制限改訂2011/3 【旋風BF】年貢の納め時

2019年7月1日

【前書き】

 【第7期の歴史10 【TG】(テックジーナス)全盛期到来 出張セットとしての流行】の続きになります。ご注意ください。

 「TG ストライカー」を筆頭とする【TG】モンスターの参戦により、これを軸にした出張ギミックがにわかに流行の気配を覗かせることになりました。この時点では【植物シンクロ】などの陰に隠れている状況にありましたが、やがては【TG代行天使】の例に代表されるようにメタゲームを席巻することになる強力な出張ギミックです。

 次世代の出張ギミックの誕生によって少なからず環境が動く中、続く3月の制限改訂で更なる変動が引き起こされることになります。

 

制限改訂 2011年3月1日

 2011年3月1日、遊戯王OCGにおいて29回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の50枚です。

ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前) 制限
大寒波 制限
マスドライバー 無制限
イレカエル
ヴィクトリー・ドラゴン
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
キラー・スネーク(エラッタ前)
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サイバーポッド
サウザンド・アイズ・サクリファイス
処刑人-マキュラ
聖なる魔術師
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)
月読命
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)
デビル・フランケン
同族感染ウィルス
ファイバーポッド
魔導サイエンティスト
八汰烏
レスキューキャット(エラッタ前)
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿(エラッタ前)
押収
大嵐
苦渋の選択
強引な番兵
強奪
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
次元融合
生還の宝札
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)
蝶の短剣-エルマ
天使の施し
ハーピィの羽根帚
早すぎた埋葬
突然変異
遺言状
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
第六感
刻の封印
破壊輪(エラッタ前)
ラストバトル!

 

 制限カードに指定されたカードは以下の66枚です。

オネスト
ダンディライオン
BF-月影のカルート 無制限
月の書 無制限
六武の門 無制限
E・HERO エアーマン
剣闘獣ベストロウリィ
クリッター(エラッタ前)
召喚僧サモンプリースト
ゾンビキャリア
ダーク・アームド・ドラゴン
トラゴエディア
深淵の暗殺者
N・グラン・モール
ネクロ・ガードナー
ネクロフェイス
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
BF-疾風のゲイル
マシュマロン
冥府の使者ゴーズ
馬頭鬼
メタモルポット
メンタルマスター
ライトロード・サモナー ルミナス
異次元からの埋葬
インフェルニティガン
おろかな埋葬
緊急テレポート
黒い旋風
高等儀式術
死者蘇生
スケープ・ゴート
精神操作
増援
デステニー・ドロー
手札抹殺
ハリケーン
光の援軍
光の護封剣
ブラック・ホール
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
名推理
モンスターゲート
闇の誘惑
リミッター解除
レベル制限B地区
ワン・フォー・ワン
異次元からの帰還
王宮の弾圧
神の宣告
グラヴィティ・バインド-超重力の網-
激流葬
聖なるバリア -ミラーフォース-
ダスト・シュート
停戦協定
転生の予言
光の護封壁
マインドクラッシュ
マジカル・エクスプロージョン
リビングデッドの呼び声

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の18枚です。

カードガンナー 制限
大天使クリスティア 無制限
魂を削る死霊 制限
デブリ・ドラゴン 無制限
王家の生け贄 無制限
オーバーロード・フュージョン 制限
巨大化 制限
神の警告 無制限
ゴッドバードアタック 無制限
裁きの龍
D-HERO ディアボリックガイ
ローンファイア・ブロッサム
サイクロン
連鎖爆撃
魔法石の採掘
おジャマトリオ
奈落の落とし穴
魔法の筒

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の7枚です。

カオス・ソーサラー
終焉の王デミス
スナイプストーカー
氷結界の虎王ドゥローレン
封印の黄金櫃
スキルドレイン
血の代償

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動24枚、うち規制強化が13枚、規制緩和が11枚となっており、基本的に規制強化が優先されがちな制限改訂としては珍しいバランス改訂です。

 また、全体の傾向として制限、準制限の間での行き来が多く見られた改訂でもあり、一部の例外を除けば比較的緩やかなカードプール調整が取られていたと言えるでしょう。

 

ゴヨウガーディアンへの規制

 「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」が禁止カード指定を受けています。

 2008年に現れて以来、3年弱に渡って環境の最前線にあり続けた凶悪なシンクロモンスターであり、この現役時代においては「攻撃力2800以下の大型モンスターは信頼できない」という価値観すら生み出していました。なおかつ、当時の6シンクロの中では飛び抜けたカードパワーを誇っていたため、他の多くの6シンクロの居場所を奪っていたカードでもあります。

 結局、こうした不健全な状況が改善に向かう気配は全くなく、結果として遂に禁止カード行きを宣告されたというのが大まかな事の経緯と言えるでしょう。その後は一度も現役復帰しておらず(※)、最終的にはエラッタによって完全消滅を迎えるという結末を辿っています。

(※ただし、エラッタ後のものは無制限カードに完全釈放されています)

 これにより、今後は「大地の騎士ガイアナイト」などの他の6シンクロにも少なからず採用の余地が生まれており、シンクロ召喚の実装から3年かけてようやく6シンクロ界隈にも光が差した格好です。

 

【旋風BF】への規制

 当時のトップデッキであった【旋風BF】への規制として、「BF-月影のカルート」が制限カードに、「ゴッドバードアタック」が準制限カードに、それぞれ規制強化されています。

 いずれも当時の【旋風BF】では3積み確定クラスと言われていた重要カードであり、これらに同時に規制が入ったことは非常に厳しいダメージでした。前改訂の2010年9月に「黒い旋風」が制限カード化されていたことも重なり、とうとう環境上位からは転落を余儀なくされた形です。

 とはいえ、この瞬間をもって完全にメタゲームから姿を消したというわけではなく、これ以降も引き続き環境の一角に立ち位置をキープすることに成功しています。元々この時期の【旋風BF】は妨害カードをふんだんに搭載した【メタビート】的なコンセプトにシフトしていたため、単純なデッキパワーの低下は大ダメージではあっても致命傷ではなかったからです。

 しかし、逆に言えばこれまでのように主流デッキとして「強みを押し付ける側」に回ることはできなくなったということでもあり、時間経過とともに徐々に勢力が縮小に向かうのは避けられないことでした。

【墓地BF】の意外な復権

 一方、こうして勢いを落としていった【旋風BF】とは逆に、【墓地BF】はメタデッキの一角として意外な復権を果たしています。

 「BF-月影のカルート」の制限カード指定の影響を受けずに済んだこと、そして相性の良い「カードガンナー」が準制限復帰を迎えたことなど、複数の追い風が重なったことによる結果です。

 また、これ以降は伏せ環境が到来することもあって「ゴッドバードアタック」の2:3交換が以前よりも狙いやすくなったこと、さらには「魔のデッキ破壊ウイルス」を採用可能といった固有の強みが環境的に優位に働いていた側面もあります。

 いずれにしても、この改訂を機に【墓地BF】が環境上位に浮上を遂げたことは間違いなく、デッキパワー面の不利を補って粘り強く戦える【メタビート】系の筆頭デッキとして名を馳せていくことになりました。

 

【六武衆】への規制

 【旋風BF】と同じく、当時のトップデッキの筆頭であった【六武衆】への規制として、「六武の門」が無制限カードから一気に制限カード行きとなっています。

 単純なカードパワーもさることながら、「真六武衆-キザン」などの【真六武衆】とは抜群のシナジーを形成していたカードであり、単刀直入に言ってこのカードの存在は明らかにゲームバランスを劣悪化させていました。六武の門」によるループが成立した瞬間に高確率でワンキルが決まってしまう以上、環境全体が【六武衆】のワンキル対策を取らざるを得ず、それができないデッキはメタゲームからの淘汰を避けられない状況にあったからです。

 もちろん、こうしたOCG環境が不健全であることは言うまでもなく、その結果【六武衆】はその台頭から僅か3ヶ月半という短い期間で最大のキーカードを欠いてしまうことになります。

 しかし、元々【六武衆】は「真六武衆-シエン」を軸にした高いコントロール能力を持つデッキでもあったため、六武の門」を失っただけでは勢いを落とすことはありませんでした。そもそも多少弱体化したとはいえ当時の基準では依然トップクラスのデッキパワーを維持しており、これ以降も順当に環境トップに君臨し続けるアーキタイプです。

 

【デブリダンディ】への規制

 上記2デッキには若干及ばないものの、前期環境でメタ上位にあり続けた【デブリダンディ】への規制として、「ダンディライオン」が制限カードに、「デブリ・ドラゴン」が準制限カードに、それぞれ規制強化されています。

 元々は【シンクロン】系、それも【クイックダンディ】を基盤として成立したアーキタイプですが、単純なデッキパワーの高さ、またメタゲーム的な事情も関係し、当時のシンクロデッキ界隈においては一大勢力に成長していました。加えて、そもそも「ダンディライオン」や「デブリ・ドラゴン」自体がパワーカード扱いを受けていたという背景もあり、【デブリダンディ】を意識しつつシンクロデッキ全般に対して様子見を入れる意図があったと思われる改訂です。

 しかし、この時の規制は【デブリダンディ】はともかくシンクロ界隈にとってはそれほど大きな痛手にはなっておらず、本当に様子見で終わってしまった面があったことは否めません。

 というのも、「ダンディライオン」は【植物シンクロ】ギミックを支えるパーツである反面、ローンファイア・ブロッサム」からのリクルートに対応しているカードでもあり、ピン挿しであっても十分に機能するカードだったからです。

 一方、デブリ・ドラゴン」は【ジャンクドッペル】の流行に伴い役割を「ジャンク・シンクロン」に譲りつつあり、こちらも準制限カード指定を受けたところでさほどダメージはありませんでした。もちろん、これ以降のシンクロデッキでも引き続きパワーカードとして使われていくことに変わりはありませんが、デッキコンセプトの柱を務めるほどの存在ではなくなっていたことは確かです。

 いずれにしても、3月以降の環境でもシンクロ界隈の勢いが衰えることはなく、実質的には前期環境とほぼ変わりない形で続投を決めることになります。

 

【代行天使】への規制

 前年末に現れた新勢力である【代行天使】への規制として、「オネスト」が制限カードに、「大天使クリスティア」が準制限カードに、それぞれ規制強化されています。

 2枚とも直接的なカテゴリサポートではありませんが、これらは当時の【代行天使】では必須カードと考えられていたカードであり、多くの場合複数枚の投入が前提となっていました。特に「オネスト」は【代行天使】の戦闘面をこれ1枚で支えていたと言っても過言ではなく、下級モンスターにも迂闊に殴りかかれないという強烈な抑止効果を生み出していたパワーカードです。

 また、【代行天使】のみならず【ライトロード】などでも長年使われ続けていたという実績もあり、結果として制限カード指定という厳しい決定に向かったと言えるでしょう。

 とはいえ、アーキタイプ全体で見ればそれほど目立った被害ではなく、むしろライバルが減ったことを受けて間もなく主流デッキの一角に名乗りを上げることになります。

 

一部のパワーカードへの規制・緩和

 「大寒波」の禁止カード化を筆頭に、環境で猛威を振るっていた一部のパワーカードに対して規制強化が入っています。

 「大寒波」は2007年環境でパワーカードとして頭角を現して以来、長年に渡ってメタゲームに影響を与え続けていました。2009年9月の改訂で制限カード行きとなってからもそれは変わらず、むしろカードプールの拡大に伴ってより一層凶悪なカードに変貌を遂げていたことは否めません。

 なおかつ、今後も時間経過でその危険性が増し続けることは火を見るより明らかであり、もはやこれ以上放置はできないということで禁止カード指定を下されたと言えるでしょう。もちろん、その後は今日に至るまで禁止カードから動いておらず、今後もエラッタなしでの現役復帰はまずあり得ないと断言していい極悪カードです。

 その他、「月の書」や「神の警告」といった前期環境で使用率を上げていたカードの規制も進んでいます。特に「月の書」に関してはマスタールール2への移行に伴う起動効果のルール変更が控えていたこともあり、あらかじめ手を打っておくという意味も含んだ規制だったのではないでしょうか。

 一方、こうした規制強化とは逆に規制緩和がなされたパワーカードも多く、中でも「カードガンナー」の準制限復帰は非常に大きな出来事に数えられます。

 というより、そもそも直前の環境でも【デブリダンディ】などのシンクロデッキではほぼ必須カード扱いを受けていたカードであり、このタイミングでの規制緩和はかなり思い切った話です。実際にこの改訂が【墓地BF】の躍進のきっかけにもなっており、従来の「使用率の低下に伴う規制緩和」とはまた別の意味合いが見て取れる決定だったと言えるでしょう。

 同様に、【旋風BF】への対策として重宝されていた「魂を削る死霊」の準制限カード化、また「カオス・ソーサラー」の更なる規制緩和といった例もあり、当時の開発側が過去カードの復帰に対して積極的な姿勢を取っていたことが窺えます。

 

ワンキル及びループ系カードへの規制・緩和

 他方では、ループギミックによる先攻1キルコンボにしばしば悪用されていた「マスドライバー」が一気に禁止カード指定を下されています。

 元々は2010年3月2010年9月環境の【マスドラガエル】で一躍有名になったワンキルパーツですが、イレカエル」が禁止カードとなった後も【メンタルマスター1キル】や【マスドラ六武衆】などで悪用され続けている状況にありました。もちろん、それらがトーナメントシーンで大々的に問題を引き起こしていたというわけではないのですが、単純に先攻1キルの原因となること自体が問題と言えば問題でもあり、恐らくは今後の影響も見据えての禁止カード行きという決定だったのではないでしょうか。

 一方、過去に流行したワンキルパーツである「オーバーロード・フュージョン」「巨大化」がともに規制緩和されるなど、環境の変化を如実に窺わせる決定も見られます。

 かつて【未来オーバー】【デミスドーザー】、そして【デビフラ1キル】のキーカードとして名を馳せた面々であり、数年の封印期間を経て遂に緩和を迎えた形です。流石にこの頃には周辺カードへの規制もあってトーナメントレベルのカードではなくなっていましたが、ある意味これらのカードが許される程度には環境が高速化を遂げていたとも言えるでしょう。

 同様に、かつて【ガエル】のループコンボに悪用されていた「氷結界の虎王ドゥローレン」も無制限カードに完全釈放されています。しかし、こちらは緩和早々に「継承の印」を絡めたループコンボに悪用されてしまっており、一時期【シーラカンス1キル】のキーカードとして環境を騒がせることになる問題児(※)です。

(※案の定、次回改訂の2011年9月には再び準制限カードに逆戻りしています)

 

【まとめ】

 2011年3月の改訂で起こった大まかな出来事は以上です。

 「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」の禁止カード化、また2年間主流デッキであり続けた【旋風BF】の衰退など、環境に対して大きな影響をもたらす調整が随所に見られた改訂でした。それ以外にも、新勢力ながら環境を荒らしていた【六武衆】への素早い対応、さらには各種パワーカードに対する規制強化もしっかりと入っており、総じてゲームバランス調整の意識が強く現れた良改訂だったと言えます。

 実際、この改訂以降の環境は遊戯王でも稀に見る群雄割拠の時代が到来しているため、良改訂がそのまま良環境の成立に寄与するというシンプルな結果を生み出していたのではないでしょうか。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。