ブラックフェザー全盛期到来 2009年の黒い旋風3積み時代

2019年3月18日

【前書き】

 【第6期の歴史15 遊戯王の歴史 2008年の総括】の続きになります。ご注意ください。

 加速の2008年が終わりを告げ、遊戯王OCGは10度目の新年を迎えることとなりました。年間を通してゲームスピードの高速化が著しく見られた時代であり、これまでの遊戯王OCGの常識を良くも悪くも打ち破るような1年だったのではないでしょうか。

 一方、その対抗馬として【メタビート】系のデッキも頭角を現しており、必ずしも一極化したゲームバランスが成り立っていたわけではないことも窺えます。

 2009年に突入した後もその傾向は変わらず、おおむね前年の流れを引き継いだまま環境が推移していましたが、そこに再びの衝撃が走ったのは2月中旬のことでした。

 

黒い旋風 【BF】最強のサポートカード

 2009年2月14日、レギュラーパック「RAGING BATTLE」が販売されました。新たに80種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは3652種類に増加しています。

 新年初弾となるタイトルにふさわしく、非常にラインナップが充実していたパックです。「禁じられた聖杯」や「ワン・フォー・ワン」を始めとする優秀な汎用カードのほか、【海竜族】最強のサポートカード「深海のディーヴァ」などのパワーカード(※)を輩出したことは出来事として見逃せません。

(※ただし、この時期は【海竜族】自体のカードプールが貧弱だったため、取り立てて注目を受けていたわけではありませんでした)

 他方では、将来的に【植物リンク】で脚光を浴びる「イービル・ソーン」「フェニキシアン・クラスター・アマリリス」といったカードもこの時に参入を決めています。特に後者は先攻1キルギミックに悪用されたことで一気に禁止カードにもなったほどの不発地雷系カードです。

 とはいえ、当パックがもたらした最大の出来事は【BF】カテゴリの大幅強化に他ならなかったのではないでしょうか。

自分フィールド上に「BF」と名のついたモンスターが召喚された時、自分のデッキからそのモンスターの攻撃力より低い攻撃力を持つ「BF」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 上記は【BF】における最強のサポートカード、「黒い旋風」の当時のテキストとなっています。【BF】モンスターの召喚に成功するたびに、その攻撃力未満の攻撃力を持つ【BF】モンスターをサーチする効果を持った永続魔法カードです。

 平たく言えば疑似的に全ての【BF】モンスターを【ガジェット】に変えてしまうようなカードであり、その有用性についてはもはや語るまでもないでしょう。なおかつ、「BF-疾風のゲイル」の例にもあるように【BF】モンスター自体が攻撃的な性質を持っているため、【ガジェット】と違い魔法・罠に頼ることなく戦闘面で優位に立てる強みを備えていました。

 特に当パックで同時に現れていた「BF-蒼炎のシュラ」や「BF-月影のカルート」といった面々の働きが大きく、当時の【BF】はこの3枚によってトーナメントクラスのデッキに成長を遂げたと言っても過言ではありません。それ以外にも「BF-極北のブリザード」といったシンクロ召喚ギミックの脇を固めるサポートの存在もあり、やがては2009年を代表するトップデッキにまでのし上がっていくことになります。

 

初代【BF】環境入り 2009年世界大会の王者

 上述の通り、「黒い旋風」を筆頭とする強力なサポートカードを多数獲得した【BF】は間もなく環境デッキとして頭角を現し、メタの一角として存在感を示していくことになります。

 とはいえ、【BF】の全盛期がこの直後からいきなり始まったわけではありません。なぜなら、【BF】は高い安定性と爆発力を兼ね備える一方、ゲーム最序盤の動き出しの速度は一般的な主流デッキの範疇を出ず、【シンクロアンデット】【スーパードローライダー】の圧倒的な速さには付いていくことができなかったからです。

 そのため、【BF】が本格的にメタゲームに参入を決めるのはこれらが解体される2009年3月環境での話となります。その後は間もなくメタ上位に名を連ね、【レスキューシンクロ】には及ばないものの主流デッキの一角として実績を残していきました。

 また、この頃より【BF】対策を兼ねた汎用カード枠として月の書」の評価が急上昇していたことも特筆すべき出来事に数えられます。

 元々汎用性に富んだパワーカードと言われていた疑似除去札ではありますが、「黒い旋風」のサーチを不発にさせつつ「BF-黒槍のブラスト」「BF-疾風のゲイル」らの展開を止められるといった利点は特に大きく、「奈落の落とし穴」とともに環境の準必須カードと考えられるまでになりました。

 その他、仮想敵の【レスキューシンクロ】ではBF-蒼炎のシュラ」を受け流せる「墓守の偵察者」「墓守の番兵」が採用候補に挙がるようになる(※)など、【BF】の流行を受けて起こった環境推移は少なくありません。

(※ただし、これは【AKB】との複合も兼ねた話だったため、【BF】のみを見たカード選択だったわけではありません)

 しかし、「BF-大旆のヴァーユ」の参入以降は「黒い旋風」に頼らない【墓地BF】と呼ばれる型も考案されており、【BF】は勢力としての厚みを徐々に増していっています。それでも結果としてはやはり【レスキューシンクロ】には勝てなかったというのが現実なのですが、一方で2009年の世界大会では優勝の栄光に輝くといった大きな実績も残しており、この時代が【BF】の全盛期の一つにあたることは間違いないと言えるでしょう。

 その後は2009年9月の改訂で「BF-疾風のゲイル」が制限カードに指定されたことで少なからず勢いを落とし、環境トップからは一時的に後退を余儀なくされています。ライバルであった【レスキューシンクロ】も大打撃を負っていましたが、今度は入れ替わるように台頭してきた【ライトロード】の勢いに押し切られてしまうなど、外面の実績の華々しさに反して意外にも苦しい状況が続いていたアーキタイプでもありました。

 しかし、そうした逆風の中でもメタの一角として環境に居場所を見出していたことは間違いなく、この時をもって【BF】の現役時代が終わりを迎えたわけではありません。

 というより、【BF】の全盛期は2009年どころか2010年以降、つまり第7期に入った後まで続いているため、ここで全てを語り切るのは難しいというのが正直なところです。

 そのため、【BF】に関しての話は一旦ここで一区切りとし、これ以降の解説は後々の記事に回すことといたします。

 

【まとめ】

 2009年当時の【BF】についての話は以上です。

 2008年末にカテゴリが成立したばかりの頃は「BF-疾風のゲイル」だけが一人歩きしているような状況でしたが、年明け後に「黒い旋風」を始めとする有力サポートを獲得したことで大きく躍進を遂げ、やがては環境デッキの一角として名を馳せるまでになりました。

 しかし、【BF】の全盛期は2009年だけで終わることはなく、むしろ相対的には2010年以降の環境での活躍の方がより顕著だったとも言えます。特に2010年3月2010年9月環境では完全体の【インフェルニティ】とも対等に渡り合っていたほどであり、カテゴリとしての地力の高さは遊戯王OCGでも随一です。

 いずれにしても、この時期の【BF】が非常に息の長いカテゴリであったことは間違いなく、その意味では他の第6期環境のどのトップデッキよりも存在感を示していたアーキタイプだったと言えるのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。