰還させることができる上に、その後墓地に送られれば再び除外コストとして活用できるからです。

 もちろん、上記の混黒ループも状況次第では十分に狙っていくことができます。流石に「魂吸収」まで採用されることは稀でしたが、「ブラック・ホール」は自然とデッキに入るカードであり、「苦渋の選択」で一気にパーツを揃えればコンボ成立は目前となるでしょう。

 つまり、これら2枚のカードを獲得したことによって【カオス】はコンボデッキとしての顔すら併せ持つようになり、より一層盤石な地位を築き上げていきました。

光と闇の洗礼 不遇のサポートカード

 「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」専用のサポートカードとして、「光と闇の洗礼」という速攻魔法も現れています。

自分フィールド上の「ブラック・マジシャン」を生け贄に捧げる事で発動する事ができる。自分の手札・墓地・デッキの中から「混沌の黒魔術師.」を1体選択して特殊召喚する。

 除外ゾーン以外のあらゆる場所から「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」を呼び出せるカードです。書いてあること自体は強力なのですが、いかんせんコストに「ブラック・マジシャン」を要求されることが苦しく、わざわざコストを用意するくらいであれば直接「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」を出せば良いという話になってしまいます。

 根本的にアドバンテージを失っていることも評価を落とし、利点はこのカードが速攻魔法であること程度しか残りません。バトルフェイズ中に追撃をかけるなどしてワンショットを狙えなくもありませんが、流石に回りくどすぎることは否めず、当初もほとんど注目を集めることはありませんでした。

 その後、「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」が禁止カード指定を受けてからはいよいよ存在意義を喪失してしまい、長年に渡り「使い道のないカード」としての立場に甘んじることになります。「混沌の黒魔術師.」復帰後の現在は【ブラック・マジシャン】のサポートが増えたこともあって以前よりも遥かに扱いやすくなっていますが、今度は「混沌の黒魔術師.」自体が採用率を落としてしまっているなど、何かと不遇の立ち位置から抜け出せないカードと言えるでしょう。

 

【後編に続く】

 「暗黒の侵略者」に収録されていたカードのうち、主に【カオス】で使われたものについては以上となります。

 何と言っても「混沌の黒魔術師(エラッタ前)」の存在感は凄まじく、当時の環境を大きく動かすほどの影響力を持っていました。次元融合」と合わせて【カオス】のデッキパワーを更に一段引き上げてしまったカードであり、当パックでは文句なしのトップレアです。

 しかし、「暗黒の侵略者」に収録されていた危険なカードはこれだけでは終わりません。考え方によっては上記2枚をも上回る被害を振り撒いたコンボパーツも現れています。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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