2009年上半期の「猫天国」 【レスキューシンクロ】全盛期再び

2019年3月20日

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【前書き】

 【第6期の歴史17 制限改訂2009/3 【シンクロアンデット】解体宣言】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【シンクロアンデット】【SDL】の解体

 言うまでもなく、当改訂で最も致命的なダメージを負ったのは【シンクロアンデット】と【スーパードローライダー】の2大巨頭でした。

 特に【シンクロアンデット】はメインギミックの大部分に規制が入ってしまったため、従来の構築を取ることはもちろん、【アンデット族】としてすら苦しいという段階にまで追い詰められてしまっています。それでもデッキの構築自体が不可能となったわけではありませんが、少なくとも環境レベルで戦っていけるデッキパワーはもはや残っていなかったことは否定できません。

 一方、同じく当時の環境トップにあった【スーパードローライダー】も大幅な衰退を余儀なくされています。

 「ゾンビキャリア」「D-HERO ディアボリックガイ」らに対する規制による継戦能力の半減、「増援」「闇の誘惑」「デステニー・ドロー」の規制による安定性や速度の低下などはやはり相当苦しい話です。単純に初動パーツが減ったことはもちろんですが、特に「増援」に関しては状況によって「終末の騎士」と「ダーク・グレファー」を使い分けられる柔軟性を失ってしまったことが大きく、これに対する規制強化は見た目以上に厳しい弱体化に繋がりました。

 しかし、逆にメインギミックへのダメージは【シンクロアンデット】ほどには深刻ではなかったため、派生構築という形で環境に居場所を見出すことは十分に現実的な話でもあり、【スーパードローライダー】はこれを踏まえて自身の生存を図ることになります。

 

【ダークアンデット】への派生

 意外なことに、この時に【スーパードローライダー】が選んだパートナーは前期環境の最大のライバルであった【シンクロアンデット】でした。制限改訂による弱体化をお互いに補い合った格好であり、これ以降はデッキ名を【ダークアンデット】(※)に改めてメタゲームに躍り出ることになります。

(※デッキ名に【SDL】要素が全く含まれていませんが、この頃には【SDL】ではなく【シンクロダーク】と呼ばれることが多くなっていたため、そちらから名前が取られています)

 ただし、これは言われているほどには【アンデット】要素を含んでおらず、採用されるアンデット族モンスターは「ゾンビキャリア」「馬頭鬼」「ゴブリンゾンビ」の3種類を基本に、そこから+1~2種類前後に収まるのが標準的な構成とされていました。そのため、比重としては【シンクロダーク】寄りのコンセプトに傾いており、前環境で言うところの【SDLアンデ】をスケールダウンさせたようなデッキだったと言えるでしょう。

 もちろん、規制を受けている以上は従来のコンセプトは維持できず、【ダークアンデット】はこれまでのワンキル特化型からビート・コントロール寄りの低速デッキへとシフトする形を取っています。具体的には、墓地に置ける「クリボー」とも言われる「ネクロ・ガードナー」の3積みが前提とされるなど、時間をかけて少しずつゲームをコントロールしていくデッキ(※)に振る舞いを改めた格好です。

(※そのため、最終的には【シンクロダーク】というより【ダークモンスター】に近い構築にシフトしています

 これはこの先の環境トップを務める【レスキューシンクロ】に対しても少なからず有効な戦法であると評価されました。

 なぜなら、【レスキューシンクロ】は展開力や速度、爆発力に長けている反面、ゲームが長引いてしまうと息切れを起こしやすいという弱点を抱えていたからです。

 そのため、「相手の攻撃を防ぎつつ返しのターンにモンスターを処理する」という動きを繰り返しているだけでも自然と有利な状況に持ち込むことができます。この戦い方を支える強みこそが「ネクロ・ガードナー」を「異次元からの埋葬」で使い回すギミックであり、各種除去カードとこれを併用することで盤面のコントロールを狙うのは決して難しいことではありません。

 とはいえ、これは「防御」と「切り返し」をセットで行わなければ十分な効果が期待できず、どちらか片方だけでは先細りの展開に陥ってしまうという弱みにもなり得ます。【ダークアンデット】が最終的に【レスキューシンクロ】に押し負けてしまった理由もこの辺りにあり、総括としては「メタゲームには食い込みつつも最上位陣には一歩及ばなかった」という評価になるのではないでしょうか。

 

【レスキューシンクロ】トップメタへ

 一方、前述の通り【レスキューシンクロ】は制限改訂の影響を受けずに勢いに乗ることに成功し、以降はトップデッキの筆頭として環境に君臨することになります。

 「レスキューキャット(エラッタ前)」「召喚僧サモンプリースト」の準制限カード化、そして「ダーク・アームド・ドラゴン」の制限カード化など、以前の2008年3月2008年9月の頃と比べるとメインギミックが痩せてしまっていますが、それでもアーキタイプそのものの地力の高さが衰えたわけではありません。

 また、アーカナイト・マジシャン」や「ナチュル・ビースト」といった強力なシンクロモンスターを新たに獲得していたという強みもあり、総合的にはむしろ強化されていたのではないかという話もあったほどです。

 特に「アーカナイト・マジシャン」の存在は【レスキューシンクロ】に対して非常に大きな作用をもたらし、間もなく主流構築を【AKB】型に派生させるほどの影響力を発揮しています。その際にスポットライトが当たったのが「墓守の偵察者」「墓守の番兵」などの優秀な【墓守】モンスターであり、現在で言うところの「出張ギミック」として声がかかった形です。

 一方、前環境では主流とされていた「ライオウ」「王宮の弾圧」採用型の【レスキューシンクロ】は徐々に縮小の道を辿り、間もなく自然消滅しています。つまり「メタを張る側」から「強みを押し付ける側」に回ったと言い換えることもでき、この時代が【レスキューシンクロ】の第2の全盛期にあたることは間違いないのではないでしょうか。

 実際、この対策として以降様々なメタデッキが試されていくことになりましたが、結局【レスキューキャット】の牙城を打ち崩すことはできず、まさに「猫天国」とも言える世界が広がっていくことになります。

 

【剣闘獣】再浮上 【猫剣闘獣】など

 他方では、前環境からの続投組でもある【剣闘獣】の躍進も目を引きます。

 「剣闘獣ベストロウリィ」の制限カード化によって打撃を負っていたアーキタイプですが、それでも他の環境デッキと比べても高い地力を持っていたことは間違いありません。実際、インフレ環境と言われていた前期においても【次元剣闘獣】に姿を変えて対応してみせた実績は大きく、引き続きメタデッキとしての活躍が期待されていたとも言えます。

 とはいえ、やはり標準的に「大寒波」が3積みされる環境では流石に苦しいものがあり、これ以降は【剣闘獣】に限らずメタデッキに冬の時代が訪れてしまったことは否定できません。

 そのため、【剣闘獣】再浮上の決め手となったのは「レスキューキャット(エラッタ前)」を取り入れた【猫剣闘獣】の存在だったのではないでしょうか。

 「また猫か」という声が聞こえてきそうな話ですが、実際「レスキューキャット(エラッタ前)」と【剣闘獣】の相性が非常に優れていたことは事実です。

 自壊デメリットは共通効果により実質踏み倒すことができるため、単純に「剣闘獣サムニテ」を2体呼び出すだけでも既にアドバンテージを取っています。さらには「スレイブタイガー」を絡めれば任意の【剣闘獣】モンスターの固有効果を即座に発動できるなど、まさに【剣闘獣】のためにあるようなカードです。

 ただし、この【猫剣闘獣】と呼ばれるデッキが制限改訂直後に完成に至ったわけではありません。この時期の【猫剣闘獣】は上述の通り【剣闘獣】に「レスキューキャット(エラッタ前)」をタッチしたものでしかなく、実質的にはアーキタイプとして成り立っていなかったからです。

 【猫剣闘獣】の研究が進展し始めるのは同年6月~7月頃の話となっており、具体的には「召喚僧サモンプリースト」や「X-セイバー エアベルン」、あるいは「封印の黄金櫃」といった当時の【レスキューシンクロ】ではお馴染みのカード群を取り込み、名前の通り本格的に【猫】への派生が進んでいくことになります。デッキのかなりのスペースを【レスキューシンクロ】のギミックに割いているため、見方によっては逆に【レスキューシンクロ】が【剣闘獣】を取り込んでいたと考えることもできるでしょう。

 その後は本家である【レスキューシンクロ】にも匹敵するほどのシェアを獲得するに至っており、【剣闘獣】の持つポテンシャルの高さを見せつける結果を残しました。

 とはいえ、【猫剣闘獣】もまた実質的には【レスキューシンクロ】の一派に過ぎなかった以上、やはりこの時期の環境が「猫天国」に置かれていた事実が揺らぐことはないのかもしれません。

 

【ライトロード】【BF】ほか

 その他、制限改訂に直接の関係はありませんが、【ライトロード】や【BF】といった既存勢力が相対的に追い風を受けていたことも特筆すべき出来事に数えられます。

 特に【BF】は2009年の世界大会で優勝を果たすほどの大型ルーキーであり、環境のデフレを受けて相対的に勢いを増しています。流石に【レスキューシンクロ】ほどの使用率を叩き出すことこそありませんでしたが、それでもメタ上位と言って差し支えないシェアは持っており、期待の新勢力として名を馳せていくことになりました。

 

【まとめ】

 前記事と合わせて、2009年3月の改訂で起こった大まかな出来事は以上です。

 前期環境を支配していた【シンクロアンデット】【スーパードローライダー】が解体され、代わりに【レスキューシンクロ】が以降のトップメタとして頭角を現しています。その後ろを追うように様々なデッキが試されていくことになりましたが、どこを見ても猫が歩いている「猫天国」環境が崩れることはなく、終始【レスキューシンクロ】優勢の時代が続くことになりました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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