「光の援軍」の来日 【ライトロード】をトップメタに押し上げたカード

2019年3月27日

【前書き】

 【第6期の歴史22 【レスキューシンクロ】大幅衰退 ワンキル環境の一時沈静化】の続きになります。ご注意ください。

 制限改訂によって【レスキューシンクロ】系列デッキが大幅に弱体化し、遂にメタゲームから姿を消すことになりました。第6期環境では長らく上位にあり続けたアーキタイプの衰退は非常に大きな出来事であり、以降は最大勢力を欠いた状態でメタが推移していっています。

 第6期も残り半年となる9月中旬、当時の環境を大きく揺るがす「海外からの刺客」が来日を決めることになります。

 

光の援軍 第6期最強の壊れサーチ

 2009年9月19日、「EXTRA PACK Volume 2」が販売されました。新たに40種類のカードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは3952種類に増加しています。

 前弾と同様、総数は少ないながら全体的にカードパワーが高めのカードの収録が多かったパックです。特に、【ライトロード】のみならず汎用アタッカーとしても使われた「ライトロード・モンク エイリン」や、【剣闘獣】におけるメインから積める墓地対策「剣闘獣レティアリィ」、また「狡猾ピン理論」を生み出した「狡猾な落とし穴」など、トーナメントレベルで採用実績を残した有力カードも少なくありません。

 変わったところでは、海外環境で【魚シンクロ】の中核として名を馳せた「竜宮の白タウナギ」も有名どころに数えられます。これ自体は制約付きのチューナーに過ぎませんが、「超古深海王シーラカンス」からこれを呼び出して「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」でワンキルを決めるコンボが流行していたため、2009年9月改訂の情報が出るまでは国内でも密かにマークされていたカードです。

 とはいえ、そんな粒揃いの面々の中でも一際注目を受けていたのは「光の援軍」だったのではないでしょうか。

自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動する。自分のデッキからレベル4以下の「ライトロード」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

 一目見て何かがおかしいと分かるほど強力なサーチカードであり、実際のところ間違いなく何かがおかしいカードです。元々は海外先行カードとして1年ほど前に誕生していた【ライトロード】のサポートカードですが、その強さは単なる専用サポートの枠組みに収まるものではありません。

 具体的には、光の援軍」から【ライトロード】モンスターをサーチして殴るというだけでも疑似的な「カードガンナー」のように機能するため、これらをセットで出張するだけで墓地肥やしを兼ねた汎用アタッカーのように振る舞わせることができます。なおかつ、【ライトロード】には「ライトロード・ハンター ライコウ(エラッタ前)」「ライトロード・マジシャン ライラ」など単独でも強さを発揮するカードが豊富に存在していたため、それらを使い分けられるという意味では「カードガンナー」以上に有用な墓地肥やし系ギミックであると言っても過言ではないでしょう。

 もちろん、本場である【ライトロード】の視点ではそれ以上に強力なサポートとなることは言うまでもなく、第6期当時はおろか現在ですら3積み確定クラスのパワーカード(※)と考えられているほどです。

(※実際、これが無制限カードに釈放されたのも2016年10月とかなり最近の話です)

 逆に言えば、「光の援軍」は第6期に現れておきながら第9期のインフレにも見劣りしないカードパワーを持っていたということでもあり、「ソーラー・エクスチェンジ」と同様に3世代は時代を先取りしていたカードだったのではないでしょうか。

 

【ライトロード】全盛期到来 第6期後期環境の支配者

 当然のことながら、「光の援軍」を得た当時の【ライトロード】は環境デッキとして大きく躍進を遂げました。

 これまでの【ライトロード】の課題であった「最序盤の速度不足」「中盤以降の攻め手不足」といった問題がこれ1枚でほぼ解消されてしまったため、デッキパワーが確実に一回りは上昇しています。実際にこれ以降の環境では【ライトロード】が一気にトップメタに躍り出ており、【レスキューシンクロ】の後釜に収まろうとしていた【剣闘獣】や【旋風BF】などの勢力を文字通り跳ね飛ばしてしまった形です。

 ただし、【ライトロード】も墓地利用デッキの一種である以上、各種墓地メタカードが刺さるという弱点から逃れることはできません。そのため、最大勢力ではありつつも環境を一色に染めてしまうほどの支配力はなく、このメタデッキとして【次元エアトス】や【次元剣闘獣】などが試されていくことになりました。

 一方で、逆にこれらの墓地メタが刺さらないという強みによって環境に居場所を見出した勢力も存在します。その筆頭が「王宮の弾圧」搭載型【旋風BF】であり、【ライトロード】を意識しつつも主流デッキとして振る舞うことを意図した構成です。

 しかし、こうした様々な対策を踏まえた上で、なお【ライトロード】優勢の時代が揺らぐことはありませんでした。

 というのも、【ライトロード】は「ライトロード・マジシャン ライラ」「ライトロード・ハンター ライコウ(エラッタ前)」の2枚看板によってメインから安定してメタカードに対処することができたため、次元の裂け目」1枚程度では止まらないケースがほとんどだったからです。

 確実に止めるためには「スキルドレイン」との併用が前提となりますが、この2枚を毎ゲーム揃えることに期待するのは現実的とは言えません。そのため、当時の対【ライトロード】戦ではメタカードを張ることは大前提として、「それを守るためのカード」を「相手の引いた除去カード」以上の枚数確保しなければならず、【メタビート】側にとってはとにかく戦いにくい相手と言われていました。

 こうした背景もあり、本来はあまり良いとは言えないメタカードの複数枚引きが逆に歓迎されるようになるという、一見するとよく分からない考え方が浸透していっています。

 具体的には、次元の裂け目」を2枚同時に張るというCPUのようなプレイングがむしろ正しいとされるなど、従来の【メタビート】では考えられないような定石が生まれていくことになりました。

 

派生デッキ【ライロアンデット】の台頭

 他方では、こうした【ライトロード】全盛期の流れに上手く便乗した【アンデット族】の跳躍も見過ごすことはできません。

 2009年9月の改訂で「馬頭鬼」が準制限カードに規制緩和されたことを受けての前進であり、ここに【ライトロード】を取り入れて【ライロアンデット】としてメタ上位に食い込んできています。【ライトロード】の墓地肥やし能力をより直接的なアドバンテージに変換することを狙った構成であり、純構築とはコンセプトの軸がややズレているのが特徴です。

 そのため、本来はリスクとの兼ね合いから悪手とされる「墓地肥やしに期待した動き」を取り入れやすく、先攻スタートでも能動的に動いていけるという独自の強みを持っていました。

 例えば、マッチ1戦目の先攻1ターン目に下記のような初手を握っているケースのことを考えます。

光の援軍
死者転生
ライトロード・パラディン ジェイン
ライトロード・ビースト ウォルフ
ライトロード・エンジェル ケルビム
ネクロ・ガードナー

 さらに、ここから「光の援軍」を発動したところ、そのコストとして「ライトロード・サモナー ルミナス」1枚と適当なカード2枚が墓地に落ちたと仮定します。

 この場合、純構築ではおおよそ以下の3通りのプレイングが最も無難な選択肢となるでしょう。

 

①:「次元の裂け目」などのメタカードをケアして「ライトロード・マジシャン ライラ」をサーチし、そのまま何もせずにエンド

 

②:①の動きに加え、「ライトロード・パラディン ジェイン」を召喚しておく

 

③:①もしくは②の動きに加え、ワンキルをケアして「死者転生」で「ライトロード・サモナー ルミナス」と「ネクロ・ガードナー」を交換しておく

 

 これに加え、場合によっては「ライトロード・サモナー ルミナス」と「ライトロード・パラディン ジェイン」を並べて積極的に墓地肥やしを狙うのも悪くはありませんが、リスクの割に得られるメリットが少なく、推奨されるプレイングではありません。上記の初手はどちらかと言うと受け身的な内容であり、ハンド・アドバンテージを失ってまで墓地肥やしを急ぐ理由がないからです。

 しかし、【ライロアンデット】の場合はライトロード・マジシャン ライラ」ではなく2枚目の「ライトロード・サモナー ルミナス」をサーチし、さらに「ライトロード・サモナー ルミナス」2体と「ライトロード・パラディン ジェイン」を一気に横展開してしまうという選択肢が浮上します。

 これはもちろん純構築ではほとんどギャンブルに近い乱暴なプレイングですが、【ライロアンデット】の場合は墓地に落ちた「馬頭鬼」「ゾンビキャリア」などがそのままアドバンテージとなるため、外見ほどリスキーなプレイングにはなりません。むしろ「死者転生」の選択肢を増やすという意味では非常に有効な一手であり、序盤の墓地肥やしをほぼ完遂した上で早期決着をも見据えるという一挙両得のプレイングが成り立つのです。

 さらに、属性面のシナジーから「カオス・ソーサラー」を標準搭載できるほか、純構築では後半不要となる墓地肥やし効果も最後まで活用しやすいなど、【ライトロード】というカテゴリの特性をこれ以上なく活かしたアーキタイプだったと言えるでしょう。実際、上手く回った時の爆発力は間違いなく【ライロアンデット】が上であり、総合的なデッキパワーもこちらが高いという意見が多数派でした。

 とはいえ、【ライロアンデット】はその構造上、純構築以上に墓地メタが刺さるという致命的な欠点を常に抱えていたことは確かです。

 つまり当時のメタの流れにはあまり噛み合っておらず、結果「強いことは間違いないが意外に勝てないデッキ」と言われていました。もちろん、上述の通り【ライトロード】自体にメタデッキ耐性があったことも間違いありませんでしたが、やはり全体の割合としては純構築の【ライトロード】が最も大きな勢力だったというのが現実です。

 とはいえ、そもそも【ライロアンデット】もまた【ライトロード】の派生デッキの一種にあたる以上、外から見れば一番手と二番手が両方とも【ライトロード】だったようなものであり、当時のメタゲームが【ライトロード】によって支配されていたことには変わりなかったのではないでしょうか。

 

【まとめ】

 2009年下半期の【ライトロード】については以上です。

 「光の援軍」というオーバーパワーなサーチカードを獲得したことで一躍トップメタに急浮上を果たし、そのまま第6期終盤まで走り抜けるという偉業を達成しています。2008年から始まった【ライトロード】の歴史の中でも最も輝いていた時代であり、この時代こそが【ライトロード】最大の全盛期だったことは間違いないのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。