カードガンナー逆風の時代 パワーカードなのに目立たなかった頃

2018年11月16日

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【前書き】

 【第5期の歴史9 冥府の使者ゴーズ参戦 第5期最強クラスの万能フィニッシャー】の続きになります。ご注意ください。

 遊戯王OCGに「ゴーズケア」の概念を根付かせた「冥府の使者ゴーズ」の台頭は、第5期環境のゲームバランスを大きく変化させました。見方によっては「E・HERO エアーマン」以上に環境を動かしたカードで、この参入以前と以降では全く別の世界が広がっていたと言っても過言ではありません。

 急激なインフレの発生にプレイヤーが悲鳴を上げる最中、その流れに更なる波乱をもたらすカード群が参入します。

 

規制4枚 少数精鋭パック

 2006年10月26日、3種類のデュエリストパックが同日に販売されました。それぞれ「十代編2」「ヘルカイザー編」「エド編」となっており、新規カードは各種5枚、合計で15枚の収録です。遊戯王OCG全体のカードプールは2551種類に増加しています。

 パワーカードの新規収録が多かったパックとして有名で、なんと15枚中4枚のカードが規制を経験しています。十代編からは「カードガンナー」「異次元からの埋葬」の2枚、エド編からは「D-HERO ディアボリックガイ」「デステニー・ドロー」の2枚となっており、いずれも何らかの形で環境に影響を及ぼした面々です。

 新カードが不作だったヘルカイザー編も再録内容に関しては豪華であり、特に「サイバー・ドラゴン」関連カードの入手難易度が下がったことは多くのプレイヤーに喜ばれたのではないでしょうか。

 

カードガンナー アドを失わないアタッカー

 上記4枚のうち、単体で有用なカードとして注目を集めたのは「カードガンナー」でした。

自分のデッキのカードを上から3枚まで墓地へ送る事ができる。墓地へ送ったカード1枚につき、このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで500ポイントアップする。この効果は1ターンに1度しか使用できない。自分フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 デッキトップを3枚まで落として一時的な自己強化を行う効果、フィールドで破壊され墓地へ送られた場合に1ドローを行う効果の2種類の能力を持っています。どちらも小さくまとまった効果、言い換えれば片方だけでは物足りない性能ですが、この2つを同時に有していることが「カードガンナー」の強みであると言えるでしょう。

 自己強化は最大で1500のパンプアップとなるため、素の攻撃力400と合わせて1900ラインにまで手が届きます。これはアタッカーとしての役割が十分に期待できる打点であり、特に当時幅を利かせていた「E・HERO エアーマン」などの準アタッカーを討ち取れる魅力は侮れません。

 一方、発動コストのランダム墓地肥やし能力は当時のカードプールではあまりメリットにはなりませんでしたが、将来的にはこちらも高い評価を受けるに至ります。最終的にはコストと効果の価値が逆転し、「墓地を肥やすついでにパンプがついてくる」とまで言われるようになったほどです。

 ただし、この自己強化はターン終了時までしか持続せず、相手ターンでは低攻撃力を晒してしまう欠点も存在します。その場合、このカードで稼いだアドバンテージは実質帳消しとなってしまい、戦闘ダメージの分だけ損な取引をしていることにもなりかねません。

 それをカバーするのが2つ目のドロー効果で、これによって戦闘破壊された時のディスアドバンテージを相殺できるのは非常に大きな魅力です。

 「破壊され」「墓地へ送られる」と2つの条件が存在しますが、当時は破壊以外の除去は少なかったため、安定してドロー効果を発動することができました。そもそも除去を撃たれた場合もカード1枚を使わせているため、むしろ得をしていると考えることもできるでしょう。

 これらを総括すると、この「カードガンナー」というモンスターは「墓地を肥やしつつ使い切りのアタッカーとなり、最後には1ドローに変換される」という破格の性能を備えていることが見えてきます。第5期当時の水準としては間違いなく環境屈指のパワーカードであり、実際に1年後の制限改訂では無制限から一気に制限カード指定を下されたほどです。

 しかし、やや意外なことですが、実は「カードガンナー」は誕生直後のこの時点ではあまり使われていなかったカードでもあります。

 確かに弱いカードではなく、むしろパワーカードに分類すべき強力なモンスターなのですが、いかんせん当時は環境のインフレが著しく、「カードガンナー」ですら力不足を起こしていたことは否めません。

 当時の下級モンスター枠は「E・HERO エアーマン」、そしてそれに強い「死霊騎士デスカリバー・ナイト」「サイバー・ドラゴン」らの独占状態となっており、それらを押しのけてまで「カードガンナー」を採用する余地がなかったことが主な理由と言えるでしょう。実際に【サイカリエアゴーズ】への採用実績もほぼ見られず、精々【未来オーバー】などで細々と使われていた程度です。

 以前の「スナイプストーカー」の例にもあったように、こうしたパワーカードですら逆風の立ち位置に置かれていたという辺りに、当時の環境におけるインフレの激しさが現れていたのかもしれません。

 

風評被害 カーガン理論

 その他、「カードガンナー」にまつわる一部界隈で知られる話として、いわゆる「カーガン理論」に関連した曰くつきのエピソードも存在します。

 そのきっかけとなったのは、「先攻1ターン目のカーガン召喚は悪手である」という理論です。

 結論を先に申し上げると、これは正解の一つと言っていいプレイングなのですが、残念なことに一部の場所では逆にこれが「あり得ないプレイング」として槍玉に挙げられるという事件が起こってしまいました。

 上記の通り、「カードガンナー」の最も美味しい使い方は「墓地を肥やしつつ相手モンスターを戦闘破壊、もしくは除去を切らせる」ことです。このうち、墓地肥やしに関しては先出し、後出しの両方で(ほぼ)同じ結果が得られますが、後者のメリットは基本的に後出しのパターンでしか獲得できないことが分かります。

 一方、先出しのメリットは「今すぐに墓地を肥やせること」「墓地肥やし効果を2回発動できる可能性があること」の2つです。しかし、前者はそのターン中にアクションを起こさないのであればあえて行う必要性は薄く、後者は次の自分ターンまで「カードガンナー」が生き残らなければ達成できません。

 よってこれは「カードガンナー」をバックで守ること、もしくは次ターンに蘇生で使い回すことを前提としたプレイングであり、安易に棒立ちにさせてしまうのは非常に勿体ない使い方です。

 (もちろん、ドロー効果によりディスアドバンテージは相殺できますが、得られるはずのメリットを捨てているという意味では損をしています)

 これらを分かりやすくまとめると下記の通りとなります。

  メリット デメリット
先出し 墓地肥やしを2回行える可能性がある
今すぐに墓地を肥やせる
返しのターンに生存していない場合、1:1交換となる
後出し 高確率で1:2交換が狙える 墓地肥やしを1回しか行えない
カウンターを踏む危険がある

 こうして見るとどちらにもメリット、デメリットがあり、つまりは「両方が正解」であるということが分かります。

 (その一方で、カーガン棒立ちエンドは大抵の場合デメリットしか踏まないため、可能な限り避けるべきプレイングであるという事実も見えてきます)

 しかし、現実として「カーガン理論」に絡んだ騒動が巻き起こってしまったことは確かです。これについては「カードガンナー」の持つ高すぎるカードパワーが招いてしまったことだったとも言えるでしょう。

 これまでの解説にある通り、「カードガンナー」というカードは根本的に損をしようがない構造の能力を持っています。代表的な悪手とされるカーガン棒立ちエンドどころか、時には「カーガンセット」ですら1:1交換以上が成立するほどであり、非効率な使い方であっても有効に働いてしまうことがほとんどなのです。

 つまり、「雑に使っても強い」≒「雑な使い方が正しい」という誤解が生じやすかったことが、こうした騒動の引き金になってしまったのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 「カードガンナー」についての話は以上です。

 高いカードパワーを持ちながら、それ以上に強力なカードが蔓延する当時の環境では真価を発揮できず、しばらくは伸び悩む時期が続いています。その一方で、ひとたび有用性が見出されてからの躍進は著しく、結果として直後の改訂で厳しい規制を受けることになる遅咲きのカードでもありました。

 そんな「カードガンナー」を輩出した当デュエリストパックでしたが、最初に述べた通りここに収録されていたパワーカードは「カードガンナー」だけではありません。インフレ環境の当時においてすらメタゲームに影響を及ぼした、即戦力となる新人も含まれていたのです。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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